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  2. 第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】

第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】

今回のテーマは【復讐】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/05/07

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/03/05〜2018/04/02
投稿数 75 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 今回は外側へ向かっていた「復讐」が、結果として自分に対して方向をかえてくるというように、テーマを内面的なものとして捉えた作品が多かったような気がします。設定が凝っていたり、登場人物の内面の在り方に興味を強く惹かれる作品に、可能性や魅力を感じました。もちろんテンポの良いコミカルな作品にも楽しいものがいくつもありましたが。今回感じたのは、読みやすさとオリジナリティとの関係です。読みやすさやまとまりの良さを求めると、どうしてもステレオタイプなキャラクターや展開になりがちな傾向があり、逆にオリジナリティを追求すれば言いたいことを短い文章の中で伝えることはなかなか難しいところも出てくるように感じます。ありきたりではない内容を書くなら(もちろんこれが一番素晴らしいことなのですが)、自分なりにその文章のコアな部分や本質はなんなのかをもう一歩突き詰めて考え、そのエッセンスを凝縮していくような作業を試みる必要があるかもしれません。評価する側とすれば、読みやすくきれいにまとまっているけれども内容的には既視感を強く感じてしまう作と、内容的に新鮮で興味を惹かれるけれども、どこか言いたいことをまとまり切れていない作品とでは、どちらを評価するかというのはなかなか難しい問題です。両方の要素を備えた作品というのは過去の作品をみても少なく、技術的にもなかなか難しいことなのでしょうが、しかしそこをクリアできると、秘められた可能性が開花し、より良作がたくさん生まれてくるのではないかと感じました。 『マイクロリベンジ』 かわいらしい復讐の数々がほほえましく、結局仲の良い二人なのですね。白飯のおかずには笑ってしまいました。 『私の黒い熊』 人はだれでも過ちを犯すもの。とはいえ自分のしたことから目を背ける限りは、影としての「熊」は当人の内面に巣くい、生涯付きまとうことになるのかもしれません。心情を単に主観的に表現するよりも、内なる他者として描くことにより怖さがうまく出ていたのではないかと思います。 『どんな復讐がしたい?』 いじめを受けた側の痛みというのはそう簡単に消えるものではないでしょう。かといって相手に復讐しても自分自身の痛みが減るわけではないのは冷静に考えれば当然のことで、お笑い芸人として成功するという方向にエネルギーを振り向ける主人公の冷静さには、読んでいてほっとさせられます。 『月曜日の凶行』 被害者であるはずの人間が加害者に転じてしまった悲劇ですね。誰でも殺人者になりえる種を内面に秘めているような気がしますが、大切な人の喪失の痛み中で、主人公の「俺」はそれを無意識に育んでしまったのでしょうか。自己の外に見ていた”悪”を内面にも発見することになる悲劇は、普遍的な不幸であるような気がします。 『偶然か、もしかして復讐』 男女の別れに限らず、一つの出来事に対する受け止め方や解釈は人それぞれですよね。だからこそ人間関係の軋轢やストレスが生まれてしまうわけですが、「元カノ」の自分の傷を癒そうとする行為が、元カレをかえって怖がらせ遠ざけてしまうという展開は、なんとも皮肉でした。 『馬鹿には見えない』 「頭脳明晰」と自負する「俺」への、「馬鹿」な妻からの復讐が妙に的を射ていて面白かったです。彼女は「俺」が思っているほど馬鹿ではないのではないのかもしれませんね。簡潔で文章から、夫婦それぞれのキャラクターがしっかり伝わってくるあたり、上手いなあと感じました。 『4・7』 集団が大きくなれば大きくなるほど、人を傷つけるのに理由が正しいかどうか当人たちにとってはほとんど関係なくなり、阻止することはほとんど困難になってしまうのでしょうね。多数の人間が同じ方向を向くコントロール不能な集団の狂気が妙に怖いです。 『しかえし池の大鯰』 これは「しかえし」をする側とされる側、両方の人間たちの負の感情を餌にして育まれた化け物なのかも、と個人的に想像しました。「しかえし池」は、人間にとっての無意識の領域の覗き込んではいけない闇の範疇のもの、でしょうか。そのような深い闇の前では、人間の意志は無力なのかもしれません。 『エレベーターステップを転がりたい』 今の幸せを失いたくないという気持ちと、若い頃の過失への自責の念との間の葛藤が丁寧に書かれていると思います。現在が幸せだからこそ、人の幸せを奪ってしまったことが逆に悔やまれる、ということが確かにあるのかもしれませんね。せめて身近な家族を大切にしてもらいたいなあと感じます。

入賞した作品

2

復讐の接吻

18/03/20 コメント:2件 キップル

「あなた、行ってらっしゃい…。」 「ああ、行ってくる。」  俺は、7年連れ添った妻の美紀に手を振った。もう二度とこいつの顔を見ることもないだろうと内心思った。目鼻立ちは昔と変わらず整っていたが、髪や肌にはもう艶がない。美紀の性格はお見通しで、これ以上発見も望めなかった。飽きていた。そろそろ生活を一新する必要があった。  俺は出張へ行くため、新幹線に乗った。閑散とした車内で椅子を倒し、目を閉じた・・・

7

この日のために

18/03/14 コメント:4件 向本果乃子

 とうとうこの日が来た。三十八年という人生、この日のために生きてきた。私は壇上におかれた金屏風前の椅子に座る。たくさんのカメラのフラッシュがたかれ、テレビカメラも入っている。日本で一番有名な文学賞受賞の記者会見の場。私は買ったばかりのスーツのポケットに手を入れる。そこには十年前にネットで入手してずっとお守りのように持っていた毒物のカプセル。今日こそ私を迫害した人々への復讐を果たし、このろくでもない・・・

最終選考作品

3

マイクロリベンジ

18/04/02 コメント:1件 宮下 倖

 わたしは夫をゆるさない。    夫婦の間でこんな裏切りがあっていいのだろうか。たった一言がふたりの愛にひびを入れてしまうこと、夫はわかっているのだろうか。  無意識のことだったんだと言われれば「そうか」とうなずいて許してしまいそうな自分がいる。やっぱりわたしは夫を愛しているし、本当は許したい。  けれど黒く揺らいだ感情はわたしに「復讐」の二文字を突きつけてきた。  そうだ、復讐だ。 「うわっ!・・・

4

私の黒い熊

18/04/01 コメント:5件 待井小雨

 家の外を熊がうろつく町に住んでいた。こんな暮らしはもう嫌なのだと都会に出て暮らし始めたけれど、いつしか私の周りをうろつく影に気付いてしまった。  あれはあの町の熊だ。 「休みは地元に帰るの?」  長期休暇も近いある日の帰り道、同僚がそう訊いてきた。 「私、出身が元々こっちだから」  私は苦笑してみせる。躊躇いなく吐いた嘘に同僚は「そっか」と言う。 「私の実家、遠いから帰るの面倒なんだよね」 ・・・

3

どんな復讐がしたい?

18/04/01 コメント:2件 笹岡 拓也

「復讐したいんだって?願いを叶えてやろう」 僕は人間の姿をした悪魔と名乗る者に出会った。どうして僕の目の前に現れたのかはよく分からない。ただ復讐したいというのは事実。 「そうなんです。ただ復讐の仕方が分からなかったので…」 僕は中学生の頃いじめられていた。いじめを受けたことで学校にも行けなくなった。だからいじめてきた奴らに復讐したいと考えていた。 「じゃあ早速いじめてた奴らの命を奪おう」 僕は悪魔・・・

1

月曜日の凶行

18/03/30 コメント:0件 野々小花

 よく晴れた春の日だった。月曜日の朝。駅前の大通りで、突然若い男が刃物を振り回して通行人らを次々と刺した。六人が死亡し、十三人が重軽傷を負った。犯人はその場で自ら命を絶った。一年が経った現在でも、犯行の動機は解明されていない。  あの事件で妹を失った俺は、命日である今日を最後に、被害者遺族の会に顔を出すことは止めようと思っている。悲しみを共有する家族が俺にはひとりもいない。それが他の遺族たちと大き・・・

1

偶然か、もしかして復讐

18/03/11 コメント:0件 小峰綾子

友人に助言されて某SNSを開いた。最近は就職活動で忙しかったこともあり、覗いてさえもいなかったが、久々に会った友人に開口一番、こう言われたのだ。 「お前の元カノ、日記で色々書いてんの、読んでる?」 全く何のことか分からなかったが、つべこべ言わず読んでみろ、と言うのでログインし、新着の日記の通知を開く 「あの日から…」 嫌な予感がするが、本文を開く 「あの日から、どこで間違ったのだろう、と考えている・・・

3

馬鹿には見えない

18/03/05 コメント:0件 井川林檎

 馬鹿には見えない衣を纏った王様の童話がある。  みんな、王様が裸にしか見えないのだが、馬鹿だと言われたくないので、見えない衣を褒めたたえるのだ。  「凄い、なんて官能的かつのびやかな服なんだ、王様は違うね」  「まあ、官能的と言うか、素肌のつややかさを活かしているというか、何と表現したらいいのかね」    ……。  そんな童話を思い出している。  職場の昼休みだ。  愛妻弁当を開いた俺は、・・・

3

4・7

18/03/05 コメント:1件 若早称平

 一ヶ月前から決まっていた決行日に奈那はベッドの中でうずくまっていた。すぐに電話がかかってきて、インフルエンザだと言い訳したが、すぐに仮病だとバレてしまった。 「どうして来なかったの? みんな集まってたんだよ」  その日の夜、学校の近くにある公園に呼び出された奈那はクラスメイト全員に囲まれて子犬のように震えていた。 「ごめんなさい、急に怖くなって……」  うつむき、風に乱れた前髪を直すように触り・・・

4

しかえし池の大鯰

18/03/05 コメント:4件 クナリ

 江戸の夜は深い。  であるから、やや甲斐国に近い方へ江戸を外れた、広い森と深山を望むある村の夜は、いよいよ暗かった。  与三次と甚太は幼馴染だった。共に三十路を数える。  この日二人は山の中へ入り、与三次はつぐみ、甚太はキジを狙ったが、獲物のないまま日が暮れた。 「甚太、暗いが道は分かるか」 「確かこの道を上ると池があって、そこに寝泊まりできる小屋もあったはずだ。ところで与三次、俺の山刀を落と・・・

2

エスカレーターステップを転がりたい

18/03/05 コメント:3件 浅月庵

 ◇  ぼくみたいなクズは善良な人間と同様の幸せを掴んでいいはずないのに、二年前にあっさり結婚をして、ぼくたち夫婦の間に子どもが産まれた。その幸福感はかつての罪を忘れさせるほどの、強烈な痺れとなって全身を駆け巡り続けている。  ーーただぼくは、今なお反射的に“エスカレーター”を避けていた。黄色と黒の流れるステップは、踏切やトラロープと同じ色で、ぼくに警告を続けている。  ◇  高校生の頃、ぼく・・・

投稿済みの記事一覧

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18/04/02 コメント:0件 沓屋南実

 ルツェルンの郊外にある豪商の別荘に、私たちは来ていた。そして、あれこれ省いて寝室に直行したことは、使用人たちの失笑を買っているはずである。
 髭をたくわえ目尻のしわが目立つこの男を、私はヴィルと呼んでいた。彼は私をツィスカと呼ぶ。それは、幾つもある秘密のひとつだった。
 目を閉じれば、濃厚なキスが降り、悪魔のような低いささやきに私は恍惚となってしまう。乱れた長い髪を右手で梳きながら、・・・

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タマの復讐

18/04/02 コメント:0件 林一

 タカシ君は小学校の自由研究で、猫を仰向けの状態から落として、どのくらいの高さまで背中から落ちずに着地できるのかを調べることにした。
 タカシ君はまず、ペットのタマを頭の上まで持ち上げると、そこから落としてみた。すると、タマは難なく着地に成功した。
 次にタカシ君は、タマを連れて近所の公園に行った。公園にあるベンチの上に立ち、そこからタマを落とすと、またタマは着地に成功した。
 ・・・

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復讐ノート

18/04/02 コメント:0件 みや

◯月△日

A君に頭を叩かれた。
B君にノートを破かれた。
C君に死ねと言われた。

◯月△日

A君に背中を押された。
B君に教科書に落書きをされた。
C君にバカと言われた。

◯月△日

A君に肩を押された。
B君に鉛筆を折られた。
C君にウザいと言われた。

◯月△日

A・・・

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復讐のゴング

18/04/02 コメント:0件 林一

 ボクシング世界フライ級王者として十度の防衛を成功させてきた私川中俊介は、タイトルを返還して階級を一つ上げ、二階級制覇に挑戦することを決意した。年齢的に考えて、今回の試合が最初で最後の挑戦になるだろう。
 対戦相手は、スーパーフライ級王者のネラだ。三度の防衛に成功している強敵だが、ベストを尽くせば勝てない相手ではない。私は二十年のボクシング人生最後になるこの試合を勝利で飾るため、老体に鞭を打・・・

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桃太郎鬼譚

18/04/02 コメント:1件 冬垣ひなた

 今は昔の物語。
 復讐の刃を握ると決めた若者は、父の付けた名前から「桃」の一文字を捨てた。
 母を奪った春が憎い、と。
 名は太郎、鬼を狩る為にただ生きる。

   ◇

 桃の花が村を染める季節、鬼どもに母がさらわれた。あれは俺の弟が生まれたばかりの事。
 忌まわしき巨体の鬼はのうのうと逃げおおせて、海を渡った小島に住み着いた。「人外の仕業にあが・・・

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だってイチゴ大福

18/04/02 コメント:2件 むねすけ

 復讐代行「ブラックムーン」の表の顔は垢抜けない純喫茶店。コーヒーにやかましい客にインスタントコーヒーを出す悪癖を持った髭店主黒田聡平、黒田の姪っ子看板娘の弥生ちゃん。黒田の古女房律子さん、バイトのボーイ哲哉君。郊外の閑古鳥も鳴き疲れたシャッター商店街、理髪店の二階で今日も拘らないコーヒーと、美味しい卵サンドで裏の稼業を覆い隠していた。
「モーニング、サラダはトマトメインの方ね」
「か・・・

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アイラブユゥ、ユゥラブアイ

18/04/02 コメント:0件 黒江 うさぎ

 私の両親は、とても優秀な遺伝子工学の研究者だった。  いくつもの不治とされて来た病の治療法を発見し、功績の数は両の手だけではとても足りない程、優秀な医者。  …だから、私の両親は殺された。  両親が考案した…遺伝子を書き換え、新たな生命体を創造するという、神にも等しき技術を欲した者達の手に寄って。  結果その技術は奪われ、軍事国へと渡り、その軍事国の手違いにより情報を漏洩し、大規模な戦争が始まっ・・・

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ドレスにスニーカー

18/04/02 コメント:4件 そらの珊瑚

 結婚式の招待状が届いた。  差出人は、付き合っている彼だった。「ふえっ?」とっさに変な声が出る。眼を凝らしてみても、間違いではなかった。彼が結婚? 私とじゃなく? 相手の名前は私が知らない女だった。  そういえば、と思い当る。会社の同僚の彼と付き合いだしてから約三年。ここ半年くらい、なんだか疎遠だったことを。お互い仕事が忙しいこともあり、デートらしいデートもなかった。それでもゴールデンウィーク・・・

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リベンジ 浮気編

18/04/02 コメント:0件 デビ

麻、参ったっさー。
どうした?
やられた。旦那にやられた。麻、も伝説があるでしょ。
ああ、あれか?
そう、奥さんとの鉢合わせ事件。
まあね。でも、あれ流石、奥さんだったよ。
「あなたね。いつも彼がおせわになてます。」
なんて言われ日には、
「はあ〜。」たじたじってかんじだよね。
でもさあ、反対に奴の愛人が乗り込んできたとき同じロレックスとテファ・・・

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消費、消費、消費…

18/04/02 コメント:1件 霜月秋介

 最近、時間が過ぎるのがとてつもなく早い。
 好きなタレントのSNS更新が気になったのがきっかけでスマートフォンをいじり始めると、いつのまにか一時間も二時間も時間が過ぎているなんてことが最近よくある。毎週観ているテレビドラマが、続きが気になるところで来週へおあずけになった、と思ったらもう既に一週間経って続きが今日観れる、ということも。月ごとにはがしているはずのカレンダーだが、一週間ごとにはが・・・

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のちに、伝説の屋台の店主となる男の話

18/04/02 コメント:0件 小高まあな

 やられたらやり返す。
 勇者に攻め込まれ、命からがら城から逃げ出した魔王はそう誓った。

 復讐は慎重に。
 勇者の動向をこっそりと探る。
 実際、魔王は勇者に倒されたと見せかけて、秘密の扉から逃げ出したのだが、世間では魔王は倒されたという認識らしい。国を挙げてお祭り騒ぎだ。
「むむむ。こいつらときたら」
 市場で買った、魔王の丸焼きなるものを食べながら・・・

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チキンレース

18/04/01 コメント:0件 林一

 悪の組織の下っ端構成員として働いていた若者二人組は、自分達の待遇の悪さに嫌気が差していた。そこで彼らは、組織を抜け出そうと試みたが、あっさりと捕まってしまった。
「おい、お前ら。うちの組織を勝手に抜け出そうだなんていい度胸してんじゃねえか。その度胸に免じて、どちらか一人だけは命を助けてやろう。そうだな、お前らにはチキンレースをやってもらう。崖に向かって二人同時に車を発進させて、ギリギリで止・・・

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悪女と科学者

18/04/01 コメント:0件 アシタバ

 女が目を覚ますと、なぜか彼女は病院の手術台のようなところで寝かされていた。彼女は一体なぜ自分はこんなところで寝ていたのかわからず、必死に記憶を辿っていく。すると、どうしたことか経緯を思い出していく女の顔色はみるみると青ざめていった。
(わたしは確か――)
 ドアが開く音がした。彼女の思考は中断され、部屋に白衣姿の老人が入ってきた。
「目が覚めたんだね」
 女は彼の顔に覚え・・・

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全然クールじゃない

18/04/01 コメント:0件 浅月庵

 復讐の想いがいつしか彼女を生かす原動力となり、両手両足に嵌めた枷は、そう簡単に外れることはない。

 だから、一人の少女が親殺しの犯人を丸一年探し、いつか犯人を自らの手で殺してやろうという思考に塗れていたのに。その犯人が事故で死んだとわかったとき、彼女はこれから人生をどう歩んでいこうかと思い悩む。

「幸せになったらいいじゃないか」
「勝手なこと言わないでよ! 私が・・・

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小さな保育室で起こったこと

18/03/30 コメント:0件 虹子

  私がそれを初めて目撃したのは、働きだして二週間ほど経ったころだった。  三時のおやつの時間だった。アキ君がいすに座ろうとしたとき、田仲先生がアキ君のいすをさっと後ろへ引いた。尻もちをついたアキ君は泣き出した。 ひどく怯えた目をして口を縦に開けてわぁわぁと泣いていた。まだ生えそろっていない小さな歯がのぞく口の中で、舌に血がにじんでいるのが見えた。転ぶときに机であごを打ったのだ。 ・・・

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身を滅ぼす炎

18/03/30 コメント:1件  浅縹ろゐか

 捻じ曲がった性格をしている私は、やはり捻じ曲がった人生を歩んでいた。暴力を振るう父親とヒステリックな母親と暮らした実家には、もう10年以上帰っていない。中学卒業と同時に、私は職を求めて上京した。一刻も早く実家を出たかったからだ。住み込みでできる仕事を探し、私は土木関係の仕事に就いた。1番年下である私は、業務以外に使い走りのようなことをしていた。先輩達に逆らうことなど、とても考えられなかった。逆ら・・・

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リメンバー

18/03/30 コメント:0件 若早称平

 恐る恐る下駄箱を開けると上履きの中に大量の画鋲が詰められていて、その横にはいつもの手紙が添えられていた。一応手紙に目を通してみるが、「復讐の炎に焼かれろ」とか「お前のやったことを思い出せ」とか厨二病じみた脅迫の言葉が並べられていた。

 広げるとA4ほどの大きさになるその手紙で箱を作り、上履きの中の画鋲を移すとそのまま教室へ向かった。


「おはよう、尾関」
・・・

1

FAKE

18/03/30 コメント:0件 華満零

行き過ぎの友情なのか、それとも、抱いてはいけなかった恋情なのか。今となってはそれすらも、曖昧。

「今夜12時に」
一言だけ書かれたメール。今日は水曜日。一週間の中で、私が一番嫌いな曜日。
吸いこんだ煙草の煙と共に、口から溜息が零れた。腰かけていたベッドから立ち上がり、ドレッサーの前に座る。
腰まで伸びたブラウンの髪の毛を入念に梳かし、慣れた手つきで顔に化粧を施してい・・・

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孤独

18/03/30 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕の戦いは、終わった。そして孤独になった。
愛する人を守ることが出来ず復讐という形でしか、僕の鬱憤を晴らすことができない。

大粒の涙が頬を垂れる。
「やったんだよ。やったんだよ。沙希ちゃん。」
僕は包丁を喉に向ける。

すると誰かが後ろから抱きしめる。
「お前は誰だ?」
振り向くと、それは羽の生えた天使だった。
「僕もジ・エンドか。」<・・・

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薬に支配された空

18/03/29 コメント:0件 あおい

海風が彼女に強く当たる。長いロングの髪は風になびいて、ふっくらとした彼女の唇にぴったりとくっついて逃さない。少し困ったようにその髪を手ではらい、クスリと笑った。黒髪に少し茶の混ざったような艶やかな髪の毛は、太陽に当たってキラキラと光り、誰が見ても「美」そのものである。
「ここに帰るの何年ぶりかなぁ」
透き通るような声でそうつぶやいたが、その声は船のエンジンの音にかきけされ、誰の耳にも聞・・・

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配達ミス

18/03/29 コメント:0件 桐生 舞都

昼寝をしていると、玄関のチャイムが鳴った。 「――宅配便です。ハンコお願いします」 どうやら、宅配便のお兄さんが荷物を届けに来たようだ。 わたしは重いからだをなんとか起こす。 ソファーで寝た後に目を覚ますと、正面の壁に飾られたたくさんのオブジェにどうしても目がいく。 動物の骨で作ったペンダントや剥製など、海外の変な土産物が好きなあの人の趣味は最後までよく分からなかった。 彼のニオイがま・・・

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我らホシ追う復讐者

18/03/28 コメント:0件 まきのでら

『ホシを捕らえた』
 ナイフを片手に森を彷徨っていた私のトランシーバーが、雑音まじりにそう告げた。
『例の廃屋に集合せよ』
 無機質なその声は淡々と続き、私は疲弊した足を引きずるようにして廃屋へと向かった。
 ホシは子供ばかりを狙う卑劣な連続殺人鬼だった。警察は頼りにならず、いたずらにヤツを泳がせては犠牲者を増やしていた。
 ある時、しびれを切らした犠牲者の親の一人が・・・

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夜の散歩

18/03/28 コメント:0件 伊川 佑介

 大学の先輩が首を括って、その葬式の帰り道を恋人と歩いていた。それまで降っていた雨が止んで、濡れた路面に水溜りができている。僕はなぜだか無性に性欲が高まって、この静謐なムードの中でどうやって彼女をホテルに誘おうか考えていた。
「人って何の為に生きてると思う?」
彼女が急に立ち止まって僕に尋ねた。僕が考えていたこととのギャップに虚を突かれて言葉を失った。いつにない哲学的な質問を前に、先輩・・・

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お赤飯炊きましょ

18/03/27 コメント:0件 松本エムザ

「あたしコレ食べられないよ。言わなかったっけ?」
 あれは私が小学校を卒業した日の夜の事だ。母がお祝いだよと炊いてくれた『お赤飯』を一瞥すると、祖母は忌々しげにそう言い放った。
「あら、そうでしたっけ? お義母さん」
「そうだよ。まったく、あたしの言うことなんて、右から左に流してるんだろ?あーあ、虐待だ虐待」
 しっしとまるで野良犬を追い払うように、祖母はお赤飯を視線から遠・・・

1

復讐

18/03/24 コメント:0件 犬童 幕

俺はタイムマシンの座席に座っている
これに乗って
俺を苛めていた奴等に復讐する
まずは学生時代
俺の教科書を隠したり
給食にチョークの粉を振りかけたり
色んな嫌がらせをしていた不良グループ
あいつらを懲らしめてやろう
年号と時刻をセットしスイッチオン
ギュイーン
それらしい効果音を発し
タイムマシンは学生時代へ
次は新入社員時・・・

1

音するくしゃみに君がいて

18/03/24 コメント:0件 むねすけ

 森のギリギリ陽の光が魔を避ける内側めいっぱい、境界内の限界地点に僕の巣がある。寝ぼけて朽ち忘れた老木の洞から掘り進めた僕の巣穴は、地下へと続く。蓋をしてしまえば地下のねぐらで聴こえてくるのは集めた落ち葉のすれる音。集めた木の実を齧る音。雨の水分が滲み込んでくる気配の音。そして、僕の心臓の音、だけになるだろうはずだったんだけど。
「へっぷしょん、もーね、大変だったよ。月が盗まれちゃったんだか・・・

2

浮かれた心と忘れた心

18/03/21 コメント:0件 腹時計

 引っ越しの準備をしていると、なくしたと思っていたものが見つかることがある。
 大学の合格発表があった翌日から、和成は少しずつ荷造りを始めていた。既に大学のすぐ近くのアパートを契約した。あと二週間すれば和成は大学生になるのだ。合格の喜びは大きく、新生活への期待はぱんぱんに膨れている。
 しかし、すんなりと進まないのが片付けというものだ。18年間住み続けてきた自室は案外ガラクタが多く、ま・・・

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小さな復讐

18/03/20 コメント:0件 かお

数年ぶりに恋人に会う。 恋人は高校を卒業して故郷を出た。 バンドやると言ってたのだが何年かのアルバイト生活をしたのち 何故かお笑いグループのツッコミになりそれも解散した。 相方は売れたのだが恋人の方はとんと聞かない。 テレビに出ることはなかった。 やがてヨーロッパに旅立ったと聞いた。 ヨーロッパのイギリスだかフランスを放浪して パリだかロンドンに落ち着いた。なにをしていたかは知らない。 きっとろ・・・

2

夜桜と犬と

18/03/20 コメント:2件 吉岡 幸一

 老いた桜の木の下に男は腰をおろし、コンビニで買った缶ビールを飲んでいた。満開の桜は月の明かりに照らされて艶めかしく揺れている。夜の十時を過ぎた川沿いの土手には花見をしに来る人もなく、湿った風が薄い雲を東に流し、止まっているような川が半分の月影を水面に写していた。
 川沿いの一本桜、周りには桜の木だけでなく他の木も生えていない。何十年もの間、ただこの老木だけが根をはり、川を見守るように立って・・・

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犯行は計画的に

18/03/19 コメント:0件 無花果

とある日曜日の朝、探偵の藤村来栖は淹れたてのコーヒーのにおいを楽しんでいた。いつも仏頂面の彼にしては今日は珍しく気分が良いようだ。そんな朝の静寂はノックもせず事務所に入ってきた闖入者によってかき消された。
「おいっ、来栖大変なんだ!」
その闖入者の名前は琢磨と言って来栖の小学校からの腐れ縁の悪友ともいうべき人物だった。来栖は初め、驚いたような顔をしていたがいつも通りの仏頂面に戻ると

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デッドオアアライブ in 都寿司

18/03/18 コメント:0件 紅茶愛好家

俺には今殺したいほど憎んでいる男がいる。
男は毎週金曜の夜八時、店へとやってくる。通称十番さん、カウンターの十番席のみを所望し、必ず寿司を握る俺の前へと居座る。ハンチング帽を被り高そうなストールを巻いてブランド物の時計を付け、安い回転寿司に舌鼓する初老の客だ。通を気取り手づかみで寿司を食べ、ネタの切り方が悪いとか握りが固くて口の中でほぐれないとかいろんなことを言ってくる。悪い人ではないと思う・・・

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三重扉

18/03/18 コメント:0件 いっき

俺を苛めた彼奴らに、絶対復讐してやる。
俺は、高校に入ったその日から彼奴らからの苛めを受けていた。彼奴らは、俺と目が合う度に暴言を吐き続けた。その旅に俺の心身はズタボロになり…体調を崩して入院したのだ。俺は退院するまでの間、ずっと彼奴らへ復讐しようと考えていた。

俺はボイスレコーダーをポケットに忍ばせ登校した。同級生たちは、奇異な眼差しを俺に向ける。
「うっわぁ、戻って来・・・

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怨念復讐丸

18/03/18 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

「そりゃそんな奇怪な覆面レスラーがみんなのみまもるリングに突然あがってきたときは、誰もが息をのんで驚いたさ。当時マスクマンといえばきまって、外人レスラーときまっていたからね。いや、それが日本人かどうかも、いまだに謎だが。
 さてその復讐怨念丸――まったくおどろおどろしいネーミングもいいとこだが、そのまたマスクの恐ろしいこと。耳まで裂けた口は口裂け女もかたなしだ。目の穴からのぞく双眸はまさに復・・・

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籠の中の鳥は復讐を遂げる。

18/03/18 コメント:0件 Crown

私わたくしはリア。齢18にして、2人の人物に復讐を遂げました。

先ず1人目は、私の父でした。父はこの国を治める国王でしたが、とても傲慢な男で、王妃であった母も、家臣も、国民達も。父のせいでどれ程苦労したことでしょう。そして例に漏れず、この私も。幼少の頃から私に自由などなく、行動の全てを監視されていたのです。そしてそれは未来のことにまで及び、結婚相手までも決められていました。
<・・・

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隣の柿はまだ青い

18/03/18 コメント:0件 紅茶愛好家

柿本太蔵は庭の富有柿の木を見るのが好きだった。
今年もたくさん実った。脚立を使いハサミで丁寧に収穫していく。一人では食べきれずまたご近所に配る予定だ。八分目収穫し、作業を終える。残りは小鳥たちのものだ。ついばみに来るのを密かな楽しみにしている。実が減り涼しくなった木を見上げるとさえずりが聞こえた。
ビニール袋を提げ、まず隣の宮内さん、次に真向いの土井さん、と思い描く。喜ぶ顔を想像し、イ・・・

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矛の行方

18/03/18 コメント:0件 マサフト

息子を失ってからもう半年が経つ。わたしの両親は既に他界し、夫に先立たれたわたしにとって息子は唯一の家族だった。

この家は独りで暮らすには広すぎるが、今更引っ越す気にもなれず、さりとて出かける気も起きず、このところ引きこもりがちだ。このがらんどうの家がわたしの心情を嫌という程表している。

息子は交通事故で死んだが、事故を起こした相手もその事故で亡くなってしまった。息子・・・

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青白い炎

18/03/18 コメント:0件 マサフト

「仕方のないことだったんですよ。あなたは悪くない。そう、悪くないんですよ」

茂の母親は、諦めたような、絞り出すような声で呟いた。線香の匂いが鼻腔の奥を刺激する。

嘘だ。この人は嘘をついている。口ではそう言っているが、その目には青白い炎が滾っている。幽鬼のような、鬼火のような。

おれが茂を遊びに誘った。おれの車で出掛けた。おれが運転をした。茂は助・・・

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人形。

18/03/17 コメント:1件 れいぃ

 誰がなんと言おうと、僕にはもうあなたしかいませんでした。
 この気持ちもあなたなら分かってくださると信じています。
 動かないあなたに微笑みかけ、手足を眼鏡ふきできれいに拭き清める僕はそれだけで、世界一の果報者の心地でした。

 僕とあなたが出会ったのは小さな名もないがらくた屋の店先、あなたはかろうじてディスプレィされていて、マジックで1500円と乱暴に書かれた紙を貼りつ・・・

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パンを殺す

18/03/17 コメント:0件 吉岡 幸一

 街はずれのパン屋の前に今日も男の子が立っていた。学校帰りに立ち寄っては店に入ることもなく、ただガラス戸の横に立って道行く人を眺めていた。
 いたずらをするわけでもなく、客の邪魔になるわけでもなかったので、パン屋の奥さんは何も言わなかったが、内心では毎日店の前にただ立っているだけの男の子が気になって仕方がなかった。
 身なりもよく賢そうな顔もしていたが、背負っているランドセルだけは古く・・・

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証の紅

18/03/17 コメント:0件 君形チトモ

 俺と結婚してください。
 あの日アタシに頭をさげたあの人、手には紅とかんざし。アタシは嬉しくて思わず泣きながら、その手をとった。
 けど、今あの人はこの家にいない。家の金目のものをすべて持ち去ったまま帰ってこない。友人がやくざものに借金して返せなくて捕まった、今すぐ耳をそろえて返さねば殺されてしまう、と言ったから、それは一大事と送り出した。あの人が帰ってこない、まさかあの人もやくざも・・・

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降って湧いたチャンス

18/03/16 コメント:0件 腹時計

 神様はほんとうにいるのかもしれないと思った。

 先ほどまで新年会と称して飲み食いしていたというのに、今野は急激にアルコールが冷めて指先が緊張するのを感じた。
 それもそのはず。かつての部下、新井は小さなナイフで空を切り裂き、威嚇した。今野たちは逃げることも忘れて路上で立ち尽くしていた。女子社員たちは恐怖からか嗚咽を漏らしている。
「今野を出せ!」
 新井は会社統合・・・

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 素敵なおくりもの

18/03/16 コメント:0件 山上不動

   遠い昔、とある裕福な男が「いつかお前はジョージという男に殺されるだろう」と、高名な占い師に予言された。その占い師は、死の予言において極めて高い的中率を誇っており、『死神』と呼ばれ忌避されるほどの腕前を誇っていた。  焦った男は、自分の近所に住んでいる外国人をかたっばしから追放した。幸い彼は資産家だったため、金や人脈の力で人々を追い払うことは容易であった。しかし、それでも男の焦燥感は消えるこ・・・

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復讐のカルマ

18/03/15 コメント:2件 キップル

 時刻は夜八時。住宅街の十字路で、俺は息を潜めていた。辺りは静かで通りかかる人はいない。奴の行動パターンは把握している。奴は毎日、家に帰るため、この十字路を横切る。来た。奴はスマホをいじりながら歩いている。

 俺はポケットからナイフを取り出し、奴に駆け寄った。そして、握り手に渾身の力を込め、胸元を刺した。舞う鮮血が街灯に照らされて赤く光った。俺はすぐにその場から走り去った。一瞬振り向・・・

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日常とは

18/03/15 コメント:0件 天宮トウキョウ

 二時間目の数学の授業中、突然ひどい腹痛に襲われ、僕は手を挙げた。
「どうした?」と先生が言った。
「腹痛がひどいので、保健室に行ってもいいですか?」
「大丈夫か?保健委員の人は?」
「はい、私です。」と一人の女子生徒が手を挙げ、僕の方へ近寄ってきた。
僕はその女子生徒のことを少し憎らしく思った。今から僕を保健室に連れて行く間、授業を抜けることができて嬉しいというよう・・・

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金魚とパプリカ

18/03/14 コメント:0件 吉岡 幸一

 妻の飼っていた金魚を殺してしまった。
 昨日いつもより仕事から早く帰ってきた僕は、金魚の入っている水槽を掃除しようとして、台所の流しに水槽をかたむけて水を捨てていたら、間違って中に入っていた金魚まで流してしまった。
 前に一度だけ水槽の掃除をしたときはうまく水だけを流せたので、今度も大丈夫と思ってのことだ。けしてわざとではなかった。流しで暴れる金魚を捕まえようとしたがあまりに元気よく・・・

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ぼくの復讐

18/03/13 コメント:0件 糸井翼

ぼくは父親が嫌いだった。
あの人は短気で、自分がなにかうまくいかなかったときに突然叫んだり、それから、幼い私と弟が遊んでいると怒鳴り散らしていた。暴力的ではないけど、すごく怖かった。お酒が入るともっとひどい。ぼくたち家族はあの人の顔色を窺って暮らしていた。
あの人は自分が正しいと思っていた。そして周りの人を軽蔑するようなところもあった。小さい頃は、大人の男性はこういう人が多いのだろうと・・・

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恋心

18/03/13 コメント:0件 葉月三十


 思いもよらない言葉だったのだろう、Z子は目を真ん丸にして聞き返した。
「A男が私を好き?」
「何度も言わせるなよ」
「だって、私たちは単なる幼馴染みで、だから、だから――」
 Z子からしてみれば寝耳に水、到底予想も出来ない言葉だったのだ。
 何しろZ子は男勝りで気が強く、幼馴染みであるA男を泣かせたことも数知れず。そんなA男が自分を好いているなど、よもや微塵・・・

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ハンカチ・カプリッチオ

18/03/13 コメント:0件 トミザワ 鏡太朗

賢二はもう2時間、トイレにすら立っていない。
正座している足はすでに感覚を失っていた。
「寝たいなら全部白状しなさいよ!」
まだ結婚して1年半
妻のえりかに、こうもあっさりと浮気がばれるとは…
テレビでは毎日、芸能人やスポーツ選手の不倫がワイドショーで取りざたされている。
なぜ自分だけバレないと思っていたのか…
「本当にすまない!愛しているのはお前だけだ!・・・

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赤いべべきた

18/03/12 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 夕日に映える海面に、三夫はひとり釣り糸を垂れていた。
 なにかが水面下でうごめいた。魚にしては大きすぎた。三夫が岩場から身をのりだすと、波打つ海面から、とび色の髪の女性が顔をつきだした。
「おどろかしちゃったかしら」
「ここは水泳禁止区域ですよ。これまでこの辺りで、何人もおぼれ死んでいるから」
「あたしは、人魚なの」
 人魚なら溺れ死ぬ心配はないかと、のんきに考えた・・・

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家守

18/03/11 コメント:0件 いっき

ある夏の日の夕方。ドア横の電灯に目をやった。光に虫が集まり、それをヤモリが狙っている。僕はそっと手をヤモリに近付けた。
僕は無類の爬虫類好きだ。家では沢山の爬虫類を飼育していて、こいつもコレクションに加えようと思った。
手をヤモリに被せようとした、丁度その時。
「こら、何をしておる!」
後ろから声が聞こえた。アパートの管理人だ。
僕はこの管理人、苦手だ。ヤモリのような・・・

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あの時のスープの

18/03/11 コメント:0件 トミザワ 鏡太朗

お前がここに足を踏み入れたのは
お前が招いたことだ


パチンコにハマり、家庭を壊し
ついに月々の支払いも首が回らなくなった。
そこに、パチンコ店の店員としてお前に近付き
当たる台を密かに教え、ギャンブルに溺れさせた
俺の意思が少なからず入っていたとしても
お前が招いたことだ。

お前がパチンコ屋に通うようになったわけ、
職場・・・

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ケーキの恨み、晴らさでおくべきか

18/03/11 コメント:1件 キップル

「ただいまー。あ〜、お腹すいた。ケーキ食べよ。あれっ?」

 学校帰りランドセルを放り投げた僕は、駆け足で冷蔵庫を開けて首をかしげた。楽しみに取っておいたケーキがなくなっていたのだ。

「お母さん、僕のケーキ知らない?」
「えっ、あれ、ヒロトのだったの?さっきお兄ちゃんが食べちゃったよ。」
「そ、そんなぁ…。」

取っておいたのは昨日の夜、お父さんが・・・

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バーターの逆襲

18/03/11 コメント:0件 らっかさん

 私は朝から不機嫌だった。正確に言うと、不機嫌になったのは、昨日の晩。三月で、お世話になった個別指導塾の
講師が辞めるというのを聞いたからだ。

 私学の名門校の授業についていけず、成績も中の下。このままでは大学なんて夢のまた夢。こんなことなら、
公立の高校でのんびりしたかったのだが、なぜか塾長が無理矢理私学を薦めて、なぜか入ってしまったという感じ。
そんな私の唯一の・・・

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復讐横丁

18/03/10 コメント:0件 とむなお

ある夕方――東京にあるR企業でのこと……
その日も鈴木は、山本課長に会社の裏に呼び出されて、ボッコボコにされた。
上司と部下の関係であり、ミスをしたのは鈴木だったから、仕方がない――と言えば、それまでだった。
……が、あまりにも酷(ひど)い仕打ちであり、それが1度や2度ではなかったので、鈴木は頭にきていた。
社を後にして、いつもの店でチビリチビリやりながら、なんとか山本に復・・・

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女狐とまぬけな狸たち

18/03/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

光がその日寝た女は「親友の恋人」だった。
「真珠、好きだよ。」
一度は言って見たかった台詞を言って後ろから抱きしめたら、
するりと腕からすり抜けられた。
「心にも無いことを言わないで、私は単なる好奇心だわ。あなたもそうでしょう。」
確かにそうだ。
好奇心。
18歳の性欲。
「私は、汚い物が好きなのよ。」
少し汗をかいた真珠は言った。
「貴・・・

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甘い復習

18/03/08 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 この辺り一帯に生息するアリは、おそらく最強だろう。そうつぶやきながら昆虫学者――とくにアリの研究にかけては世界的権威の有村博士は、捕獲瓶の中のじっとして動かぬアントサイバーをみつめた。さきほどかれらの巣に噴霧したアントサイバー撃退用に開発した化学薬品をあびて、瓶の中のアリたちはみな神経をやられて仮死状態におちいっていた。息絶えるのもそう長い先ではないだろう。
「博士、すぐ裏手にあった巣から・・・

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黒い救急車

18/03/07 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

紙子は子供の頃から一人、家の中で浮いていた子供だった。
仲の悪い両親と両親に取り入るのがうまく要領のいい妹。
紙子は家族にどうしても馴染めなかった。
それだけではない、
紙子だけが両親から虐待を受けて育っていた。
妹は見てみぬふり。
なのに大人になった今、
雑用や面倒なことは全部紙子にまわってくる。

月日は流れ、父も母もいっそう年を取り、母は・・・

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分からないもの、分かるべきもの

18/03/06 コメント:0件 葉月三十


 真の復讐とは何なのか。A男にはついぞ分からなかった。

 小学、中学高校と、A男はいじめを受けた。端から見たら些細なこと、だがA男がいじめだと感じていれば、それはれっきとしたいじめなのだ。
 だが、教師も親でさえも、A男の主張を真に受けなかった。「A男は気にしすぎなんだ」
 そうして何のフォローもなく過ぎていった学生生活は、A男にとって地獄以外のなにものでもなかっ・・・

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復讐のお味はいかが?

18/03/06 コメント:2件 文月めぐ

 からんころんとドアベルが鳴れば、どんな作業をしていても入口に目を向けて笑顔で「いらっしゃいませ」と挨拶する。それは五年前、この「つけ麺藤吉」を開いた時からずっと続けていることだ。そう、たとえ相手がどんなに無礼なお客様であっても。

 「いらっしゃいませ」入口に笑顔を向けても、その男性二人組は僕の言葉など全く聞こえていないかのように、会話を続けている。そんなことは日常茶飯事だ。だけど、・・・

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半陰陽

18/03/06 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

「ね?ライファ、あの女の人生をズタズタにする何かいい方法があるかしら?。」
隣にいるライファが、
「地下牢に死ぬまで入れますか。」
と答える。
ライファは后・アリシアが信頼している幼馴染だ。
「それは何年か先の話よ。あの女を娼館で働けるだけ働かせて、復讐はそれからの話よ。」
「私の知り合いに、高利で金を貸す金貸しがおります。話をして見ましょう。」
「お願い・・・

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犬のおうち

18/03/05 コメント:0件 トミザワ 鏡太朗

お母さん、あなたの不幸を僕は
一番近くで見守り続けるよ



昔からヒステリックだった《お母さん》
僕の背中をライターで炙るのが生き甲斐の《お母さん》
パチンコで負けると、般若みたいな顔で叩く《お母さん》
少しでも僕の足音がうるさいとすぐに犬のおうちに閉じ込めた《お母さん》

「あんたは動物以下なんだから狭いケージに入ってなさいよ。最近ま・・・

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人形公園

18/03/05 コメント:0件 いっき

「人形が沢山捨ててある公園があるんだって。行ってみようぜ」
新田が口元を歪にゆがめて言った。
「え、気持ち悪いじゃん」
白川が嫌そうな顔をした。
「んだよ。あんなことがあってから半年も経っていないのに」
原西も花瓶の置かれた机を見て声を潜める。
「あ? 関係ねぇよ。俺らは共犯者…あの時のこと、俺がバラしたらお前らもただじゃすまねぇぜ?」
新田は歪な笑みを浮・・・

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クラス会

18/03/05 コメント:0件 風宮 雅俊

 都心近郊の中核都市にある少しお洒落なホテル。最上階にあるイベントルームからは駅前の賑わいを見下ろす事が出来、ビジネスから披露宴まで対応していた。クラス会の会場は一番小さな部屋だったがアットホームな雰囲気を出すのに丁度よかった。
 当時と変わらないクラスメイトが集まった。

「すげー、中学の時のクラス会ここでするの?」
 申し合わせたように、かつての男子たちが入ってきた。<・・・

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復讐代行屋

18/03/05 コメント:0件 蒼樹里緒

 どうもー、社長。お世話になってます、『復讐代行屋』でーす。このたびもご贔屓いただき誠にありがとうございます、なんつって。
 例のニュース、もうご覧になりました? そうそう、五十二歳男性が目覚まし時計型の時限爆弾によって自宅で死亡、ってやつです。今回も見事成功したでしょ。さすが俺、天才。
 学生の頃に社長をいじめてたっていう連中、これで全員始末できましたよね? おめでとうございます! ・・・

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