1. トップページ
  2. 第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】

第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】

今回のテーマは【報酬】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/04/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/02/05〜2018/03/05
投稿数 39 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

このコンテストにエントリーするには、ユーザー登録およびログインが必要です

ユーザー登録はコチラ ログインはコチラ

投稿済みの記事一覧

0

風邪のある日々

18/02/21 コメント:0件 荒木嘉英

 風邪をこじらせてもう、三週間になる。内科へ行くと、疲れとストレスだからと、治せる薬がないと言われた。疲れとストレス。自分ではそんなに感じていない。たしかに、風邪の引き始めの前、イライラは止まなかった。姉に当たったり、母に当たったりで、申し訳なく思う。過敏になりすぎていた。主治医によると、睡眠障害だそうだ。寝過ぎてしまう方のだ。不眠症でなく。それで最近耳鼻科へ行くと、ただの風邪で、抗生物質をもらっ・・・

1

イタリアの人々

18/02/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 イタリア人は日本人贔屓が多いというのは、ほんとうだ。ぼくがそのイタリアで一人旅をしているとき、地元の人々が日本人だとわかるとひとなつっこくちかよってきて、ぎゅっと首に腕をまきつけて親愛の情をみせつけられたのは一度や二度ではない。ピザ店でたべているとき、ぼくが日本人だとわかると、手首に巻き付ける皮のベルトをプレゼントされたこともある。また公園のベンチに座って目の前の風景をスケッチしていると、これは・・・

0

僕が書く理由

18/02/20 コメント:0件 向本果乃子

 僕は何のために書いていたんだっけ?初めて書いたのは十三の秋。でもそれはまるで日記のような、宛先のない手紙のような、自分の中に生まれる怒りや苛立ちを吐き出すように書き殴った小説とも詩とも言えない文字の連なり。学習ノートにHBの鉛筆で殴り書きしたそれが僕の初めての作品。それから僕は手に負えないあらゆる感情を白い紙の上に文字として書き続けた。誰に見せるためでもないから、汚い感情も意味不明な言葉も独りよ・・・

0

手を伸ばしても手に入らない

18/02/20 コメント:0件 蒼樹里緒

 畳に敷かれた布の上で、数十の鉱石が煌めいている。こんもりと積まれ、自ら発光するそれらは、行燈の光を反射してなお眩く存在を主張していた。
 しかし、それを差し出された若い男の目にも心にも、感慨は浮かばない。胡坐をかいた膝をつかむ無骨な指に、力がこもる。
「おい、おっさん。まさか、これっぽっちの報酬でこの俺様が依頼を請けるたぁ考えてねえよな?」
 喉から出たのは、低い不満の声だった・・・

0

敗者に報酬

18/02/20 コメント:0件 荒木嘉英

 コーダはあばば夫人に恋心を抱いていた。あばば夫人は火星で看護師をしていた。火星出身の女性だ。そしてこの恋は、禁断という魔のよろめきがある。あばば夫人の主人は医師であり、同じく火星出身者だった。地球出身で定職にも就いてないコーダでは、身の丈に合わない。「またいらっしゃったの」「はい。ご迷惑なら、立ち去ります」「いいえ。わたしも主人には退屈しているの。看護師をやめた身のわたしに、楽しみなど、あなたに・・・

0

報酬は缶ビール

18/02/19 コメント:0件 ケイジロウ

「わかった、わかった、もうそんなところで勘弁してくれ」
 真っ暗な田んぼ道を歩く栗山諒太はそう乞うたが、北風は容赦なく諒太にタックルしてきた。
 仕事さえ見つかればこの北風は止まるだろう、諒太はそんなことを本気で信じているようだった。
 今まで何社に落とされたかわからない。30社、いや50社くらいになるだろうか。今日職安で取り次いでもらった会社もおそらくだめだろう。そもそも社会は・・・

0

味のしない人生を

18/02/18 コメント:0件 伊川 佑介

「最近好きな漫画の新刊が出たんですけど、ガッカリしたんですよ」
同僚の藤崎さんが、いつものようにネガティブな話を始めた。
「二十年位前から休みがちにずっと連載してるやつなんですけど、昔は本当に面白かったんですけどね。今は作者が劣化したのか、趣味に走ってるのか、全く楽しめないんです」
ああ、あの漫画だな、と思った。が、話を広げると面倒そうなので何も言わなかった。
「僕、子供の・・・

1

報酬は春告草

18/02/18 コメント:0件 文月めぐ

 二月下旬、まだまだ寒いが、もうこのあたりでは雪は降らないんじゃないか――春への期待が高まるこの時期。俺の心に降り積もっていた雪も、徐々に解けて、陽が差してきた。
 大きな生命保険の契約が決まった。新規のお客様で、ここまで額が大きいと、緊張もするし、変な高揚感がある。震える手でタッチパネルを操作して、契約を進めていくが、汗ばんだ手から何度もタッチペンが落ちそうになった。
 ずっと営業が・・・

1

探偵事務所のアルバイトの報酬

18/02/17 コメント:0件 小峰綾子

「これが今回の報酬となります」
所長が封筒をカウンターの上に置く。
「今どきこんな形でお給料を渡す機会もないから、新鮮だよね」
と言って笑う。
「そうですよね。わがままを言ってしまいすみませんでした。ありがとうございます。」

ここは都内のとある探偵事務所。僕の本業はサラリーマンなので、副業で収入を得ていることがバレると色々と面倒そうなのだがという相談をしたとこ・・・

1

報酬はあなたの命

18/02/17 コメント:0件 君形チトモ

「我が仇、悪逆非道の宮廷魔術師よ! その所業の報い、受けるがいい!!」
 王宮前の広場で、青年は無数の銀の弾丸を放った。
 青年は、この国の王や宮廷魔術師たちに滅ぼされた村の出身だ。一人生き残って復讐を誓った当時の幼い彼は、力を身につけるべく、報酬さえあればどんな依頼も受ける、不老不死の魔女へ弟子入りを頼んだ。
「やだね。アタシは弟子なんていらないし、しかも報酬はないって、馬鹿に・・・

0

穴掘りゴンゾー

18/02/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 ゴンゾーが地面に穴を掘りだしてから、かれこれ一時間がたった。
 きわめてゆっくりとした動作でスコップを扱うその姿は、みていてあくびがでるほどのんびりしていた。むろんそんなかれのふるまいを見物するような暇人はどこにもいなかったが。
 日中ともなれば彼のいるところは遮るものとてなにもなく、肌は焼けつくように熱くなった。
 夕方になってもまだ、ゴンゾーは穴を掘っていた。穴はすでに、彼・・・

0

殺しの報酬と奇しき唇💋

18/02/15 コメント:0件 比些志

今回の標的は隣国の大富豪シコースキーとその妻。奇妙なことに、二人を同時に殺すというのが元締めから示された条件だった。
報酬は1億ドル。一生遊んで暮らせる金だ。
悲運の夫人に興味を抱いた俺は、さっそく庭師を装い、怪しまれることなく豪邸の庭先に忍び込むと、辛抱強く夫人に近づく機会をうかがった。
それから数日たったある日、いつも通り庭仕事を終え帰ろうとすると、その妻が出合い頭に玄・・・

1

五限目の苦悩

18/02/14 コメント:0件 若早称平

「ねえねえ、坂口。ちょっとこっち来て」
 今日がバレンタインデーでなければ、なんてことない呼び出しだった。同じクラスの原田さんが手招きする。緊張のあまり食べたばかりのカレーパンを吐きそうになった。僕が彼女に密かに想いを寄せていることを知っている友人からの冷やかしと激励が遠くに聞こえた。
 彼女の後ろについて廊下の隅に歩いた。制服のポケットからのぞくチョコに期待が膨らむ。
 人気の・・・

1

殺しの報酬

18/02/13 コメント:0件 風宮 雅俊

 今日の依頼は三十代男性の狙撃だ。写真を見る限り普通の会社員に見える。ヤクザの金に手を出せるほどの根性は感じられない。あの無防備な歩き方ではどこかの国のスパイと言う事もない。この男のどこに殺すだけの価値があるのかは分からない。ハッキリしているのは、この男を殺す依頼の前金は受取済みである事だ。俺にはそれ以上の理由は必要なかった。

 スコープを覗くと二百メートル先に男がいる。距離はそれほ・・・

2

小説少女と殺人少年

18/02/12 コメント:0件 クナリ

 コンクリート打ちっぱなしの、無愛想な正方形の平屋に、平岡クツリは住んでいた。
 僕と同じ十七歳だが、学校には通っていない。この平屋は離れで、すぐ側に母屋があり、クツリの父親が一人で住んでいる。
 僕が、ベッドと子供用の学習机しかないクツリの部屋を訪れると、いつも最初に僕からの報告が行われる。
「今日は、高校生にカツアゲされている小学生を助けた。代わりに僕が殴られたけど」
・・・

0

僕が欲しいもの

18/02/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕は他者にしてきたことは、必ず自分に返ってくると祖父に聞かされたことがある。
だから僕は他者に対して貢献をすれば、必ず恩恵が返ってくると思っていたから僕はしばらくの間は利己主義だった事実は否定できない。
だけどもその行動が習慣化されると、そういうことは無意識に行っていたし、自己犠牲以外の常識を知らないわけだから、結局人に当たり前のように尽くす。
おかげで、僕は騙されることも多かっ・・・

1

報酬はティーチのあとで

18/02/12 コメント:0件 浅月庵

 兄ちゃん、一人で飲み屋なんか来ちまって、彼女さんとかいないの? がはは、こんなオヤジに女の心配なんかされたくないよな。

 仕事は? バイトで食ってくのは厳しいもんがあるぞぉ。
 なに、夢があるだって? 小説家を目指してんのか。うんうん、だけどなかなか結果が出せなくて困ってる、と。

 ゴホン、仕方ねぇな。俺がいくつかアドバイスしてやるよ。え? ド素人に意見なんかさ・・・

4

振り向き症候群を救う会

18/02/12 コメント:2件 入江弥彦

 七年前のハイジャック事件が怖くて飛行機に乗れない。三年前の殺人事件が怖くて人と口論ができない。十三年前の脱線事故が怖くて電車に乗ることができない。僕がこの世に存在する前の爆弾魔が怖くてビルの高層階には登れない。僕が生まれた日に母を殺した医者が怖くて病院に行けない。
 過去に足を引っ張られ続けた僕は、今では立派な振り向き症候群だ。
「難しい顔してるよ」
「顔なんてそっちから見えな・・・

2

自ら動けば、きっと世界は

18/02/11 コメント:0件 麗蘭

夕日が辺りを照らす黄昏に、ハルトはあてもなく高架下を歩いていた。持っているカバンは教科書がパンパンに入っており、重みから時折肩からずれそうになる。冬の寒さが身にこたえるが、ハルトは家に帰る気にはなれなかった。
「だって、どうせ家に帰っても、父さんも母さんもいないんだ…」
ひとりぼっちの空間はハルトにとって苦痛だった。ハルトも中学生になり、両親の仕事の多忙さは理解している。しかし、だから・・・

1

我々の報酬、あなた方の報酬

18/02/11 コメント:1件 どようび

 野原に、無数の飛行物体が着陸しました。
 金で出来たものもあれば、銀でできたものもあり、地球では採取できない未知の物質から成るものもありました。
 空から降りてきては、その家一つ分の大きさの機体で地面を揺らし、立ち所に周辺の人々が集まり遠巻きに観察を始めました。
「あれはきっと侵略してきたに違いない」
「いいや、きっと貿易が目的だね」
「地球より遙かに優れた技術を持・・・

0

命の値段

18/02/11 コメント:0件 山盛りポテト

品のいい革張りのソファーに深く腰掛け、手に取った札束を舐めるように見つめ、一枚一枚指で弾いた。
「今回も稼がせてもらったな」
俺がこの仕事を始めてから何年経ったろうか、ムショ上がりで両親は幼少の頃に他界、天涯孤独。親しい友人もいないので自然と普通の人間じゃまずやらないようなことで稼ぐようになった。気がつけば肩までどっぷり使った深い欲の沼から抜け出せずにいた。
仕事は至って単純だ。・・・

0

156分の1

18/02/10 コメント:0件 64GB

 昭和26年7月、その日母と死に別れるとは知らずに、4才の私は新しいお出かけ用の赤い靴を履いた。自宅から渡し船とバスで札幌の五番館デパートまで片道二時間かけて行った。屋上にある遊園地につれて行ってもらうために何日もいい子でいた気がする。
「恵美子は美人だからエレベーターガールになれるかもよ」母はそんなことを言った。美人という言葉に私は嬉しくなって「上に参ります!3階はおもちゃ売り場です!」と・・・

1

地球最後の報酬

18/02/09 コメント:0件 紅茶愛好家

世界の終わりは突然やってくる。西暦二XXX年、預言者ノストラダマスの予言した地球最後の日、巨大隕石の襲来に人々が慌てふためく中でそれでも僕は――
――レジを打つ。

「いらっしゃいませー」
「らっしゃいませー」
気だるげな山彦挨拶をしていると店長が険しい顔でやって来た。
「笹倉君『らっしゃいませ』じゃないからね、『いらっしゃいませ』だから!」
「うぃーす」・・・

0

修学旅行

18/02/09 コメント:0件 暎架

 異装届を先生に提出するために、職員室へ行った。

「やあ、島田さん」
明るく受け取ってくれた担当の先生は、こころのオアシス。

 思えばあの日。

入学式の日は一日雪で、車の送迎は渋滞で遅れてしまった。焦って正門を走っていくと、横目に入る一人の先生。

手には大きなスコップ。白のYシャツにスーツのズボン、そして薄手の手袋。

わた・・・

1

物語は、定時に終わる。

18/02/08 コメント:0件 松田リリー



『おはようございます。』

ニュースキャスターの朝のご挨拶。
キャスターはいつも決まった時間に、おはようございますと言ってくれる。ありがとう。
朝食は、白米に納豆。
汁ものはなし。
身支度をして部屋を出て行く。

ドアを開けるといつもの景色。
忙しく歩いている人々を上から見下ろす。
ここは、駅が近い。
そして自分もそ・・・

0

天使のお仕事

18/02/08 コメント:0件 風宮 雅俊

「次の天使さん」
 地上での任務を終えると、私の所で清算をするのだ。天使の任務は人々が道を迷わない様に険しい道も乗り越えられる様に、ある時は優しくある時は厳しく導き手として。また、成長を促すシチュエーションを作る役者として、人々の間に紛れ込み任務を果たすのである。
 その任務は多岐に渡り、心の傷を癒すカウンセラー、戒めを与える悪党、慈悲を目覚めさせる病人などとなるのであった。しかし、天・・・

1

金・金・金

18/02/08 コメント:0件 斎藤緋七

勇人は「別れさせ屋」をやっていた。
もちろん、『金をもらって』だ。依頼者は圧倒的に男が多い。
新しい彼女が出来たから古い付き合いの女とはおさらばしたいと言うのが一番多い。
その日も友人の一人、智に依頼された。
「勇人。親友割引で頼む。」
「割引なんかしないぞ。有里は一途だから。料金も高くなる、
一番別れ際タチが悪いタイプだ。」
今月に入って2件目の依頼だ。・・・

0

霧の国

18/02/07 コメント:0件 トモコとマリコ

 玄関のドアを開けると、ちょうどトイレのドアが開いて、合い鍵を渡しているウェイトレスが出てくるところだった。
 気まずい沈黙が数秒続いた後、ウェイトレスは何も言わずに手を洗い、そして私を急かすように、銀のお盆を指先でトントンと叩いた。
 私はもうほとんど取れかけている胸の糸を抜き、半分しか残っていない心臓をウェイトレスに手渡した。ウェイトレスは心臓をお盆に載せ、手際よくフォークとナイフ・・・

0

さようなら、私が殺した私

18/02/07 コメント:0件 斎藤緋七

「妹は恨みを買うような子じゃなかった。」

早紀子と死んだ妹の有美子は双子の姉妹だ。

誰もまだ気が付いていない。姉妹がいれかわっている事、生んだ親も笑ってしまうくらい私たち姉妹はそっくりだったから。



私、早紀子は有美子を殺した。

妹を殺し、妹になりすまし妹の人生を生きようとしている。

世間では、私、早紀子が死んだ・・・

0

『お金』がない国

18/02/07 コメント:1件 葉月三十

 夢のような国だ。
 その国にはお金が存在しない。
 とある国、そこではもう百年もの間、お金というものが使われていなかった。
 人々はその国を理想郷と呼び、沢山の旅人がその国を訪れた。
 今日もまた一人、とある青年がその国に入国した。
「お若いの、観光ですか?」
「そうですね、旅をしています」
 旅人は世界各国を回っていた。現実社会に辟易したのだ。故の自分・・・

1

白魚の手

18/02/06 コメント:1件 広田杜

 私の飼い猫が私に贈り物を持ってくるようになったのは最近のことだ。
 食器にドライフードを足そうとしていたときのこと。猫専用ドアの開く音がし、彼が帰ってきた。名前をしらすという真っ白な彼は、口に雀の死体をくわえていた。私は小さく悲鳴を上げると、外に持っていくようにきつくしかった。しらすは反省するように頭を下げ、しぶしぶ外に雀を持って行った。
 翌日のこと。読書をしている私の足元にしらす・・・

2

ゲームオーバー!

18/02/06 コメント:4件 奇矢

はっ――と目を開けた。
僕はジャケット姿で、走るバスに乗っていた。
そんなに混んでなくて、立ってる客は皆無だった。
そして、空席も少しあった。
窓の外に目を向けると、美しい夜景が見えた。
いったい何処を走ってるのかも……僕には分からなかった。

まもなくバスは、街中へと入った。
だが、妙なことに、何処へ行こうと思って、このバスに乗ったのか……まったく・・・

0

米$の身体

18/02/06 コメント:1件 斎藤緋七

ジュースの中に入れた薬がまわって抵抗できない「女」の喉元がひくひく動いている。私は先端を当てているアイスピックをもつ手に力を込めた。「お願い、空ちゃん…お母さんが間違ってた。」「間違ってた?ナニを?言って見なさいよ。」 「体外受精で子供を産んでもらったお礼にブラウンさんに『あなたをお礼に上げたこと』ブラウンさんが『情がうつちゃったからどうしても一人欲しい』って言ったから。」 「あんたさあ。」 実の・・・

0

かけがえのない温もり

18/02/05 コメント:1件 いっき

今日はボーナス支給日。
パソコンの給与明細画面を見て心躍らせる。
僕も妻も誕生日は十二月だ。
綺麗な夜景の見えるレストランで、毎年豪華なディナーを楽しむんだ。

皆がボーナスにウキウキしていたその時。

「大変です。県内養鶏場で鳥インフルエンザ陽性が確認されました」

電話を受けた同僚が青ざめて言った。
僕達、県職員は皆、凍りつく。

0

目先のユル

18/02/05 コメント:1件 暎架

 灼熱の中を無我夢中で落ちていった。
「ぐっ……」
必死で耐えた。

 永遠に思えた時間が一瞬にして終わる。ゆっくり目をこする。ここは、どこだ。ああ、新しい勤務先か。何も聞こえないじゃないか。「SKY」、「WATER」、「PLANT」は予習済みだ。発音が難しかった。しかしここには、1つしか当てはまらないのか。
 
 さらさらとしたもののせいで、踏ん張って立ち上が・・・

0

悪の組織と正義のヒーロー

18/02/05 コメント:0件 戸松有葉

 超人になれる変身能力を持ち、地球の平和を守る、ヒーローたちがいた。今日も今日とて悪の組織と戦っている。
 レッドとイエローが下っ端構成員――正体は全身黒ずくめの普通の人間――を蹴散らしていると、ピンクが遅れて駆け付けた。
「ごめん、どうしても起きられなくて」
 レッドは普段ピンクに優しいが、さすがに怒る。
「そんな理由許されるか!」
「まあまあ、来てくれただけでも」・・・

0

いざ鎌倉

18/02/05 コメント:0件 戸松有葉

『いざ鎌倉』

 一大事が起きたことや、警察・消防が有事の際現場へ駆け付ける心構えのことを指すことわざだ。
 しかし考えてみればおかしい。鎌倉という地名を指定しているが、大事が起きるのは鎌倉とは限らない。確率的には低確率。特に「有事の際現場へ駆け付ける心構え」の意味なら、現場を放棄して鎌倉へ観光にでも向かってしまっている。
 鎌倉が何故大事を指すのか、そして何故鎌倉へ向かわ・・・

0

安価な殺し屋

18/02/05 コメント:2件 戸松有葉

 安価で引き受けることを謳う殺し屋がいた。他の殺し屋は安めの依頼料と高い成功報酬で引き受けるが、後者を求めないのである。
 ある依頼人は気になって尋ねてみた。
「何故成功報酬を貰わないのですか」
「俺は仕事だと思っていないからな、必要経費だけで充分だ」
「はあ」
 曖昧に相槌を打ちつつ、内心なるほどと合点が行く依頼人。要するにこの殺し屋は殺人狂なのだ。関わりたくない人・・・

1

応援

18/02/05 コメント:1件 井川林檎

 「この道は舗装されていて、まっすぐだ」

 眼鏡の女は、腕を組んで立っていた。
 みんな、疲れたら座り込んで休んだり、会話したりしている。
 わき目もふらずに歩いてゆく人もいる。

 濃紺のアスファルトは陽光に照らされ、てらてら光っている。
 広い道の両端は、ここからは見えない。だけど、道の両側は、果てしなく広い砂場が続いているのだ。
 乾いて、何・・・

ログイン