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第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】

今回のテーマは【ホラー】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/01/01

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/11/06〜2017/12/04
投稿数 39 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

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投稿済みの記事一覧

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爆破室

17/11/23 コメント:0件 要崎紫月

昨晩から降り続いた雨は夕方に止み、車がようやくすれ違うことの出来る林道に霧が出ていた。けども通い慣れた道、いつもと変わらないスピードでバイクを走らせる。
この道で一番急なカーブ。結露したカーブミラーは何も映せない。
その下にぼんやりと白い物が見えた。目を凝らすと誰か居る。ワンピースを着た女だ。その姿をはっきりと捉えた瞬間、全身に激痛が走り、視界が暗転した。

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少女組み立てキット

17/11/23 コメント:0件 黄鱗きいろ

 始まりは、部屋の前に放置された一つの段ボールだった。
 俺が住んでいるのは四畳半ワンルームの安アパートの二階だ。ある日、アルバイトを終えてくたくたになった俺は、いつも通り重い足取りで金属製の階段をカンカンと上っていった。
 なんて人生だ。楽しみも何もない。大学受験に落ち、浪人するも志望校には入れず、親に見放され、藁にも縋る気持ちで受けた正社員試験にも落ち、薄給でしたくもないアルバイト・・・

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プールの死神

17/11/22 コメント:0件 林一

 プールの監視員をしている彼は、常にプールの様子を観察し、少しでも危ない行動をしている子供がいると、すかさず注意をした。
 その甲斐あってか、彼が監視員をしている間は、一度も事故が起きたことはなかった。あの日までは……。

 彼がいつものようにプールの監視員をしていると、怪しい女の子を見かけた。
 彼女はプールサイドでじっと座っていて、プールの中には決して入ろうとはしなかっ・・・

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ストーカー

17/11/22 コメント:0件 林一

 絹のように滑らかな肌。キラキラと透き通った瞳。まっすぐ鼻筋の通った鼻。ぷっくりとセクシーな唇。男性が彼女を見れば、思わず見とれてしまうだろうし、女性が彼女を見れば、その美貌に憧れ、彼女のようになりたいと願うであろう。
 そんな美しい彼女は、普通に道を歩いているだけで男にこっそりと後をつけられることが度々あった。美人過ぎるが故、彼女に一目惚れした男達が次々とストーカーと化してしまうのだ。

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愛があればなんでも

17/11/22 コメント:0件 有屋春


ある日、妻の里見がちょっと話があるんだけどと言ってきた。こういう言い方をする時は大抵言いにくいことを話す時だ。さて、思い当たることは特にないんだが、、
あれこれどんな話があるか大して気にせず待っていたんだがその話は予想とは全然違った。
その話とは実は里見はどMで暴力的なセックスが好きだという話だった。アブノーマルだし嫌われるかもとずっと言えなかったそうだ。

私はか・・・

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ホラーな女

17/11/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 その話をもし山根ではなく他のだれかから聞いていたら、もちろん私ははなから信じなかったにちがいない。ふるくからの知り合いで、どんな理由があれ人を欺いたり、まちがったことを平気で伝えるような男でないことは、私が一番知っていた。その話をした場所がいつも二人でいく居酒屋で、すでに二人とも少し酔っていたことが若干、信憑性にかけるといえばかけるが、大の男が二人して素面でこんな話もできないだろう。 「その女性・・・

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ろくろの首

17/11/21 コメント:0件 土佐 千里

薄暗い部屋に顕微鏡がずらりと並んでいる。黒いカーテンの外から少し太陽の光が差し込んでいる。ペトリ皿に自分の髪の毛を置き、ろくろの上で器用に回転させながら培養していく。
明の作業部屋だ。
富松明、32歳、会社員。生物学部卒。社会人になった今も、仕事の傍ら、趣味の研究に励んでいる。
明の目標は、誰も作れなかったクローン人間を作ること。
「俺と同じクローンを作って、仕事も行っても・・・

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ホラービデオ

17/11/21 コメント:0件 瀧上ルーシー

 うちのお父さんはホラー映画が大好きだ。
 その日中学校から帰ってくると、私は手を洗ってうがいをして部屋着のスウェットに着替えてリビングに出た。テレビ台の中のDVDレコーダーの下の段には何本かホラー映画のDVDが入っていた。またお父さんがレンタルビデオ屋で借りてきたらしい。私は学校でクラブも帰宅部だし、勉強にもそんなにやる気を出さないので暇だった。友達くらいは一応はいるが、毎日は一緒に遊ばな・・・

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ありふれたホラ女の言い分

17/11/21 コメント:0件 秋 ひのこ

「お約束だけど、観た後思わず自分の腕くっついてるか確かめちゃったよー」
「やるよねー」
 「鑑賞会」の後、場所を移動したカフェでヒカリをはじめとする5人の女性が盛り上がっている。全員、20代後半。ネットを通じて知り合ったホラー愛好家、改め「ホラ女(じょ)」たち。
「あー、でも本当にこのメンバーと出会えてよかった」
 ヒカリが桃のカクテルを手にしみじみ言った。
「ホラ活・・・

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空間

17/11/21 コメント:0件 土井 留

 気が付くと何もない空間に立っていた。
 辺りは薄暗く、四方は漆黒に沈んでいる。
 地面が無く、足下には空間が広がっている。
 そして、巨大な、とてつもなく巨大な眼球がひとつ、下からこちらを見上げていた。
 私は悲鳴を上げて半歩後ろによろめいた。
 景色が見えないのに距離を感じるのは奇妙だが、その巨大な目は確かに遥か下方にあった。暗さのためか瞳孔は大きく広がり、瞳の大・・・

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笑般若島(わらいはんにゃじま) ──刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第28話

17/11/19 コメント:0件 鮎風 遊

 尖った白波のてっぺんを粉雪が驚きの速さでかすめていく。そんな冬の到来を充分知覚させてくれるある日、1立方メートルの木箱が浜に打ち上げられた。
 きっと荒波に揺さぶられた船から落下し、その後漂流してきた積み荷に違いない。途中岩に叩かれたのだろう、ぽっかりと穴が開いている。高波を求めて遊びに来たサーファーが中を覗くと、激切に白い生物、いや白面の人間がカッと瞳孔を開いていた。
 結果、百目・・・

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かがみ

17/11/17 コメント:0件 キシモト何某

鏡の中で自分が笑つてゐる。
何がそんなにヲカシイのだらう。
私にはさつぱり解らない。
ハ・ハ・ハ・ハ・ハ………………。・・・

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ババ抜き

17/11/16 コメント:0件 川淵 紀和

「みちるは、真央に似ている」と、薫が言った。
「え? どこが?」と、私は尋ねる。薫が友人らの顔を確認する。裕子も由香も、静かにうなずいている。
一方真央は、意志の強そうな眉をピクリとも動かさず、ノートにペンを走らせていた。
 中学生になって知り合った真央は、私と違っていつも堂々とした子だ。私も真央もイラストを描くことが趣味で、そんなところは似ている。
 真央は自分のイラスト・・・

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桜メール

17/11/16 コメント:0件 薬包紙

 この度は、お父さんがガンで亡くなったとのこと、メールで知り驚きました。
 モルヒネで痛みを抑えているあいだじゅううわ言を繰り返されたのですね。
 終戦直後生まれは決してはやい死でないとはいえ、遠く離れた四国から都心の病院まで駆けつけ、最期を見届けたSさん。
 ご心労のほどお察し申し上げます。

 私は思っていました。毎年届く年賀状に大きくプリントされたほんのり桜色の・・・

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盗賊の犬丸

17/11/15 コメント:0件 マサフト

「クソッ!やっちまった!焦って殺しちまった」
犬丸は焦っていた。彼は強盗を生業としている、いわゆる盗賊である。新月の夜半、反物屋に盗みに入ったものの偶然厠に行くため起きていた店の主人と出くわし、咄嗟に野太刀で切り掛かって殺してしまったのである。
「俺は盗みはしても殺しはしないのが信条だったと言うのに…。いや、見られた以上殺さなければならなかったのだ!俺は悪くない!あんな場にのこのこ・・・

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黒いコートの男

17/11/15 コメント:0件 マサフト

3日ほど前から妙なものを見るようになった。
その日は雨だった。よく行く喫茶店の窓際の席に座り、外の通りを眺めていたら、その妙なものが目に付いた。黒い傘を差し黒いトレンチコートを羽織り、黒いハットを深めに被った、恐らく男性。ズボンもブーツも手袋さえも全て黒尽くめの出で立ちである。物凄く目立つというのに、道行く人々の目には映っていないように見える。喫茶店の、同じく窓際にいる人達も同様に気付い・・・

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はらむ

17/11/14 コメント:0件 要崎紫月

 携帯電話が鳴る。時計を見ると、もうすぐ二一時。こんな時間に架けてくるのはアイツだろう、と一度無視する。どのみちもう一度鳴らしてくる。
 少しの無音。そして、再度の着信。
「もしもし」
「あ、ルミさん? 今、電話いい?」
 ハルカはそう確認して一気に喋り出した。少なくともこのまま一時間は喋り続ける。仕事の事、遊び仲間の事、付き合っている男の事。尽きない話題に私は適当に相槌・・・

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願いが叶う時

17/11/14 コメント:0件 土佐 千里

今年、我が家にも子供が産まれた。慣れない育児に毎日大変。まだ3ヶ月だっていうのに、夫は今日から一週間、海外出張…。
「私も旅に出たい…」
そう呟いた由美は赤ちゃんを連れて隣街に一泊二日でぶらりと旅をする支度をし始めた。
旅行鞄に必要なものは揃った。銀行からこの旅のために少し贅沢に30万円おろしてハンドバッグへ。
あとはお化粧だけ。
三面鏡をひらき、化粧をするとため息を・・・

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オカルトハウス

17/11/14 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 夕方の五時ともなれば、この辺りには寒々とした黄昏がたれこめて、人通りもほとんどない。昼間でもこの界隈は、木々の繁みが分厚く層をなして重なり合い、いくら空が晴れ渡っていてさえ地上は黒ずんだ灰色の影がみちているようなところだった。    静寂のなかにきこえるものといえば、私がこぐ自転車の単調な回転音か、自分自身のせわしげな息遣いぐらいのものだった。  自転車の荷台には、ほとんど配りおえた新聞の、・・・

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無人(むびと)

17/11/13 コメント:2件 浅月庵

 無人は、人の姿をして人に非ず。
 無人は、死の概念を持たず。
 無人は、人の悲鳴を好む。

 ーーこれはまだ日本に、妖の類が蔓延っていた時代のお話。
 孤児である平吉は、同じ境遇の子らと名主の家で“飼われて”おり、今日も朝方から川に水を汲みに出かけていた。

「悲しい話だが。槍助のやつ、妖に喰われて死んだらしいぞ」
 道中を共にする五郎が、平吉に向・・・

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演技力

17/11/13 コメント:0件 セレビシエ

彼の蹴りは強い。僕が彼について記憶していることの全てはそれだったが、記憶よりも強かった。そういえば今日は月曜日だから体力が有り余っているのかもしれない。彼はすぐに飽きてしまう。それもだいたいいつも同じくらいの時間だ。終わると僕はお腹が空くのでコンビニで肉まんを買うことにしていた。額から流れる血に視線が注がれて愉快な様な滑稽で馬鹿馬鹿しい様な気持ちになる。声をかけてくる物好きはいなかった。ガラス越し・・・

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金魚

17/11/12 コメント:0件 和倉幸配

 仕事休みの日、切らしたごみ袋を買いに行ったホームセンターの片隅に、金魚を販売するコーナーがあった。
 私は特に金魚が好きな訳ではないが、冬空のような鈍色の日常にささやかな彩りを添えてみたくなり、真っ赤な金魚を一匹買って帰った。

 家に帰ると、妻はソファで横になっていた。眠っているわけではない。目を開けてはいるのだが、私が部屋に入っても、何の反応も示さない。それがいつもの光景に・・・

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AM6:00

17/11/12 コメント:0件 ポテトチップス

小泉が、洞窟に入ろうと言った。
その洞窟は、島では恐れられている洞窟だ。

小泉は臆することなく洞窟に入って行く。
俺はビビリながら後をついて行った。

洞窟の入り口から50メートル程進むと、行き止まりになった。
そこには、お地蔵さんが1体設置されている。

小泉は、お地蔵さんに小便をかけた。
俺は、ビクビク怯えた。

その数・・・

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【閲覧注意】読んではいけない物語

17/11/11 コメント:0件 t-99

 題名にひかれ誤って目を止めたあなた、悪いことは言いません。
 今すぐ読むのをやめて別の著者の素晴らしい物語に目を通すことをおすすめします。
 
 読めば必ず後悔します。
 
 特にお年寄り、小学生以下のお子様、ジンクスや心霊、霊魂の存在を信じている人もおやめください。

 どうしてかって? 
 
 私の書いた作品を読むと必ず『呪い』にかかって・・・

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粗品

17/11/11 コメント:2件 蹴沢缶九郎

遊園地の入場ゲートで、何やら男が係員と揉めている。

「だから何でこのチケット使えないんだよ!!」

「ですから、入場規制中はそちらのチケットでは入場出来ないのでありまして…」

こんなやり取りをもう三時間程繰り返している。係員もほとほと困り果てていた。やがて男は、

「もういいよ!! 二度とこんなとこ来ねぇ!!」

と、悪態をつき帰って・・・

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悪夢

17/11/09 コメント:0件 山盛りポテト

私は恋をしていた。
夢の中に出てくる女性にだ。
その姿はぼやけていてはっきりしないのだが、彼女のもつ雰囲気にとても魅かれた。
彼女は何も喋らない。そして私も同じく何も喋らない。
夢特有のとても抽象的なもので、真っ白な何もない部屋に私と彼女がいて、そこでお互い何もせずにジっとしているだけのものだ。
それがとても落ち着き、そして心が癒されたのだ。
しかし、いつも夢に・・・

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侵食アイデンティティー

17/11/08 コメント:0件 浅月庵

 彼氏のユーイチが浮気して、お相手が同じサークルのユリカだとわかった時に、やっぱりと思う。

「見てー! アミちゃんとおそろのネイルにしたんだぁ」
 すべてはユリカが私のネイルを見て可愛いと言ってくれたので、行きつけのサロンを教えてあげたことがきっかけだった。
 それからユリカはことあるごとに私をマネてくるようになった。お気に入りのコートやバッグ、ピアスだったり、携帯カバー・・・

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すきをさがして

17/11/07 コメント:1件 六連 みどり

 恋人との何回目かのデートの帰り。
 青紫色と紺色が混じり合う、そんな空の色を眺める彼女の横顔をみつめた。
 スッとした鼻筋に、長いまつ毛。ピンク色の唇は弧を描いている。10人中10人が彼女のことを美女だと言うくらいに七弥の恋人は美しかった。

「どうしたの?」

 彼女と視線が交じり合う。
 その瞬間、七弥の心臓は大きな音と早い速度で鼓動をうち始めるのだ・・・

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扉の向こうは

17/11/07 コメント:0件 蒼樹里緒

 学校帰りに寄った、夕暮れの森。私の前にある大きな樹の根元に、小さな扉があった。私が幼稚園児だったら、立ったままでも楽に通れたかもしれない、木彫りの扉。四つん這いでくぐろうとしても、高校生になった今では頭も入りそうにない。取っ手もおもちゃみたいで、少しでも力を込めたら取れてしまいそうだ。
 扉がいつからこの森にあるのか、知っている人はほとんどいないだろう。私が物心ついてから来たときには、この・・・

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Be My Baby

17/11/07 コメント:0件 向本果乃子

 部屋に入ると冷たい風が頬を撫でた。その気配はずっと私にまとわりついていた。不思議と嫌な感じはせず、むしろ好ましかったので私はその部屋を借りた。古くて狭いアパートだ。夫とは別れることになるだろう。結婚十二年のうち八年を不妊治療に費やした。キャリアを積んでいた私は一生仕事を続けるつもりだったが、三年前治療に専念するため退社した。仕事を辞めた私は赤ちゃんのことばかり考えるようになり、夫との間に少しずつ・・・

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死亡フラグにご用心

17/11/06 コメント:0件 ちりぬるを

 いつも客なんてそんなにいないのに、と心の中で悪態をついた。仕事帰りに彼氏が観たいと言い出したDVDを借りに来たのだが、さすが話題作だけあって見事に全部貸し出し中の札がつけられていた。映画が公開中に私がいくら誘っても観に行かなかったくせにどうして今更心変わりをしたのだろうかと彼氏にさえ腹が立ち始めた。
 腹いせに全然違うのを借りていってやろうといたずら心が芽生え、私はホラー映画の棚の前に立つ・・・

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17/11/06 コメント:1件 井川林檎

 わたしは美しい。
 神話の女神のような顔立ち。
 艶やかな瞳。

 誰もがわたしを渇望する。
 桜色の唇を奪い、髪の毛を愛撫したいと願う。
 
 だが次の瞬間、人は絶望する。
 心を燃え上がらせた直後、はっと眼を逸らす。そして、一生、後悔する。

 わたしを、見てしまったことを。




 髪の一房は白いリ・・・

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石つみ

17/11/06 コメント:0件 井川林檎

 ひとつ、ふたつ、まだ世界は無限の光に満ちて。
 みっつ、よっつ、オレンジ色のぬくもり、ひなたの匂い。
 いつつ、むっつ、理不尽の意味を知りながらも無償の愛にくるまれていた。

 ここは、どこだろう。
 ひざの破れたジーンズと赤と黒のネルシャツを着て、わたしは尻をついている。
 さらさらと川は流れていて、あたりは石ころだらけだ。
 空を見上げると、薄寒い曇・・・

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社畜

17/11/06 コメント:0件 風宮 雅俊

「本日の試食会では、前回賜った『歯ごたえのあるワイルドな食感がありながら口の中で蕩ける様に広がる肉汁のバランス』を改善した試作品番号171129−G4J3D1C2のハンバーガーです」
 社長、副社長、取締役、取締役、取締役、営業部長、学生メインの客層なのに四十も違う連中が評価した結果が、一人負けの業績だろうに。それに、いつから営業が上から目線で評価できる身分になったんだ。売れなければ開発の所・・・

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キリ番

17/11/06 コメント:0件 風宮 雅俊

「やだぁ、今時キリ番なんていけてない」
 ちょっと大きい声に周りの食事の手が一瞬止まった。どこのグループも自分たちの話をしながらも周りの話題に聞き耳を立てていた。話がつまらなそうだと分かると、自分たちの話に戻っていた。
「そうかな? でも四桁の大台を目の前にして伸び悩んでいるのよ」
「フォロワーさん、何人いるの?」
 私のスマホを開いて見せた。
「960人・・・、確か・・・

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コメディとホラーは

17/11/06 コメント:0件 戸松有葉

 彼は唸るのを止めると、自室の本棚に寄り、並べられた本の背表紙を指でなぞった。
 以前はここに、ホラー小説が多く並んでいたのだが、それらは他所に収納され、今ではミステリやライトノベルが大半を占めていた。とはいっても、これは元に戻っただけであり、彼は元々ホラーを好んではいない。
 必要に迫られて――必要だと思って、ホラーを読み漁っていた時期があったのだ。
 彼は読書家に違いないが、・・・

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奇妙な戦闘力

17/11/06 コメント:0件 戸松有葉

 貧民街に、ただならぬ戦闘力を有する子供がいた。
 この時代、戦闘力測定器が民間人レベルにも普及しており、余計なトラブルを事前に回避できていた。敵わないとわかっていれば喧嘩など最初からしない、異様に高いなら違法な武器を持っているだろうから通報する、などだ。
 しかしその貧民街の子供は、武器を持っているわけでもないのに、プロの格闘家と同等の戦闘力を有していた。噂は、測定器を持たない貧民街・・・

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恐怖心を与える能力ッ!

17/11/06 コメント:0件 戸松有葉

 日常が壊れたあの日から、少年は高校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。
 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。
 ……のだが、その刺客、
「お前何歳だ」少年は思わず尋ねた。
「な、何歳でもいいですっ!」
 園児か小学低学年にしか見えない、幼女がそこには居た。しかも、子供という点を抜きにしても、可愛い容姿をしている。子供という点を加味すれば、より可愛ら・・・

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鶏病 にわとりびょう)

17/11/06 コメント:2件 クナリ

 ようこそ。
 こんな田舎まで、私のような年寄りの話を聞きに来るとは、物好きですな。
 ええ、鶏病のことですね。

 あれを私が目にしたのは、まだ十二歳の頃です。
 ここは山の中の村ですが、それでもずいぶん見目のいい、タキさんという、当時十五六だったかな、そんな娘が近所におりました。他の女は赤ん坊が老婆ばっかりですわ。
 ある日のことです。
 戦後すぐで物・・・

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