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  2. 第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】

第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】

今回のテーマは【迷い】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/12/18

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/10/23〜2017/11/20
投稿数 77 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

投稿済みの記事一覧

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迷い

17/11/21 コメント:0件 nekoneko

真夏の昼時、浴びせる様に降り注ぐ暴力的な太陽の光は容赦することなく地上のありとあらゆる物に降り注がれていた。そして、その光は、ただ降り注ぐのみではなく熱さをも伴っていた、熱を帯びた光りは周囲にぶつかると、又羽乖離、時には、その光と光りがぶつかり合う事で未知なるエネルギーを生みだし、それが暑さを過剰に醸し出しているのではないかと思えてきた。熱い。私の口元から思わず言葉が漏れた。歩く先から僅かだが湯気・・・

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大統領の食事

17/11/20 コメント:0件 小林健三

 大統領が常日頃から周囲に言っていることがある。
「忙しいときほど、食事と睡眠をおろそかにしてはならない」
 大統領の家に代々伝わる家訓である。体調管理の秘訣でもあり、空腹や睡眠不足だと作業効率が悪くなるという戒めでもある。大統領はその家訓を大事に守ってきた。実際、大統領が使っている寝具は、一流の職人によるオーダーメイドである。そして大統領は睡眠以上に、食事にこだわりを持っている。大統・・・

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ラブゲームではいられなくて

17/11/20 コメント:1件 冬垣ひなた

 やっぱり、あなたが好きだった。
 高校時代の思い出を飾るスクラップブックのページ。内緒で撮ったあなたの写真は、跳ねっ返りな少女だった私の大事なお守りで、いつか羽化するように大人になれると信じていた。あなたとの『love』を愛だと錯覚して。
 知っているよ、テニスでの『love』は『0』のこと。
 無得点で終わった駄目なラブゲームじゃ、あなたの思い出にもなれないですか?
 ・・・

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時に一個のパンの先

17/11/20 コメント:2件 むねすけ

 初めて自分の半身と出会ったのは幼稚園の頃だった。
「じゃあね。僕はピアノを頑張ってみるから」
 透けて向こうが見える半分の僕はそう言い残すとピアノに吸い込まれるように消えた。僕はその日母に泣きついて、ピアノレッスンから逃げた。先生が厳しくて怖かったから、好きだったはずのピアノの音に背を向けて僕は教室を出た。
 二人目と出会ったのは小学生の頃。地域の少年野球チームでライトフライを・・・

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婚活男子

17/11/20 コメント:0件 南野モリコ

もう迷わない。僕が生涯の愛を誓う女性は、サチコ、君しかいない。活男は、大きく深呼吸してから言った。「結婚してくれますか?」
サチコも大きく頷き、小さく言った。「はい、よろしくお願いします」

この結婚相談所は、「3」がルールだった。登録された会員のプロフィールを見て自分に合う相手を見つけるのだが、会う相手は3人まで。もし相手を気に入ったら会えるのは3回まで。3人と会って結婚相手が・・・

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スクールカースト

17/11/20 コメント:0件 入江弥彦

 ここで飛び出して行けば、標的は間違いなく僕に変わるだろう。
 かといって、この光景を無視してどこかに逃げてしまえば、罪悪感で眠れなくなる。
 怖い。怖すぎる。できるわけがない。
 スクールカーストという言葉はもしかすると、僕ら下位の人間が自分の立ち位置に納得するために作ったものなのかもしれない。



 僕の朝は、清掃から始まる。
 靴の中のゴミを・・・

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エリサの決断

17/11/20 コメント:1件 そらの珊瑚

 エリサは自分の人生を振り返る。

 二十歳の時に歌手としてCDデビューし、イスラムの新星歌姫と世界の音楽シーンから注目を集めた。
 翌年に外国人と恋に落ち、国も宗教も捨て、渡仏し、今の夫でもあるポールと結婚した。迷いはなかった。それから五十歳を迎えるこの年まで、自分の心の声のままに生きてきた。

 夫がいる身でありながら恋人が出来た。そのことをマスコミや彼女・・・

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姉妹

17/11/20 コメント:0件 宮下 倖

 わたしの姉は迷いのない人でした。
 子どものころからずっとそうで、決断力に富み、何事もてきぱきとこなす姿は爽快でした。
 それに比べ妹のわたしは迷ってばかりで、ひとつ決めるにもひどく時間がかかるのです。双子なのにこうも違うのかと両親でさえ苦笑するほど正反対の姉妹でした。
 たとえば家族でスーパーに買い物に出かけ、母から「なにかひとつだけ買ってあげるから持ってらっしゃい」と言われ・・・

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迷いウサギ

17/11/20 コメント:0件 みや

小学校の始業時間の一時間ほど前に登校するのが、四月から新卒の教員としてこの小学校に赴任し、二年生のクラスの担任を任されている私の日課となっていた。登校したらすぐに校庭の隅っこにあるウサギ小屋に向かい、ウサギに餌を与える。朝早くに子供達を登校させて餌やりをさせる事は保護者からの反発があるので担任の私の役目になっていた。
今日も私は朝一番にウサギ小屋に出向き、ウサギ小屋の鍵を開けようとしたら、鍵・・・

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悩める乙女

17/11/20 コメント:2件 泡沫恋歌

 悩める乙女の相談にのってください!
 とっても迷ってるんです。実は同時に二人の男子から告白されちゃったの。まるで嘘みたい……自分で認めるのも悔しいけど、アタシってば、美人じゃないし、まあ十人並み? 成績だって中くらいだし、スポーツはやや苦手、ごくごくフツーの高校二年の女子なんです。
 それが急にモテ期到来? ありえない!

 告ってきた男子、一人は野球部のエース遊佐くん、・・・

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情熱と光のなかにいた

17/11/20 コメント:0件 野々小花

 子供の頃から、ドラマや映画を見るのが好きだった。テレビやスクリーンに映っている俳優と呼ばれるひと達に憧れた。自分ならもっと上手く演じることができる。もっと違った役への解釈やアプローチができる。そんな風に、生意気なことを思ってもいた。
 東京にある小さな劇団に入ったのは十九歳のとき。初めて舞台に立ったのはそれからしばらく経ってからだ。白粉や口紅ではなく、泥だらけのメイクを施した。自由を守るた・・・

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白猫手芸店

17/11/20 コメント:1件 そらの珊瑚

 入り口のドアを引くと、ドアの上部に吊るしたベルが、ちりりん、と鳴った。木の取っ手も、軽やかなベルの音もあの頃のままみたい。小さな店内は人で混んでいた。『全品半額セール』という表の貼り紙の効果だろう。この店がこんなに賑わっているを初めて見た気がする。
 色とりどりの布。透明のひきだしに入れられた様々な糸やボタン、そして棚一面に並べられた毛糸。この店はあの頃とちっとも変っていない。まるでタイム・・・

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迷わない妹は迷子

17/11/20 コメント:0件 小高まあな

 私の双子の妹は、迷いというものがない子だった。
 
 私は迷ってばかりで、優柔不断で、家族で出かけたレストランでも何を食べるか決めることができずに、いつまでもうだうだと悩み、終いには父に「はやくしろ!」と叱られていた。
 それに対して妹は、いつもぱっと見て決めていた。決して適当なわけではない。彼女なりの決め手や基があって、その上であっという間に決めていたのだ。
 
・・・

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【迷い】の果てに

17/11/20 コメント:1件 光石七

 真実を伝えることこそジャーナリストの使命。その信念のもと、岸田はいくつもの記事を書いてきた。だが……
(この『真実』だけは公表しないほうが世のためだろうか? 知らしめたところで多くの犠牲と不幸を生むだけだ。真実は時に残酷だとわかっているが、さすがにこれは……)
 岸田は悩んだ。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 五行打ち込んだところで止まっている書きかけの・・・

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再出発

17/11/20 コメント:0件 ツチフル

「スズランの根を乾燥させたものだそうだ」
 言って、道人は薄茶色の粉末が入った薬包紙をテーブルに置いた。
「こいつに含まれてる何とかって毒を飲むと、二三時間後に心不全を起こして死んじまうらしい」
 帰ってくるなり語り出した恋人を、玲奈は無言で見つめる。
 理解できたことは二つ。薬包紙に入っている粉末の素材と、その効用。
 理解できないことも二つ。どこで、それから何のた・・・

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歴史の果てに

17/11/19 コメント:0件 佐川恭一

 2030年にはすでに、将棋という知的ゲームにおいて人類がコンピュータに勝利する可能性が全く失われていた。猛スピードで発達するディープラーニング・システムの過程を研究していた数学者のアルフレッド・シスラーは、以下のような仮説を立てた。

 人生はつねに無数の二択を選び続けることによって決定される。そのすべての選択には最適解が存在し、選択をひとつも誤ることなく人生を進めていけば、少なくと・・・

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Walteinsamkeitの夢を見る

17/11/19 コメント:1件 橘瞬華

 瞼を開けて一面の雪景色を目にすると、またこの夢か、と独り言ちる。
 雪に覆われた黒い森を一人歩いている。いつかおとぎ話の挿絵で見たであろう、針葉樹の森。森へ足を踏み入れるにしては薄く心許ない白いワンピース。夢の中の私は幼い頃の姿を形取りとても矮小で、天までうず高く聳え立つ木々を時折仰ぎ見ながら、目的地も知らぬままただひたすら歩いてゆく。足取りは迷いなどないよう進んでいくのに、いつまで経って・・・

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山中の鬼

17/11/19 コメント:1件 待井小雨

 黄昏時の山中で鬼に会った。口減らしで捨てられて三日が過ぎた頃だった。
「お前、捨てられたのか」
 巨躯を揺らして愉快そうに鬼は言った。最後に持たされた食料も尽きていて、私は木の根に背中を預けたまま力無く頷いた。
「へへへ、酷いもんだな。食いもんがないと人間は子供を捨てる」
 裂けたように大きな口で酷ぇよなあ、と笑う。
「なあお前、憎いだろう。村の奴らが恨めしいだろう・・・

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告白

17/11/19 コメント:0件 木原式部

 もうすぐ僕の誕生日だ。誕生日が来ると僕は二十歳になる。
 僕は誕生日が来る前に同級生の絵美に告白しようと決めていたが、今頃になって迷っていた。

 
 どうして今頃になって迷ってしまったのかと言うと、絵美と僕の友達の川崎が一緒にいるところを見てしまったからだった。
 先週、僕は学校から少し離れた店まで買い物に出かけていた。
 買い物を済ませた僕はさて帰ろうと店・・・

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ひとやすみ

17/11/18 コメント:0件 つつい つつ

 山間の集落に突如現れたオオタさんはハルちゃんの家で預かることになった。ハルちゃんの家にはおじいちゃんとおばあちゃんしかいなかったから、若い働き手として三十代のオオタさんは大いに期待された。
 オオタさんはこの集落に来る前のことはぼんやりとしか覚えていないらしく、集落の川沿いの道をただうろうろしているところを発見された。
 オオタさんは自分は営業マンで、車でいろいろなところを廻っては商・・・

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NGC292

17/11/18 コメント:0件 土井 留

 超光速通信のアプリケーションが作動しない。
 発電機能が損傷したために、せいぜいワープ2回分のエネルギーしか残っていない。
 何よりも、ナビゲーションシステムが破壊されて現在位置が把握できない。
 亜空間に移動した際に時空振に見舞われ、宇野旅人のCX505は超光速宇宙船としての機能を半ば喪失した。幸運にも亜空間に飲まれることは回避したが、目的地とは全く別の座標にはじき出され、機・・・

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照れ隠しはコイントスで

17/11/18 コメント:0件 本宮晃樹

 先輩のことを好きにさせたのがコイントスなら、嫌いにさせたのもやっぱりそれだった。
 屈辱の日、わたしは一生分の勇気を前借りして多大な負債をこさえた末、よりにもよって世界でも一、二を争うヘタレに告白してしまったのだ。
 先輩はばつが悪そうに頭を掻いてから、おもむろに懐をまさぐった。出てきたのは呪わしい彼愛用のコインである。
「表ならイエス、裏ならノー。いつも通りでいくぞ」景気よく・・・

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選ぶのは?

17/11/18 コメント:0件 スイカ

 男は敬虔な信者だった。孤児として教会に拾われ、働ける年齢になると当たり前のように教会の仕事に携わっていた。
 なんの疑問を持つこともなく、そうなるのが当たり前のことだとばかりに、彼は教会で生き日々を過ごしていた。別段、その生活に不満や疑問を持ったことはなかった。少なくともつい最近までは。
「幸せそう、だったな」
 自室で書類に目を落としながら、彼は思わずそんな言葉を吐き出してい・・・

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隣人はきっと

17/11/17 コメント:0件 どようび

 どれだけ豪華な包み紙で欺こうが、引っ越し先がこの寂れたアパートである時点で、出自を顔に書いているようなものだった。
 四枚千円のタオルを引っ提げ、埃の目立つ廊下を行き来する。
 二日前に引っ越してきた僕は、隣の部屋への挨拶のため、荷解きを一時中断して廊下へ出た。本当のところは、無限に増殖しているような錯覚に悩まされる段ボール群に飽き飽きしだした気晴らしでもあった。
 この二日間・・・

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校長の仕事術

17/11/17 コメント:0件 水谷暁

「つぎは教職員による『借り人競争』です」
 中学校のグラウンドに運動会のプログラムの放送が響いた。学級担任の教師たちが、スタート地点にトレーニングウェア姿でスタンバイしていた。
「位置について、用意……」
 バンッ! とPTA会長がピストルを鳴らし、いっせいに教師たちが駆け出す。コース上に置かれた封筒の中に、観客の中から借りてくるべき人の条件≠ェ記された紙片が入っている。借り・・・

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進路希望票を前にして

17/11/17 コメント:0件 小峰綾子

進路希望票を前にして私はまだ迷っている。

来週には提出しなければいけない。多分これが最後の希望票で、後はもう具体的に大学に願書を取り寄せたり申し込みをする段階に進むだけだ。最後に決めるのは、私。
母は応援してくれるかもしれない、または「やっぱり私を置いておくのね。」と罵るかもしれないし「お金がないのに、どうするの?!」と言って泣くかもしれない。結局その時の母の気分次第、調子次第・・・

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BEKI

17/11/16 コメント:1件 霜月秋介

 目の前に三軒、店が並んでいる。右側がいつも行き慣れたラーメン屋であり、中央が本日限定全品半額の全国チェーンの牛丼屋。そして左側が今まで一度も入ったことの無い洋食レストランだ。俺はこの三店を前にひとり、どの店に入ろうか迷っていた。
 右側のラーメン屋は美味しい。だからこそいつも行っていた。しかし全メニュー制覇したし、だんだんと飽きつつあった。俺は毎度SNSに今日食べたランチの画像をSNSに載・・・

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Sを殺しに

17/11/16 コメント:0件 秋 ひのこ

 そのまちは、東京よりも空気がしんと冷えていた。桜がまだ咲いていないことにまず気がつく。
 駅前のホテルで一週間分を前払いし、19時5分になる前に駅の向かいの定食屋に移動する。
「きた」
 八重子が小さな声で囁くと、24になる娘の七美が肩越しにさっと入口をふり返る。
 ひとりの青年が慣れた様子で暖簾をくぐり、奥の席についた。調査報告にあった通りだ。19時5分着の電車を降り、・・・

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「あなたの後悔は何ですか」

17/11/15 コメント:0件 瀧 千咲

「ずっと、悩んでいたの。あなたたちには迷惑をかけると思うけれど、私はもうここにはいられない。あなたの妻でも、この子の母でもなく、私は私として生きていきたいの」
そういって、私の母は家を出て行ったらしい。らしい、というのも当時五歳の私は、ある日突然母がいなくなった悲しみしか覚えていないのだ。
「お母さんは病気で、病院にいるんだよ。なっちゃんに病気がうつるといけないから、しばらくお母さんは・・・

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女子光合成

17/11/14 コメント:4件 入江弥彦

 ごうんごうんと大げさな音がして、天井が左右に割れていく。集まった少女たちは、少しでもいい場所を確保しようと体を動かしていた。足を踏まれたり、服を引っ張られたりなんてことは日常茶飯事だ。それでも大きな問題が起きないのは、私たちの管理を担当する大人がみんな若い男の人だからかもしれない。
 もちろん私もその輪の中の一人なのだけれど、積極的に中心へ行こうとはしなかった。徐々に開いていく天井の隙間か・・・

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迷い道は、狐の道。

17/11/14 コメント:0件  浅縹ろゐか

 「オヤァ、もしかしてお嬢さん道に迷ってる?」
 夕暮れの駅前。慌しく通り過ぎる人達は、家路を急いでいる。そんななか、駅前の寂れたロータリーで私は一人荷物を抱えて噴水の淵に腰掛けていた。ぼうっと人波を眺めていた私は、道に迷っているようには見えないと思うのだが……。声を掛けてきた男は、胡散臭く笑って隣へと座った。新手のナンパだろうか。面倒臭い。男の言葉を無視して、再び視線を人波へと戻す。冬の夕・・・

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聖母の微笑みで殺して

17/11/14 コメント:0件 第六感

ラブホテルで抱き合った後、湊はいつも泣いている。声を殺して、身を丸めて。迷子みたいに、あるいは、今まで私と触れ合っていた細胞をその身から引き剥がす、痛みに悶えるみたいに。正直、そんな湊は見ていられない。好きな人が苦しんでいるのは見たくない。湊は可哀想だ。生きるのに真面目で頭がいいから、ほとんど運命的に苦しまなければならなくなる。――代わってあげられたらいいのに、とは、いつも思う。温かさとは無縁・・・

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11月のクリスマスツリーとホットココア

17/11/12 コメント:0件 緑がかった濃い水色

そのパン屋で私は、フォカッチャとココアを頼んだ。席を選ぶことすら受け入れないほどの倦怠感を纏った私は、重力の赴くままに入口側のカウンター席に座り、ガラス越しに見えるエスカレーターをぼんやりと眺めていた。
大学受験を控えた11月のある日。どうにも集中できず、予定より早く映像授業を切り上げたものの、赤本がどんと待ち構える自分の部屋にはどうしても帰る気が起きない。そこで私は、夜11時まで営業し・・・

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有能性エンジン

17/11/11 コメント:0件 浅月庵

 ◇ 
 人生には幾つもの分岐点があって、それらすべてに正解することは、幾層にもパテの重なったハンバーガーを崩さず食べるくらい難しいことだ。

 それなら俺は、俺の遺伝子に搭載されているエンジンに従って生きると決めていた。簡単に言えば“本能”ってやつだな。二つ三つ岐路があったのなら、一番魂が震えた方にアクセルを踏む。そのまま進んでどうにも取り戻せないミスを犯したことは、ラッキーな・・・

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Twilight

17/11/11 コメント:0件 糸白澪子

 子供の頃、一度だけ迷子になったことがある。人混みの激しい商店街の中、母さんと父さんを見失ったあの感覚が、どうしてか最近、鮮明に蘇る。

 しゃらっ。勢いよくカーテンを開ける音がした。降り注ぐ光が閉じたまぶたの内側まで入り込む。
「起きなよ。もう昼だよ」
「うん」
「ねえ、起きて」
「うん……」
「起きてってばぁ」
「……うん」
身をよじって布・・・

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おばあちゃんの洋服選び

17/11/11 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 十一月になりました。
 今日は、青空がひろがって、いい気もちです。
 おばあちゃんが言います。
「はるくん、近くのお店まで歩いて行ってみよう!」
「うん、いくいく。」
 はるくんは、さっそく、くつをはこうとしています。
「はるくんに、おばあちゃんの服を選んでもらいたいの。」
「いいよ。」
 もうすぐ四才になるはるくんは、はりきっています。
<・・・

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レイラ

17/11/11 コメント:0件 田中あらら

 全ての線は美の線である。一線も描けないのは、ためらったり迷ったりしているからだ。

 誰が言った言葉か忘れた。大きな紙に言葉を書きなぐり壁に貼り、創作の支えにしてきた。今はその言葉さえ虚しい。自分は何を描きたいのか、どういう手法で何を表現したいのかわからない。
 涼子の実力で、油絵で食べていくのは難しい。注目された時期もあったが、人々の心に長く残らなかった。力作と自負した作品が・・・

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悪魔のささやき〜黒猫〜

17/11/11 コメント:0件 t-99

中学二年の夏、黒い猫を埋めた。
車にひかれて、路上で倒れていた、
黒猫はにゃー、と最後に悲しく鳴いた。

その夜、枕元に悪魔が現れた。
ひとつだけ、願いを叶えるにゃー、
どんな願いも叶えるにゃー、と鳴いた。

あの都市伝説は嘘ではなかった。
埋葬した猫が悪魔となって蘇える、
僕はどんな願い言うか迷ってしまった。

世界平和、飢・・・

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天使のつぶやき〜白猫〜

17/11/11 コメント:0件 t-99

中学二年の夏、白い猫を助けた。
車にひかれてしまいそうなところを、
白猫はにゃー、と鳴いて逃げていった。

その夜、枕元に天使が現れた。
ひとつだけ、願いを叶えるにゃー、
どんな願いも叶えるにゃー、と鳴いた。

あの都市伝説は嘘ではなかった。
助けた猫が天使となり願いを叶える、
僕はどんな願い言うか迷ってしまった。

億万長者・・・

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時間つぶし

17/11/10 コメント:0件 善行

本当にほしいものって中々決められないものです。
それが更にメーカーが違うだけで、性能も変わらないというものに出会った時には、全くもって決められないものです。

もうそういうことが最近は多々あって、もう加齢による迷いなのではないでしょうか?
もう世の中の製作者による嫌がらせとしか考えられません。


今日は友達と渋谷で待ち合わせ。
待ち合わせ時間より早・・・

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迷いたいのに君は

17/11/10 コメント:0件 笹岡 拓也

あぁ、迷いたい。必死に迷ったフリをしてるのに、どうして君は正しい道を見つけてしまうのだろうか?
「こっちの道の方が近いかもしれないよ」
「そうね、そっちで行きましょうか」
僕の迷いたい願望をまんまと受け入れてくれた君。僕はとっても嬉しかった。君と一緒にいられる時間が少しでも多くなるから。
しかし君はすぐに僕が提案した道から外れようとする。
「こちらの道の方が早く着きそ・・・

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迷い子

17/11/07 コメント:0件 文香

 私には五つ上の兄と二つ上の姉がいる。
 兄のことは好きでも嫌いでもないが、私は姉のことが大嫌いだ。
 この家の娘として等しく生を受けたというのに、両親も兄も使用人も姉ばかりを大事にして、私のことなんてまるで眼中にないのだ。
 末の妹はどの家でも可愛がられる筈だというのに、そんな素振りはまるでない。
 その事実が家の中で姉の次に、いやでいやで仕方がない。

 体・・・

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ワンドロイド

17/11/05 コメント:0件 鬼風神GO

たっち≠オていたクロ丸が尻餅をついてそのままの勢いで後ろ向きに転んだ。たっち≠ニは「しつけカテゴリ」の一つで、えさである電磁チップを目の前でかかげると立っておねだりするという動作のことである。
 もともとはそれだけの動作だったものが動作確認中に転んだ動きが胸が苦しくなるほどのかわいさだったので、立って転ぶまでの一連の動作をプログラミングしていた。
 クロ丸とは来年の春の公式発表を予・・・

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出張の日の事故

17/11/05 コメント:0件 与井杏汰

孝彦が出張で新幹線の駅へ向かおうとタクシーに乗ったところで、携帯電話のメッセンジャーに着信があった。妻からだ。
 「健介が事故で病院に運ばれました」
健介は1人息子で、幼稚園に通っている。「何があった?怪我の具合は?」急いで聞き返すと、「車にはねられたって。骨折してるかも」とすぐに返信があった。孝彦は迷った。もちろんすぐに病院に行きたいが、今日の出張は重要な契約の大詰めで、先方が長く要・・・

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迷いの中

17/11/05 コメント:0件 甘露

このところ気分が優れない。
「もう3日後には卒業かあ」
放課後の教室、対面に座る健志の言葉は、独り言ではなく俺に向けられたものだろうが、どこか遠くの世界で響いている感じがした。
私の将来はどんなだろうか。私は何が為に生きるのだろうか。そんなことが、四六時中頭を支配して、私は私の未来が全くわからなくなっていた。終いには、未来が思い描けない、ということは、自分の人生はここ・・・

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スカイブルーを選んだ人

17/11/04 コメント:0件 ケイジロウ

「イラッシャイマセ」
 若い女の店員が伝票に何かを書き込みながら言った無表情な音が小さな空っぽの店内にだるく響いた。そのだるさが、少し緊張していた山田勉にとって心地よく感じられた。
 ≪ものさし専門店ルーラー≫の店内には、その名の通りものさししか置いていないようだった。勉はあいかわらず伝票に何か書き込んでいる店員を気にしながらものさしを眺めて回った。
 小さな店内を一周すると勉の・・・

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人生は風まかせ

17/11/04 コメント:0件 土佐 千里

僕はタンポポの綿毛のひとつ。
いま、まさに旅立とうとしている。
これまで大切に育ててくれた女の子、ありがとうね。
ここはその女の子がすんでいる裏庭。

あれは、とある晴れた春の日だった。モンシロチョウと戯れながら、女の子は僕のことを見つけてくれた。それから毎日、僕のところに駆け寄ってきて、小さなじょうろで水をくれ、大切に育ててくれた。

お陰で、今、僕は5・・・

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幸いに、日々変化

17/11/04 コメント:0件 吉岡 幸一

 駅の改札口を出て家までは徒歩で十二分の距離。今日も僕はいつものように仕事を終えて家に帰っていた。この街に暮らして八年、いまさら知らない道もなく道に迷うなんていうこともなかった。何百回、駅から家までの道を行き来したことだろう。目をつぶっていたって迷うことはない。
 家に帰れば妻と三歳になる可愛い娘がいる。飲み屋にも寄らず真っ直ぐに帰っているのだから酔ってもいない。仕事で疲れているとはいえ頭は・・・

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渾身のスイング

17/11/02 コメント:0件 和倉幸配

 九回裏二死満塁、得点は一対〇。
 球場の興奮が最高潮に達する中、僕はピンチヒッターとして打席に送り出された。
 甲子園大会への出場をかけた県大会の決勝戦。一打出れば逆転サヨナラ勝ちという場面で、僕の出番がやって来た。
 高校三年間、僕はついにレギュラーポジションを獲ることはできなかった。
 だが、勝負強さを買われて、しばしばピンチヒッターとして起用され、それなりに結果も残・・・

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もしも、君と。

17/11/02 コメント:0件 ちりょう なひろ

「大学生活の四年間って、なにかやりたいことを見つける時間でも夢を現実にする為の時間でもなくて。社会からみれば、諦める為の時間でしょ?」
 高校三年の夏、進路先をあれこれと皆が悩む中、三芳は僕にそう言った。
 僕は時間と孤独が欲しかったから、地元を離れ大学へ進学したけど、それは三芳からすればただの甘えで、結局僕は中身の乏しい女の会話に合わせて酒を飲んでいた。
 なにも楽しいことがな・・・

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一寸先の闇

17/11/02 コメント:0件 ちりょう なひろ

 20代後半に突如として襲う漠然とした不安は5・6才にふいに訪れた感情に似ていた。あの頃は生き物としての理や死とか老いが分からずに感じられたものだった。20代後半のそれは漠然とした未来から襲うもので。その実、どちらも一緒だった。
 ベットの中、何者にもなれてはいない、なんの将来設計もなされていない俺を襲うそいつに呻き声も上げられず、どうしようもないやるせなさに心は踏み躙られた。
 この・・・

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海老について思うこと

17/10/30 コメント:1件 マサフト

「海老が食べたい」
ふとそう思ったのは昼食の後だった。思えば好物の海老をもう長い事食べていない。今日の昼食も社員食堂で一番安いカレーライスだった。せめてシーフードカレーなら海老でも入っていたかもしれない。そんなメニューこの食堂にあるわけ無いが。

子供の頃、家族内でのお祝いには決まって海老があった。例えば尾頭付きの、車海老の塩焼き。例えば牡丹海老のお寿司。御節にも入ってい・・・

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残った最後の弾丸を天井に撃ち込む

17/10/28 コメント:0件 かわ珠

 小さな頃からスラム街で育ってきた俺が生き抜くためには、地元の強力なマフィアに入ってしまうのが一番手っ取り早い術だった。それは生きるために必要なことで、悩む必要性なんてなかった。そこで多くの罪を犯してきたが、後悔などしたことはなかった。
 そうして育ってきたある日、そんな俺に『悩むことができるっていうのは、選択肢があるということ。つまり、可能性があるってことでしょう。あなたは、これまで一体い・・・

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塗れない空白をどうしたい?

17/10/26 コメント:0件 ちほ

「あら、どうしたの?」
  泣き出しそうなわたしは、声をかけてくれた女の先生を見上げた。幼稚園の『りんごぐみ』のみんなが、わたしの塗り絵を覗き込む。まだ1つも塗れていないわたしに、「また迷っちゃったのねぇ」と先生は困った顔をした。他の子も先生のマネをして「まよっちゃったの?」「まよっちゃったんだって。かわいそうだねぇ」……と心配そうに口々に言う。わたしは、ぼんやりとクレヨンに目を落とした・・・

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本当の気持ちはどこにある

17/10/25 コメント:0件 有屋春



私の旦那は医者で、働く時間帯はバラバラだし、勤務時間は長いしで一緒に暮らしているはずなのになかなか二人の時間というものがない
休みは休みで、次の勤務の為に足りない睡眠時間を補う為にひたすら眠る
そして起きるとまた仕事。
そんな旦那といて浮気するようになるのは必然というものではないだろうか?

今日も私は出会い系で知り合った男に会う予定だ
四角いメ・・・

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二人で一つの願い事

17/10/25 コメント:0件 有屋春




今、私の隣には素敵な彼女がいる。ろくでもない親の子に産まれ貧しい生活を余儀なくされたにも関わらず必死に生き、なんとか自立をし生活を始めたという彼女に出会ったのは半年前だった。

最初に会った時、私は彼女のことを特になんとも思わなかった。裕福な家に産まれた私から見ると彼女はひどくみすぼらしい格好をしていると思った。その格好を見た瞬間に魅力がない女性だと思ったしもっ・・・

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時限式付録

17/10/25 コメント:0件 高宮 聡

 一向に熱が下がらないまま、朝食の準備をする。昨日から急激に気温が下がり、体調を崩したのだ。風邪ではない。きっと僕は環境の変化が嫌なだけなのだ。それで駄々をこね始め「どうにかしてくれ」と必死に訴えている。頭はその訴えを却下した。空腹の方が勝っている。
 変化がない無菌室が一番安心できる居場所なんだと、入ったこともない真っ白な部屋を思い浮かべた。
 ベーコンエッグを食パンに乗せようと思っ・・・

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17/10/25 コメント:0件 右川

 洗顔の泡立てネットみたいな、別に必要ないのにいつの間にか当たり前になったものが部屋の中にうじゃうじゃあって、それに気付くといつも発作みたいに皮膚が痒くなって、赤くなるまで掻き毟ってしまう。爪を立てても漫画みたいに血が出るまでは搔けないし、赤くなった見た目ほどは別に痛くない。
持ち物を全部ひっくり返して、これは今大事、これは今は必要ない、そんなふうに、今の、今の私に大事なものだ・・・

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自己憐憫の奈落

17/10/25 コメント:0件 けこぼ坂U介

 気づくとそこは、暗闇だった。何が起きたのか。先ほどまで私は、夕暮れの海岸を犬と一緒に歩いていた。それで、ああ、そうか。落とし穴だ。そう言えば「マジヤベー」って声が上から聞こえた気がする。その後ショックで気を失ったようだ。あの声の主は誰だろう。そもそも私はここへ越してきたばかりで、知り合いはいないはずだ。とにかくここから出ないと、と立とうとして、足に激痛が走った。変に曲がっているようだ。ふいに左手・・・

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大切なもの

17/10/24 コメント:0件 土佐 千里

「朝起きたら雨戸をあけて、顔を洗いなさい。顔洗ったらちゃんと朝ごはん食べて学校にいくのよ」
「帰ったら手洗いうがいをして、宿題やってから遊びに行きなさい」
「プリントやテストがあれば見せなさい」
「遊んだらお片付けしなさい」
「5時までには帰ってくるのよ」
「明日の支度は寝る前までにしなさい、歯を磨きなさい、何度言ったら分かるの」
小学三年生の亜美は、毎日毎日、・・・

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目覚めたあなた

17/10/24 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 理紗が母にむかって甘えた声で話しかけたのは、一月後に結婚を控えた夜のことだった。、
「ねえ、お母さん、私にあの指輪、ちょうだい」
 母はテレビから娘に顔をむけた。
「あの指輪って、どの指輪のこと」
「ほら、二階の棚の上の、木箱にはいってるあれよ」
「あれは、お父さんの家に代々伝わるものよ」
「じゃ、お父さんに頼んでみる。まえにちらとみたことあるんだけど、純金製・・・

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美しくありたい

17/10/24 コメント:0件 瀧上ルーシー

 私は美人だ。美人故にやっかまれるので同性の友達はいない。
 まだ化粧を始めていないし、服もたまの休みにお母さんが買ってくれる物を着ているだけだが美人なものは美人だ。二重の瞼も小鼻も肩までの髪も自慢だった。私は美しい。
 両親は共働きなので私をめったに拘束しない。仕事から帰ってきたお母さんなりお父さんなりが毎晩夕食を作ってくれる。
 夏休みの少し前、放課後小学校で開放されている校・・・

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僕には神の声が聴こえる

17/10/23 コメント:4件 葵 ひとみ

 僕は鷹取省吾。
僕には小さな頃からたまに神の声を聴く力があった。

家族や仲間の周りで僕があまりにも神の声、神の声と連呼するので、
統合失調症の幻聴の疑いがもたれていて、

 ついに23歳のある日、精神科の保護病棟に任意入院となってしまった……

入院初日の医師の診察ではいきなりリスパダールを服用させられた、統合失調症ではかなり重いタイプなのだろう・・・

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揺らぎ

17/10/23 コメント:2件 向本果乃子

部屋にはベッドと小さなテーブル。収納に入るだけの服や靴。僅かな化粧品。一人暮らしを始めて七年ずっとここで暮らしている。真生は先月二十九才になった。

朝九時に家から徒歩十分の古本屋に出勤する。高齢のオーナーは体調が悪く最近店に来ない。埃臭い店を開け掃除し仕入れた本を並べたらたまの接客以外は読書の時間になる。

その日、閉店直前に入って来た女性が「オーナーの孫の遥です。ご飯食・・・

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迷いのタトゥー

17/10/23 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 朋乃は迷っていた。
 これまでの生涯になかったほど、彼女は深い迷いにおちいっていた。
 仕事柄迷うことのゆるされない世界で生きてきた。賭場の壺ふりが迷っていたら仕事にならない。勝負の目は、丁半いずれかときまっている。
 彼女には、壺にいれた賽子の目を、思いどおりに出す能力があった。その不思議な力をしったのは、彼女がまだ幼少期のころだった。宙にはねあげたコインの裏か表を自在にだせ・・・

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それは

17/10/23 コメント:0件 ふゆ


「私のことは忘れて他の人と幸せになってね、私も君のことは忘れるから」

 それは彼女から伝えられた最後の言葉だった。
 僕の人生の中で彼女は唯一愛することのできた人間であり、唯一本当に心の開ける人間。そんな彼女からいきなり別れを告げられた僕は戸惑うしかなかった。
 
 彼女のことを忘れて他の人と付き合うことなんて僕にはできない。でも彼女は私のことは忘れて他の人・・・

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迷い爺

17/10/23 コメント:0件 ちりぬるを

 先生が黒板に大きく「迷」と書いたのが始まりだった。僕達が小学六年生だった頃の話だ。将来の目標だか夢だかを話し合う授業の時だったと思う。
 クラスの意見を聞いた先生は総括として話しだした。
「迷うっていう字の米っていうのは道が八方に別れてるって意味なんだ。つまり可能性が沢山あるから人は迷うんだな。だから君達が将来を迷うことっていうのは悪いことじゃないんだ」
 先生が話すのをクラス・・・

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優先順位

17/10/23 コメント:0件 PURIN

俺には年子の知的障害のある弟がいる。あれは確か、俺が6才、弟が5才の時のことだ。


当時アパートの3階に両親と弟と一緒に住んでいた俺はその日、リビングで弟と双六で遊んでいた。両親は留守だった。最初は楽しくやっていたが、そのうち弟の機嫌が悪くなり出した。(何か気に食わないことがあったからだとは思うが、細かいことは覚えていない。)弟は自分の駒を放り投げ、何事か泣き叫びながら玄関へ向・・・

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迷うなら、自分だけで

17/10/23 コメント:0件 夜門シヨ

 彼女は黒い何かを持っていた。

 彼女はそれを力強く握っていた。ここには自分以外に誰も居ないのに。盗られる心配など一つもないのに。
 とても大事そうに、けれど悲しそうな瞳で何かを見つめていた。


「捨てないの?」


 どこからか、子鳥のさえずりかのような、優しい声がした。
 そんな声が彼女の肩のあたりからしたが、彼女は特に気にしてい・・・

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希望の呪縛

17/10/23 コメント:0件 風宮 雅俊

 点と点が繋がり、今が見えた時・・・・、彼女の涙は止まらないでいる。

「私の今までの努力は無駄だったの?」
「お店を持ちたい夢に対しては『はい』です。一つ一つの努力が間違っている訳ではありません。目の前の問題に手を打っている間に道を失うのです。縁がないから、少しずつ外れていくのです」
「自分で考えてお客さんに喜んで貰う仕事をしたくて、辿り着いたのが小料理屋だったのに。頑張・・・

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究極の選択

17/10/23 コメント:0件 土佐 千里

想像してみてください。
あなたがもし、奈良時代から続く由緒正しい家柄の一人娘で、生涯のパートナーを選ぶとしたら、次のうち、誰を選びますか?
顔は誰がみても極めて悪いが、性格は良く、価値観が合い自然体でいられ、職業はタクシー運転手で、同級生の幼馴染みでよく知っている、将来は社宅にすむようになり、長男なので家を捨てお嫁にいくようになるAさんか、
顔はAさんよりは、ましだが背が低く、性・・・

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ヒトナビ

17/10/23 コメント:0件 戸松有葉

 ――今晩の献立は何にしようかしら。
 そう思うだけで、ヒトナビは指示をくれる。迷いを口にしなくていいし手動操作も一切必要ない。人を導くナビゲーター製品、それがヒトナビだ。
 昔の人は些細なことでも迷い、時間を無駄にしていた、ストレスも抱えていた。現代人では考えられないことだ、とても耐えられそうにない。
 ヒトナビの普及率は百%近かった。
 ヒトナビに頼る人々を避けて、山奥・・・

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宗教が死んだ日

17/10/23 コメント:0件 戸松有葉

 宗教対立が絶えなかったその国は、どの宗教にも属さない勢力が結集し、軍事独裁政権を誕生させた。民主主義では宗教へ配慮せねば政治家になれず、また、対立する各宗教の代表が政治家となる。それでは一向に宗教対立を終わらせることはできない。だから軍事独裁によって、非民主的に、どの宗教にも依らない政治を実現せねばならなかった。
 誕生した新政権が真っ先に行なったことは、国内の宗教活動禁止である。布教はも・・・

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方向音痴は迷わない

17/10/23 コメント:0件 戸松有葉

 方向音痴は、道に迷わない――。
 いきなり逆説的なことを述べたが、順を追って説明していけば、納得してもらえるだろう。あるいは納得してくれないかもしれないが、紛れもない事実なのだ。私自身が方向音痴であり、その極意を得ているからこそ言える、事実。
 極意などと大仰な言葉が飛び出したが、まずは、よくある勘違いから正していく。
 方向音痴だと自称をして、他人からも思われている人でも、方・・・

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嘘で固めた芸術が闇に葬られればいいのに

17/10/23 コメント:0件 蒼樹里緒

 ありえない。許せない。こんな世の中に誰がした。
 創作のネタばかりがたまっていくノートを、全力で破ってぶん投げたくなる。もったいないからやらないけど。
 紙の匂いが漂う部室で机に突っ伏し、俺は何度目かの長いため息を吐き出した。
 向かいに座った友達の、あきれたような声が降ってくる。
「続き書かないなら、もう帰れば? 疲れてるみたいだし」
「むしろなんでおまえとか部長・・・

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17/10/23 コメント:0件 クナリ

 中学校から下校中の本郷ユウトを後ろから追いかけてきたのは、幼馴染みの足音だった。
 聞き慣れすぎてしまっていて、振り向くまでもない。前を向いたまま、ユウトは言う。
「転ぶぞ、カナミ」
「ユウトが何も言わずに帰るからでしょ」
 息を切らした相模カナミの、頭ひとつ分小さい体がユウトの横に並ぶ。
「私今日、行きたいところがあるの」
「俺はないな」
「ついてきて・・・

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質問

17/10/23 コメント:0件 井川林檎

 一体、こんなことをどれだけ繰り返してきたのか。
 確かなのは、まだ先が長い事だ。
 この道は単調に見えて、奇妙に凸凹しており、気を抜いていたら転んでしまう。

 (万が一転んだら)
 もう何回目になるかわからない「転倒未遂」の後で、わたしは足下にある、べとべとした汚い、いやな水たまりを睨みつける。
 腐臭が漂う水たまりは、むろん「水」たまりではない。
 ・・・

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