1. トップページ
  2. 第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】

第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】

今回のテーマは【デート】です。 恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、 小説・エッセイ等の散文であれば スタイルは問いません。 体験や事実に基づく必要もありません。 時空モノガタリ賞発表日:2017/12/04 ※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。 ※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。 ※二次創作品の投稿はご遠慮ください。 ※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/10/09〜2017/11/06
投稿数 73 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 今回は前回の「事件」ように派手なストーリー展開で魅せる作品よりは、人間関係の設定や、モノの見方・視点に独自性が感じられる作品が、入賞・最終選考に残っていたと思います。しかし全体としては、そうした個性が伝わってくるような作品の数はあまり多くなかったですね。「デート」というのはありふれたテーマであるがゆえに、もしかしたら書きやすかったかもしれませんが、書きやすいテーマというのは同時に平凡にもなりがちでもあるものなので、もう少し細部や見せ方において工夫をされると、全体的な質の向上につながったのではないかと思います。【最終選考の感想】『デートの後、スプーンと』―――潔癖症なのか、キスに苦手意識を持つ彼の内面の揺れ動きが、スプーンとの対話を通し繊細に表現されていて読み応えがありました。隣のカップルの会話はその場の空気を醸し出すとともに、彼の願望と重ねられているのではないかと感じました。作品全体を通して直接的な感情表現が少なく一読した印象が地味なためか、選考者の間で評価は分かれた作品でしたが、個人的には再読するほどに丁寧に構成された良作だという印象が残りました。ラストのスプーンとの会話からは、彼の孤独が静かに伝わってきました。『Q:ネトゲに出会いを求めるのは間違っているだろうか?』―――私(K)はゲームの世界には全く疎いのですが、リアルな人間関係を築くことは、ネトゲなどヴァーチャルな関係に比べると、それなりにエネルギーを必要とされるのでしょうね。不器用そうな二人ですが、どこか純粋な感じが伝わってきて、現代のような世相でも消えることがない人間対人間のつながりを感じさせられました。『ハートは胸にはついていない』―――「頭でっかちな考えで他人のすべてを否定していた」という主人公の内省が印象的でした。確かに、例え相性のいい相手であっても、必ずしも直観的にピンとくるものではないのかもしれませんね。思考と感情の乖離というのは正しい判断を狂わせるものだと思います。テーマ性において共感するところがあり興味かったです。『季節の終わりに微笑みて』―――遠景から書かれた絵画のような写術的描写を通して、人生の終盤に差し掛かった老人たちの心象風景が浮き上がってきました。通りすがりの無邪気な子供たちや、離婚を訴える老人の娘、どちらも彼らの内面を映し鏡のように表しているように感じました。年をとっても失われない無邪気さや、人生の辛い現実と向き合う大人としての側面などが年を取るごとに複雑に絡み合い、重層的な心になっていくものかもしれないという気がしました。『桜の木の下で、あなたとデートを』―――桜と儚い命を重ねてしまうのは、古来からの日本人の心象なのでしょうね。命は散っても恋人にまた必ずどこかで再会できるという、諦めと同時に生まれる希望が春の風景の中に浮かび上がってきました。『準備万端』―――焦っているときに限って、大体なにかやらかすんですよね。必死になればなるほど空回りするドタバタ振りがテンポよく、面白かったです。『中途半端』―――男らしく彼女を庇うつもりが、逆の立場になってしまう顛末がコミカルでした。主人公の人間臭い「中途半端」さと、内面においては優しい彼女の人柄とが魅力的でした。

入賞した作品

2

ここまでふたりで

17/11/04 コメント:4件 秋 ひのこ

 長年通った駅前の喫茶店が、その春なくなっていた。代わりに人気の大手コーヒー店が店を構えている。
「なんと、ついにこんな田舎まで」
 弟の直也が顔をしかめた。
「『タシロ』のホットケーキを俺は半年間心待ちにしてたのに」
 ぶつぶつ言いながら店の前で霊園行きのシャトルバスに乗り、20分。山に囲まれた平たい町を見下ろす丘に到着した。斜面を彩る薄桃色の桜がまぶしく、私は目を細める・・・

1

ノースマホ

17/11/03 コメント:2件 田中あらら

 美沙は駅前のポチ公銅像の前で、悟が来るのをかれこれ30分ほど待っていた。腕時計に目をやるとすでに1時20分、約束は1時だった。いつもならラインで連絡を取るのだが、今日はスマホを家に置いてきたので連絡手段がない。ポチ公前には大勢人がいて、皆スマホの画面に釘付けだ。ぼーっと立っているだけなんて、なんと無駄な時間!と心の中でつぶやいた。その時不意に、背後から肩を叩かれた。振り向くと悟が笑っていた。

0

スナイパー

17/10/24 コメント:0件 佐川恭一

――私は恋人ができたことがありません。デートしたこともありません。デートなんてほんとくだらないよ、私はね、ふと行きたくなったときに居酒屋に寄って酒を飲む、その繰り返しこそが人生であると考えています。それ以外の行為というのは全て蛇足だね。はい、その前の方。ボーダーの。

ボーダー ありがとうございます、えー、先生は居酒屋で酒を飲めればいいということでしたが、同じような考えの異性とならお付・・・

3

伊達は君のもの

17/10/17 コメント:1件 笹岡 拓也

伊達くんに恋する私はある日、本屋さんで凄い本を見つけた。
その本のタイトルは【伊達は君のもの〜過ごし方次第で彼との距離がググッと近づく!】という本だった。こんな伊達くんを落とすための本が売られていることに私は驚いた。そしてこの本を買わなければ、違う誰かがこの本を買って伊達くんと付き合ってしまう恐れがあると考え、私はこの本をすぐに買った。
早速家に帰ってこの本を読み始める。そこにはいくつ・・・

最終選考作品

2

デートの後、スプーンと

17/11/06 コメント:3件 木野 道々草

 この喫茶店には、陳腐なジンクスが囁かれていて、彼はそれを使った悪戯を思いついた。ここでデートをすると別れるらしいね、だから今日はここを選んだんだ、と言って彼女を驚かす、すかさずジョークだよと言って頬にキスして笑わせようと考えた。二人とも二十歳になったばかりの、若い恋人同士だった。

 だがそんな悪ふざけをする前に、二人の間では会話が成り立たなくなっていた。

「もう一つ、・・・

3

Q :ネトゲに出会いを求めるのは間違っているだろうか?

17/11/06 コメント:3件 泡沫恋歌

週末になると僕のスマホにLINEが送られてくる。
 ロキ:『お腹すいたー!
     ご飯おごって〜!!』

僕のことをお財布携帯だと思ってる奴がいるのだ。

 ヒミコ:『給料もらったばかりだから
      焼肉食べ放題くわせてやる』
 ロキ:『やった―――!!
     焼肉イェーイ!!』

そして待ち合わせて、焼肉店へ行くのだ・・・

1

ハートは胸にはついてない

17/10/29 コメント:0件 浅月庵

 ◇ 
 中学生になって少し経って、同じクラスでハーフの山田リエンに放課後、肩を叩かれる。
「白崎さん、これから僕とデートしてほしい」
「私のことからかってる?」
 リエンは心底驚いたように目を見開くと、一つ咳払いをした。
「僕ね、異性とデートしないと“死んじゃう病気”なんだ」

 確かリエンは小学五年生までアメリカで暮らしていたと言っていた。
 も・・・

1

季節の終わりに微笑みて

17/10/16 コメント:0件 吉岡 幸一

 肩を寄せ合いながら川沿いの道を歩いていると、空から枯れ葉が一葉舞い降りてきた。
「もうすっかりこんな季節なんですね」
 ひろげたふたつの掌のうえに枯葉はふわっと迷うように落ちてきて揺れた。
「今年は雪が見られるのかな」
 赤らんできた空を見上げながら老いた男はつぶやいた。隣の老いた女も一緒に空を眺めている。とぎれとぎれな飛行機雲が西の空へとのびている。その雲の道を進むかの・・・

2

桜の木の下で、あなたとデートを

17/10/15 コメント:1件 文月めぐ

 よく、ドラマや映画で耳にする「余命」という言葉。その言葉が、俺の目の前に突き出されるなんて、想像もしていなかった。医師が言った「余命一年」はどんな言葉よりも重く、俺と桜子の前に立ちはだかった。

 季節は春。桜子が入院している病室の窓からは、病院の隣にある公園の桜並木がきれいに見えた。俺たちは狭い病室で小さなお花見会を開いた。桜子でも食べられるように、お弁当箱に小さなおにぎりをいくつ・・・

1

準備万端

17/10/14 コメント:1件 井川林檎

 はっと起きたら9時。
 約束は10時。駅前の赤尻猿のモニュメント前だ。

 占いによると、最もラッキーな時間と場所だ。
 (絶対遅れちゃ駄目)
 
 シャワーを浴びる。
 じゃーっと流しているうちに、地獄の業火のような高温になる。死ぬ。

 それで水浴びをした。
 肌寒い時期、正直辛い。けれどこれが愛。
 
 (あああっイケ・・・

1

中途半端

17/10/10 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 中途半端だった。
 なにが中途半端かというと、ぼくが空手をはじめたのがいまから半年前ということだ。
 会社勤めをして5年、同僚たちの彼女自慢恋人自慢をまわりにきいているうち、だんだんぼくの中にも、かれらにたいする羨望がわきおこってきた。じつは社内に、これはという女性がひとりいた。ながい黒髪、すらりとした体、ぼくより年下ときくが、年上といってもおかしくないおちつきぶりだった。
 ・・・

投稿済みの記事一覧

0

最初のデート

17/11/06 コメント:0件 小林健三

 大学に入学して僕は写真部に入った。叔父愛用の一眼レフを譲り受けたのがきっかけだった。写真部は年に一度、秋の学園祭で展示会を行っていた。僕は展示会用に、いくつか風景を撮ってみたが、どれも平凡に思えた。ある夕暮れ、人影のまばらな学生食堂が、昼の混雑とは打って変わって新鮮に見えた。様々なアングルから写真を撮っていると、女性から声をかけられた。見知らぬアジア系の留学生だった。「何の写真撮ってる?」と彼女・・・

0

治ったらデートでもしよーぜ

17/11/06 コメント:0件 むねすけ

「病気が治ったらデートでもしよーぜ」
 アイツが彼女の病室で言い残したセリフに、俺は嫉妬していた。
 彼女は案の定、俺の存在など忘れたかのように目をハートマークにして剥かれたリンゴを齧る。
 彼女が精神衰弱で入院したとの報せを聞いて、俺は道々かけてあげたい言葉を人生振り返りながら探してきたってのに。
 お見舞いといえば果物カゴと、値段も気にせず注文し、病院だからと派手なファ・・・

0

デート 起承転結

17/11/06 コメント:0件 いちこ


「ねえ、あれってデートだったのかな?」
訊きたくて、口には出せない言葉。
私はあなたにとって、お友だち?
それとも少しは異性として意識してくれているの?
恐ろしいことに、お友だちですらない、ただの知り合いと思われているかもしれない。
だからいつまでも訊けずに、うじうじと悩んでは気を惹こうと空回りして、きっとうんざりさせている。

『おはよう』

1

桜紅葉の恋

17/11/06 コメント:3件 冬垣ひなた

「ごらん、満開の桜の花は美しいね。けれども、僕は桜紅葉(さくらもみじ)も好きだ。冬を前にして、必死に枝にしがみついている一瞬の鮮やかな秋の色が、大層いじらしく思えてくる。まるで君のように」
 そう囁いたあの人は、お国の為に戦に行ったきり。
 時代の強い風に吹かれて、儚く散った恋でした……。


 秋風の冷たくなった昼下がりの公園は閑散としていた。日野清は、90才を越え・・・

0

あたしにとってはデート

17/11/06 コメント:0件 小高まあな

「今度、出かけない?」
 という、非常にざっくりとしたお誘いを切り出すのに三週間かかった。隣の部屋に住む三島とは、毎日顔を合わせてるのに。
「どこに?」
 当たり前の問いかけにちょっと言葉に詰まってから、
「服、買いに行こうよ」
 なんとか目的を見つけ出した。いや、あたしの目的は出かけることそれ自体なんだけど。
「あー、季節の変わり目だもんねー」
「そうそ・・・

2

秋の日に降りそそぐ優しい雨

17/11/06 コメント:4件 そらの珊瑚

 イチョウの樹々が落とした葉で、公園はまるで黄色いじゅうたんをしきつめたよう。
 晴れ渡った青い空に千切れた雲が流れてゆく。日曜日の公園。夫も一緒に来るはずだったが急な仕事が入り、娘と二人で歩く。
 すれ違うカップルたちが皆幸せそうに見えた。
「いいわね、私もたまにはデートしたいわっ」
 心でつぶやいたつもりなのに、うっかりそれが口から飛び出してしまう。あわてて口を手で押さ・・・

0

「待った?」と言いたい

17/11/06 コメント:0件 宮下 倖

 人生において「初」と冠するものはさまざまあるが「初デート」は相当浮かれ、かつ緊張するものの上位にくるだろう。
 アリサは両手にそれぞれ持ったピンクと水色のカットソーを交互に胸にあてながら、姿見の前で大きく息を吐く。
 二十二歳にして初めてできたカレシ、ユウジとの初デートは明日だ。いや、さっき日付が変わったから正確にはもう今日になる。
 よし水色にしようと頷いてピンクのほうをクロ・・・

0

リアリティショー

17/11/05 コメント:0件 甘露

「今日は楽しかったよ。ありがとう」
目の前には、普通に生活を送っていたら出会うことがないような綺麗な女性。その顔には笑みが浮かんでいるが、本心ではどう思っているのだろう。その笑顔は貼り付けられたものなのだろうか。
いや、今日のデートは完璧だったはずだ。話も弾んだ。大人の男の余裕も見せられた。ディナーの後の会計もスマートに済ませられた。顔は飛び抜けて良いというわけではない。だが、・・・

0

Pink Earth

17/11/05 コメント:0件 みや

デートと呼ばれる単語は近い将来活用されなくなるだろう
ー 21世紀の有名な人類学者の名言ー

デートとはお互い惹かれ合っている男女が日時を決めて二人で会う事であり、デートを重ねる事により二人の関係性は深いものへとなっていく。

男は女をデートに誘いたくなくなっていた。貴重なお金を我儘な女に使うなんて勿体無い。女は男にデートに誘わ・・・

0

バイトと仕事

17/11/05 コメント:0件 善行

「せっかくここまで来たのだから、写真撮ろうよ!」
腕を引っ張られ、真夏の熱い砂浜を走らされ、海と江の島をバックに無理矢理写真を撮らされた・・・
自撮りも最近の若い娘は上手に撮るもんだなぁ。
感心する。パッと構えて、さっと撮影。
昔なんかは、撮影といえばフィルムであったから、気合いをいれて、斜に構えて撮影に臨む。
そんな時代はもう石器時代クラスな古さらしい。
「そ・・・

1

仮面でデート

17/11/04 コメント:2件 水谷暁

 遠藤理紀子は、店員がチーズバーガーとコーラを用意しているあいだ、店内をさっと見渡した。高校の制服を着ている客は、理紀子のほかにはいなかった。
 高校は近いが、部活動が盛んで、理紀子みたいな帰宅部∴は少数派なのだ。初老の女三人がおしゃべりしているのと、背広姿の男が、店の表に面したカウンター席で外を眺めている、それが客のすべてであった。
 同級生の甲矢荘介はまだ来ていない。
 ・・・

4

秋風に揺れる楓眺め、君は何想う

17/11/04 コメント:6件 霜月秋介

「今日は有難うございました。とても楽しかったです」
 感情が込められていないような顔と口調で、彼女はそう告げた。そして僕の前から姿を消した。紅く染まった楓が舞う、秋の夕暮れのことだった。

 わかっていた。僕に対する特別な感情など、彼女には始めから無いことくらい。

「私のことは、カエデと呼んでください」
 彼女と初めて出会ったとき、彼女はそう言った。ある店で彼・・・

0

初恋デート

17/11/04 コメント:0件 文香

 時は大正。西洋と和の文化が入り乱れ、混ざり合い日々変わっていく日本。この時代の令嬢たちに恋愛の自由はなく、爵位を持つ家柄は家の為の結婚が多い。卒業後に結婚する者もいれば、在学中に結婚が決まり女学校をやめて嫁ぐ者も少なくはない。
 今年で十五歳になる私も、そう遠くはない未来に、父が結婚相手を決める日がくるのだろう。
 ある日、女学校で仲良くしていた女生徒が結婚の為に学校をやめるのだと知・・・

0

桜咲くこの場所で

17/11/04 コメント:0件 黒江 うさぎ

 桜並木が続く川沿い。
 穏やかで温かい風が吹く中、俺は歩く。
「良い天気になりましたね」
 君は、そう言って笑う。
 ころころ、ころころ、可愛いらしい笑みで。
「…ああ、そうだな」
 俺も、そう言って笑った。
 君に、ぎこちないと言われた笑顔で。
「あの日の事、覚えていますか?」
「勿論、覚えているとも」
 桜がちょうど散ってしまった日・・・

0

九千メートル級越しのデート

17/11/04 コメント:0件 本宮晃樹

「どうした。ビビってるのか」相棒の倉本さんはにやにや笑っている。「ま、無理もないわな。〈グレートウォール〉を越えようとして戻ってきたやつはいないんだから」
「ビビってなんかいませんよ」気合い一発途方もなくでっかいザックを背負う。ずっしりと肩にバンドが食い込んだ。「ちょっと感傷に浸ってただけです」
「そうだったな、すまん。お前の親父さんもそのうちの一人だったっけ」
「謝るなんて倉本・・・

0

ラストダンス

17/11/03 コメント:0件 朝綺



 十月も終わりに近付いた、土曜の静かな夕暮れだった。
「わたし結婚することにしたの」
 彼女がけろりと言ったので、私は心底驚いた。私の認識が正しければ、私たちは恋人同士のはずだった。そして彼女は、結婚しましょうとは言わなかった。
「びっくりした?」
 いたずらな子どもみたいに彼女が笑う。無邪気で、そのくせどこか大人びている。楽しげで、なぜか寂しい。
 ・・・

0

デートは太陽の下で

17/11/03 コメント:0件 小峰綾子

朝7時の待ち合わせに、彼は4分ほど遅れてやってきた。私たちがデートするのはいつも朝。

慎吾と私は元々職場の先輩後輩だった。私の一方的な片思いだったのだが何度か「ご飯食べに行きません?」とめげずに誘っているうちに向こうが応じてくれた。あともう一押しで付き合えそう、そんな風にノー天気に思えていたのだからつくづくお気楽だったのだなあと思う。

慎吾ができちゃった結婚すると聞いた・・・

1

次に逢うなら

17/11/03 コメント:2件 待井小雨

 よく晴れた日は年老いた夫婦揃って一緒に公園に行くのが、私と妻の習慣だった。
「うぅ、寒い」
 妻が震えながら言う。
「もっと厚着をすれば良かっただろう」
「こんなに寒いと思わなかったわ」と妻がマフラーを首に巻く。
「歩いている内に体も温まるさ」
 道行く人と挨拶を交わしながら妻は歩く。十五分ほどで公園に着き、日当たりのいいベンチに腰かけた。
「ここが空い・・・

0

速度が変わる時計

17/10/30 コメント:0件 ケイジロウ

 細かくなったレタスがベルトコンベアの上をゴミのように流れていくのを、亀田剛は眉間にしわを寄せて眺めていた。傷んでるレタスをはじくのが亀田の任務なのだが、次から次へと流れてくるレタスに目を回さないようにするのに必死で、とてもじゃないが、3oの傷みを見つけることなど、亀田にはできなかった。
「ちょっと、亀田君、ぼけーっと見てるだけでどうすんの、もっとひっくり返して、いろんな角度からちゃんと見て・・・

1

ルージュ

17/10/30 コメント:0件 野々小花

 雪乃が待ち合わせ場所に着いたのは午後一時だった。約束の時間まで、あと一時間は余裕がある。昨夜、場所と時間を指定するメッセージが莉子から届いた。昨日は学校で一度も会えなかった。クラスが離れているから仕方がない。
 メッセージの語尾にはハートマークが並んでいて、それを見た瞬間、雪乃は思わずスマートフォンをベッドの上へと投げ捨てていた。ひどく顔が熱い。叫びたくなるくらいに恥ずかしい。しばらくする・・・

0

デートの際は妬みにご注意を

17/10/29 コメント:0件 撫子

最近ここら辺では連続傷害事件が多発している。
連続といっても毎週の土日のどちらかではあるものの、場所も関東全域に広がっている。被害状況もナイフで切り付けられたり、素手や鈍器で暴行されたりと様々だ。しかし、被害者はどれもカップルの片割れで、その中でも被害に会うのは男性という共通点から連続傷害事件とされている。
当初警察は無差別テロと考えていたが、犯罪プロファイディングの結果、一つの結果が・・・

1

山田さんと初秋の本屋

17/10/29 コメント:0件 吉岡 幸一

 欅通りの道沿いには小さな本屋がある。僕は毎週大学からの帰りに立ち寄っては週刊漫画雑誌を買っている。
 本屋の前に自転車を止めて硝子のドアを引いて入っていくと、山田さんはいつもレジの前に座って本を読んでいる。白いカーディガンの胸元につけられた名札の上にかかる黒い髪が美しくて、見惚れそうになる気持ちを押しころして本を探すふりをする。
 店内を歩きまわりながら時々立ち止まっては本を手に取り・・・

0

完璧な彼…さようなら

17/10/29 コメント:0件 土佐 千里

学生時代から付き合ってもうすぐ8年になる彼がいるにも関わらず、年下のチャラ男と付き合って半年…今、8年の彼と別れる理由を探している。
8年も続いている彼は、非の打ち所がない。
弁護士で、きちょうめん、真面目で裏表がない。
でも完璧すぎてだろうか、何か物足りない。今日のデートのときも、ビリヤード行って、喫茶店で話して、夕食を食べて終わり。
先月のデートのときは、映画をみて、カ・・・

0

薄着で夜空に飛び出した

17/10/28 コメント:0件 眠々瀬未々

 薄着で夜空に飛び出した。冷たい空気が私を撫でて、あのオリオン座の右隣から、あなたがこっちを見つめている。私はもう、何度こうやってあなたに会いに行くのだろうか。後何度、私はあなたに会えるのだろうか。この街が奇跡を否定して暗くなっても、私達は奇跡の形を知っている。手のひらの上に座って、首を傾げる奇跡を知っている。知っているから笑っている。奇跡が否定されても、あなたと私は笑っている。手のひらの上で、暗・・・

0

デートの本当の理由

17/10/28 コメント:0件 有屋春



私の旦那は医者で、働く時間帯はバラバラだし、勤務時間は長いしで一緒に暮らしているはずなのになかなか二人の時間というものがない
休みは休みで、次の勤務の為に足りない睡眠時間を補う為にひたすら眠る
そして起きるとまた仕事。
そんな旦那といて浮気するようになるのは必然というものではないだろうか?

今日も私は出会い系で知り合った男に会う予定だ
四角いメ・・・

0

レンタルデート

17/10/28 コメント:0件 有屋春


男ってなんで浮気するんだろうね、なんて会話で女子高生が盛り上がっている。
頼んだコーヒーを飲みながら隣のテーブルの会話を聞いて不思議に思う。
男が浮気してるってことは、必ず相手がいるわけで
その相手も浮気、なのかはわからないけど、とにかく浮気相手になるわけで
考えれば簡単に出る、浮気する男の数だけ、浮気する女性もしくは浮気相手をする女性がいる、という答えを分かってて・・・

0

待ちぼうけ

17/10/27 コメント:0件 Sage.N

(来ないのかな……)
 喫茶店の窓際の席に座った少年は、目の前に置かれたコーヒーカップの中身を見つめながら思った。カップの中身は、少年の頭のなかみたいに黒くにごっている。
 今日は人生で初めてできた恋人との、初めてのデート。張り切っておしゃれをして、約束の時間よりもだいぶ早く待ち合わせ場所の喫茶店に着き、おとなぶってブラックコーヒーを頼んだ。しかし約束の時間から、もう二時間も経つのに、・・・

0

さいごの言葉

17/10/27 コメント:0件 伊崎

「ね、デートしよ」
 彼女はそう言って、僕の手を引いた。

「デートって……デート?」
「そうよ。だって一度もしたことなかったじゃない?」
 当たり前のことをそんな不満そうに言われても困るのだが。
 そう思いながらも、僕は彼女の横に並んで歩いた。
「公園をうろつくのがデートって言える?」
「お散歩って言ってよ!」
「…………」
 彼女が何・・・

0

寒い日は・・・

17/10/26 コメント:0件 善行

「初めまして!」
「えっ?私のこと??」
「突然ですが、僕は大!」
「えっ?春といいます」
「春さんはとてもいい香りがしますね」

そう、大さんとの出会いは突然だった。
江戸川区内にある駅前のスーパー。
人の出入りも多くなく、本当にやっていけているのか不思議な感じ。
そうは言っても、店をたたむわけでもないのは、威勢のいいご主人と、とても優しい女・・・

0

僕とパンツと年増の女

17/10/26 コメント:0件 木偶乃坊之助

 延々と一時間も電車に揺られ、藤沢駅に着いたのは午後七時半過ぎだった。待ち合わせまではまだ時間があったけれど、その人は既に来ていて、どこか寂しげに佇んでいた。想像していたのとは随分と違って、黒髪で、縁なしのメガネをかけた大人しそうな人だった。
「真美子さんですか?」
自分でも意外なほど自然に声をかけた。彼女は少しビクッとして怯えた様子を見せながら、無言で小さく頷いた。トートバッグから彼・・・

0

ここからはじまる物語

17/10/25 コメント:0件 t-99

 待合せを15分過ぎても彼女の姿はなかった。町はずれに位置する公園には、モスグリーン色をしたベンチが並んでいる。夏場は草木と混じり合い風景に溶け込んでしまう。一枚の絵画のように誰からも気がつかれない。噴水から溢れる水しぶきが水面を揺らしていた。腕時計で時間を確認するついでに水に触れる。冷やりとした感覚がどこか心地よかった。


 生まれて始めて告白された。クラスの顔と名前がまだは・・・

0

りんごとナイフとピエロにキッス

17/10/24 コメント:0件 むねすけ

 移動サーカスのピエロに最初っからなりたかったわけじゃないぜ。
 おいらは夜が怖かったんだな。
 だから夜を明るくしてくれるサーカス団の一員になりたくて、今の団長に弟子入りを志願したんさ。
 おいらも団長みたいにカッコよく鞭を振るって風を切れると思ったのさ。猛獣使いの芸でお客の歓声を浴びれると思ったよ。甘かったね。
「離しちゃいけねーよ。お客さん、あんたを信じてるからね。今・・・

0

あいて

17/10/24 コメント:0件 善行

「この前、行ったところってどこだっけ?」
まだ温かいブレンドコーヒーを飲みながら聞いてみた。
「・・・最近だと、鎌倉ですね」
「写真って出る?」
「・・・こちらですか?」
「あっ!そうそう!これこれ!」
「・・・」
「あの時は春で桜が綺麗だったねぇ」
「・・・」

鎌倉って町というか地域は好きだなぁ。
なにが好きというわけではないの・・・

0

禁断の、恋?

17/10/23 コメント:0件 石田ゆき

「先生、これってデートっていうのかしら?」
 少女が唐突に言った言葉に驚いて思わず足を止めた
 大きな黒い瞳がくるりと動き、わずかに頬を染めた彼女が僕を見る。
「いやいや、どう見てもデートじゃないでしょう。みんなとはぐれちゃつただけだからね。
 ほら、早く合流しないと。さ、歩いて歩いて」
 現実のままの答えを言うと彼女はつまらなさそうに頬を膨れさせそっぽを向いた。

0

老夫婦

17/10/22 コメント:1件 月のワーグマー

わたしはよく散歩をする。
定年退職してから、退職金と年金で暮らしているから時間だけは余っていた。

築30年を超えた家の整備が趣味だ。一人暮らしとはいえ、今夜も息子夫婦が孫を連れて遊びに来る。孫のためにも準備は怠れない。スマホだって使う。アプリは天気、大工サイトへのショートカット、地図。これだけあれば十分だ。

天気アプリによれば昼からは曇るそうだが、この季節の散歩に・・・

0

変わるもの

17/10/21 コメント:0件 人間

 私達のデートコースはいつも変わらない。まず、昼過ぎに、遊園地近くの駅で待ち合わせをする。そこから、遊園地で夕方にかけて過ごす。その後に、夕食を食べて解散する。いつもこの流れだ。彼女とは月に1度会える程度の頻度でしか合うことができない。会うことができるのは、決まって月末の火曜日だけだ。
「いつも遊園地で飽きないの?」
と決まって聞いてしまう。
「いつもこの変わらない遊園地がいいの・・・

0

話題のクレープ屋で

17/10/20 コメント:0件 土佐 千里

快晴の休日。友梨は、テレビを観ながらゴロゴロしている旦那に言う。
「今日はこんなにいい天気なんだから一緒にどこかに出掛けたいなぁ」
「俺は家でのんびりしたいから、どこか出掛けたいなら一人で行ってこれば?」
出不精の旦那はいつもこんな返事だ。
付き合ってる頃みたいに一緒に出かけたいのに。
こんな時、友梨は決まって大学時代に片想いをしていた健太のことを思い出す。
今・・・

0

残り物たちの夕暮れ

17/10/20 コメント:0件 木偶乃坊之助

 なぜか平日の日暮れ前にマントヒヒを眺めている。アホ面で、少しも動かない。時おり器用に鼻を穿っては、取り出した物を口に運んでいる。およそデートにふさわしくない光景を前に、隣の女は薄笑いを浮かべている。

「彼女がこっそり毒を盛ったなら、気づかないふりして飲んだと思いますよ。それは僕が悪かったってことだから」
言いながら、何でこんな話になったのかと考えた。婚活で、三回目のデートであ・・・

0

充電器

17/10/19 コメント:0件 和倉幸配

「よーし、充電完了。百パーセントっと」
 デートの帰り、駅へ向かう道すがら、ミカはそう言って「うーん」と背伸びをした。
「何だよそれ」
「こうやってタクと会うとさ、何か充電される感じがするんだよね」
「充電?」
「今週は仕事でも色々あってさ。電池切れ寸前だったんだ。だけど、もう大丈夫。タクのおかげでまた頑張れそう」
 ミカは両手でボクシングのような恰好をする。<・・・

0

確信犯たち

17/10/19 コメント:0件 石田ゆき

「あっ」
「どうしました?」
「いつものあれ、在庫また切れてる……。牧瀬さん、申し訳ないけど明日の定休日……」
「いいですよ。ちょうど予定もないですし買い出し手伝いますよ、店長」
「ごめんね、せっかくの休みなのに申し訳ない…。僕一人で買いに行くにはあのお店は少し抵抗があって」
「でも売れ行きいいですもんね。付き合いますよ、一緒に行きましょう」
「ありがとうござい・・・

0

花火とともに…

17/10/18 コメント:0件 土佐 千里

念願叶って、第一志望校に合格した和田麻美子。今日はいよいよ入学式。ドキドキしながら高校に行った。
麻美子は家が遠いので、高校まで、電車とバス通学。麻美子の席の斜め後ろにいた前田宏樹に声をかけられた。宏樹は坊主頭で野球をやりたいためにこの高校にしたそうだ。宏樹は決してイケメンではない、どちらかというと、いやはっきり言うとお笑い芸人よりひどいくらい崩れている。一方、麻美子は、女優のように整ってい・・・

0

車窓にて思うこと

17/10/18 コメント:0件  浅縹ろゐか

 昔、人間は車という乗り物で恋人とデートをするという風習があったらしい。

 「先生! そろそろ昼休みにした方が良いですよ!」
 元気な声が聞こえて、僕は現実世界へと意識を移行させる。小さい刷毛で丁寧に手元の物質を掃いていたところだった。この『鉄屑の墓場』と言われる遺跡群の、全容を明らかにしようとしている。これが僕の仕事だ。
「ああ、分かったよ。もう12時近いのかい?」

0

fate

17/10/18 コメント:0件 リードマン

「ぐはっ! げっ! はああアアアア!」

こほっ、こほん。え〜ただいま、最愛の彼女とのデート中。舞台は日本の何処かです。
いきなりのお耳汚し失礼いたしました。先程の彼女からの鳩尾への一撃は大変私を苦しめました。
こんなデートをしているのは、恐らく私達二人ぐらいのモノでしょう。
テーマは“狩り”です。一方的です。泣きたくなってきました、いえ、見栄を張ってしまいましたね、・・・

0

2070年のドライブデート

17/10/15 コメント:0件 与井杏汰

静かな山道をスマートビークルは快調に走っていた。
右側座席にタケシ、左側にはナオミが座っていた。
 「ねぇ、知ってた? 50年前はね、僕の席が運転席で君の席は助手席って呼んだらしいよ」
 「おじいちゃんに聞いたことある。人がビークルを運転してたんでしょ?」
 「そう。助手席ってことは運転を手伝ってたのかな?」
 「ビークル運転するのに2人って大変ね」
ナオミは笑・・・

0

たじろぎのいやん

17/10/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

「いやん」
 はずかしさに、顔じゅうまっかになりながら楓は、風のいたずらに舞い上がるスカートを、あわてふためいておさえつけた。
「モンローみたいだ」
 そばからひやかす健介の肩を、「ひどい人ね」とぽんと叩くしぐさがまた、このうえなく初々しかった。
 明るい陽射しがふりそそぐ休日の公園はかれらのような恋人たちのたまり場だった。
 健介によりそいながら歩く楓は、ひらいたば・・・

0

夕暮れの膝枕

17/10/15 コメント:0件 鞍多奥夜

 日が傾き空が茜色に染まる頃。
 ある遊園地の一角、大人が三人以上楽に座れる長椅子を、二人で占有している若い男女がいた。少女は椅子の端に腰掛けている。少年は椅子の上に横になり、頭を少女の膝に乗せている。俗に言う、膝枕というものだ。
 少女の手がやさしく少年の頭を撫でる。その少女は少年を見つめ笑顔を浮かべている。
 ふいに少年が目を開ける。突然の出来事に、少女はそのままの姿勢、その・・・

0

再会

17/10/15 コメント:0件 鹿田守拙

電車を待って、電車に乗って、約束の時間に、約束の場所へ行きました。屋根が見えないほど高いビルに囲まれて、目が眩むほど商品が並んでいる商店が一軒一軒と並んでいて、道に迷うことを、ちょっと心配していました。赤信号が青信号に変わって、人込みに埋もれている私は、彼女が今どんな人になっているのかと思うと、胸がワクワクにしました。
こんな気持ちを持ちながら、いつの間か約束の場所に着きました。「おー、こっ・・・

0

デートの相手

17/10/14 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 ルームシェアの相手カナコが、部屋に入ってきた遊佐を、暗い顔で迎えた。
 遊佐はもちまえの勘の鋭さを発揮して、
「なにかあったのかしら」
「ゆさ、悪いとは思ったけど、胡桃丘さんのこと、あたし調べてみたの」
 遊佐は一瞬、眉をひそめた。がすぐ平静をよそおって、
「どうして調べたの」
 その問いかけに二種類の意味をくみとったカナコは、まずひとつめから切りだした。

0

黒猫である私は、幸せを運べはしないのだろうか。

17/10/13 コメント:0件 のあみっと二等兵


カタカタと窓枠を揺らすと、彼は目を覚ました。そしてゆっくり起き上がって窓を開けてくれる。私はその隙間から身体を滑らせて、彼の───次郎の膝上へ跳んだ。
「クロ、おはようさん」
ゴロゴロと喉を鳴らしてそれに応える。
布団から出ると、冷えたご飯の入った茶碗と、冷蔵庫から出したタッパー、そして小皿と箸を器用に持って小さなテーブルに置く。とてもゆっくりとしたその一連の動きを、おと・・・

1

好きって言ってッ

17/10/12 コメント:0件 ちりょう なひろ

 木ノ下くんと付き合って早一年が過ぎてこれまでなにほどでもないくらい平穏にしてきたけど私は限界で、だって木ノ下くんが一度も私に好きだと言ってくれないから私、不安。結構、数抱かれてるからもしかしてセフレかしらんと疑うくらいに超・不安。私は会うたびに好きって言うのに木ノ下の野郎は俺もだよ、で片付ける。というか最近なんか、またそれかよって感じで無視かましてきやがって、それで、もうピークッ。
 今日・・・

1

愛すべき愚か者たち

17/10/12 コメント:0件 向本果乃子

脱ぎ捨てた下着を拾いながら胸が苦しくなって二度と会わないと誓う。何度も破った誓い。抱き合ってる時は泣きたいくらい幸せなのに、やっぱりこんなに苦しくなる。だからもう絶対会わない。笙にそう言ったら鼻で笑うだろうな。
「何か飲む?」
「ビール」
冷蔵庫には彼が好きだという銘柄のビールがいつも冷えてる。そういうのが駄目なんだと笙は言う。だから全部自分で飲み干してしまおう。そしてもう買わな・・・

0

17/10/11 コメント:0件 

 もはや決まっている。もっとも親しい友人は打ち首でさらされて、古くから従ってくれ
た仲間とも別れた。負けるから別れたのではなくって、自分と合わないから去っていった
だけ。それはもう、あばよといって気持ちの良いものですらあって。

 時代に負けた。だが最後までつきあってやろう。それが自分だ。友が討たれたからとか、復
讐の心やらでここに立ってはいない。冬があければ、おしま・・・

0

やまとなでしこ

17/10/11 コメント:0件 薬包紙

「佳乃、ちょっと話がある。入るぞ」

「今晩はもうよしていただけない。明日の支度がありますから」

「そんなもの、話を聞きながらでもできるだろう」

「ご冗談でしょ。朝一に英学の小試験を控える身です。もういっぺんらっておきたいの。そうでなくても今日は誰かさんの連れていらしたお客のお相手を強いられて、ずいぶん無為に過ごしてしまったことだし」

「へらず・・・

1

モグラと少年

17/10/11 コメント:0件 薬包紙




土の中からヒョッコリ

顔をのぞかせたモグラ

日光浴してみようかなんて

柄にもなく

そう 柄にもなく




はじめて浴びた8月の陽射しは

容赦なく烈しくて

目がつぶれたモグラ

のたうちまわる

ひとたまりもなく

そう ひと・・・

0

母校

17/10/11 コメント:0件 瀧上ルーシー

 恋人の陽子とバイクに二人乗りして海まで出かけようとしていた。
 お喋りな彼女は俺の後ろに乗って、聞えるように怒鳴ったり耳元で囁いたりする。大好き、と耳元に愛情表現をされた。それくらいの言葉では驚かないが、身体の中心が温かくなったような気がした。
 冬にバイクに乗るのは寒い。俺も陽子もダウンジャケットに皮の手袋までした格好だ。
 海は陽子が好きな場所だ。夏になれば毎週のように泳ぎ・・・

0

日日草ニチニチソウ

17/10/11 コメント:0件 桐生 舞都

「あのさ、私の名前って、颯人はやと君が付けたんだよね?」

晶里ひかりはこの日、植物園で六歳年上の彼氏とデートだ。
颯人は、ベンチに座って蝶々でも眺めていそうな、どこか不思議な人。
今なんか、植木鉢のお花畑を夢中になってカメラで撮るふわふわした姿がとても似合っている。
彼はレンズから目を離して晶里の方に向き直ると、にこにこして言った。

「半分正解。おばさ・・・

1

いろどり花見弁当

17/10/10 コメント:0件 蒼樹里緒

 昔から、弁当ってものにはあまり馴染みがない。小中学校時代は給食があったし、弁当を持つのは遠足とか運動会とか社会科見学とかの行事の時くらいで。母さんが俺のために手作りしてくれたのは、小学校の頃までだった。
 色々あって親父や母さんとは会話らしい会話もほとんどしなかったせいで、食事の思い出といえば、実家よりも従妹一家とのほうがずっと多い。俺と従妹の弁当を作ってくれたのは、叔母さんだった。家同士・・・

0

世界樹の塔と不死鳥の種

17/10/10 コメント:0件 リードマン

“狩人”
決まったカタチをもたない、無意識の塊。コレクター気質。最近のご馳走は“死者の吐息”。

私達の暮らす塔に、また奴らがやって来た。
“夢の旅人”とは永遠の生者である一方、数え切れぬ程の“死”を通過している死者でもある。
奴らにとっての格好の標的足りえるのだ。
今日この頃は恋人達の家族を招いてのお家デートの真っ最中である。
家主でもあり番人でもある私・・・

1

デート攻略法

17/10/09 コメント:0件 風宮 雅俊

「あのー・・・、よく当たる占い師と聞いて来たんですけど・・・」
 三十前の女性。ラストチャンスではないにしても、色々と意識している年ごろ。が、滲み出てしまっている。
「よくではなく、必ず当たりますよ。どうぞおかけ下さい」

 テーブルの上に置いてある水晶球に釘付けになっている。
「綺麗ですね。本物ですか?」
「水晶から削り出している物ではないですが、水晶とほぼ一・・・

1

ゴースト・デート〜太陽フレアの波打ち際まで〜

17/10/09 コメント:2件 クナリ

 僕と幼なじみで、同じ高校二年生のカナミが車に轢き逃げされて死んだのは、僕とカナミの家の間にある路地だった。
 車が一台どうにか入れるくらいの幅で、よく車を避けきれない歩行者が轢かれている。
 真冬の冷たい道の上で、カナミは二週間ほどかけて、何度も色んな車に轢かれながらゆっくりと道路になっていった。
 誰も遺体を片付けようとはしなかった。生きているならばともかく、死体を片付けると・・・

1

究極の100円デート計画

17/10/09 コメント:2件 葵 ひとみ

 会社員のサトシは休日にフラリと用もなく手ぶらで入った100均セリエの中で考えていた。

サトシには付き合って5年目の彼女サトコがいる、同じ会社の社内恋愛だ。
しかしサトシは薄々サトコが恋愛の倦怠期に入っていることに気がついている、
5年も付き合えばほとんどのデートコースは制覇してしまうことが理由の一つだ。
男としてはここで何か捻ったアイデアのデートコースをださないと・・・

0

ラブラブなあたしたち

17/10/09 コメント:0件 ちりぬるを

 おはよう雄一! 最近お仕事忙しいのかな? なんかすごい疲れた顔してたよ。でも昨日は久しぶりにあたしとの時間を作ってくれてすっごく嬉しかったの。しかも前からあたしが行きたいと思ってたお店だなんて……雄一って超能力者? カルボナーラとっても美味しかったけど、雄一の注文してたピザも食べてみたかったなぁ。
 今日もお仕事の後で会えたら嬉しいな。なんてわがまま言っちゃダメだよね……。今日もお仕事がん・・・

ログイン