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  2. 第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】

今回のテーマは【事件】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/11/06

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/09/11〜2017/10/09
投稿数 67 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 今回のコンテストは、ここ最近で一番充実したものになったと思います。特に入賞作品は、独自のテーマ性に加え、テンポの良さやエンターテイメント性を兼ね備えた作品が多く、「事件」というテーマにふさわしい作品が多かったのではないでしょうか。読んでいてとても楽しかったです。かなり完成度が高いと感じる作品がいくつかあり、いい意味で予想を裏切られました。『白雪姫の毒リンゴ』—――これはシリーズものですね。田舎ののどかな雰囲気の中、引き起こされた小さな事件の顛末と、その中に垣間見える主人公の落ち着きと、田舎特有の人間関係の描写に魅力を感じました。『銀行強盗にはロマンがある』―――。銀行強盗と女子行員の出会いや、連続強盗の犯人がたまたま模倣犯に出くわすという二度のどんでん返しにインパクトがありました。他のテーマであれば、設定の現実性について気になったかもしれませんが、今回は「事件」というエンターテイメント寄りのテーマでもあるため、そこを含めて面白く読めました。『気持ちの整理』―――これは超ショートショートですね。他人事だったはずの出来事が見事に自分に返ってくるブーメランなオチが決まってショートショートらしい面白さがあると思います。『可能性探偵と消えた読書感文』―――これは『304号室』受賞作「可能性探偵の迷宮推理」に連なるシリーズモノですね。今回のハナガイさんは探偵らしく頭が冴えていて、その理由は最後に謎として残されていましたが、あるいは二人が別の関係性へと近づく暗示なのでしょうか。気楽な雰囲気で、キャラクターの関係性が伝わりました。『掌の』―――「大切なものはどんどん変わっていき、そのうち何が大切なのかもわからなくなってしまう」という一文に共感しました。いつの間にか本来の目的を見失い、感性が鈍磨し、先の見えない袋小路にはまってしまうことはよくあるのではないかと思います。溶けてべとついたアイスクリームからは、時間の残酷な流れと人生への幻滅が伝わってくるかのようでした。同じ青春を過ごしながらも、その後は一見真逆の人生を歩んだ二人の女性が、最後は同じような悲しい結末を迎えてしまうラストは切ないですね。

入賞した作品

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いつか忘れられてゆく運命だとしても

17/10/08 コメント:11件 そらの珊瑚

 古いコンクリートの壁はあちこちがひび割れて、中でも二階と三階の間の踊り場の壁に出来た亀裂はとりわけ深く長く、途中で三つの筋に分かれている。それを眺めるたびいつも川みたいだと思う。階段を昇ってきて、座って乱れた息を整えながら、赤ん坊だった娘と私と夫が、文字通り川の字になって寝ていた頃を思い出す。娘の世話に夜も昼もなく明け暮れていた頃、私の願いは思う存分眠りたいという事だけだった。あの頃の私は、それ・・・

3

じけんのかみさま

17/10/03 コメント:2件 秋 ひのこ

 ビルとビルに挟まれた小さな神社の前でスギノは足を止める。
 赤い鳥居に続く参道は短く、本殿も小ぶり。名所でも何でもない、どこにでもあるまちの神社に見えた。
 上司のヤベからこの神社の話を聞いたのは、昨夜のことだ。国内大手のA新聞社社会部でスクープを夢見る新米記者スギノは、日々の雑務と叱責で早くも心折れそうになっていた。
 そこへ記者歴20年のヤベが「事件の神様って知ってるか」と・・・

4

噤みの群れ

17/09/28 コメント:4件 野々小花

 あの事件が起ったのは、実咲が小学一年生の頃だった。近所の公園で、バラバラになった女性の遺体が見つかった。二週間後に廃材置き場で、その翌週にはスーパーの駐車場で、同じくバラバラになった遺体が発見された。逮捕されたのは、宇野清和という若い男だった。
 宇野は取り調べで罪を自供した。すでに、裁判で死刑が確定している。あの男が生きてこの町に戻ってくることはないとわかっている。それでもまだ、この町の・・・

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袋男事件

17/09/23 コメント:3件 クナリ

 ある晩夏の夜、私は新入社員ながら、随分遅い帰途についていた。
 駅から家までの道を歩いていると、街灯の少ない路地に出る。
 最近、近所で男子高校生三人が行方不明になる事件があったと聞いた。道の不気味さと相まってより不安が煽られる。
 道の先をふと見ると、二車線分くらいはある道路の左の塀沿いに、朧に人影が見えた。よく見えないが男性のようだ。こちらを向いて立ち止まっている。
・・・

3

緊急逮捕

17/09/18 コメント:2件 与井杏汰

その男が入った瞬間、支店内は凍り付いた。
明らかに銀行強盗だった。
覆面にサングラス、皮手袋には拳銃を持っていた。
最初に気づいた男性行員は即座に無音の非常通報ボタンを押した。
直後に「キャー」という悲鳴が店内の客から聞こえた。
覆面の男は、一番近い窓口に近寄ると、小さな声で言った。
 「金を出せ。2000万以上、すぐだ」

さすが窓口の女性行員は悲・・・

4

事件の表裏――それぞれの葛藤

17/09/16 コメント:2件 文月めぐ

 「ない」と気づいたのは、職員室に戻ってしばらく経った後だった。隣の席の本郷先生が「七時か」とまだ明るい外を見ながら呟いた時だ。俺も時刻を確認して「ですね」とでも相槌を打とうとした時だ。
 腕時計が、ない。
 あの時、プールサイドに置いたじゃないか、と一瞬で思い出し、俺は慌ててプールめがけて走り出した。「松岡先生、廊下は走っちゃいけないよ」と暢気な本郷先生の声も、今の俺には届かない。<・・・

最終選考作品

2

白雪姫の毒リンゴ

17/09/20 コメント:2件 田中あらら

 パフィンマフィンの礼子さんが昨日焼いたのは、アップルマフィン。信州の農家から取り寄せた秋映という品種は、シャキシャキ感、香り、甘み、酸味のバランスが素晴らしく、そのまま食べても美味しいが、おかし作りにも適していた。一口大にカットしたものをコンポートにし、生地に混ぜてオーブンで20分焼けば、アップルマフィンのできあがり。
 礼子さんは1年前、自宅の片隅を改装して菓子製造業の許可をとり、商号を・・・

2

銀行強盗にはロマンがある

17/09/15 コメント:1件 ちりぬるを

 身支度をしながら観ていたテレビから連続銀行強盗のニュースが流れてきた。その手口を紹介する再現VTRを鼻で笑いながら僕は家を出た。

 手足を縛られた状態でかれこれ三十分が経つ。目指し帽を被った男の狼狽ぶりは相当なもので、僕を含む人質全員がもう諦めて投降すればいいのにと思っていた。
 この犯人は巷で流行の連続銀行強盗に便乗した模倣犯だった。なにせ手際が悪い。人質を拘束している間に・・・

3

気持ちの整理

17/09/14 コメント:1件 林一

 殺人事件が起こった。その内容は、妻が夫の体を包丁で何度も切り刻むという、残酷極まりないものであった。
 犯人の事情聴取を担当になったのは、新婚の若い刑事である。
「どうして旦那さんを殺したんですか?」
「ちょっと待ってください。まだ気持ちの整理がついていません」
(何だよ、気持ちの整理って。こっちは早く愛する嫁さんのいる家に帰りたいっていうのに。さっさと話してくれよ)

1

可能性探偵と消えた読書感想文

17/09/12 コメント:2件 浅月庵

 脳が活性化しすぎて夜眠れなくなるからと、子どもみたいな理由でコーヒーを拒んでいたハガナイさん。
 そんな彼の実家からコーヒー豆が送られてきたので、せっかくだからと二人で味わうことにした。
「ハガナイさん、ちょっと聞いてもらいたい話があるんですが」
「それは私への事件依頼かな?」
「お金は出せません」
 彼は途端に黙り込むと、新聞に視線を戻す動きだけで私の質問を拒絶し・・・

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掌の

17/09/12 コメント:2件 向本果乃子

それはほんの偶然だ。落ち着こうとして、無意識に掌の中の小さな画面をいじっていた。眺めているだけで読んでなどいなかった。なのに彼女の名前を目にした瞬間、中学の放課後の空気が身体にまとわりつき、溶けて流れたアイスクリームの甘い匂いがふわっと鼻孔に香った気がした。

何があんなに楽しかったのだろう。涙を流すほどに笑い合いながら、いつまでも帰りたくなくて、このまま時間が止まってしまえばいいと思・・・

投稿済みの記事一覧

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寝ぐせ姫

17/10/09 コメント:0件 四島トイ

 寝惚けている。
 そういう自覚が、ある。
 だからありもしないものを見ている。お布団の中から。カーテンの引かれた薄明るい室内を。半眼で。
 姿見の前に一人の高校生女子が立っている。制服によって記号化された、化粧をしない、わずかに幼い、現在進行形の女子像が。
 紐タイを首に回す。赤く、血管にも似たそれが首元できゅっと締まる。襟を正すと輪郭が浮かび上がり、血が通い始めたような・・・

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大きな事件が起きるたび

17/10/09 コメント:0件 mokugyo

「何か大きな事件が起きるたびに、その情報を追ってしまう。とかく、自分自身の好奇心をどうにかしたいものだ。先日も、大都市で500人以上が犠牲になる銃乱射事件が起きた。こんなことはあってはならない。そう思うのと同時に、なぜ犯人はこんな事件を起こしたのか?動機は?手段は?思わずネットで検索してしまう。ああ、どうにかしたいものだ」

私は道端で独り言をつぶやきながら歩いていた。

・・・

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起きた事件だけが呼ぶ

17/10/09 コメント:0件 むねすけ

 深夜の取調室にカタカタと埃まみれの扇風機が小刻みに揺れていた。
 不衛生だなと、通された男は思った。埃ってやつは毎日追い出してやらないとね。追いかけっこに勝つのが警察の仕事でしょう。スタンドライトが点けっぱなしで尋問の武器のためなんだなと、男は刑事ドラマの登場人物になれた気分だった。これから始まる取り調べ、自分の明るくはない未来に抗うこともなく、弁護士呼ぶまでなにも喋らんと、作中キャラのセ・・・

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事件をください

17/10/09 コメント:0件 いちこ

とある週明け、困ったことが発覚した。
「事件がない」。
俺たち週刊誌編集部員にとって、これは大事件であった。
事件や事故について、新聞やニュースでは流さないような情報を集めているのだが、その事件や事故が起きていないのだからネタがないのだ。

編集長を含む俺たち五人は、ひとまずミーティングをすることにした。
「記事ができそうにないってことだが、本当にそうなのか?」・・・

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来世で逢いましょう

17/10/09 コメント:0件 要崎紫月

 暗く長い、出口の無いトンネルにいる様な入院生活から、私は元の生活に戻る事が出来た。年齢も年齢だ、このままベッドの上で生涯を終えると思っていた。神からのギフトを受け取りながらも妻の亡き今、自宅に戻っても一人きりだった。
 退院から二日程して一人の若い女性が私を訪ねてきた。彼女は薄いブルーのワンピースに白いカーディガンを羽織り、つばの広い帽子を被っていた。それは真夏の外気の中で、涼やかな風を纏・・・

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刑事ハワード

17/10/09 コメント:0件 佐川恭一

 事件が起きたのは2021年11月27日午前9時11分のことだった。事件は突然に起きた。そのときのことをスズキは鮮明に覚えているという。
「あの日はひどい嵐でした。暴風警報とかが出ていました」
「なるほど」
 刑事のハワードが神妙に頷き、手帳にメモを走らせた。ハワードのペンは一万円から三万円のあいだぐらいのブランドものの高級ペンである。
「暴風警報とかが出ると、娘を保育所か・・・

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なにかの始まり

17/10/09 コメント:0件 OSM

 虐められている人間からすれば、きついか・きつくないかの区別をつけること自体ナンセンスなのだろうが、谷崎さんがクラスの男子から受けている虐めは、明らかにきつい虐めだった。女子を相手に、男子が数人がかりで暴力を振るうのは、いくら手加減をしているといっても、やりすぎ以外のなにものでもない。
 谷崎さんの周りの人間は、誰も虐めをとめようとはしなかった。担任教師も、僕を含むクラスメイトも、誰一人とし・・・

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消えた少女

17/10/09 コメント:4件 泡沫恋歌

 山間の小さな村で十二歳の少女が失踪した。
 人口千人に満たないこの村では、ある宗教団体が全ての権限を握っていた。代々この地で生まれた美しい少女を姫巫女様(ひめみこさま)と呼び大事に育てる風習がある。姫巫女に選ばれた少女は、一生結婚することも村からでることもできない。ただ神様の審神者として神事を司るためだけに、一生を捧げなくてはならないのだ。
 失踪したのは、次の姫巫女に選ばれた神代亜・・・

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事件はそこでも起きている

17/10/09 コメント:0件 宮下 倖

 年季入ってるっすね、と感心したような呆れたような声が大泉の上から降ってきた。
 顔を上げると、横を一度行き過ぎた相葉が二歩ほど戻り大泉のデスクの上を指さしている。その先には、色が抜け、よれよれになったデニムのペンケースがあった。
 サイドについた大きめのタグに「5-1おおいずみたかし」と書いてあるのを目敏く見つけた相葉は大仰にのけ反った。
「まじっすか大泉さん! それ小学生のと・・・

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For whom is death?

17/10/09 コメント:0件 黒江 うさぎ

 町から離れた山道。
 ツタの絡んだガードレール。
 その根本に、花束を添える。
 あの子が好きだった、アザレアの花。
「…あいつが好きだった花か」
「…うん」
「じゃあ被ってねぇな」
 隣に立っていたあいつはフゥーと煙草の煙を吐き、ビニール袋を花束の側に置く。
 中身は、多分マカロン。
 あの子が一番好きだったお菓子。
 私は膝を折り、・・・

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夜の異変

17/10/09 コメント:0件 みーすけ

 私は走った。ひたすら走った。
 無駄だとわかっていたが、それでも走らずにはいられなかった。

 小一時間前、私は一人で夜の街路を歩いていた。仕事先からの帰り道ではなかったし、散歩に出ていたわけでもない。これには理由があるのだが、それは後で述べる。
 とにかく、私が歩いていると、ある事件が起こった。それは奇っ怪な事件であった。
 先立っていうと、まず、被害者はいない。・・・

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くだらない大事件

17/10/09 コメント:0件 夏野夕暮

 入社して六年、経理マンとして生きてきた僕だったが、あろうことか営業部門へ異動を命じられた。赤字が続く我が社にとって、営業力を高めることは急務だったそうだ。
 けれど、今さら営業だなんてまったく出来る自信が無い。入社一年目に軽く営業の仕事は教わったものの、あまりにも仕事が出来なかったがために経理に回してもらったくらいなんだ。営業の向いてなさは自分がよく知っている。
 しかし、無情にも異・・・

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C Police incident report No.1394

17/10/08 コメント:0件 みや

私がCポリスに配属されてから一年が経ったが、こんなに残忍な殺害現場は久しぶりだった。住宅街の道路に無造作に転がっている遺体は水責めにされていて、鈍器で何度も強打され内臓が飛び出していた。遺体を確認した私は掛けられていたブルーシートをもう一度掛け直した。

先に駆けつけていた犯行現場近くの派出所の警察官が私に近寄って来た。
「お疲れ様です。通報者は遺体発見現場の道路の目の前の家の隣・・・

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から揚げがない

17/10/08 コメント:0件 木原式部

 今日は春香が待ちに待っていた遠足の日。お昼になって春香がお弁当箱を開いた時、その「事件」は起きた。
(から揚げがない!)
 春香がお弁当箱を開けると、弁当箱の右上の部分に何も入っていない。そして、お弁当の中をいくら見てもから揚げがなかった。
 春香はから揚げが大好物だ。一週間前から母親に「お弁当にはから揚げを入れて!」と言ってある。だから、母親がから揚げを入れ忘れることはないだ・・・

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教科書の家出

17/10/08 コメント:0件 鈴木 案菜

彼女の国語教科書がなくなったことに気がついたのは、放課後だった。教科書は自分のカバンや机には見当たらなかった。彼女はひどく焦った。部活の先生には事情を説明し、教科書探しに精を出した。
教室のロッカーや教卓、掃除用具入れ、トイレ、ゴミ箱など思い当たるところを探したが皆無であった。日は暮れてきて、部活をしていた生徒たちが帰宅の準備を始めていた。
彼女は事の顛末を国語教師に話し、教科書が見つ・・・

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嗚呼、愛しのアホどもよ

17/10/08 コメント:0件 ヒカゲヒナタ



それは突如としてもたらされた

「おい、聞いたか。来年から女子のスカート丈が長なるんやって」

思いも寄らぬ情報に、校内の男子達は驚愕した。この学校は近隣の学校と比べてもかなりスカート丈は長い方なのでそんな事は起こり得ないと誰もが思っていた。というよりもスカート丈が長くなるなんて発想自体が存在しなかった

「大事件やないか!!」

勝・・・

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歴史書に、僕たちの悲鳴は残らない

17/10/08 コメント:0件 冬垣ひなた

『あなたの秘密を知っています』
 郵便受けの手紙が告げた脅迫は、僕の17年に至る波乱の人生をさらに揺さぶるのに十分だった。


 革命により王制が崩壊し、富は市民に流れた。正確に言えばごく一部の市民に。十数年が経ち、いびつに成長した街には無数の工場が汚水と黒煙を流す。
 そんな俗世とは無縁に、白亜の館が佇む姿は異様だった。富の象徴たるこの市庁舎は、美しさとは裏腹に、今・・・

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一億総出歯亀社会

17/10/07 コメント:0件 本宮晃樹

「おい根岸」俺はデスクにふんぞり返った。「度肝を抜くようなネタをすっぱ抜いてきたんだろうな」
 やつは比喩的な意味でなく、実際に縮んだように見えた。首をすくめて、「あのう、それが実はさっぱりでして」
 盛大なため息をつきつつ、「俺たちの雑誌は――?」
「クソであります!」しゃちこばって敬礼した。ばかみたいに見えるだろうが、これがうちの合言葉なのだ。ゴシップ専門の零細雑誌社なんてこ・・・

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痣を持つ子供達

17/10/07 コメント:0件  浅縹ろゐか

 或る日、世界中で痣を持った赤ん坊が生まれるようになった。原因は、不明。痣の位置は様々であるが、命に別状は無い。母体も赤ん坊も健康そのものである。ただ、生まれつきの痣があるということ以外は。痣を持った赤ん坊が生まれたのはたった1年だけで、その後は生まれることが無かった。

 「如何です? 進捗の程は」
 そう訊ねてきたのは、上司であるタニウラ女史である。女性と男性が平等に働く様に・・・

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すっぽんと最後の事件

17/10/07 コメント:0件 藤光

 A区の路上で発生した通り魔殺人事件の捜査は行き詰っていた。
 現状を打開するために、捜査本部の置かれたA警察署を訪ねると受付で出迎えてくれたのは小柄で半ば白髪となった男性警官だった。古い顔なじみに私が「榊さん、しばらくでした」と頭を下げると、警官は「本庁の捜査一課長にそんな挨拶をされたんじゃ居心地悪いや。よしてくれよ」と恐縮した様子で肩をすくめた。
 私の知っている榊さんは、刑事一・・・

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おおかみかあさん

17/10/07 コメント:0件 秋 ひのこ

 大事件、大事件よー。電話の向こうで録音された母の声が跳ねる。
 だいじけんよ、は母の口癖だ。雪が降っても大事件、スーパーで大根が1本50円でも大事件。子供の頃から20年以上聞かされ続け、それが大事だったためしは1度もない。
 ヒロミは二日酔いの頭を抱え、留守電を消した。頼むから用件を言ってくれ、と苛々する。
 e-mailを確認すると、先日応募した会社の不採用通知が届いていた。・・・

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灼け落ちた星で

17/10/06 コメント:0件 ドーンヒル

 命を終えた星のように冷めた社会で好まれたのは、数少ないエリートが叫ぶ正義ではなく、宇宙の理に習った乱雑と混沌だった。奥底で燃える感情を爆発させ、犯罪に手を染める人は増える一方だったが、被害者を除いて騒ぎ立てるのは、野次馬か、灼け落ちた正義にしがみ付くジャーナリストぐらいだった。
 司法官憲としてのキャリアに終止符を打つ日がやってきた。朝刊の事件スクープに目を通すと、流行りの誘拐ネタが取り上・・・

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罪人の独り言

17/10/05 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

俺の罪ってなんだろうなぁ、もしかしたら生まれたことかも知れねぇぜ。

俺は3時間ほど前に5人ほど殺した。
どいつもこいつも、偽善者ズラした詐欺師共だ。正義のヒーローになりたいと強く願った俺は正義のヒーローの面を被った犯罪者となった。
人の善意を利用して自分だけが金持ちになろうって奴は、死ぬべきだと思ったし、だからこそ、こんなことをしたんだよ。
そうとも、勿論制裁は俺の・・・

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17/10/04 コメント:0件 

 この石はいいものですか?

 これはメノウかなにかだね、そんなに良いものではない。ありふれた

どこにでも落ちている石だよ。

 なんでこんなに輝いているの?

 それは川かなにかで流れて、どこにもとどまらずに、それを繰り返して

小さくなりながら表面だけは摩擦によって滑らかに磨かれていくからなんだ

。どんな石だって、磨け・・・

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最大多数の最大幸福

17/10/03 コメント:0件 柘榴

 僕の小学校時代、クラスでは日常的に事件が起こっていた。
 いじめだ。閉鎖的な教室の中でいじめという事件が黙認され、実行され続けていた。
 いじめられていたのは1人の女子生徒だった。
 彼女は鶴見さんという名前で親からの虐待を受けており、毎日痣だらけで登校するような生徒で悪い意味で目立っていたと思う。
 彼女のその弱りきった姿を見た誰かが追い打ちをかけるようにいじめを始めた・・・

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残り湯

17/10/03 コメント:0件 川淵 紀和

 一人暮らしを始めて半年、節約のつもりで頼子は翌日追い炊きで済むように、洗浄剤を湯の中に落とした。実家では毎日湯を変えていたので、初めての経験である。入浴剤ほどの迫力はないが、小さな錠剤からぷくぷくと無数のあぶくが湧き出てくるのを面白がって眺めていた。しゃがんでバスタブの縁に顎を乗せ、空気ポンプに集く金魚のような心地でいると、塩素の臭気をわずかに感じた。けれどいやらしさを抱くどころか、なぜか懐かし・・・

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悲劇のヒロイン

17/10/02 コメント:0件 柘榴

 5年前、僕の幼馴染が誘拐された。公園で、僕の目の前で。
 捜査は難航し、今でも彼女は見つかっていない。
 彼女は僕の目の前で男に連れ去られた。責任を感じた僕はショックでしばらくは食事も出来ず、外にも出れなかったが、5年という歳月が僕の心を癒した。
 彼女には悪いと思うが、高校生らしく友達も作り、部活に打ち込み、そして彼女もできた。
 けれど何人違う女の子と付き合っても、幼・・・

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ドラマチックな恋愛

17/10/02 コメント:0件 和倉幸配

 彼と付き合い始めて、もうすぐ六年になる。

 今でも毎週、休みの日にはデートをしている。でもそれは、朝起きたら顔を洗うのと同じで、もはや習慣みたいなものだ。
 付き合い始めた頃は、前の日からワクワクして一晩中洋服選びをしていたが、最近ではそんなこともすっかりなくなっていた。

 いわゆる倦怠期というやつだろう。
 大学時代に交際がスタートして、二人とももう二十・・・

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血肉とサイリウム

17/10/02 コメント:0件 柘榴

 残虐な事件が起こった。落ち目のアイドルの頭部に人気グラビアアイドルの胴体、更に人気モデルの手足を接合した死体を1人の男が造り上げた。
 俺は刑事になぜそんな事をしたのかと嫌というほど問い詰められた。
 答えはたった1つ、俺が最期に彼女を輝かせるための「プロデュース」するためだ。
 その過程を、犯人でありプロデューサーの俺が説明しよう。


 アイドルプロデュー・・・

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白い森に彷徨う

17/10/01 コメント:0件 待井小雨

 白い森にいる。私はここから出られない。
 私は死んだばかりで疲れてしまって何もしたくはない。なのに私の手は一本の腕を掴んでいて、それを離そうとはしないのだ。
 腕の先に胴体はない。
 だけど腕の主が私を責めているのは感じ取れる。声がするから。
(――お前のせいでこんな姿になってしまった)
 その声は真上の樹の枝から降りてくる。……ああ、そこから見ているのか。そこから・・・

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セブンティーンズバスジャック

17/09/28 コメント:0件 むねすけ

 右目の定期検診を終えて、寂しがりな思い出をひきずりながら病院内の喫茶店に入った。
「見えたところでそう言ってね」 
 ばあちゃんちの怖い日本人形と同じ黒髪をした女医先生が微笑んで言った。口紅の赤は落下した椿を想起させる。なんてね。当時幼稚園の僕の代わりに、映画的情景描写ってやつ。
「新幹線座りしてね」
 回転する丸椅子に正座で座ることを、なんで新幹線座りなんて言ったんだろ・・・

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彼の告白

17/09/26 コメント:0件 笹岡 拓也

「俺に近づかない方がいいよ。俺は原沢団地殺人事件の犯人の息子だから」
彼は私に告白した。今まで多くのことを語ってこなかった彼の言葉は想像以上に重かった。
原沢団地殺人事件は私が産まれてすぐに起きた事件。事件発生から十六年が経った今もなおニュースで時々特集が組まれるほどの大きな事件だった。
「え。でもまだ犯人って捕まって...」
この事件はまだ犯人が捕まっていない。ここまで大・・・

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魔法の切れた麦茶

17/09/25 コメント:0件 ケイジロウ

 いつも通りどこかでは悲惨な事件が起こっているに違いなかったが、三郎にとってはそんなことどうでもよいことであった。目をあげると今日中に収穫するレタスが永遠に並んでいるのであった。
「おーい、一服するぞー」
 遠くの方からのオヤジさんのしゃがれた声が、自動操縦化していた三郎の手を停めた。三郎は収穫用のナイフを鞘に収めると、他のバイトたちとともに、オヤジさんやオフクロさんのもとに向かった。・・・

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アウトサイダー堕落論

17/09/25 コメント:0件 けこぼ坂U介

 警ら中の警官二人が、ハハッと同時に笑い声を上げた。深夜二時。街灯に照らされて中年の男がポツンと立っている。下は何も穿いておらず、下半身が丸出しだった。「マル精ですかね」と言いながら、運転していた若い巡査がパトカーを停めた。
「どうしたの? そんな格好じゃ風邪ひくよー」
警官に囲まれた男は逃げる素振りも見せず、じっと前を見つめたままだ。
「とりあえずパトカーで話聞こうか」
・・・

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ハイジャック・ヒーロー

17/09/23 コメント:0件 与井杏汰

 「機長に言え。この機は乗っ取った」
ナイフを首元に突き付けられたCAは、ゆっくり通路を前に進み通話機を手に取ると機長に状況を伝えた。

「アジアスター航空でハイジャック」の一報は、管制官、警察、マスコミと瞬時に伝えられ、すぐに国民の知るところとなった。テレビ各社は午後の生番組で速報を伝え、乗客が撮影し機内wifiで送信した画像に騒然となった。

 「犯人は単独か?」・・・

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記者のわきまえ

17/09/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 女性記者の、社内でも評判の美人、マナミにむかって編集長は、
「いいか、トイレの屁は事件にならないんだぞ」
 と、まくしたてた。地方の新聞社に勤務して一年目、まだろくな記事しか書けない彼女を、これでも叱咤激励しているのだ。
「トイレの屁は、事件にもニュースにもならない」
 なるほど、トイレイコール屁は、あたりまえといえばあたりまえだ。珍しくもなんともない。するとじぶんはこれ・・・

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17/09/20 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 この町の交番に着任して一年がたちました。私、平野啓司は意気込みにもえてこの僻地の交番にやってきたのですが、山と川に囲まれたここは、どこの家も戸締りをしなくてもかつて一件たりともコソ泥に入られたためしがないというぐらい、都会からみたら考えられないぐらい平和なところでした。
 事件を期待するのは警察官にあるまじきことですが、こう平穏な毎日が繰り返されるとたまには、なんでもいいから事件がおこって・・・

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蜂蜜の朝に濡れる

17/09/18 コメント:0件 吉岡 幸一

「蜂蜜がなくなっているの。昨日デパートで買ってきたでしょう。今朝、パンにつけて食べようと思って棚を開けたらないのよ」
 妻は冷蔵庫や棚やテーブルの上を探りながらテレビを見ている夫に言った。
「俺は別にジャムでもいいよ。苺ジャムなら冷蔵庫に入っているだろう」
「たしか寝る前はテーブルの上にあったと思うんだけど……」
 よほど気になるのか四つん這いになった妻は、キッチン下の棚か・・・

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元凶はだいたい身内

17/09/18 コメント:0件 蒼樹里緒

 旅の醍醐味、その一。宿屋に泊まること。
 姉と二人で各地をめぐるうちに、旅館や民宿、温泉宿などを見て回るのも楽しみのひとつになりました。
 今回泊まるところは、天井の隅に蜘蛛の巣が張られていたり、ベッドがガタガタに軋んでいたりはしないので、当たりのようです。いくら宿泊費が格安だからといって、外観からしてあまりにも寂れた宿を選んだ過去は失敗でした。今となっては良い教訓ですが。
 ・・・

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変貌

17/09/18 コメント:0件 蹴沢缶九郎

あるマンションの一室で、その部屋の住人である男の遺体が発見された。遺体には事件に巻き込まれた形跡はなく、また、生前の男の様子から、病死の可能性も低かった。

現場検証を行っている鑑識を、ベテランの刑事が見つめている。そこへ、聞き込み捜査から戻った部下が報告した。

「近隣住人の話によると、男を最後に見掛けたのが約一ヶ月前、男に特に変わった様子はなく、性格に難があった訳でも、・・・

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大事件勃発

17/09/16 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 はじめてこの町にやってきた日、僕は飲料水を買いにスーパーに入り、そこで万引きを目撃した。だぶだぶの服の太った女で、商品棚をゆききしては、品物を物色するわりには買うそぶりを見せず、もうそれだけであやしいと僕はにらんだ。はたして、女は洋酒の壜を手にとるなり、すばやく胸元にこじいれた。つづいて二本めもおなじく胸のなかに。ほかにもいろんなものを、ポケットにまた、下腹部にとつぎつぎとしのびこませていった。・・・

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人が次々と死んでゆく。そして、ついに僕も……。

17/09/16 コメント:0件 ちほ

グリーンゲート音楽院には、世界中から音楽においての天才児が集められている。中世ヨーロッパ時代の巨大な城を幾つも連ねているような重厚な建造物で、生徒たちのために用意されている楽器……例えば、ピアノの数は2000台もあるとの噂が流れている。音楽室の全てが、完全防音システム付きで、生徒は好きな時間に楽器を奏でることが出来た。ここは全寮制。クリスマスの時だけ、帰国を許されている。家庭の事情で、帰国し・・・

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誰が何と言おうとこれは事件なのだ

17/09/15 コメント:0件 小峰綾子

最近の映画やドラマは「事件ありき」なのが気に入らない。今日見た映画も予告では期待できると思ったが残念な内容だったよなぁ。

「外的な要因によって二人の心がかき乱されたあげく結びつきを強くする、というストーリーが少し深みに欠けると思いました。突然ヒロインの親が離婚して、そのショックにより声が出なくなるなど、リアリティがありません。もっと二人の微妙なすれ違いや心の動きなど内面を丁寧に描いて・・・

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悪いのは誰?

17/09/15 コメント:0件 瀧上ルーシー

 小学五年生の山上達也は広い自宅で家庭教師の下勉強をしていた。
 小学三年生から私立中学に入るために親に家庭教師をつけられている。勉強の最中、本当なら放課後は他の小学生のように遊んで過ごしたかった。普通の幼少期の遊びを知らないで勉強して私立の中学を目指すことは果たして健全なことなのだろうか、そんなことを勉強中に子供ながら達也は思った。
 家庭教師の大学生の男は優しい。問題がわからなくて・・・

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アプリ起動。

17/09/14 コメント:6件 のあみっと二等兵

『何を検索しますか?』
最近面白いアプリを見つけた。スマホの操作に疎い俺は、自分のスマホに入っていたこれに最近気付いた。
タップするだけでなんでも答えてくれる。その声も自分好みに設定できる。失業し、実家暮らしだが、母親は数年間連絡をしなかった息子が帰ってきた事の方が嬉しいのか、暫くゆっくりしろと言ってくれた。が、出歩くのも面倒だし、暇潰しにもなるから、暇さえあればタップしているのだ。<・・・

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第六編

17/09/13 コメント:0件 小街

 ワイドショーはいつも能天気だ。いまここにある危機を伝えようともせず、どうでもいい政治家の口利きや芸能人の不倫、果ては盗聴までして有名人を晒し者にして喜んでいる。
 警視庁警備課の松井は同僚の石川と一緒に、昼飯にそばを手繰りながらカウンターの端にあるテレビを見ながらそう思った。そもそも僧侶が見つけた古文書を東大の偉い先生に鑑定してもらうために運ぶのをなぜ俺たち警察が警護するんだ?これは警備会・・・

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ターザン山本!先生、事件です!!!

17/09/13 コメント:2件 葵 ひとみ

 時空モノガタリ選考員

「ターザン山本!先生!!!今回の時空モノガタリ文学賞のテーマ「入賞」なのですが、

エントリーした作者全員の作品が全部入賞しています!?

何か?のコンピュータ・トラブルでしょうか!?これでは収拾がつきません!!!」








「ハッハッハ。私のことをまだよくわかってないようだ・・・

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♯連続殺人事件に巻き込まれたなう

17/09/12 コメント:1件 ちりぬるを

 朝早く関係者全員が広間に集められ、いよいよ名探偵による謎解きが始まった。
「今回の事件の鍵となるのはやはりこの密室でした」
 名探偵が手を後ろに組んでうろうろと歩きながら淡々と推理を述べていく。その様子を動画で撮影しながら私はにやけそうになるのを必死に堪えていた。名探偵は「今回の」と言った。一人目と二人目は密室内で刺殺され、三人目は全員にアリバイがある中殺されるという連続殺人だった。・・・

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野菊のバラバラじけん

17/09/12 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 秋になりました。
 森の小道に、白い野菊がさいています。
 うさぎさんは、野菊がだいすき。
 かわいい花をみて、たのしんでいます。

 今朝は、朝から雨がパラパラふっています。
「あめふりかぁ。早くやまないかなぁ。」
 うさぎさんは、空をみあげました。
 空は、どんよりくもっています。
 しばらくまっていたら、だんだん空が明るくなってきました・・・

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一刻の猶予も

17/09/12 コメント:0件 井川林檎

 修羅の道をゆく者は、死ぬことを恐れない。
 
 今、彼の宿泊する寺は敵に囲まれており、逃げることは叶わない。
 信長はどこだ、と怒鳴る声と激しい物音が響いてくる。
 ぎゃっ、という、斬り捨てられた者の悲鳴が聞こえた。

 まさに今、歴史を変える事件が起きている。

 襖を開いて蒼白の美少年が暗い部屋の中に進み出る。
 森蘭丸。彼もまた、死を恐・・・

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ある契約

17/09/12 コメント:0件 庵野丞 楽選


「どうして殺したんですか?」

「…………」

「もう一度聞きます。なぜ殺してしまったんですか?」

「すべてを終わりにしたかったから」

「どうして? 彼はあなたに良くしてくれたはずだ。殺す理由などどこにもないはず、そう思いませんか?」

「あんたに何がわかる? 人に会えば、口を開けば、みんなみんなあいつのことばかり。わたしは─・・・

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ものわすれ

17/09/12 コメント:0件 セレビシエ

ある朝、彼が目を覚ますと、大きな違和感が彼を包み込んだ。その正体はすぐに顕になって彼を高い崖から突き落とした。それで彼は急いで着替えると、玄関まで走っていき、靴は踵を踏んだ履き方で、そして玄関のドアに鍵もせずに大慌てで家から飛び出した。目的地までの最速移動方法を考えて、彼は始発の電車に飛び込んだ。電車の中、人はまだ疎らで、彼はこのときにはじめて呼吸をしたかのような感じに思った。けれども、心臓の鼓動・・・

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行けえっ!

17/09/11 コメント:0件 井川林檎

 事件である。エマージェンシーだ。
 一刻も早く、この深刻な事態を鎮めなくては……!
 


 攻撃技は、だいたい一日に三回。
 それ以上使っても無意味とされている。

 今回、わたしに使う事を許された攻撃技は4種類だった。
 (今回はまあ、多いほうだな)
 わたしは、ただ俯いて、説明を聞く。なんでもいい、どうせ聞かされても分からない。<・・・

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社長の夜逃げ

17/09/11 コメント:0件 風宮 雅俊

「警部、事件です」
「?どうした。なんのパロディーだ。絵画警察か?」
「え・・・・」
 吊るしのヨレヨレの背広姿でポカンと突っ立っている。
「つまらない突っ込みを入れるから、分からないネタで返されるんだ。まあいい。それで、何がどうしてどうなった?」
「どうして、伝わらないんですか?」
 そこでムキになってどうすると思うが、コイツごときに知らないと思われるのもシャ・・・

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被災地ボランティア傷害事件

17/09/11 コメント:0件 葵 ひとみ

 クールニュースでスマホに速報が入った――

「ただ今、国民的アイドルグループKASのメンバーのアナミンが大震災の被災地でボランティア活動をしていた握手会で何者かに切りつけられました」

私、竹田真也(たけだしんや)は慌ててSNSで一緒に今回のKASの総選挙で優勝すると予測されているマミミを一緒に応援していた鹿児島県在住のミナミさんにReinメールを送った。

・・・

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無差別惨殺事件テーマパーク

17/09/11 コメント:0件 葵 ひとみ

 ここでは、毎日、無差別惨殺事件が繰り広げられている。



背中を鋭利な刃物で切り広げられる者

バーナーで焼き殺される者

身体から脳味噌だけを引き出される者

皮膚だけを焼かれて身体を等間隔に並べられる者

鍛え上げられた筋肉を最期まで叩き壊される者


煮えたぎった腐敗した異臭の中で同胞と口が開いたま・・・

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