1. トップページ
  2. 第142回 時空モノガタリ文学賞 【 上司 】

第142回 時空モノガタリ文学賞 【 上司 】

今回のテーマは【上司】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/10/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/08/14〜2017/09/11
投稿数 50 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 今回のテーマは、案外難しかったのかもしれませんね。全体的にいつもよりおとなし目な作品が多く、差のつかないコンテストだったという気がします。職場とその周辺という場面に舞台が限定されてしまい、役割の中での人間関係に限定されてしまうため、ある意味では書きやすい反面、オリジナリティを出しにくいテーマだったのかもしれませんね。入選・最終選考の作品は、社会的な面や会社内での役割の影に垣間見える登場人物の人間的な部分に光を当てた作品に魅力がありました。ただそれらも突出して目立っていたわけではなく、他作品と質的には僅差だったのではないかという気がします。『高坂さん』‥‥‥自分の選択した仕事に対してやりがいが見出せず「世間体を取り繕い、食っていく収入を得るための手段」と割り切りはしても、どこかモヤモヤしてしまう人は結構多いのだと思います。そんな中でも「高坂さん」のアドバイスのように人の役に立っているという実感は人を強くするのかもしれませんね。素直に仕事の価値を説く内容で、その点で好き嫌いが分かれるところではありましたが、個人的には読後感が爽やかでした。『年功序列よ、さらば』ーーー「子供は作りたくない、そのくせ移民は嫌がる。定年は伸ばすな」というのは、現代の(一部の)大人の本音なのかもしれません。人手不足の対策としてや能力主義がより徹底されれば、優秀な若年者が上司となることもあり得る話で、そんな状況下で複雑な感情の交差する職場の人間関係がなんだかリアルでした。『完璧な上司』ーーー今回の上司という役割に絞ったテーマをうまく逆手にとった作品だと思います。主人公が描いた理想的な上司像とはまた別の高野課長の面。彼女はそれを目撃しながらもそのことに失望することはなく、逆に社会的な役割を全うする点に人間として共感するという、冷静な主人公の感情の動きがなんだか新鮮でした。地味だけれど人に対する観察眼がキラリと光る作品だと思います。『獣ボタン』ーーー脅迫するものとされる者、騙す者と騙される者。その立場が簡単に反転し得る点で印象的な作品でした。彼らの運命の不安定さは自業自得とはいえ切ない印象を残しますね。最後のどんでん返しが鮮やかでした。『障害者社会』ーーー社会風刺の効いた作品ですね。確かにここ数十年程の間に認知される障害の数が飛躍的に増え、有名人などでもカミングアウトする人もぐっと増えましたよね。障害と、単なる性格的な傾向性との間の線引きが曖昧なところはあるのでしょう。あまり簡単に障害という無敵の鎧を纏って閉まっても不便なのでしょうが、受け入れ難い性格も「〇〇障害だから」と割り切れれば、お互いに波風が立たないのかもしれません。皆がどこかでちょっと感じていることをうまくまとめた内容ではないかと思います。『デリシャステイスト』は、おじいさんのバイトが実は社長で、真面目なバイトの学生の努力が報われ社員に乞われるという、現代のシンデレラストーリーというか水戸黄門的なエンターテイメント性がある王道な作品だと思います。その分、オリジナリティに欠けるところはあるとの評価もありましたが、作者の主人公の「俺」の仕事に対する取り組み方や性格が真面目で好感が持てること、バイトの仕事内容が具体的かつ詳細でリアリティがある点によって、軽くなりすぎない要素になっていたところが良かったと思います。

入賞した作品

1

斜陽、あるいは黎明

17/09/11 コメント:2件 冬垣ひなた

「副工場長、生産ラインの稼働を来月から縮小する話ですが、工場従業員もリストラ対象ではないかと、皆動揺しています」
 東京出張中の工場長に代わり書類に目を通す滝谷は、製造部1課長の報告に耳を傾けながら、これまでの人生を振り返る。


 老舗電機メーカー傘下の工場に滝谷が就職したのはバブル崩壊前の好景気時であった。職場としては今も恵まれている。不況の折にも会社が業界のトップクラ・・・

3

俺の上司が異次元の迷子な件

17/09/10 コメント:3件 小高まあな

 深山凜子さんは、完璧に近い女性だ。
 アプリ開発を手がける会社に勤める俺の、上司だ。
 二十八歳で係長だし、作ったアプリはヒットするし、社長からの覚えも良い。優しいし、厳しいことも素直に受け入れられる言い方をしてくれる。背が高いし、スタイルいいし、美人。上からは一目置かれ、下からは尊敬されている。
 ただ本人にもどうしようもない、決定的な欠点がある。

 俺はパソコ・・・

1

社長、揺れています!

17/09/08 コメント:1件 吉岡 幸一

「社長、あの、それが揺れています」
 秘書が怯えたように指をさすと、社長は慌てて頭に手をやってズレていたカツラを元通りに整えた。
「あ、わかってると思うが、くれぐれもこのことは他の社員には内密にな」
「はい。もちろんですとも」
 秘書は目を見開いたまま何度も頷くと、我に返ったように目を閉じて今度は首を横に振った。
「違います社長、揺れているんですよ」
「地震か。・・・

1

秘密の恋

17/08/21 コメント:2件 木原式部

「じゃあ、これ、倉庫にしまっておいてくれる? 悪いね」
 上司の林課長はそう言うと、私に背を向けて部屋から出て行こうとした。でも、ふと思いだしたようにメモ用紙に何か書くと、私が持っている書類の上に置き、今度こそ部屋を出て行った。
 私は林課長が置いていったメモ用紙に目を通した。
 ――今日の19時、いつもの場所で。
 私はメモ用紙に書かれた文字を読みながら、思わず表情を緩ま・・・

最終選考作品

2

高坂さん

17/09/10 コメント:1件 藤光

 ぼくは何者でもなかった。
 自分の職業に警察官を選んだのも、犯人を捕まえたいとか、町の平和を守りたいとかといった積極的な理由からではなく、単に「ほかになれるものがなかったから」だった。やりたい仕事を見つけることができず、仕方なく警察に就職しただなんて失礼なこと同僚にも話したことはなかった。そのことが一層ぼくの孤独を深めていたのかもしれない。とにかくぼくは鬱屈していた。
 ぼくにとって・・・

0

年功序列よ、さらば

17/09/06 コメント:2件 本宮晃樹

「日下部くん」とガキが尊大そうな口を利いた。「この見積書、ちゃんと計算したのかね」
「したと思いますが」実はしてない。電卓を叩いてるといらいらしてくるからだ。
 チン毛も生え揃ってないガキが俺の血と汗の結晶をひらひらさせた。「こんな傑作は見たことないな。だってこれにしたがって作業すると20%の赤字になるんだぜ」
 さっと血の気が引く。「どこかまちがってましたか」
「自分で確・・・

2

完璧な上司

17/09/02 コメント:2件 野々小花

 高野課長はいつもヒールの高い靴を履いている。歩いても嫌な音がしないのはどうしてだろう。ゆっくりと歩くからかもしれない。私は履いたことがないからわからないけれど、上等な靴というのは、そういうものなのかもしれない。品の良いスーツが似合っている。毎日ヘアメイクもしっかりとしている。
 私とは、何もかもが違う。入社してから二年、ずっと無難な服を着まわしている。髪はひとつにまとめただけ。メイクはいつ・・・

2

獣ボタン

17/08/25 コメント:2件 浅月庵

 ◇
 ついに僕は、憎き蒲田課長を屈服させる“ネタ”を手に入れた。
 こいつを使えば、奴も観念するに違いない。そう確信していた。

 ーー課長は僕の呼び出しに応じ、神妙な面持ちで会社の屋上へと上がってくる。
「なにか用か?」
 僕はポケットから携帯を取り出すと、一枚の写真を画面に表示させた。
「課長、聞きたいことがあるんですけど。ここに写ってるの、課長と…・・・

2

障害者社会

17/08/25 コメント:2件 Sage.N

 あるところにある、ある会社のある課の課長が、ある太った平社員をみとめていった。
「君、近ごろ運動不足なんじゃないのかい?」
 すると相手は、キッと課長をにらみつけ、こういい返す。
「僕は、運動意欲低下障害という障害の認定を受けています。いまの発言は撤回してください。さもなければ、障害者差別で訴えますよ」
「す、すまん。そうとは知らなかった……」
 平社員がたるんだ腹・・・

2

デリシャス・テイスト

17/08/18 コメント:2件 瀧上ルーシー

 地元にあるファミリーレストラン、デリシャス・テイストの厨房でアルバイトをしていた。デリシャス・テイスト。略すとデリスト、とか、デイストとか言う。デリストは全国展開しているチェーン店だから、マニュアルがしっかりしていて、アルバイトでも月に一日や二日は有給が取れる。働きやすい職場だ。
 今日は先輩のアルバイトがサラマンダー前をやってくれるので俺はパスタやサラダ、デザートなどを作る係だった。サラ・・・

投稿済みの記事一覧

1

ゼロ距離フリーハグファイター

17/09/11 コメント:0件 むねすけ

 安原部長には何かある。
 私は来年勤続十年で役職がつくので、特にビンビンと感じるのである。
 優男風ではあるものの、中年らしく脂ぎっているし、鼻の毛穴は黒ずんで清潔感からは程遠い。お腹だって出ている。なのにだ、安原部長は人でありながら神に近い、そう社員から噂されているほど誰からも好かれ、部下に尊敬され、上司からの信頼も厚かった。
 際立って安原部長が秀でていたのは、人との距離間・・・

0

名前は唯野──

17/09/11 コメント:0件 ハジメ

「編集者になりたかったの?」

と、上司が言った。
乾杯のビールも飲みきらないうちの、様にならないタイミングだった。

「え?」

と、私は言った。
ざわつく地方の安居酒屋。
遠くで先輩が騒ぎ立ててる声がする。

上司はなんでもないような顔で枝豆をつまむ。
大学を卒業して4ヶ月。
そうなんですよと相槌を打つには、まだ時間・・・

0

十一日日記

17/09/11 コメント:0件 いちこ

文月七日
今、職場では日記を書くのが流行っている。
皆が揃ってするくらいなのだから、面白いに違いない。私も同じく書くことにした。
さて、けれども何を書くべきか。
明日上司に聞いてみよう。

文月八日
今日は雨だった。
昨日書いたように、今日は上司に日記には何を書くべきなのか聞いてみた。
すると彼女は、
「何を書いても良いのよ。お天気でも、・・・

1

黒い帽子を被った上司

17/09/11 コメント:2件 そらの珊瑚

  宣伝部に配属になった。
 部長と部下(私)のたった二人だけの部署である。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
 部屋の天井近くに向けてしゃべったあと、頭を下げた。
 キャットタワーの上で、部長が小さくしっぽを振るのが見えた。
 良かった。
 一応、私の存在を受け入れてくれたみたい。
 前任者の沼田さんによると、部長は人間の・・・

0

ゲス上司

17/09/11 コメント:0件 モモユキ

 課長の今崎は社内きっての若手有望株だ。来年の三月で三十歳になる。
 由美子と今崎は不倫の関係にあった。由美子は昨年入社し、今年二十四になった。由美子の若さに今崎は魅かれたのだった。
「年増の相手はもうあきあきしたよ」
 今崎の妻は三十七歳だという。かつてまだ十代だった今崎を大人の色気で骨抜きにし、今崎が社会人になるのを待って所帯を持った。
「なんていうか、勢いがないんだよ・・・

0

雑貨屋スピカの店長さん

17/09/11 コメント:0件 宮下 倖

 開店前、雑貨店『スピカ』の空気がぴりっと揺れた。
「瀬尾くん、フォトスタンドの値段つけ間違えてる。すぐ直して。それとピアスのコーナー、秋っぽく工夫できないかな。あと、大通り側のガラス、もうちょっと丁寧に拭いて欲しいんだけど」
「はい店長」
 はきはきしたあずさの声に瀬尾はやわらかく応じた。
 近くにいたスタッフにいくつか指示し、瀬尾自身はタオル片手に窓に向かう。そのうしろ・・・

1

一番大事なモノは、

17/09/11 コメント:0件 泡沫恋歌

「はあ? 誰が上司だってぇ〜?」
 素っ頓狂な声で助手の佐藤がDr.山田に向かってきき返す。
「……だから、ここは山田ラボだし、責任者はこのわたしだ。君は助手なんだから、いわば部下だろう?」
「で、それが……?」
 研究室のパソコンでギャルゲーをしながら面倒臭そうにいう。
「上司の言うことをたまにはきいたらどうなんだい」
「仕事ならやってるでしょう? 空いた時間・・・

0

悪には悪の事情がある

17/09/11 コメント:0件 plum

 悪の組織だからといって、けしてブラック企業なわけではない。福利厚生はしっかりしているし、残業も全くない。夏冬は長期休暇も貰えるし、全国にある保養施設も利用できる。昇給も定期的になされるし、賞与にも満足していた。
 けれどもただ一つだけ不満がある。上司とうまくいっていないのである。俺はまだ組織に入って三年目の一兵士だし、向こうは勤続二十年の中隊長様だから、こっちに至らない点があるのは確かなの・・・

0

鴻池の猫

17/09/11 コメント:0件 plum

 うちのムウは人間の気持ちが分かる。
 彼はほっそりとした白猫で、一見したところでは普通の雑種である。けれどもちょっと他の猫と変わっている点は、左右の眼の色が違っていることで、右眼が青で左眼が金色に見える。その瞳に見つめられると、何だかこちらの眼の焦点が合わなくなり、まるで魔法にでもかけられたような気分になって、今しも心を見透かされていることが分かるのだ。
 そんなことを言うと、どうせ・・・

0

当然の救済を懇望する才媛には千載不磨の紅焔を

17/09/11 コメント:0件 OSM

 パソコンのキーボードを叩く音が響き続けている。不意に気配を感じて振り向くと、部下のミスミくんがいつの間にか、私のデスクの横に佇んでいる。
「お金が、一銭も、ありません」
 両目に涙を溜め、今にも泣き出しそうな声でミスミくんは訴える。
「お金が、一銭も、ありません」
 ぎゅるう、とミスミくんの腹の虫が鳴いた。
 私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。ミスミくんの経済・・・

0

My name is Boss !!

17/09/10 コメント:0件 みや

ボスの計画はこうだ。
質屋の様子を電信柱の影から俺が見張る。質屋に客が入ったら、俺も何食わぬ顔をしてその客と一緒に店内に侵入する。客と店主がやり取りをしている間に俺は外から見える様に店のショーウィンドウに展示されている、このショボい質屋には似つかわしくない高級腕時計をこっそりと盗み取る。店に入った客が帰る時か、新しい客が入って来たら俺はまた何食わぬ顔をしてその客と一緒に店から出て、質屋の向か・・・

0

社長室

17/09/10 コメント:0件 塩栗タケル

ネットの噂なんて当てにならないな。
「今は年齢や経験ではなく能力がモノをいう時代だからね。優秀な人間が会社を引っ張っていくべきだ。私が間違っていると思ったらすぐに指摘してくれよ」
いかにも人の良さそうな眼鏡をかけた中年男性。出勤初日、オレは面談室に通され直属の上司と挨拶を交わした。ブラック企業とか聞いてたわりには温そうな会社だ。
「あとね、私が残業しているからといって田島君まで残・・・

0

待て落ち着け俺は上司としての仕事をやったまでだ

17/09/10 コメント:1件 mokugyo

待て落ち着け俺は上司としての仕事をやったまでだ
落ち着け落ち着け
包丁おろせお前が俺を刺したところで何も変わらない
何も変わりやしないんだ
ただ単にお前が豚箱にぶち込まれるだけだ
後には殺人者の親としてお前の両親が攻められる未来しか残らない
だから落ち着け

大島の件か
あいつは学生時代から躁鬱の傾向があったんだ
それは嘘じゃない
・・・

0

2030年型の上司

17/09/10 コメント:1件 鮎風 遊

 深海航平は東京オリンピックの年におもちゃメーカーに入社した。その後上司に恵まれたこともあって、順風満帆で10年が経過した。今は商品企画部の中堅どころだ。しかし世の常、ある日突然波瀾万丈となる。
 部下思いで、赤提灯やゴルフに誘ってくれた…オヤッサン上司に突然の転勤命令が。理由は、いつも妥協だらけの新企画、とにかくゆるい。企画部は明らかに活力が喪失している、まるで疲弊した町内会だ。会社発展の・・・

1

未来図上を司る

17/09/10 コメント:0件 蒼樹里緒

 時空保護管理局の取調室は、いつ来ても窮屈だ。一職員の僕でさえそう感じるのだから、正面に座っている男子高校生は尚更だろう。
 ぶすっとした彼に、僕は苦笑いを浮かべるしかない。
「ワープゲートは時空保護管理局の管轄で、歴史・災害調査目的の職員しか利用できないって小学生もわかってることなのに。どうして君は不法侵入なんてしちゃったんだい」
「うっせえなー。俺だってやり直したい人生がある・・・

0

オフィスの叱責

17/09/10 コメント:0件 与井杏汰

笑顔もなく、ただ「わかりました」と答え、自席に戻るH君に、小声で話しかけた。
 「ねぇ、課長に何言われたの?」
彼は面白くなさそうに答えた。
 「先週、顧客からクレームがあったそうだ。俺の対応が気に入らないって。で、次もこうだと、担当を変えるって」
 「それって、T商事? だったら、相手の担当も昔から問題あるでしょ? 何であなたの失点みたいになってんのよ」
 「知らな・・・

1

願い花の管理者

17/09/08 コメント:0件 待井小雨

 願いを抱いて天に昇ったので、僕は夜空の川のほとりで星の花を咲かせる仕事に就く事になった。
 真っ直ぐな茎につぼみが一つ。透き通った青い石のような花が咲くという。一人につき一輪が担当。僕の他にも、つぼみを抱いた新人がたくさんいた。

「決められた日までにちゃんと咲かせるんだよ」とここでの上司にあたるヒサシさんという人が言った。花々の管理と新人の指導をしている人だ。
 自生す・・・

0

火消し屋

17/09/08 コメント:2件 kina

 昼の屋上で携帯を見ている人は多いが、彼女はスマートフォンではないからその姿勢から一目でわかった。彼女はいつもイヤホンをしてベンチに腰かけている。煙草の似合う女だった。やや縦にして指の間に煙草を挟み小首をかしげ、眉間にしわを寄せて、携帯の画面を見やる。
 いつも長い文章を読んでいるようで、同じ個所を二三回押しては親指がしばらく止まる。何かを伝えまいと、彼女の親指がせわしなく動くのを私は見たこ・・・

0

責任の取り方と笑う新人

17/09/04 コメント:1件 吉岡 幸一

「仕事を終えたらちょっと付き合ってくれないか」
 所長に背後からささやかれた新人は背筋を伸ばしながら「はい」と返事をした。
 この会社に勤め始めて二カ月が過ぎたばかりだ。もうすぐ試用期間も終わり来月からは正社員として本採用になる見込みだった。会社の雰囲気にも慣れてきて、なんとか続けていけそうだと思っていた。
 新人といってもすでに三十歳、転職を三度繰り返しこの会社へたどり着いた。・・・

0

特定保健指導

17/09/01 コメント:2件 田中あらら

百合子の今日の訪問先は、親しい先輩のいる中堅医薬品会社の本社だった。先輩とはウマが合い、卒業後も気楽な付き合いをしている。
 彼女は特定保健指導の相談員だ。特定保健指導は、健康診断でメタボリックシンドロームと判断された人が対象となり、任意で行われる。相談員は、特定保健指導を請け負う会社に所属する保健師、看護師、管理栄養士などである。
 百合子は管理栄養士だ。肥満を解消することで、検査・・・

0

縦社会と潤滑酒

17/08/30 コメント:1件 ファリス

上の空で酒を飲む。
司会は営業部の田中。彼は僕の同期で、公私問わず誰に対してもにこやかに接する、生粋の営業マンだ。
不思議とウマが合い、彼とは入社以来の仲だが、彼がいつも自信満々そうなのに対し、僕には自信というものがない。だから司会を彼に任せるのは良い判断だと思う。
抱負を叫ぶ者、吐くまで飲む者、芸を披露する者など、宴会は良くも悪くも盛り上がっている。
のんびりと一人で飲み・・・

0

本部長!チャックが全開です!

17/08/30 コメント:1件 ぴっぴ

仮想通貨が揺れている原因を熱く語る田中一夫本部長のチャックが全開だ。社内でもスタイリッシュで、仕事の流儀も一流、愛情を持った指導で部下らの信頼も厚い田中本部長の三色旗にマヌケという傷が付こうとしている。しかも見えている赤いパンツが、裏の人格をイメージさせてしまう。このままでは本当にまずい!

「おい、ヤス!本部長のチャックが全開だ。気が付いてたか?」同期入社の原田が耳打ちしてきた。

0

臭い対策

17/08/29 コメント:1件 林一

 うちの会社の部長は、本当に良い人だ。仕事はできるし、部下にも優しい。
 しかし、部長は臭かった。その臭いは、一般的な加齢臭のそれとは比較にならないほど強烈だった。
 けれども、会社でそれを指摘できる社員は誰もいなかった。みんな気を使って、部長を傷つけないようにしていたのだ。
 ある日、部長が突然、社員達を集めて話し始めた。
「実は昔から、自分は臭いのではないかと思って気に・・・

0

AI上司(エッセイ)

17/08/29 コメント:0件 ワタナベ

 お前は、今日から配置換えだ――そう告げる上司がヒトでなくAIだったら?。私は、複雑です。管理職がAIに代替される未来が昨今、ニュースで取り上げられてますが、管理職たる上司がAIでいいなら、上司の上司もAIでいい。つまり、社長もAIでいいことになります。
 そうなると資本主義社会においては、人間は株主と社員しか残らず、両者がダイレクトに繋がり、株価のように個人も数値化され、フラットでフェアに・・・

0

北野さんがいたころ

17/08/28 コメント:1件 雪見文鳥

 先生になる上で一番大切な事を、私はあの頃教わった。

 個人面談当日、真向かいに座った男の子は、既に相当ふてくされていた。足を机の下で無造作に投げだし、左手でボールペンを器用にくるくると回している。
「先生は、俺が落ちこぼれだって思ってんだろ」
 模試の結果を睨みつけながら、ため息交じりに吐き出された言葉。彼の姿が、あの頃の自分と重なった。


 社会人・・・

0

滑稽な殺人

17/08/26 コメント:0件 セレビシエ

**警察に対して

社員A 安藤さんが殺されたことについて何か知らないか?そうですねえ……知ってるという程ではないんですが、実は、安藤さん、社内恋愛をしていたらしいんです。しかも会社中のマドンナの美浦さんと。いや、聞いた話だから確証はないんですけどね。それと、安藤さんと美浦さん、最近別れたってのも、聞いたことがあります。まあ、関係があるかは知りませんがね。

美浦 はい、・・・

1

年功序列を覆した制度

17/08/25 コメント:0件 笹岡 拓也

私が勤めている会社では年功序列を覆した制度を設けている。
「あの部長、これやっておいてもらえます?」
最低限の敬語は使わせているものの、この会社では新人が一番偉い立ち位置になる。そして勤めている年数が増えるに連れ、地位が低くなっていく。
「わ、分かった」
この年功序列を覆した制度のおかげで入社1年目の退職率は驚異の1%以下を叩き出している。毎年この会社は10人ほどしか入社し・・・

0

課長のダイエット

17/08/22 コメント:0件 月影輝

健康診断が終わって、数週間後のこと。
「はい、これ長谷川さん。こっちは、三壁さん」会社に届いた郵便物をそれぞれの机に配布する。
「課長さん。病院からですね。」そう聞いた瞬間、田中課長の動きが止まる。御歳三十八歳、横に伸びたお腹を揺らしながら、椅子に座り直す。
「小坂さん?」
「嫌ですよ。ちゃんと自分の目で確かめて下さいね!」笑って言う。
「でも、もし再検査だったら、僕・・・

1

上司たちの駆け込み寺

17/08/21 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 高松光一の目がそのとき、すさまじく怒気をおびてまっかに血走った。
「ふざけるんじゃないぞ。おまえたち」
 そばにあった椅子を壁ぎわまで蹴っとばした。
「おい、おまえら」
 声高にどなりつけるなり高松は、椅子にならぶみんなの顔を、自分の手が痛くなるのもかまわず、片端からひっぱたいていった。ときには拳で、また肘の先で、あげくは革靴で、殴る、蹴る、踏んづけるを、いつまでも執拗に・・・

0

ゾンビ体操

17/08/21 コメント:0件 ケイジロウ

「あー、えー、鈴木です。……」
「もっと声大きく!」
 20代の女社員にキーキー叫ばれて、鈴木順平は驚いて目線をあげた。パートのおばさんたちの週刊誌色の目が鈴木に集まっていた。
「鈴木です。本日からお世話になります。よろしくお願いします」
 高校生が作ったロボットでもできそうな拍手が無機質に小さな工場内に響いた。鈴木はマスクの内側でため息をつき、後ろへ下がった。
 あ・・・

1

ブンチョウ部長

17/08/21 コメント:0件 ちりぬるを

 会社の廊下を歩く俺に周囲の白い目が向けられる。無理もない。営業成績万年最下位の部署、しかも部長は不倫がバレてクビになった。どこまでも駄目な部署なのだから俺達もクビにならないだけマシだ。
 欠伸混じりにドアを開けると部長の席の周りに人が集まっていた。そういえば今日は新部長の挨拶があるから早めに出社するように言われていた。
 忍び足で人だかりに近づくと机の上に鳥かごが見えた。
「と・・・

0

減らず口の俺の上司

17/08/21 コメント:0件 小峰綾子

営業の帰り、初めて主任を自分から飲みに誘った。明日から3連休という解放感もあり、しかも今日は直帰の予定で、いよいよ夏本番という季節で無性にビールが飲みたい気持ちも手伝って、自然と「主任、一杯どうですか」と口に出していた。

俺は入社2年目、朝倉主任は、5歳年上の女性で、社内でも営業先でもテンションが変わらずいつも自然体でいるにもかかわらず、営業成績はトップクラスという謎の才能を持つ上司・・・

0

影武者

17/08/19 コメント:0件 

 足のついた深海魚のことを思った。日の光など差し込むはずもない、海の底で、彼奴らは、目も見えなくなって、なにを思っているのだろう。僕が、潜水艦でその海底に運ばれて、ぽつんと一人、置いてきぼりにされたら、僕は間違いなく死ぬだろうけれど、魚にしたらそれが当たり前で、鰭が進化した四つの足をエッフェル塔のように踏んばらせて、口の中にプランクトンが入ってくるのを待っているのだと、簡単そうにやってのける。

1

赤い風船

17/08/18 コメント:2件 セレビシエ

子どもの手を離れた赤い風船がどんどんと空へ昇っていき、割れた。抗うことなんて出来なかったろう。

私の大学の先輩−そして同じ会社の上司である赤井は優秀だった。
そして先月会社を辞めた。

赤井は順調にキャリアを詰み、入社時に私と仲良く話していた彼はもういなかった。
けれど別にそれは悲しいことではない。
彼は自分の将来のために必死に努力した。
私が努力・・・

0

上司と好きなアイドルがかぶってた話

17/08/17 コメント:0件 氷室 エヌ

 タオル・Tシャツ・うちわ・ペンライトの完全装備。熱気のこもるライブ会場、最前列のど真ん中の席で、私は今日引退する女性アイドルの登場を待っていた。
 推し――通称・あみちの引退が決まったのは先月のこと。それと同時に、本日の引退ライブの日程が発表された。
 そこからの私の行動は早かった。この日に何とか有給を取れるように、残業も恐れずに仕事を片付けたのだ。上司との攻防には、本当に骨が折れた・・・

1

つらさ

17/08/15 コメント:0件 林一

 武田課長は、部下と一緒に飲んでいた。飲過ぎた部下は、課長に愚痴をこぼす。
「下っ端はつらいっすよ。毎日我満してばっかりで。課長には、下っ端のつらさはわからないだろうなあ」

 あくる日。武田課長は部長と飲んでいた。飲み過ぎた部長は、武田課長に愚痴をこぼす。
「出世すればするほど、責任は重くなってストレスが溜まる。武田君には、部長のつらさはわからないだろうなあ」

0

「偉い」

17/08/15 コメント:0件 セレビシエ

あるハチがとびきりいいエサ場を見つけたので蜂の巣へ戻ってきて、一生懸命にぐるぐると八の字のダンスを踊っていると、それを見た偉いハチがいきなりダンスを中断させて言いました。
「やい、おまえのダンスはどうにも下手くそすぎる、これじゃエサ場の場所もわからないよ」
エサ場を見つけたハチは
「ちゃあんとよく見てください、しっかり場所を伝えていますから」
と、言いました。
「ふん・・・

0

鬼のような上司

17/08/14 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 五つ年上の宇野さんは、僕にとっては恐い上司だった。先日またどこかの子供におじさんといわれたと、たいして気にしてないふうにいっていたが、確かに髪はスポーツ刈り風にみじかく、顔も少々角張っていて、およそスカートをはいたところなど一度も拝んだことがない彼女なので、子供でなくても夜道ですれちがったら、男性にまちがわれるおそれはありそうだった。
 しかし意外にも、社内で、靴をぬぎサンダルばきになった・・・

1

転職の相談

17/08/14 コメント:3件 風宮 雅俊

「どうぞ、おかけ下さい」
 今日のクライアントも、相談するかを悩んでいる。悩み事を相談するかで悩んでいては悩みが増えても減る事はないのに・・・・、無視して様子を見るのも面白いかな?
「転職について悩んでいますよね。悩んでいるだけでは埒が明かないですよ」
 何故、分かるのか驚いている。占い師だから分かるのか?ハッタリで言ってきているのか?また、悩んでいる。でも、ここまで来たんだから・・・

0

漫才「クレーマー」

17/08/14 コメント:0件 クナリ

「客商売とかやってると怖いお客さんもいるから、頼れる上司っているといいよね」
 全くですね。
「じゃあ俺お客さんやるから」
 はいはい。
「オイ、どうなってんだよこのスーパーの接客は!」
 あいすみません!
「お前じゃ話にならねえよ。上司出せ上司」
 この店では私より上司はおりませんので。
「お前店長かよ! まあいいや、社員教育がもうひとつみたいだな・・・

ログイン