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  2. 第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

第140回 時空モノガタリ文学賞 【 育児 】

今回のテーマは【育児】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/09/11

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/07/17〜2017/08/14
投稿数 64 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 最近としては投稿数の少ないコンテストでしたが、以前のコンテストと遜色ない良作が集まっていたと思います。内容的にも多岐にわたり、子育ての大変さや、子供を持つことへの不安や葛藤などが様々なアプローチで書かれていました。『子育て』というテーマは、若い人にとってはあまり興味をそそられないものだったかもしれませんが、やはりこれは普遍的 な内容でもあり、だからこそ良い作品が集まったのかもしれません。最終選考作品の『鬼ヶ島異聞』は、自分と家族が極限状態の中で生きるために、他人を犠牲にしなければならない哀しさを感じました。とりわけ子供のために親は、“鬼”になりやすいのかもしれませんね。凄惨な内容を扱いながらも刺激的な描写ではなく、むしろ落ち着いた風格ある文体で、感情的ではなく静かに考えさせられる文体で、読後感が良かったです。冬垣さんの安定感を感じる作品でした。『胎の中には化物が住んでいる』は、出産後に子供に食べられてしまったり、交尾後にオスがメスに食べられてしまう種類の昆虫のような不思議な関係性を連想しました。グロテスク なもの見たさの好奇心を刺激されるようなところがありますね。その内容ゆえに、選者によって好みが分かれる作品でした。『檻の家』は、多少の不満はあれども幸せな家庭に生きる女性が、それを檻のように感じてしまう心理が興味深かったです。どんな“幸せ”な環境も、それが生きることの全てになってしまうと、息苦しさを感じてしまうものかもしれませんね。これも好みが分かれる内容でしたが、個人的には共感できるところがありました。『子供が夜中に泣いたら』は、若い夫婦の子育ての日常がなんとも微笑ましいですね。体力的・精神的な大変さもちょっとした工夫次第で軽減されるものかもしれません。取り立てて変わったことが描かれているわけではないのですが、いつもフワッとした柔らか な魅力が笹岡さんの作品にはあると思います。『健やかな寝息』は、大切なものを手に入れたことに付随する、失うことへの不安の心理が丁寧に描写されていますね。実際、こうした感情を抱える親もいるのかもしれません。ラストの子供が無事に幸せになることを願う親心には胸を打たれました。『めくるめく宝のとき』は、おそらく笹峰さんの実体験に基づく内容なのでしょう。今と昔、田舎と都会の子育ての違いからくる苦労と、小さな子供と過ごすささやかで貴重なひととき。そうした人生の中の忘れられない体験が素直に綴られていて、読んでいて穏やかな気持ちにさせられました。『私の赤ちゃん』は、後半に行くに従って、奇妙な母子の関係が少しずつ明らかになるミスリードの構成になってい ますね。「私」の狂気と思い込みが、なんとも哀しく、インパクトのある作品でした。

入賞した作品

2

上手にその手を離せるように

17/08/13 コメント:2件 野々小花

 暖かい手に繋がれていた記憶がある。まだ小学校に上がる前。養護施設「くすのき園」の園長先生が、化粧っ気のない顔で微笑んでいる。
 周りの皆には、時々、お父さんやお母さんが会いに来てくれる。私には誰も来ないけれど、園長先生がいるから平気。手を、しっかりと繋いでいてくれる。それだけで、私は安心できた。

 カーテンの開く気配で目が覚めた。三歳になる娘の陽菜が、おぼつかない手つきでカー・・・

4

いつか二つ転がる

17/08/10 コメント:4件 待井小雨

 あなた方は失敗したのです。それを認めてどうか傲慢な姉をこの家から追い出して下さい。

「お姉ちゃんはいつになったら働くの?」
 ――と、何度か繰り返してきた問いを両親にぶつける。二人はいつもと同じ答えを返した。
「あの子にもペースがあるから」
「もう何年も働いていないよね」
 詰め寄っても父母は困ったように微笑むばかり。
 歳の離れた姉妹だった。私が中・・・

8

私、母親、ソダチマル

17/07/24 コメント:5件 クナリ

 高校生になった私は、身長では母を上回った。大人っぽいね、どっちが親か分からないね、と近所の人たちによく言われる。
 母子家庭で一人っ子だったので、娘の私がしっかりしなくてはいけないと自分に言い聞かせてきた。
 母は大人しい人だったが飲酒癖があり、酔っても暴力を振るったりはしなかったけれど、泥酔すると恐ろしく悲観的で自虐的になる悪癖があった。
「お父さんがいなくてごめんね」「女の・・・

4

二分の一 成人式

17/07/17 コメント:4件 風宮 雅俊

「とうちゃん、作文の宿題があるんだ」
 夕飯の片づけが終わって、とうちゃんが風呂に入る前に捕まえる。一日に一回のチャンスだ。
「おまえの宿題だろ?」
 逃げの態勢のとうちゃんに低姿勢かつ逃げ場を与えない様に言わなくてはいけない。
「生まれた時の事を両親に訊いて書かく様に先生に言われたんだ」
「産んでないよ」
 面倒くさい全開のオーラが出ている。
「とうちゃ・・・

最終選考作品

3

鬼ヶ島異聞

17/08/14 コメント:6件 冬垣ひなた

 女をさらった。
 道の両脇に咲く黄色い花がどこまでも続いて、息子らしい少年が泣きながら、女を担ぐ私の後を追ってくる。
 私はこの国の言葉を知らないが、その子の叫びが虚ろに響く夜の事を、忘れはするまい。
「このオニめ……!」

  ♢

 突然の嵐で、祖国の港に帰るための貿易船が漂流し、名もない無人島にたどり着いた時には途方に暮れた。生き残った・・・

2

胎の中には化物が住んでいる

17/08/10 コメント:1件 黄鱗きいろ

「胎の中には化物が住んでいるの」
 そう言って膨らんだ腹を撫でてみせる彼女を、僕は奇妙なものを見る目でじっと見つめた。彼女の腹は大きく膨れてしまっていて、その中に新たな命が宿っていることを示している。
「化物かい?」
「そうよ、この子は化物なの」
 彼女は繰り返し自分の腹を撫でた。僕もベッドから上体を起こす彼女に手を伸ばす。彼女は僕の手を掴まえて、腹へと触れさせた。
・・・

2

檻の家

17/08/08 コメント:2件 野々小花

 朝の五時に、私の一日は始まる。早起きは子供の頃からの習慣だ。二十九歳になった今でも、それは変わらない。夫を起こさないように静かにベッドが降から降りた。隣のベビーベッドでは、もうすぐ二歳になる息子の翔汰が気持ち良さそうに寝息を立てている。
 寝室を出て、洗濯機のスイッチを入れた。洗濯が終わるまでに、洗面台を磨き、風呂掃除をする。玄関、台所、リビングも、順番に掃除していく。家中の床に掃除機をか・・・

3

子どもが夜中に泣いたら

17/08/04 コメント:1件 笹岡 拓也

「俺も一緒に見るよ?」
私はこの言葉にどれほど助けてもらっただろう。子どもが産まれてから、私だけが見なきゃいけないと思っていた。夫に助けを求めないように子育てに励んでいた。産まれてからしばらくは、3時間ごとに授乳をしなきゃいけないものの子育てをしているという実感に浸っていた。しかし子どもの首が座り、寝返りをするようになり、ハイハイをするようになり、いたずらをするようになり、つかまり立ちをする・・・

3

健やかな寝息

17/07/24 コメント:2件 井川林檎

 あやちゃん、と振り向いた時、後ろをついてきているはずの子供がいなくなっていたとしたら。

 二歳になりたての子は歩きたがって、抱っこをすると嫌がって降ろせと言う。
 車から降りた時、スーパーで買い物をしている時。
 ばたばたと暴れて悲鳴交じりの声を上げる。
 歩きたいのだと。

 軽快な音楽が流れる店の中で、わかったよ、じゃあ歩いてみな、だけど悪い子だっ・・・

2

めくるめく宝のとき

17/07/22 コメント:4件 笹峰霧子

 私は二度育児をしたことになる。
 自分の子供二人を育ててからほぼ31年経ったとき初孫が産まれ、ある時突然その赤ん坊を娘と二人三脚で育てることになった。
 産まれた直後に訪問した娘の家には、産院から連れ帰ったばかりの真っ赤な顔をした赤ん坊が眠っていた。そんな小さな赤ん坊を抱っこするのは何十年ぶりだったろう。
 
 その日以来子守りと食事作りは私の役目となった。
 乳母・・・

3

私の赤ちゃん

17/07/17 コメント:4件 瀧上ルーシー

 私は赤ちゃんと二人でアパートに暮らしています。この子のお父さんはいないのですけれど私の両親が十分な仕送りをしてくれているため旦那がいなくても子育てに専念できます。よく覚えていないのですけれど赤ちゃんは今生後三ヶ月? きっと半年はこえていないと思います。
 ベビーベッドの上で寝ていた赤ちゃんが泣き出しました。きっとおしめだと思いましておむつ替えシートの上に赤ちゃんを仰向けに寝させてお尻を少し・・・

投稿済みの記事一覧

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次男坊カール

17/08/14 コメント:2件 沓屋南実

ピアノレッスンの待合室には、祐介と隼太、それに歩実 。高校一年生で帰宅部、音楽大学を目指さないのにピアノを続けているという3人である。
 そして、レッスンの順番待ちの間、本を朗読するのが前回の発表会以来の彼らの習慣だ。

 歩実は、待合室の本棚から「アンナ・マグダレーナ・バッハ 思い出の日々」を取り出し、読み始めた。鈴を振るような心地よい声が、部屋全体に響く。

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ナツメグには毒がある。

17/08/14 コメント:0件 滝沢朱音

 赤ん坊を見た母は、「この顔立ちは間違いなく榊家の血筋だわ!」 と相好を崩した。父も「君にそっくりだ」と頷く。二人ともご名答。だってこの子は、母、本人なのだから。
 腕の中で眠る赤子。僕はその無垢な笑顔を愛おしく感じることができた。こんな僕にでも人を愛せるのだ。

 人間はその受精卵のスペアを胎内に秘めて十月十日を過ごし、それを臍帯、いわゆる臍の緒に排出してから誕生する。そうわか・・・

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二度目に蹴ったものは、なに

17/08/14 コメント:0件 むねすけ

 卵の数がよっつ。
 えいっ。一個キック。
 これでよし。雌のカッコウが自分の卵をモズの巣の中に混ぜる。似てる似てる、カッコウはほくそ笑む。似せて作ったんだもの。わかりっこない。巣の下では、蹴り落とされたモズの卵が、得られなかった命に追いつけず、クシャリと破裂して大地に吸われた。そよぐ風だけが、カッコウの罪に顔をしかめるも、できることは見て見ないふり。

 モズの母親が巣に・・・

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しつけ

17/08/14 コメント:0件 plum

 お父さん、お母さん。お元気ですか。僕はとても元気です。
 なにしろ初めてのお手紙なので、最後まで書き切れるかどうか分かりませんが、なんとか感謝の気持ちを表わせればと思います。
 僕がまず思い出すのは、まだ赤ん坊の頃です。その場所はとても狭いくせに、いやに明るいところでした。ガラス張りになっているのか、強い光が射し込んでいて、焼けるように熱いのです。さらに僕はクッションのきいたシートに・・・

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皇帝ペンギン〜氷上より愛を込めて〜

17/08/14 コメント:1件 冬垣ひなた

 南極。真冬の気温は−60℃まで下がるという吹雪く大陸で、僕らの祖先がなぜ暮らそうと思ったか分からないけれど、生き物の中でも変わり者には違いない。
 僕らの名は皇帝ペンギン。よちよち歩く姿を見て、人間はその愛らしさに心ときめかせるらしい。嬉しいな、種族を越えてもメスにもてるのは大歓迎さ……おっと、こんなこと言ったらパートナーにつつかれるなぁ。
 そんな僕らは、地球上で一番大きなペンギン・・・

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子どもは天使か、モンスターか?

17/08/14 コメント:2件 泡沫恋歌

 子どもが天使なんて嘘!
 聞きわけのないモンスター、それが子ども。
 それを人にすることが育児なのだ。

 いつも仕事で帰宅が遅い俺は、子どもの寝顔を見てから就寝する毎日だった。
 今日も子どもが寝静まった頃に帰ると、ダイニングのテーブルで妻が待っていた。
 手に持ったはがきを見せて、「行ってもいいかしら?」と俺に訊く。それは同窓会のはがきだった。
「一・・・

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復活の儀

17/08/14 コメント:2件 OSM

「赤ちゃんって、死ぬんだ……」
 いちごは思わずそう呟いた。
 二泊三日の旅行から帰宅すると、トイレの横に置いてあるみかん箱の中で、生後四か月になる息子のめろんが死んでいたのだ。
 十四年と数か月の人生の中で、いちごは赤ちゃんが死んだところを見たことが一度もなかった。従って、赤ちゃんは死なないものと思っていた。だからこそ泊りがけの旅行に出かけたのだが……。
「どうしよう」<・・・

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精霊馬はキャラメルをたずさえて

17/08/14 コメント:0件 そらの珊瑚

 お盆休み、夫が運転する車で生後半年の息子と共に夫の実家に帰省した。思ったほど高速道路は混んでおらず、ベビーシートの息子も寝ていてくれたので助かった。高速道路を下りて一時間ほど一般道を走ると、田園風景が広がる。青々と育っている稲が、夏の陽射しを浴びて光っていた。
 広い庭に車を止め、眠っている息子を車から抱き降ろす。ずっと冷房を入れていたのに、息子は背中一面汗をかいていた。早くTシャツを着替・・・

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桃太郎の子育て

17/08/14 コメント:0件 夏野夕暮

 鬼退治を終えた桃太郎。
 今、鬼の討伐よりも難しい難問に直面していた。それは……。
「桃太郎さん! 赤子をそんなに揺らしてはなりませぬ!」
「そ、そうか。すまない」
「桃太郎さん! 赤子には乳をやればいいのです! 勝手にきび団子を食べさせてはなりませぬと、あれほど申したでしょう!」
「いや、滋養になるかと思って」
「毒にしかなりませぬ!」
「はい……」<・・・

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エスカレート幼児

17/08/14 コメント:2件 浅月庵

 ◇
 あなたを見て湧き上がる、止めどない愛情は、いつしか激情へと性質を変えていった。
 産まれてきてくれただけでありがとうと、手放しに喜んでいた日々は忘却の彼方。私はその感情を足元へ転がすと、爪先で遠くへと蹴り飛ばした。

 ◇
「真希もさ、早く賢司くんと結婚して、子どもつくるといいよ」
 私と、友人である由香理は、近所のファーストフード店に訪れていた。

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カッコウかモズか白鳥か

17/08/13 コメント:0件 つつい つつ

 子供部屋のドアが開く。あきこママの「そろそろ起きる時間よ」と呼びかける声がした。私は体を起こすと先にシャワーを浴びることにした。
「希ちゃん、おはよう」
 私も「あきママ、おはよう」と返す。あきこママは隣のベッドで寝ている悠香の体を揺らす。
「あんたも早く起きなさい」
 悠香は朝弱いから、あと五分はぐずぐずしているだろう。リビングでは、まことパパがスーツを着て、もうカバン・・・

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育児論

17/08/13 コメント:0件 みや

ー育児を自然界の様々なもので比喩する考察ー

*湖期(まだ産まれる前の胎児の頃)
胎児の身体が小さな羊水で守られている様に、心
も湖の様に深い愛情を持って育てる事が望ましい
。まだ産まれていない胎児だが、胎教と呼ばれ
る言葉がある様に育児は既に始まっている。

*空期(零歳から一歳の頃)
・・・

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この行為に未来はない

17/08/13 コメント:0件 小高まあな

 隣の部屋から、唸り声がする。私を呼ぶ、音。
「はいはーい、今行くよー」
 声だけかける。
 ああ、面倒くさい。行きたくない。
 そう思いながら、ガスを止めて部屋に向かう。
 ドアをあけると枕が飛んできた。うぜぇ。
 仕方なくそれを拾うと、投げ返した。ベッドの上の人影に当たったが、投げたのはそっちだ。知ったこっちゃない。
 ベッドの上で、祖父がわけのわから・・・

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育児ってなんだろう?

17/08/13 コメント:0件 篠崎ショウ

 今回のコンテストのテーマは「育児」らしい。さて困った。自分は独身で、将来結婚を約束している相手もいない。そもそも自分は結婚とは人生の墓場であると信じているので、夫婦生活、果ては生まれた子供を育児している未来など想像も出来ないのである。
 ……まあ、しかし、運営から提示されたテーマで短編小説を書き競うのがこのサイトである。ルールには従うしかない。
 よし、書いてみよう!
 

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十五年前の約束

17/08/13 コメント:0件 tomomi

 買い物から戻ると、玄関に見慣れた白い運動靴がある。
「あっ、奈々ちゃんおかえりーっ」
 部屋の向こうから制服姿のあかりがひょこりと顔を出す。
「あかり、今日食べてく?」
 私が言うと、あかりは急に顔を輝かせる。
「うん、素麺!」
「あんた、素麺好きねえ」
「だってこの家、素麺しかないんだもん」
「失礼ね、ありますよ色々」
 そんなことで笑い合・・・

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パパになった日

17/08/13 コメント:0件 そらの珊瑚

 昨日と同じような何の変哲もない朝が来て、僕は妻と向かい合ってハムエッグ乗せトーストを食べていた。妻と向かい合うのは正直にいうと苦手だが、二人掛けのテーブルだから仕方ない。
「あのさ、今度いくじきょうしつ、っていうのがあるんだけど、行かない?」
 いくじきょうしつ? それは僕にいくじがない事への嫌がらせ? 子供じゃあるまいし、三十五才の大の男が、何が悲しくて、いくじきょうしつ? 僕は・・・

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子への期待

17/08/13 コメント:0件 いちこ

連れて来られた女は、ひどく怯えていた。
もともと小柄なのだろうが、より一層小さく見えた。
それは、とても良い眺めだった。
「なぜ連れて来られたか分かるか?」
女は小刻みに首を振った。顔を上げようともしない。
「では教えてやろう。これまでのことも、これからのことも、全部」

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俺は、悪の組織を統べる一族の第18代目として生を受け・・・

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育児日記

17/08/12 コメント:0件 宮下 倖

「どうした晴美」
 麦茶のコップを持ったまま玄関先に出てきた父は、眠っている優作を抱いた私を見て目を丸くした。
 夏の午後、昼寝をする優作の寝顔を見ていたら息をするのも苦しいほどの不安と焦燥に襲われた。いてもたってもいられなくなり、優作を抱いて近所に住む父を訪ねてきたのだ。
「ねえお父ちゃん、私って育てやすい子だった?」
 絞るように出した声に父は片目を細くし「上がれ。麦茶・・・

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ネズミの育児

17/08/11 コメント:0件 セレビシエ

在るところにネズミの子どもとそのお母さんがいました。
ネズミのお母さんは子どもをネズミの塾に通わせました。けれども子どもは1+1もまるで理解できないので、お母さんは苛立ちました。
さて、ある日ネズミ塾の先生がその子どもに向かい言いました。
「君はいい加減簡単なことは出来るようになりなさい。やる気はあるのかね」
子どものネズミは困ってしまってチュウチュウと泣き出しました。そ・・・

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17/08/10 コメント:0件 セレビシエ

息子を産んで、三年たったある日、お父さんが死んでしまった。会社から帰る途中、交通事故で。こんなことって、本当に起こるなんて思わない。当時の私は寂しくて泣いた。これから先の将来が恐ろしくて泣いた。ずっとずっと泣いていた。はじめ一週間はまともに食事も出来なかった。
けれども、ちょうど事故から一週間後、息子に食事を与えているときだった。私はいつもみたいに元気の無さそうに息子とご飯を食べていた。<・・・

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バナナミルク

17/08/10 コメント:0件 薬包紙

 たとえばあの時。

 まともじゃなかった僕は。
 来る日も来る日も閉塞した自室にこもり、締め切った遮光性のカーテンから一すじの光が差し込むこともない澱んだ暗がりの中、誰とも目を合わさず口もきかず心を許さず。ネットの箱の中でのみ通用する言語すら疎ましく、白々とした死体画像を延々と映し出すスクリーンの下でまばたきすることすら億劫だった。

 のびた髪も伸びた爪もひきちぎ・・・

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グランマの心得

17/08/10 コメント:0件 秋 ひのこ

 血管の浮き出た骨ばった手がさっと台拭きを掴み、小さな口とその周りをゴシ、と音が聞こえるような手つきで拭った。
 それ台拭きです、と言う間もなかった。
「はー、きれいきれいね」
 乾いた唇に口紅だけ塗りたくった顔が、くしゃりと微笑む。
 
 夫が3ヶ月の海外出張に出たことで、夫の母フジエが「産後育児の助っ人に」と40年前のおんぶ紐や玩具を抱えて現れたのは、3週間前のこ・・・

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フィリピン哀歌

17/08/09 コメント:2件 ぴっぴ

 家族でフィリピンのセブ島に旅行に行った時のことだ。6才の娘の手を引いて、夕方の市内を散策していたとき、娘とはぐれてしまい一晩中マンゴースクエアを探しまわったことがあった。今となってはいい思い出なのだが、当時は気が狂う直前まで追いつめられた。
 マンゴースクエアとはコロンと並ぶセブ島の繁華街である。
 道端に娘と同じ年頃の女の子と思える物乞いを見かけた。哀れと思い数ペソの小銭をかごに入・・・

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二人が歩く前にしてのけたこと

17/08/08 コメント:2件 田中あらら

 優子は二卵性の双子を産んだ。男の子だった。

 息子たちが生まれてから、優子は常に寝不足だった。夜中だろうと明け方だろうと泣き声で起こされた。同時ならまだいいが、そうはいかない。一人の授乳を済ませてうとうとしていると、もう一人が泣き始める。いつもどちらかが起きているような日常の中、2時間続けて眠りたい…それが一番の願いだった。ちなみにその願いがかなったのは3歳になってからだ。
・・・

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私の話

17/08/07 コメント:0件 山盛りポテト

久しぶりに祖父の住んでいた田舎へ帰った。
高校、大学、就職と生長するにつれ何かと忙しい生活が続くと小さな頃は頻繁にしていた帰省も次第に少なくなっていき、また私もそれを心のどこかで面倒がるようになっていたのだ。
最後に祖父と会ったのは病室だった。ある日突然具合を悪くして救急車で運ばれ、それ以来入院生活を送っていた。
そして退院を待たず息を引き取った。
私を出迎えてくれた祖母は・・・

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貧しい人の国

17/08/06 コメント:0件 

 拝啓
 初めてあなたに、お手紙を書きます。小学校までしかでていない私に、どんな手紙が書けるのか、とにかく、あなたにお伝えしたい事があるのです。
 この国が戦争を始めて四年、あなたが出征したのが丁度二年前でしたから、メルが一歳の時の姿が、あなたが見た最後の、メルの姿ではなかったでしょうか。
 メルは、死にました。死にましたなんて、随分不格好な言い方かもしれませんが、私にはそう言う・・・

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リトル・ジェントル

17/08/06 コメント:0件 斉藤しおん

子どもを育てることになった。
大きな子供だ。

私の恋人である中村国春は先日野良猫を助けようとして交通事故に遭った。
そして奇跡的に命を取り留め、その脳内年齢を三十若くして帰ってきた。
記憶喪失というやつだ。
一時的なものだと医者は言う。
いきなりのショックでこうなってしまったと。

彼の体は三十六年生きていた人のものなのに、彼の頭は六歳まで減・・・

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私とお父さん

17/08/06 コメント:0件 木原式部

 私は物心ついた時から、お母さんと二人きりで暮らしていた。
 ゴツゴツしたアスファルトの床と小さなプールと前方左右を囲むお堀、そして後ろの小さな扉の向こうにある寝床。これが私の住んでいる世界の全てだった。
 お堀の向こうではたくさんの人間が私たち母子に微笑みかけてくれる。私は世界には私とお母さんと人間、そして食べ物を横取りしに来るカラスしかいないのだろうと思っていた。
 でもある・・・

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育代さん

17/08/04 コメント:7件 霜月秋介

 俺は、とんでもない過ちを犯してしまったのかもしれない。このままではいずれ、我が子をアイツに殺されてしまう。

 三ヶ月前、私は妻と離婚した。俺が目玉焼きにマヨネーズをかけて食べていることが気に食わなかったらしい。そこから妻の不満が爆発し、妻は出て行った。息子・スバルが生まれて一年後のことだった。
 これからは俺が一人でスバルを育てていかなくてはならない。しかし仕事と育児の両立は・・・

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だいじ

17/08/03 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 ぼく、はると。
 まだまだ、ちっちゃい赤ちゃんだ。
 でも、このあいだ、ふとんの上であしをふんばって、おしりをうかせたら、まえへぐいっとすすめたの。
 おかあさんが、
「うわぁ、すごい!」
って、手をたたいてよろこんでくれた。

 たたみの上でも、ぐいぐいすすめるよ。
 たたみの上に、大きな紙があったから、くしゃくしゃにしたら、かしゃかしゃ音がして・・・

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方針

17/08/03 コメント:0件 秋 ひのこ

 その女児は、「世界最後の子供」として生まれた。
 人間の生殖機能が不全になり久しい。もう世界のどこにも、新しい子供は生まれない。
 現在12歳以下の子供は100人余り。この度ようやくその全員を世界中からかき集め、とある島に保護――隔離した。

「地球上で、子供はここにいる者がすべてだ。我々はこの子たちの育て方に重い責任がある。方針を決めなければならない」
 施設長が・・・

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セメント色の雷鳥

17/08/02 コメント:0件 ケイジロウ

「あの、来月から育児休暇をいただきたいのですが」
 燕野花子が申し訳なさそうに上司に申し出た。烏野太郎はパソコンの画面向けられていた黒い目を一瞬燕野に向けて光らせたが、すぐにパソコンの画面に戻した。そして、キーボードをたたき始めた。
「困ったな」
 烏野はそう言ったきりしばらくキーボードをたたき続けた。カタカタなるキーボードの音がいつ途切れるのかわからない。燕野は乾いた喉を唾で湿・・・

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ほのか

17/08/01 コメント:0件 t-99

 ガラス窓に激しく打ちつける雨が泣き声をかき消していた。締め切ったカーテンの隙間越しに見える電線が波を打っている。子ども部屋の壁一面に描かれたうさぎやぞうの漫画チックなイラストたちが、明かりの消えたこの部屋ではミスマッチにさえ思えてしまう。由紀子はベビーベッドで泣き続けている我が子を直視できずにいた。
 夫は出て行ってしまった。今は近くに住む母親が心配なのかときどき顔をだす。持ち運びがいいよ・・・

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イクメンなんぞいらない

17/07/31 コメント:1件 家永真早

 何がイクメンだ。お前は昼夜関係なく3時間おきに泣き出す新生児を世話したことがあるか。オムツを替え、ミルクを与え、なかなか出ないゲップに辟易し、腕の中で眠っても布団に置いた途端泣き、削られていく睡眠時間に果てしない疲労を覚えたことがあるか。吐いたミルクに積み上がる洗濯物の山。哺乳瓶は洗って消毒。そして洗ってはまた使う徒労。替えたそばから汚れるオムツに途方に暮れたことがあるか。いつ泣き出すか分からな・・・

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彼女の頭の中

17/07/29 コメント:0件 木原式部

 僕が仕事から帰ると、妻が悲しそうな表情をしながら言った。
「今日、病院に行ったら、あの子、やっぱりしゃべるのが遅いかもって言われて……」
 僕は幼児番組を食い入るように見ている娘に目をやった。確かに僕も娘がなかなかしゃべらないのが気になっていた。
「でも、それって個人差があるんだろう?」
 僕は妻の深刻そうな表情とは反対に、わざと気にしていないような声を出した。
「・・・

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【育児能力教習所】

17/07/28 コメント:0件 憂木コウ

 咳一つ許さない厳粛な静寂が、この日、会場を満たしていた。場席には総勢四十名。糊の利いた紺色の制服をかちりと身にまとい、照明を浴びて黄色く輝く舞台の方を、緊張と高揚とがない交ぜになった表情で眺めている。
 その舞台に、一人の人物が上っていった。きびきびと力強く、かつ洗練された所作である。中央の演壇の前に立つと、マイクを退けて文字通り壇上に立ち、自身に畏敬の視線を送る面々をぐるりと見渡してから・・・

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電話口にて

17/07/26 コメント:0件 緑の葉っぱ

 電話口にて、僕は母親にさらっと言った。
「父さん、来月結婚するんだって」
「あらそう」
 僕の覚悟は何だったのだろうか、これまでの思考の全てが一瞬で無に帰った。少しでも、母親が感情を露わにするのではないかと思っていた。僕の両親は、僕に物心がついたばかりの頃に離婚し、母親に引き取られて24歳まで育てられた。兄弟4人を一人で育ててきたことには頭が上がらない。裕福ではないながらも、僕・・・

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愚鈍な私が成長するために  

17/07/25 コメント:0件 浅月庵

 ◇
「あなたには本日より、この子を専属で育てていただきます」
「こちらは一体……」
 私は上司の貝原さんに手渡された透明なケースを確認すると、その中身を見て地面へと放りたくなる衝動に駆られた。
「政府から託された機密事項なので詳しいことは言えませんが。紛れもなく“子ども”ですよ」
「子ども……?」
 私にはそれが、携帯電話ほどのサイズをしたダンゴ虫のように見え・・・

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赤ちゃんロボット

17/07/24 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 明夫はカーテンの隙間から、庭にしょんぼりたちつくす妻の都を、思いやりにみちたまなざしでながめた。
 家庭菜園をかこむ柵の向こうの道をいま、母と子が手をつないで、なにやらたのしげに歌をくちずさみながら、歩いていた。
 その二人の姿を都は、いつまでも目でおいかけている。
 こちらからはうかがいしれないその顔には、あからさまな羨望の念がやどっているのにちがいなかった。
 ふだ・・・

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スペアガール

17/07/23 コメント:0件 miccho

 行列の進みは遅い。この調子だとあと三十分はかかるだろう。
(どうせならディズニーランドか、せめて水族館がよかったな)
 私の恨み節に気づく様子もなく、森さん、明美ちゃん、めぐちゃんはこの動物園の主役との対面を待ちわびてはしゃいでいる。

「パンダって育児放棄するんだってさ」
 森さんが得意気に話し始めた。
「イクジホーキって?」
 これはめぐちゃん。いつ・・・

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人はそれを愛と呼ぶんだぜ

17/07/23 コメント:2件 ちりぬるを

  レポートナンバー395
 午前七時起床。朝食のバナナ、ヨーグルト、牛乳を完食。午前中は積み木で遊ぶ。最近は自分の背丈程のタワーを作るのがハジメのブームらしく、今日は昨日よりも二段高いタワーを建てることに成功していた。正午より昼食。野菜を煮込んだうどん。形があると残してしまう人参もスープ状だと食べられるようだ。二時間昼寝をして、私とキャッチボールをする。ボールを扱うのはまだ苦手なようで、私・・・

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傷口を開かせる愛

17/07/23 コメント:0件 蒼樹里緒

 突然、このようなお手紙を人づてにお送りしてしまいますこと、お許しください。
 国王陛下の悪政は民を苦しめるばかりか、陛下のご子息の御心までも壊してしまわれたことは、貴方様もよくご存知かと思います。臥せておられる王子の御命も風前の灯火であると、先日聞き及びました。
 我が一族は、長きに亘り王家にお仕えしてまいりました。私の一人息子も、王子の替え玉として生涯を捧げるための教育を受け、王城・・・

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愛と平和のシンボル

17/07/23 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 かつてどんなSF小説も、またその種の映画にしても、異星人の地球来訪に、こんな光景を描いたものがあっただろうか。
 その異星人の知能の高さは、我々地球人をはるかに超越していることは、恒星間飛行を可能にした彼らの乗り物と、地球との交信に中国語を使用したことからみても明白だった。  
 22世紀の世界共通言語が中国語なのをかれらは知っていた。異星人はその中国語をりゅうちょうに駆使して、我が・・・

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子には親の背中よりも腰を見て欲しい

17/07/21 コメント:0件 八王子

 娘のサキが5歳になり、反抗期を迎えた。
 母の言うことをなんでも拒み、父のやる気のない態度や横柄な口ぶりを真似するようになった。
 だから母は決心をした。
「私は育児を放棄します」
 日曜日の昼下がり、テレビの前に寝転がって女子ゴルフを真剣に見ている父に母は姿勢を正して言う。
 すると、片づけをせずおもちゃを散らかしてばかりの娘も手を止めた。
 突然の出来事に・・・

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ゆりかご

17/07/21 コメント:0件 猫春雨

 そのゆりかごはお母さんからのお下がりだった。
 お母さんもまたおばあちゃんから受け継いだらしい。
 当然私も、記憶には無いけれど使ったはずだ。
 そして、私の娘もまたそのゆりかごに揺さぶられている。
 このゆりかごは不思議だ。
 どんなに泣きわめいていても、ゆりかごに乗せるとピタリと泣き止む。
 そればかりか、きゃっきゃっと笑い声まで立てるのだ。
 おか・・・

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幸い

17/07/21 コメント:0件 くまなか

 俊樹ももう世帯をもつ。予定になかった妊娠だったが、長く付き合って家族同士の交流があったので、幸い好意的に受け止められた。或る日、妻の美穂子が不安も顕な顔で時間をくれと言うから、俊樹は釣られて不安になりながら、忙しい仕事を早く切り上げ、向き合った。美穂子は「これ」と一枚の便箋を取り出した。宛名宛先はない。
”俊樹ちゃんへ。大きくなりましたね。ずっと見てきたお母さんはとても嬉しいです。お式を挙・・・

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なんだか大変だったけど、お金もらえたー

17/07/21 コメント:0件 ちほ

 パブ『ロビン』の店主ピートは、6歳の息子ウォルターと『ごはん部屋』で昼食をとっていた。そして、食後のデザートとして用意された色とりどりのフルーツでいっぱいの大好きなパフェを、ウォルターはうっとりと見つめる。スプーンを手にした時、玄関のドアのカウベルが鳴った。ウォルターはパフェに夢中になりすぎて、ベルの音も父が席を外したことにも気がつかなかった。だから、父の友人である領主のユキヤにいきなり片・・・

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フィルタリング

17/07/19 コメント:0件 家永真早

 この口から発せられる汚い言葉すべて、綺麗な言葉になるようなフィルターが欲しい。優しい声になって、笑った顔になって、傷付けないことができたら良い。
 言葉は一番簡単な暴力だ。取り消せない言葉は深く刺さり、見えない棘となって蝕んでいく。
 だから暴言は無力になり、溜め息も舌打ちも不機嫌な態度も全部全部覆い隠して綺麗な姿にして欲しい。
 子供の時に投げられた言葉や態度は種となりやがて・・・

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ライバル

17/07/18 コメント:0件 月影輝

「妊…娠?誰が?」
「私に決まってるじゃないの!」
結婚して3ヶ月目の記念日に、妻の香織が妊娠した。
「嬉しくないの?!洸ちゃん!」
「い、いや。うれ…しいよ。」
正直、嬉しくはなかった。子供は、嫌いだ。ギャーギャー泣くし、オモチャを散らかしたり、物を壊したりする。なによりも…香織を独り占めにする…

そして、数ヵ月がたち、香織は元気な男の子を産んだ。男の・・・

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初めての女

17/07/18 コメント:0件 喜久之湯

「ん〜もう大好き」
 そう言いながら、女は俺に抱きついてきた。
 まったりとした時が流れている。レースのカーテンは柔らかに波をうちながら午後の日差しに揺れていた。

 こうして女の胸もとに身体を預けていると安心する。本来なら、男の俺が抱きかかえなければならないことは百も承知だ。だが、今は甘えておこう。
 俺が心から和んでいることを笑顔で伝えると、女は目じりを下げて微笑・・・

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そうして巡る

17/07/18 コメント:0件 村崎紫

今年、我が家の玄関にツバメが巣を作った。
ツバメが飛んでいるな、と思っていたらみるみるうちに泥と枯れ草で作られていた。掃除が楽になるよう、巣の下に空箱を置く。巣になり損ねた物と糞がよく落ちてきた。
調べてみるとツバメは雌雄で子育てをするそうだ。抱卵中はほとんど雌で、雌が食事に出る時だけ雄が温める。なかなかの育メンだなと思っているうちに、卵から孵化していた。
鳥と言うより黄色い口が・・・

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エイジハラスメント

17/07/17 コメント:0件 林一

 私はもうすぐ四十になる。ちなみに独身だ。
 仕事一筋でこの歳まで頑張ってきたのに、職場ではおばさん扱いされてつらい。私の方が若い子達よりも仕事ができるのに、何であんな若いだけの子達がちやほやされるんだか。あーむかつく。
 あれ? あそこにいる女の子、一人で泣いてどうしたのかしら? お母さんとはぐれちゃったのかな? 私の年齢だったら、今頃あれくらいの歳の子供を育てていてもおかしくないの・・・

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のっけて丼

17/07/17 コメント:0件 林一

 日曜日。俺は娘と二人で魚市場にきていた。
 この魚市場には、丼ぶりに好きな刺身をのっけて、オリジナルの海鮮丼が作れるという名物、のっけて丼がある。久しぶりにのっけて丼が食べたいとさっき娘にせがまれ、急遽くることになった。
 娘はご飯の入った丼ぶりをもらうと、嬉しそうに色んなお店の前を歩き回っていた。
「おじさん、サーモンとハマチのっけて」
「はいよ、お嬢ちゃん」
「・・・

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