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第134回 時空モノガタリ文学賞 【 正義 】

今回のテーマは【正義】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/06/19

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/04/24〜2017/05/22
投稿数 86 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 「正義」の概念の正当性を疑うような内容が予想以上に多かったです。価値観が多様化した時代に生きているからか、正義を相対的なものとして考える人が多いのだなあと感じました。断定的な「正義」は暴力性を帯びやすく危険なものではあり、絶対的な価値観を持ち込んでしまうと小説として説得力を持ちにくいところが確かにあるのでしょう。どうしても結論としては似たものになってしまわざるをえないテーマだったかもしれません。受賞作三作は正義を自認しながら悪に陥ってしまっていたり、悪を装いつつ実は優しさを秘めているというような、逆説的なアプローチがユニークだったと思います。最終選考の『歩道橋にて』は、殺伐とした世間の中に垣間見える「正義」が優しいと思います。主人公がホームレスの幽霊という社会の傍観者であり、「罪も正義もするすると二人を避けていく」という自由な立場であるがために、人間観察も嫌味がないですね。この「正義」は身近な人間への共感から生まれていて温かみがありました。『妄想劇』は「黙っているのが正義の場合もある」というテーマを中心に構成された読みやすく丁寧な構成の作品ですね。正義への「妄想」が実現したことが逆に不幸の原因となってしまったわけで、正義のあり方と人間の運命の危うさについて改めて考えさせられました。『正義のヒーロー』は、「敵」も立場を変えれば「正義のヒーロー」であるという、ごく当たり前でありながらも、現実の国際社会や戦場などでは簡単に忘れられてしまう事実を再認識させてくれました。『ウォルターの正義』はウォルターの無邪気で素直な心が力強く迫ってきました。「金は働いて手に入れる」という当たり前の事実をこれほど素直に納得させてしまうのは大人には不可能ですね。泥棒がひよこに戸惑うシーンは思わず笑ってしました。『自動販売機に閉じ込められた正義』は独特の会話が、きちんと組み立てられた構成の中で生きていると思います。また登場人物が多いものの、2000字という制約下でも一人一人の個性が伝わってくるのが良かったです。『正義ポイント』はシンプルな構成ですが、架空の社会の内容が興味深かったです。創作や勉強などもポイントで評価しなければいけなくなってしまうかもしれませんね。結局は争いはなくならないというところもその通りだと思います。『正義印』は、個人の話に徹した内容が他と違うアプローチでした。家庭を大事にしながらもずるずると不倫に引き込まれていく葛藤がリアルでした。『竜と石』は周囲から誤解され虐げられながらも「町を守る」ために信念を曲げない騎士の内面の強さが魅力的でした。丁寧に作り込まれた文章も良いですね。次回以降のコンテストも期待しております。

入賞した作品

5

人さらいの夜

17/05/21 コメント:6件 待井小雨

 僕が失敗をすると、ばあちゃんはいつも「悪い子は人さらいに連れてかれるんだよ」と怖い顔をして言った。
 お味噌汁を零すと僕の頭を掴んで「お前なんか攫われてしまえばいいんだ」と言う。お皿を割ってしまうと「悪い事ばかりして!」と怒鳴る。
 僕は正義の味方が出てくるアニメが好きだった。僕もあんな風に強くなりたい。
 けれどそのテレビもすぐに消されてしまう。ばあちゃんは僕の頭を小突いて「・・・

8

ただ、静かな日々を

17/05/18 コメント:5件 ツチフル

 
 破かずに読んでいただければ幸いです。

 
 204号室様
 ありがとうございます。
 あなたのおかげで月島さんが越してくる前の静かな日々が戻ってきました。
 何しろ、月島さんの犬には私だけでなく近所中が迷惑していましたから。
 散歩に行かないせいでいつも吠えているし、トイレの始末をしないから庭はフンだらけ。回覧板を届けるのが苦痛でした。風向き・・・

3

恥知らず

17/04/24 コメント:2件 むろいち

 靴は左足から履く。
 つま先でトントンとはしない。
 家の玄関を左足から出る。
 鍵をかける。
 鍵を抜き、ドアノブを回して、鍵がかかっているか確認をする。
 階段を左足から降りる。
 左足を最初の一歩にしているのは単なるポリシー。
 踊り場にタバコの吸い殻が落ちている。
 恥知らず。
 吸うのは構わない。だが、ポイ捨ては喫煙者失格。
・・・

最終選考作品

2

歩道橋にて

17/05/17 コメント:2件 秋 ひのこ

 駅前で中学生数人が、同級生を堂々とカツアゲしている。
 少年は顔を真っ赤にして抵抗するが、ニヤニヤ笑って囲まれなす術もない。
「あ、あ、財布出したよ。万札! 今日びの中学生は万札持ち歩いてんのか。あー、とられちゃった」
 苦虫を噛み潰したような顔で悔しがるのはトチさんだ。
「見ろよ、誰も止めやしねえ。知らん顔だ」
 トチさんの隣でマツさんがぼやく。

 ・・・

3

妄走劇

17/05/14 コメント:2件 浅月庵

 誰にだって一度はあるだろう。自分が正義の味方になった妄想。
 学校に忍び込んだ殺人鬼を単身でぶっ倒したりだとか、文字通り“変身”して悪の組織を壊滅させたりだとか、そういうやつ。男だったら一度はあるはずだ。

 俺はそんな妄想を、二十代半ばにして毎日行なっている。毎日敵をボッコボコにやっつける、もう殺す勢いで。実際に数えてみると羊が何匹いても足りないくらい殺(ヤ)っちまってるもん・・・

3

正義のヒーロー

17/05/11 コメント:4件 笹岡 拓也

世界にはあらゆる敵が存在する。その敵のほとんどが私たちが住んでいる地球とは別の星の住人。そしてとても大きいのが特徴だ。
そんな敵から守るために作られたプロジェクトに私は参加している。世界各国が協力して作り上げたロボットに私はパイロットとして乗り、その敵と戦う。敵は相当強く毎度苦戦しながらも何とかこの世界を守ることができている。
「今日もお疲れ様でした」
敵を倒すのが私の仕事であり・・・

4

ウォルターの正義

17/05/05 コメント:6件 ちほ

 昨夜、リンブルグ領主館に泥棒が入り、犯人の男は領主ユキヤに捕まって地下牢に放り込まれた、という記事が新聞に載せられた。パブ『ロビン』の店主ピートは、常連客のユキヤが悪党を捕まえてくれたので上機嫌である。ピートの肩越しから、5歳の息子ウォルターが覗き込んで不平を言う。
「ボク、『リンブルグ』と『ユキヤ』てところしかよめないよー」
「あとで、ちゃんと読んであげるよ」
「やだ、・・・

6

自動販売機に閉じ込められた正義

17/05/04 コメント:8件 むねすけ

 弱きを助け、強気を挫く。刑事長、村田清、部下、塚本、新人刑事、吉川。三人の刑事たちは事件の犯人を逃がさない。村田はオールドスタイルのトレンチコートにハンチング。塚本はブランド物のスーツをタイトに着こなし、新人吉川はジーパンにUNIQLOのネルシャツをだらしなく着崩している。
 事件は未明。町一番の早起きがコケコッコにジャスト八分勝って目覚めるよりも、一時間前の出来事。
「ケチな痴漢で・・・

2

正義ポイント

17/04/27 コメント:1件 蜜柑粒

 将来ロボット技術が発達し、ロボットが人の代わりに働くようになったら、多くの人は働かなくてよくなるのだろうか…。 面倒くさがりの孝太は、就職を間近に控え、そのようなことばかりを考えていた。「めんどくせぇ」そう言って孝太は家を出た。今日も会社の説明会に出向く。満員電車に揺られながらボーッと俯いていると、近くから男の怒鳴り声が聞こえてきた。「押してんじゃねーよ」「押してねーよ」こういう不毛なやり取りを・・・

3

正義印

17/04/27 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 彼女と二人、ホテルの一室に入りこみ、俺は深く息を吸い込みながらドアを閉ざした。
 彼女も、俺も、どちらも既婚者。これまで週刊誌やテレビの芸能ニュースでしかみたことのなかった、不倫の二文字が二人の上にべたりと貼りつけられた。
 彼女は、俺の勤める会社の、上司の妻だった。慰安旅行で顔をあわせ、旅館の宴会で隣同士になり、酒の上の気安さで、あることないこと喋るうち、なんてあなたとは気があうの・・・

3

竜と石

17/04/24 コメント:6件 ちりぬるを

 むせ返る程の血と肉の焼ける臭いがこびり付いた鎧を重く引きずるようにその騎士は洞窟の最深部に辿り着いた。闇に目を凝らすとその奥に光る双眼が見える。掌にべっとりと付いた、もはや誰のものか分からない血を拭って剣を握り直した。
「立ち去れ! 人間風情が!」
 地を揺らす様な低い怒声がすると同時に壁中の松明が灯り、巨大な体躯が騎士の眼前に現れた。

 城下町の近郊に巣食う竜を退治す・・・

投稿済みの記事一覧

2

市井の人

17/05/22 コメント:2件 泡沫恋歌

 正義の味方なんて、偽善者くさい言葉が大嫌いだ。

 小学校の四年生の時に父親が死んだ。当時、世間を騒がせた通り魔殺人の被害者のひとりだった。白昼、起こった通り魔殺人は無差別に男女、そして子どもまで五人の人命を奪った。覚せい剤常用者の犯人は、元やくざで日本刀を振り回して、通行人たちを次々に襲ったのだ。
 その時、僕の父親は犯人の手からは逃れていたのに……ベビーカーを押した若い母親・・・

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正義のみかた(仮)

17/05/22 コメント:4件 冬垣ひなた

「この書店はなっとらん!」
 小さな『増山書店』の店内に怒鳴り声が響き、レジを担当するアルバイト店員の僕の前にいた客が、びくりと身を震わせた。
 ああ……見るからにガラの悪い男性客が、先程から店長に食って掛かっているのだ。
 自分が購入した落丁本の苦情を述べるのはいいとして、やれ清掃が行き届いていないだの、声が聞き取りづらいだの、段々本筋に関係ない話で店長を責める。
 気さ・・・

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異星人襲来!

17/05/22 コメント:0件 Fujiki

 彼らが異星人だと聞かされたのは高三の秋だった。
 人類に擬態した彼らはコチンダ君とグシチャン君と名乗っている。変な名前。おまけに二人ともちょっときつめの地方訛りで話す。どうせ擬態するなら、目立たないように佐藤とか田中とか普通の名前にして標準語を使えよ。コチンダ君の告白を聞いた時、僕はそう思った。地球に着いて最初に降り立った場所がまずかったのだろう。
 星がよく見える夜、僕らは二人でビ・・・

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アリを潰すのは正義?

17/05/22 コメント:0件 霜月秋介

 部屋の床を、一匹のアリが這っていた。それを私はしばらく眺めていた。こんなちっぽけな昆虫にも、感情があるものなのだろうか、何を目的として生きているのだろうかなどと考えながら、じぃっと眺めていた。それを目にした母は、血相を変えてアリを踏み潰した。
「なにボーっとしてるんだい!いいかい?家の中でアリを見つけたら、すぐに殺すんだよ?でないといずれ、この家はアリによって滅ぼされてしまうんだからね!わ・・・

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鬼の涙

17/05/22 コメント:3件 そらの珊瑚

 あの日、俺はまだツノもまだ生えちゃいない子どもだったが、それまでの平安な暮らしの全てを失った。

 野蛮な侵略者たちは、海の向こうから突然やってきた。
 そして島のいたるところに火を放ち、家も畑も根こそぎ焼いていった。それまで平和に暮らしていた島民は、逃げ惑うばかり。侵略者が操る弓矢や刀、それに対抗する武器さえ持たなかった。火と煙を逃れてたどりついたのは、海辺の洞窟だっ・・・

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セイギ女子の明日

17/05/22 コメント:0件 宮下 倖

「みんなをいじめたらあたしが許さないから!」
 腰に両手をあててぐっと胸を反らすと、目の前にかたまっていた男子たちがおもしろくなさそうに頬を膨らませた。睨みつけるとぶつぶつ言いながらランドセルを背負って教室を出て行く。
「杏子ありがとう! やっぱり頼りになる〜」
「正義のヒーローみたい!」
 周りの女子がわっと沸いた。あたしの肩よりも小さな女の子たちが一心に見上げてくる。<・・・

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俺が正義だ

17/05/22 コメント:0件 小高まあな

 愛は昔から正義の味方が大好きだった。
「じゃあ、まーくん、だーくすねーくやってね」
「えー、またぁー? いつもボクがわるものじゃん!」
「だってアイ、れっどぴーこっくやりたいもん」
 幼稚園の時、一事が万事この調子だった。他の女の子がおままごとしているのに目もくれず、男の子に混じって戦隊ヒーローごっこをしていた。その時やっていた鳥類戦隊バードマンを。
 しかもバード・・・

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正論戦争

17/05/22 コメント:0件 いありきうらか

世間では「ブラック企業」という言葉が蔓延っている。
そういう意味では、私が所属している研究室は、他研究室から見て「ブラック研究室」なのだと思う。
他研究室と比較をすると、1日あたりの作業量は多く、時には深夜、土日にも作業を行っている。
他学科や他大学の様子を知らない私にしてみれば、これは研究室の姿として普通だと捉えている。
しかし、研究室内の後輩には、他研究室が青く生い茂っ・・・

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正義論

17/05/21 コメント:0件 時雨薫

 烏は西日本国際大学グローバル文化学部の名物教授である。横文字の学部名からもわかるように、アホな私立大である。けれど地元企業への就職には大変有利だから、地元の中流家庭の子弟がこぞって入学するのだ。
「えー、うん、ちみたち、今日の講義はね、正義についてです」
 くぐもった烏の声は講堂の奥の方だと聞き取れない。だというに烏は後ろの席でスマホをいじっていたりする学生を積極的に指名する。

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わけあり女子大生?の恋

17/05/21 コメント:0件 

 せみの鳴き声が響き、夏の訪れを知らせてくれる今日この頃、辺りはすっかり暗くなり、いつもの様子とは違って少し不気味だった。
 そんなとき、大学生の僕たち――田所、内山、橋本の3人は、大学周辺のパトロールをしていた。

 サークルの活動? No.No!
 ゼミの活動?   No.No!

 僕たちはある人のためにパトロールをしている。それは大学の食堂のお姉さん――・・・

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JUSTICE CARD

17/05/21 コメント:0件 みや

〈ジャスティスポイントカード ご入会誠にありがとうございます〉

第1条(会員資格)
会員とは、本規約を承認のうえ、所定の手続きを経て当社に入会申し込みをされ、当社が入会を認め、ジャスティスポイントカードを貸代した方をいいます。

第2条(カードの発行)
(1)当社は会員一名につき、一枚のカードを発行し、貸与します。
(2)会員は、カードを貸与・・・

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魔女エメリアと【正義の味方】

17/05/21 コメント:2件 あずみの白馬

――魔女、エメリアの前には、幼馴染の青年、デネブがいる。
 彼女は無表情で、金色に輝く長剣を振り上げる。
 彼は微動だにしない。待ち受ける運命に従うかのように……

 ***

 この世は光があれば、闇もまたある、しかし……

 現王セレストにより善政が敷かれたこの国は、国民に能力が認められれば誰でも王様になれるチャンスがある。

 私、・・・

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勇者の資格

17/05/21 コメント:0件 浅月庵

 ーー世界は常に雨雲で覆われてるかの如く、影に満ちていた。

 だけどそんな闇の世界とも今日でおさらばだ。
 あと少しで僕たちは大魔王をーー。

「村のなかで戦うのはやめてくれ!! 今年は稲が豊作だっていうのに、これでは全部焼き払われてしまう」
 先ほどまで僕たちは、大魔王の城のなかで戦っていた。
 魔法使いの放った炎弾が大魔王に直撃し、ようやく奴を倒した・・・

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女刑事、正義に怒る ──刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第27話

17/05/21 コメント:0件 鮎風 遊

 古びたビルの屋上から男がぶらりと吊るされ死んでいた。第一発見者は向かいの高級ホテルの警備員、早朝の点検時にだ。
 そこから緊急連絡が入り、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事が現場へと駆け付けた。その後すぐに鑑識班も到着し、衆目に晒された首吊り死体は引き上げられ、検死作業が行われた。結果、屋上で撲殺され、その後首にロープが巻かれ、闇へと放り投げられた、そんな殺人事件だと結論さ・・・

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愛と勇気と正義の強盗団

17/05/21 コメント:0件 かめかめ

『逮捕されたのは、斉藤愛容疑者、竹中勇気容疑者、上杉正義容疑者の三人です。三人は昨夜未明、金生町のコンビニエンスストアに押し入り、店員をナイフのようなもので脅しレジの金を強奪した疑いで……』

 つけっぱなしのテレビから流れてきた声に唖然として食っていたカップ麺の汁をテーブルにこぼしたことにも気づかず画面に釘付けになった。昼下がりのお気楽なワイドショーだが、冗談でこんなニュースを読むは・・・

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選ばれた人

17/05/20 コメント:0件 つつい つつ

 ハイキングコースを歩き始めて一時間半くらい経つ。少し日差しはきつかったが、時折吹く風が心地良かった。私は近くの小学校に通う恵麻ちゃんと美月ちゃんと話しながら歩いた。恵麻ちゃんは最近ファッションに夢中らしく、よれよれのジャージを着た私を見て「涼香ちゃん、いくらハイキングって言っても、もうちょっとカワイイの着ないと駄目だよ」と呆れられた。そんな恵麻ちゃんは動きやすいけど可愛らしいファッションで、とて・・・

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タウゼンハントのロザリンド

17/05/20 コメント:0件 雪見文鳥

 老女の寝室のチェストの奥から、とても懐かしいものが出てきた。
 純銀で作られた天使の羽。30年近く放置しておいたせいか、表面は黒ずんでいるけれど、きめ細やかに施されたこの模様をみれば、この純銀の品がいかに高価で手の込んだものであったか用意に想像できる。
 羽の側面には、こう掘られてあった。
 “1564年 クリストハルトの記憶に”


 その天使の羽を模した純・・・

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Gの一族

17/05/20 コメント:0件 犬飼根古太

 「屋根裏」村の長老達は深刻な顔で集まり、相談していた。
「……やはり、食料調達班は無事には戻って来んかったか……」
「村の壮健な若者達を行かせたというのに……」
「残りはまだ子供と言ってもいいくらいだが……彼らに任せるしか」
「わしら年寄りでは遠出には耐えられん。例え耐えられたとしても――」

 『悪魔』どもの魔手を逃れることはできんだろう。

 ・・・

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「せいぎ」ってなんですか?

17/05/20 コメント:0件 犬飼根古太

「『せいぎってなんですか?』ってなんなんだよ、まったく!」
 連日に続く会議会議で、子供向けヒーロー番組の制作陣は頭を抱えていた。
「ヤナさん、あんま怒鳴んないで下さいよ!」
 悲鳴のような声を上げて、額に当てた冷えピタを押さえているのは脚本家だ。
「だいたいニイザキ、お前がしっかりとした脚本を書かないから――」
「そりゃ無茶ってもんですよ!」
 冷えピタを取っ・・・

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スケープゴートの受難

17/05/20 コメント:6件 日向 葵

「どうして嘘を吐いたの?」
 反省文を書き終えて、職員室から出てきた僕に話しかけてきたのは同じクラスの斉藤だった。
「何が?」
 そう言ってはぐらかそうとしたが、斉藤は誤魔化さないでと語気を強めた。



 事が起きたのは水泳が終わった後の現代文の授業中だった。堅い文章と気怠さが眠気を誘う。そんな弛緩した空気の中、高らかに鳴った携帯の音に目が覚めた。にわ・・・

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誰が為にHIROSI

17/05/19 コメント:0件 犬塚比乃子

 季節は夏も中盤にさしかかり、風鈴の涼やかな音に混じり低い音程の蝉の声がじりじりとたばこのフィルターが焼け焦げるような音程で鳴って、ああ今年も夏が終わりゆくのだという実感が湧いていた。
 蚊取り線香に火を点したリビングルーム内でのことだった。浩史は寝そべりながらふと思いついた。幼かったころテレビ番組で放送していた全国放送の正義の味方を本日付けの新聞に掲載されてあった番組表で調べると、ちょうど・・・

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父ゆえに

17/05/19 コメント:0件 秋 ひのこ

 Aはその世界では「正義の味方」と呼ばれている。
 未解決、或いは法の結論に納得できない事件の被害者が「紹介者」を介し人から人へつながり、Aを頼る。
 Aの方針はいたってシンプルだ。
 目には目を。
 ひき逃げに遭い半身不随になった被害者には、加害者を見つけ出し半身不随に。いじめで自殺した子供には、いじめの首謀者に同じ死を。
 闇から闇へ。独自のネットワークで成り立つ・・・

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とある出木杉くんの苦悩と彼のアメリカでの出来事

17/05/19 コメント:0件 藤原光

私は普通の人間である。ただ、あだ名が出木杉君。青いネコ型・狸型ロボットのアニメのわき役に出てきた系統の人、と言って差し支えはない。

物心がついてから、何事にも気になると一生懸命やってしまう性格で面白がってやっていたら、何事にも気付いたらよく出来るようになっていたりすることが多々ある。

それでも小学校の時も中学校の時も、さらに今でも、周りには陰口を言ってくる人はざらだし、・・・

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白と黒

17/05/17 コメント:0件 

 
 黒が少しずつ減っていく。白がだんだんと増えていく。
 なんて気持ちがいいんだろう。
 数か月振りに自分の前に座り、目の前のことに集中する人を盗み見ながら鼓動が高まる。この瞬間だけは僕の事だけを――正しくは僕の打つ手の先の先まで考えているという現実に、たまらなく興奮するのだ。
 伏せた瞼の動きに比例して震える長い睫毛。数か月まではあんなに近くにいられたのに、今や対峙して・・・

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地球のヒーロー

17/05/17 コメント:0件 本宮晃樹

「おじいさん」少年は初夏の陽射しで七色に輝く水辺に横たわりながら、意思伝達用の花粉を飛ばした。「聞きたいことがあるんだけど」
 風に乗ったそれは、となりに横たわっている老人のレセプターに折よく結合した。
「なんだね、坊主」老人は花粉を飛ばした。
「ぼくたちがむかし、この地球を歩き回ってたことがあるって聞いたんだ。こうやって日がな一日中、寝転がって日光を受けるだけじゃなしにさ」

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セイギノミカタ

17/05/17 コメント:0件 なっぱ偽者

 知っているか? 「正義の味方」の反対は「悪の敵」だということを。
 
 青年はそんな誰かの台詞を思い出しながら、目の前の悪と対峙していた。
 そいつはとある宗教関係者で、信者から莫大な金銭を集めて政治家に納付していた。そのせいで何人の人が不幸になったことだろう。そのせいで何人の人が死んだことだろう。
 だから青年はその男性を許すことができなかった。
 「死んでもらお・・・

2

外見

17/05/16 コメント:0件 平岩 藩士

去年の夏に野球部を引退してから、私は必死で勉強をした。
その努力が実を結び、全国的に見ても一流と呼ばれる大学への入学が決まった。
合格が決まった時は、両親は大いに喜んでくれ、その日は頼んでもいないのに高級なレストランに連れて行ってもらった。
友人からも熱烈な祝福をうけた。
そんなこともあり、私は意気揚々と大学入学までの休暇を楽しんだ。
そして迎えた入学式。
会場・・・

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メランコリア

17/05/16 コメント:0件 藤光

 やってきた彼は憂鬱そうだった。
 おかしな人間が集まるこのクリニックでも、とびきりおかしな男だった。なにしろ、彼はヒーローをやっているというのだ。
「そりゃもう、間違いないんですよ。先生」
 付き添ってきた年かさの男は、疑われるなんて不本意だと言いたげだったが、ここは精神科のクリニックだ。患者の言葉には耳を傾けないといけないけど、鵜呑みにしていちゃ、僕の仕事は務まらない。まして・・・

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言えない言葉

17/05/15 コメント:0件 御手洗

「言葉にすると途端に安っぽくなる言葉って、多いよね」

空を舞う髪の先を、指で追いかけては纏め損ねる貴女は、何時も気怠げな目をしている。
夕陽はあまりにも赤く、枯れる様な赤に侵食された校舎は、今すぐにでも崩れ落ちそうな気がした。
一つの机は、お互いの肘を置くにはあまりにも狭く、その距離はあまりにも遠い。

「そうね、例えば」

照らされた貴女のセーラ・・・

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悪党どもが笑ってる

17/05/14 コメント:0件 元季蝙蝠

 俺には阿久津ヒヨウという男がわからなかった。同僚曰く「阿久津さんは正義という言葉をよく使う」、「阿久津は自分を正義の使者とでも思ってるに違いない」、「阿久津を一言で表すのに、俺は正義という言葉を使わない」「阿久津が正義かどうかはわからない」云々。何やら阿久津という男を語るには「正義」という言葉が重要な要素になるらしい。しかし同僚の話を聞いても、今一つ阿久津の人物像が見えないのだ。だから阿久津から・・・

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都合のいい正義

17/05/14 コメント:0件 モジャ

今月、前代未聞の裁判が行われた。
あの国民的スーパーヒーローが逮捕、起訴されたのだ。
「被告人最後に言いたいことはありますか?」
「裁判長。私は平和を守るために全力で戦ってきました。あるときは光の速さで走り、あるときは巨大化して怪獣と応戦。ボロボロになりながらも戦ってきたんです」
スーパーヒーローは、この場にいる全員に訴えかけた。
「それが問題なんだよ。きみの犯した罪・・・

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となりの正義

17/05/13 コメント:0件 犬飼根古太

 僕にとって正義とはケンちゃんのことだ。
 ケンカが強くて、駆けっこが早くて、勉強だってできる。
 隣の家に生まれて、幼馴染みで、ちょっと乱暴で、僕をパシリに使ったりするけど、とても満足している。
 小学校中学年の今でも、ケンちゃんの子分という立場でいるから、僕はいじめられないし、意地悪もされない。
 そんな自分のポジション――ケンちゃんの隣というのは、僕にとって安心できる・・・

1

正義の女神

17/05/13 コメント:0件 ケン

 古代ギリシャの時代に、アレキサンドロスという初老の彫刻家がいた。彼は芸術家として多くの名声を勝ち得ていた。彼は弟子のイカロスと共に、彫刻製作のための工房を営んでいた。
 ある日、彼の元に裁判所から『正義の女神』の彫像製作の依頼があった。
 正義の女神とはギリシャ神話の『テミス』という女神のことである。右手に剣、左手に天秤を持っており、剣は『力』を、天秤は正邪を測る『正義』を象徴してい・・・

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鬼の話

17/05/12 コメント:0件 糸井翼

ひっそりとした森の奥に、鬼たちの小さな学校があった。彼らの歴史の授業が行われている。
「鬼は正しい生き物でした。」
先生は悲しげな顔で言った。たった二人しかいない生徒のほうをじっと見た。
「鬼はその強靭な体と偉大な知識で自然と共存共栄し、この世界の形を作り上げた。山も海も、我々の偉大な先祖が作り上げたのです。」
「知ってます。先生」
生徒の一人は声を上げた。
「・・・

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正義が勝った日

17/05/12 コメント:0件 ケン

 私はある高名な芸術家の記念美術館に来ていた。
 その人物とは画家で書家で陶芸家でもある、龍ヶ崎済雲(りゅうがさき さいうん)其の人であった。
 展示されている作品は、どれも素晴らしい傑作ぞろいだった。その中でも、特に私が心引かれたのは、額縁に入れられたある一幅の書だった。
 その書の筆裁きは力強く且つ同時に繊細で、線の流れに一点の迷いもなかった。豪快且つ美しかった。何かを悟った・・・

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正義の味方の再就職

17/05/11 コメント:0件 欽ちゃん

アンパンマンと申します。
よろしくお願い致します。
はい、前職は正義の味方をしていました。
50年間、正義の味方としてパン工場を拠点に活動をしていましたが、村の少子化と過疎化の影響でお得意先の小学校から取引を打ち切られてしまい、パン工場が倒産になりました。
また、パン工場が倒産したことで悪のバイキンの活動が終息し、正義の味方としての活躍の場がなくなったため退職致しました。<・・・

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多数決正論主義

17/05/11 コメント:0件 嘉藤千代

 西日が射し込む教室は酷く静かだった。
 向かい合わせにした席へと腰掛け、雅之は机を睨みつける。隣には母、向かい側には担任の教師が座っていた。
「本日はお忙しいところ、申し訳ありません」
 三人しか存在しない空間に声が反響する。
「いえ。ウチの雅之が、申し訳ありませんでした」
 母親は憂いた表情で教師に深々と頭を下げていた。決して自分は下げないと誓っていたのに、母に手・・・

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ヒーローのマント

17/05/11 コメント:0件 林一

「ヒーローてさ、何でマント着てるんだろうな」
「そりゃあ、空を飛ぶためじゃないの?」
「お前はマント着たら空飛べるのか?」
「いや、飛べない」
「じゃあおかしいだろ」
「単純にかっこいいからじゃないの?」
「正義のヒーローが、かっこいいからって理由でマント着てたらかっこ悪いだろ」
「それもそうだな」
 そんな会話をしていたその時、突如悪の怪人が現れた・・・

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ファミレスと正義とサラダ

17/05/09 コメント:1件 Sakurai

 僕と友人Aはランチを食べる為に近所のファミレスにやって来た。
 Aは昔からの幼馴染で、いつも真面目な奴だ。
 だから僕はいつもAといると、Aを会話で困らせるのが楽しくてたまらない。
 僕とAは四人がけのテーブル席に向かい合って腰かけるとメニューを眺めた。
 僕たちの隣の席では四人の女性が大声で愚痴をこぼしあっていた。

「ああいうのを見ると実に無意味だとは思わ・・・

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ヒーローはつらいよ

17/05/09 コメント:0件 深海映

「おやきマーン! 助けてー!」
 田舎くさい女の叫び声。カメムシをかたどった怪人の男は笑った。
「はーっはっは! 来るわけないさ!」
「いいえ、来ますわ! おやきマンは必ずきます! みんな〜! みんなの力でおやきマンを呼んで! おやきマーン!」
 棒読みな女の声に応え、閑散とした観客席の子どもたちが「おやきマーン」と呼ぶ。
 女はもっと大きな声で呼ぶように子どもたちに・・・

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とある女の独白

17/05/09 コメント:0件 水沢洸

「はっ。なによこれ、矛盾だらけじゃない」
 偶然見つけた紙切れを眺め、ひとりごちる。
 そこに書かれていたことはまさしく矛盾だらけ。テーマも主張もぶれぶれで、読むに耐えないひどいありさまだった。特に前半と後半で結論が変わってるのなんか彼らしすぎてわらってしまう。しょせんは思いついたことを書きなぐっただけの日記帳。期待はしないほうがいいだろう。
 いくら中庸を騙ったとしても、独善を・・・

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魔王と正義の味方

17/05/08 コメント:0件 粗目 膳自

「何でまた、魔王なんかになっちゃったんですか?」
 くるくるとコーヒーをスプーンでかき混ぜながら彼女は言う。
 ボロボロになったマントを肩から外しながら、魔王と呼ばれた男は彼女――……世界の女神が座る、前の席へついた。
「労いの言葉とかないのか」
 真っ黒な、闇その物を固めたような鎧ががしゃりと音を立てる。
「いやいやいや、悪逆非道の魔王様にねぎらいとかそんなそんな」・・・

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エリート正義漢

17/05/08 コメント:0件 比些志

青天白日社は独自に開発したソーシャルメディアを武器に世界平和と再生可能環境の実現を理想に掲げる新興のベンチャー企業である。その社風は同社の社是が「正義」という一条のみに集約されていることからも明らかなとおり、社員のだれもが自分たちこそ正義そのものであると信じて疑わない様子であり、それゆえに自信と情熱にあふれていた。

その青天白日社の入社面談の会場にひときわ希望に燃える一人の紅顔の青・・・

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懺悔

17/05/07 コメント:0件 陽川 文実

「私は知りえなかった。それは正義だった。私自身の正義でしかなかった」


 窓の外は俺の知らない道に入っていた。カーブミラーに反射したパトランプの光が目に突き刺さって、俺は反射的に顔を下に向ける。映った俺の手首で、拭き取りきれなかった血液が乾いていた。
「まぁ、気持ちは解らないこともないけどね」
 俺の隣に座っていた刑事が言った。前を向いたままのようだが、声は明らかに・・・

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新人類

17/05/07 コメント:0件 もにたん

「さぁ無駄な抵抗はよせ。その銃を下ろすんだ」
巨大な目。獰猛な牙。鋭利な爪。強靭な足。
新人類のナツメが、僕を行き止まりに追い詰めて言った。
暗闇の中、吹き荒れる雨に打たれ、視界を奪われながらも、僕はナツメにじっと銃を向ける。
人類は皆、駆除されてしまった。
新人類にとって、思考のある人間が生きていること・・・

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おっきな、おっきな、正義の味方

17/05/07 コメント:0件 マクサ

 私は、あの正義の味方が嫌いだ。
ただ、私がこの話をするとみんな口をそろえてこう言う。
仕方ない犠牲だよ。
その分まで生きないとね。
そんな言葉はもう聞き飽きた。
何があろうと私はあの正義の味方が嫌いだ。

どうしてあそこで殺してくれなかったんだ。

 一連の事件のきっかけは、小規模な地震群から始まった。行き帰りの電車が地震のたびに遅れるので、・・・

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タバコの煙(高橋君への手紙)

17/05/07 コメント:0件 田中あらら

親愛なる高橋君

 お久しぶりです。お元気ですか。
私の方は昨年と同様山小屋での仕事が始まり、毎日そばを茹でたり定食を作ったり、お泊まりのお客様の天ぷらを揚げたりしております。春のピークである地獄のゴールデンウィークがまさに終わろうとしている最中、いつものことながらいささかうんざりする出来事があり、ペンをとった次第です。

 昨夜仕事が終わりまったり過ごしておりました・・・

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正義の親玉

17/05/06 コメント:0件 おかず

俺は正義の味方だ。正義に歯向かう多くの悪い奴らを懲らしめてきた正義の味方だ。この世には悪い奴らがたくさんいる。倒しても、倒しても次々に悪い奴らが現れる。だから俺のような正義の味方が世界には必要なのだ。

 ここで一つ忠告しておきたい。俺はあくまでも正義に味方するものであって、俺自身は正義ではないということだ。正義に遣わされ、悪と戦う正義の使者なのだ。

 今日も正義に歯向か・・・

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正義の決断

17/05/06 コメント:0件 林一

 正義のヒーローは、決断を迫られていた。
 悪の敵は、南町の住民全員を人質に取っていた。敵の手元には爆破スイッチがあり、これを押された瞬間、南町の中心に仕掛けられた巨大爆弾が爆発し、南町は住民諸共滅びてしまうのだ。
「ヒーローよ。南町を守りたいのであれば、私の言うことを聞け。お前が持つ聖剣を私に差し出すのだ。この爆破スイッチと交換してやろう。もしも力尽くで爆破スイッチを奪おうとすれば、・・・

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銃声の連鎖

17/05/05 コメント:0件 ゴッペ

 一発の銃声が響いた。
 同時に、演説のため登壇していたライリーの額を弾丸が貫いた。
 ライリーは政治家である。常に国民の為を思って活動を続けていた。決して悪を許さない性格で、同じ政治家からの信頼、さらには国民からも支持も得ていた。
 そのあまりにも実直な性格が故、敵も多く作っていた。内部にも外部にも、彼を妬ましく思っていた者はいただろう。それでも、次期の長は彼がなるものなのだと・・・

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大岡ジャッジメント

17/05/05 コメント:0件 ケン

 江戸時代に正義を旨として活躍した人物がいた。大岡越前こと、大岡忠相。エピソードには事欠かないのだが、例えば。
 一人の子供に対して二人の女が母親であると主張する。当然ありえない事なのでどちらかが嘘をついている。大岡はその女達に子供の両手を互いに掴んで引っ張らせた。子供は当然「痛い痛い」と泣き叫ぶ。すると片方の女は手を離す。手を離さなかった方の女は勝ったと感じて子供を連れていこうとするが、大・・・

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すれちがい

17/05/04 コメント:4件 こぐまじゅんこ

せ いたかのっぽの

い とこのはあちゃん

ぎ りがたくて

の んびり屋さん

み んながこまっていると

か たっぱしから

た すけていく

が んばり屋さんの

み いちゃんは

ん −っと しんどいことでも

な んとか自分でやり遂げたい

の ぞんでいる・・・

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正義の味方を、僕は殺した

17/05/04 コメント:2件 かわ珠

 警察官である僕は今、一人の女性に向けて拳銃を構えている。
 僕は彼女の事をよく知っている。
 いつだって彼女は正しかったはずなのに。
 いや、きっと今も正しいのは彼女の方だ。彼女に拳銃を向けている僕の方が間違っている。
 けれども、僕はこの拳銃を下ろすことができない。彼女は、右手にナイフを持ち、それを一人の男に突き付けている。
 無線から上司である警部からの指示が聞・・・

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夕焼けの坂道

17/05/03 コメント:0件 笹山ナオ

 私は買い物のためにアパートを出た。
 昼は蒸して暑い日だったが、太陽が住宅街のずっと向こうに落ちはじめ、大きくてどっしりと構えた入道雲がその図体を朱色に染める頃になると、少し冷たい風が籠った熱を追い払い、坂道の多い住宅街は時の避暑地となった。原風景と言うと大げさだが、とにかく郷愁を誘うような、昔懐かしいような、少し青春の香りのする風景だった。
 アパート前は急な坂になっていて、スーパ・・・

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正義の味方

17/05/02 コメント:0件 れもん


正義の味方というものに誰しも一度は憧れるものだ。


今と比べると画質の粗いブラウン管の向こうで悪の組織と戦うその様を手に汗握って見ていたのは私だけでないはずだろう。


レンタルビデオショップの戦隊物コーナーをみて岸本大志はふとそんなことを思った。


パッケージを手に取る。


ああよくこんな・・・

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とあるフレンチレストランにて

17/05/01 コメント:0件 藤原光

ここはとあるフレンチレストラン、「アステューシュastucieux」。海辺の景色が見えるこの店は、インターネットでの評判によると、料理の味もいいと、評判である。メニューも安めのものから高めのものまで揃っている。特に隠しメニューの「モアジー風」のものが人気とのこと。予約も数か月先まで取れないらしい。輝は友人とこのレストランにやってきた。

輝たちは、なんてことのないコーナーの席に案内され・・・

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僕が変わる瞬間は。

17/04/30 コメント:0件 アイト

「おい!早く金出せよっ!このクズが!」
「今日はお金持ってないんだよ」
「あぁ?ナメてんのか?おい!こいつのカバン中全部出して探せ!」
路上裏で、イジメというものに合っている中学生が今にも泣きそうな顔で目の前のイジメっ子に「やめて!」と何度も何度も訴えている。だが、イジメっ子達はそんな声に耳を貸すわけも無く、逆にその声がする度に「うるせぇなぁ!」と言いながら、青年の顔を蹴ったり・・・

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羊を逃がさない

17/04/30 コメント:0件 熊野ゆや

 これも私たちの仕事なんでしょうかねえ、と牧場から逃げ出した羊を追う。
 そういうものだよ、と言いながら先輩は端末機を操作して最新の情報を調べている。
 ドーナツ屋の求人に応募したはずなのに、こんなことになっている。かわいい制服を着て、週に五日間決まった時間だけ働いて、稼ぎの良いお客さんを捕まえて、お嫁さんにでもなればいい。人生はもっと単純であると思っていた。
 牧場なんてあった・・・

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正義の味方を探しています。

17/04/30 コメント:0件 火那

 彼は正義の味方を探していた。幼い頃からヒーロー戦隊やドラマで活躍する警察官や探偵に憧れて、それは成人して数年たっても変わらぬまま。寧ろその熱情は過熱状態であっただろうか。社会に出れば理不尽を身を持って感じることも増えるし、立場の弱さに悔し涙を流すことだって多々ある。だからこそ、社会の弱者を救ってくれる、正しいことを貫いてくれる『正義の味方』を求めたのだ。

 「あ、あの!」
 ・・・

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ジャスティス・スチューデント

17/04/26 コメント:0件 瀧上ルーシー

 ぼくが何もしなくてもいつかは終わると思っていた。
 だが終わらない。今日も昼休みの教室で桃子は不良の百円ライターでじわりじわりと長い髪を炙られていた。泣き叫ぶ桃子、後ろの席から傍観するぼく。見ているだけのぼくだが、内心腸が煮えくりかえっている。お前らはぼくの桃子に何をするんだ。誰に断ってぼくの桃子を虐めているんだ? そうは思いながらも虐められて涙を流す桃子から目を離せなかった。一つの歪んだ・・・

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正義と書いてマサヨシ

17/04/26 コメント:0件 ネコライオン

本当の優しさとは損得を顧みない優しさである。人に騙されたことや、裏切られたことであーだこーだ言っている人間は結局自分が可愛いのである。

だからこそ、俺は自分がボロ雑巾になってでも自分の正義を貫く。

全ては誰かのためではなく、自分の中の信念が突き動かすものである。

ある日、クラスの虐められっ子がいた。
皆にはぶられ、机には彼を侮辱したような言葉が書かれ・・・

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かいぶつのともだち

17/04/25 コメント:0件 家永真早

 ウユの友達は怪物だ。彼が自分でそう言ってるからだ。きっと本当なんだろうと思う。触らせてくれた手は硬い毛に包まれていたし、鼻息は強くて湿っていて、声もひどくくぐもっていた。彼曰く、彼は全身毛むくじゃらで頭には角が生え、目も耳も鼻も大きく、そしてまた大きな口には長い牙が生えているのだそうだ。だけれど、彼は村の誰よりも優しいとウユは感じていた。
 ウユは生まれつき目が見えなかった。不便はないけれ・・・

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ソーシャル・ネット・フレイム・アイドル

17/04/25 コメント:0件 氷室 エヌ

 まずい。やってしまった。
 下世話な週刊誌の見出しを見て、頭を抱える。『超人気アイドルO上、お泊まりデートか!?』――何がO上だ。私の名前は大上だ――それで伏せ字にしたつもりだろうか。
 まさかホテル周辺にパパラッチがいたなんて。私は数日前の夜のことを思い出した。友人であるタレントの誕生日パーティで、某有名企業の重役だという男に出会った。前から私のファンだったというその男は、案外悪く・・・

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偽りの正義

17/04/25 コメント:0件 seika

有名なドイツ文学者でクラシック音楽にも造詣が深く、古代ローマ史等歴史の著作も多数ある戸舞賛歌の偲ぶ会が高級ホテル『ホテルナポリタン』で開催された。企画主導司会は戸舞賛歌の書斎に出入りしていたナカノ、費用&労力負担は戸舞賛歌の不肖の娘で小岩のディスカウント店『倉庫の店』店員詩織だった。偲ぶ会 当日ナカノは詩織に負担させた高級外車のハイヤーでホテル入り、一方の詩織は朝からジーバンでナカノのツカイパシリ・・・

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洗脳

17/04/25 コメント:0件 

 私は自分のことが嫌いだった。コンプレックスの塊で、劣等感の塊だった。



 男友達が一人だけいる。私は彼によく、
「自分のこと好き?」
と聞く。彼はいつも、
「好きだよ。」
と言う。そう答える時の彼の顔が、堪らなくかっこいいのだ。だから私は、答えを知っていても彼に会うたびに同じ質問をする。自分のことが好きな彼のことが、私も好きだ。

・・・

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正義の味方

17/04/25 コメント:2件 安藤みつき

ヒーローはいつも『正義の味方』である。
悪役の怪獣は、住民に危害を加え、地球を乗っ取ろうとする。そんな怪獣に対してヒーローは、正義の鉄槌をくだし、怪獣は爆発して死んでしまう。

時代劇の主人公も『正義の味方』である。
悪の代官が、住民から不当にお金を巻き上げ、女を拐う。そんな代官を、主人公は『正義』の名の元に、切り殺す。

『正義の味方』は、正義を貫き通す。

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Nの正義という名の鬼行(きこう)

17/04/24 コメント:2件 空 佳吹

ある雷雨の夜のこと……
X病院の産婦人科で、友瀬一郎・和子夫婦に、とても元気な男児が誕生した。
一郎は、さっそく我子に「一也」という名前をつけた。
翌日は休日ということで、一郎は和子の病室で夜を明かすことにした。
実に可愛い寝顔でスヤスヤ眠っている生まれたての一也を、一郎は何度も見ては、
「やっぱり俺に似てるな……」
それを見て和子は、あきれたように笑いながら、・・・

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とある男の手記

17/04/24 コメント:0件 水沢洸

 勝てば正義、負ければ悪。
 それがこの世の真理だと、どこかの誰かがうそぶいた。
 私はそれに異を唱える。
 でなければ私は悪だと認めてしまう。
 世界のために身を粉にした己を。
 愛のために滅びを繰り返した彼女を。
 挑み続け、その度に壊れた世界を。

 そも正義とは『社会生活を送るうえで規範となるべき正しい行い』のこと。決して勝負事と並べていいモ・・・

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サスペンダー

17/04/24 コメント:0件 イルカ


  あそこの書類を、コピー十枚しおいてと、新人の田中さんに頼んだ。
 しばらくして、机の置いてあるコピーを見た。別の書類のコピーが置いてあった。
 田中さん、また間違えたと思い、イライラしていたのか。田中さんに小言を言った。すると、彼女は、目頭が熱くなり、 ハンカチで目を抑えた。
 それを見て、しまったと思った。

 見ていた上山さんが、あそこって指示しました・・・

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概念のたまり場

17/04/24 コメント:4件 まー

 上も下もなく、光も闇もなく、速さも遅さもない、そんな異空の領域があります。
そこは肉体を備えた生物が辿り着ける場所ではありませんが、無数の“概念”は立ち入ることを許されており、概念同士の交流の場のようになっています。ちなみに私はそこで概念観察記録官という職についている者です。
 ではどういった概念がやってくるかといいますと、
  動物や食べ物の概念、
  数や時の概念、<・・・

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不審者さん

17/04/24 コメント:0件 

 今から、一年くらい前の話だ。朝、私は駅から大学までの道を歩いていた。いつものように細い道を歩く。大体の学生は大通りの交通量の多い道を通るのだけど、私は基本的に人が少ないみんなが選ばないような道を通っていた。朝はテンションが上がらないので、友達と話しながら登校する気分にはなれないのだ。だから、できるだけ友達と会わない道を選んで登校する。まぁ、下校するときもだいたい細い道を通って帰るのだけど。

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きみが楽園からこぼれ落ちたら

17/04/24 コメント:1件 クナリ

 「歌と水の街」は、大陸の端にある一大芸能都市である。
 最大の花形である歌劇団を筆頭に、多様な娯楽が散在している。
 強い光と同時に巨大な闇を抱えた街は、腐敗と暴力にも事欠かなかった。特に歌劇団が抱える、ボウガンで武装した私警団は、その過激さで知られていた。
 人々の鬱屈は膨れ上がり、歌劇団の転覆、更には街そのものの再構築を目指す運動も起こった。治安は、悪化する一方である。

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Q.正義とは

17/04/24 コメント:0件 家永真早

 正義とは何か。司法浪人である汐里は考える。正義とは、自分の大事なものを守ることである。自分の命、家族、友人、財産、信念、思想。それらを守るために行動することである。あらゆる側面から見て、ただ一つの正しいことなどあり得ないからである。飢えた者が自分の命を守るために盗みを働くことは、その者にとっての正義であり、盗まれようとしている者が自らの財産を守るために飢える者を見殺しにすることも、その者にとって・・・

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ある日の正義

17/04/24 コメント:2件 文月めぐ

 「正義感のある行動を心掛けましょう」とふいに聞こえた。今日の占いをアナウンサーが読んでいる。すでに見慣れた朝の光景である。俺はこれから朝ご飯を食べ、着替えて、自転車で高校へ向かう。
 今日は今学期最初の美術の授業があるから、絵の具セットを持って行かないといけないし、学校に着いたら、まず数学の松井先生のところへ行って、昨日の宿題を提出しなければならない。そんなことを一瞬のうちに考えていたら、・・・

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主文、死刑。

17/04/24 コメント:2件 風宮 雅俊

 待合席の並ぶ廊下の先に、最高裁判所の第十五小法廷がある。法廷内には五人の裁判官席と検察官席、弁護人席、被告人席、法廷警備員席、あとはネットでライブ配信する為の据え付けのカメラだけである。
 最高裁判所は、十五人の裁判官が起訴内容により五人若しくは十五人による合議によって判決を下す裁判所であり、ここでの判決により刑が確定する。上告される事はない。

 今日も類似裁判を七件も処理し・・・

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