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第124回 時空モノガタリ文学賞 【 五分間 】

今回のテーマは【五分間】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/01/30

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/12/05〜2017/01/02
投稿数 91 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 今回は、様々な「五分間」がそれぞれの作中に展開され、内容的にかぶる作品もほとんどなくいいコンテストだったと思います。五分という、取るに足らない短い時間の中に、様々な要素をそこに付託することが可能なのだなと感心しました。今回、五分という時間枠の中の出来事をストレートに描いていた作品は、案外少なかったですね。読んで感じたのは、ある程度短い時間枠を緊張感を持って描くというのは、やはり基本的な書く力が必要とされるということでした。今回の最終選考作品の「つうとかあ」は四島トイさんらしい独特のウィットに富んだ会話が個性的だと思います。理系らしい展開も面白いですね。「5分間の白昼夢」は、前半は少しとりとめない印象でしたが、後半になるにしたがって密度が高まっていきます。若い主人公が最悪の人生の終末を垣間見る展開には、ハッとさせられるものがありました。「五分間の物語がやって来る」は、物語に世界が囚われてしまう展開が凝っていてうまいと思いました。その内容に関わらず、物語が厄介もののように押し付け合われるのは皮肉ですね。「その五分間は永遠に」は、人生の決定的な瞬間、凝縮された時間が描かれ強い印象を残します。「五分間」という時間枠で起きた出来事をストレートに描いた数少ない作品の中の一つでしたが、緊張感がありました。「誰かの五分間」は、短い時間を大切に積み重ねることの重要さが素直に伝わってきます。家族といえども、その心中ははかれず、意識的な努力も必要なのかもしれませんね。「引っ越し先は駅から徒歩五分」は、不動産屋の謳い文句の不確かさをうまく生かしていますね。後半人ならざるもの(?)や管理人の不可思議な言葉など、日常的の中に異質なものが侵食してくる感覚が面白かったです。「募時間、お願いします」は、寿命の寄付というアイデアに独自性がありますね。時間を募っておきながら、目の前の人間の寿命には貢献できないというのはなんとも皮肉な展開でした。「レッド・リスト」は、人類の終焉とそれを看取るアンドロイドという設定自体はさほど目新しいものではないかもしれませんが、悲劇を淡々と伝える文体、立ち込める空気感が普通のSFとは一味違っていたと思います。「悪魔の部屋」—―夫と娘の死体の横で」は、ビデオメッセージが次第に部屋の状況を明かしていく展開と、想像力をかきたてるラストが凝っていて印象的でした。これは最近の傾向なのですが、投稿作全体の質が上がり、良作の層が厚くなってきていると思います。特に新しい投稿者の方がいい作品を描かれていたりする場合は、運営側として嬉しく感じます。古参の作者の方も、これまで以上に頑張っていただきたいですね。

入賞した作品

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愛を確かめ続ける砂時計

17/01/02 コメント:11件 そらの珊瑚

『手作りオリジナル砂時計お作りいたします・トアノ砂時計屋』

 今どき、砂時計? と思う人は少なくないだろう。
 時計と名がついてはいるが、そもそも砂時計は今現在の時間を示す時計ではなく、砂時計が落ちるまでの時間を示すものだ。つまり時刻を知るためのものではなく、一定の時間を刻むことを約束したタイマーともいえる。
 或いは普通は見ることの出来ない時間、思い出と呼ばれる類を、可・・・

3

36792000分の余暇

16/12/29 コメント:4件 待井小雨

 進歩を続ける科学技術により、人類は超高速の移動手段を手に入れる事となった。装置のある場所なら何処へでもごく短い時間で移動――すなわちワープが可能となったのである。かつて誰もが空想した瞬間移動には及ばないが、人類にとって大きな一歩となった。
 この技術が一般的なものとなるまでには時を要したが、次第に誰もがこれを利用するようになり、通勤や通学、買い物から海外旅行まで五分で行けるのが当然となる。・・・

6

5分間延長保険

16/12/10 コメント:6件 秋 ひのこ

『「5分間延長保険」のおかげで、主人ときちんとお別れすることができました』
『僕のお父さんは交通事故で死んでしまいました。でも「5分間延長保険」があったから、お父さんは戻ってきました』
『「5分間延長保険」で、妻が命がけで生んでくれた子供を最期に見せてやることができました……』
――5分間延長保険は、お亡くなりになった後、5分間だけどこにでも、どなたにでも会いに行ける保険です。と・・・

最終選考作品

3

つうとかあ

17/01/02 コメント:4件 四島トイ

 それはストーカーじゃないのか、と助手席で眉根を寄せてみせる。
 そう思いますか、と運転席の小黒智則が声を潜めた。ハンドルを落ち着きなくトントンと指で打つ。
「どうしましょう川原先輩。自信なくなってきました」
「むしろ自信があったことに驚きだ」
「彼女とは、その……あれですよ。ツーカーの仲だと思うんですけど」
「スマホ世代の発言とは思えない」
「うちの実家じゃ、・・・

1

5分間の白昼夢

17/01/03 コメント:2件 あしたば

時計の針は10時25分を指していた。
あと5分、か。
時季は初夏、天候は快晴。暖かな陽光。少し首を巡らせて辺りをぐるりと見渡してみると、教室全体をクリーム色の空気が包んでいるような印象を覚えた。
三峯女史がその細い唇で紡ぐ和分計算の公式は、平坦で単調な旋律となってあんずのまぶたを押し下げる。あと5分もある、だなぁ。
あんずは小さく呟いた。目の前のノートは白紙だけれど、急いで・・・

2

その五分間は永遠に

17/01/02 コメント:3件 日向 葵

 酷い痛みが、暗い意識の底から僕を引きずり出した。体の節々がミシミシと軋み、芯を蝕むような鈍痛が僕の体を刺す。
 寒い。とても寒い。
 気付けば十二月の冷たい雨が僕をバチバチと叩いていた。更に濡れたアスファルトの冷ややかな感触が背中から伝わって、僕の心臓まで凍り付かせているようだった。
 掌底で頭を押さえ、重い体を起こす。瞼を上げると世界が赤く染まっていた。奇妙な光景に頭が混乱す・・・

5

誰かの五分間

16/12/31 コメント:4件 宮下 倖

 男は帰宅の途中、夜の住宅街で唐突に立ち止まった。場所を間違えたスポットライトのように、街灯が男の体を半分だけ照らしている。くたびれた中年サラリーマンの代表のような仕草で男は深い溜息をついた。

 ようやく休日出勤を終えたが家に帰りたくない。朝、妻と交わした会話がよみがえる。
 どうして休みがないの。たまには家にいてほしい。早く帰ってきてあの子と話をしてやって。
 自分が家・・・

4

引っ越し先は駅から徒歩五分

16/12/24 コメント:4件 吉岡 幸一

 不動産屋からもらった地図を見ながら男は歩いていた。駅から徒歩五分で新しいマンションには行けるという。荷物はすでに届いていると管理人から連絡があった。
会社から転勤の辞令を受け取って、二週間で赴任しなければならなかった。仕事をしながらの二週間足らずではとても家を探したりする余裕はなかったが、幸い引っ越しのすべてを会社が世話してくれたので男は体一つで引っ越せばよかった。
この日初めて男は・・・

3

募時間、お願いします

16/12/20 コメント:2件 るうね

「募時間、お願いしまーす」
「恵まれない子供たちのために、募時間お願いしまーす」
 駅前で、学生たちがそんなことを叫んでいる。
 首からは、妙ちきりんな機械を下げていた。
 気になった俺は、会社に向かう足を止め、学生たちに近づいた。
「募時間、お願いできますか」
 にこやかに言ってくる学生に向かって、
「募時間てなんだい」
 と、問う。
「ご存・・・

5

レッドリスト

16/12/15 コメント:4件 入江弥彦

 死んでしまおうと思った。
 崖の上から荒廃した大地を見ていると、風がスッと僕の背中を押すように吹いてくる。あと一日、もう一日、そうしているうちに崖の上の木々に花が咲き、少ししてから緑が生い茂った。やがて赤くなって、はらりはらりと谷底に飲み込まれていく。
僕は毎日、律儀に崖に出向いて飛び降りることなく家に帰っていた。出迎えてくれる彼女は僕がどこに行っていたかといことを問い詰めない。いつ・・・

8

「悪魔の部屋」――夫と娘の死体の横で

16/12/05 コメント:10件 クナリ

 君がこの動画ファイルを見ているということは、例のホームに、亭主と娘と共に入居を決めたということだね。
 以前言った通りこの動画を、ホームに入る前に見てくれていることを願う。でないと、手遅れになるからね。
 私は君と入れ替わりに、ホームを出たことになる。もう会えないかもしれないな。
 いいかい、その建物には、君達と同じ悩みを抱えた人々が十数世帯暮らしている。そしてそれぞれの世帯の・・・

投稿済みの記事一覧

8

ラストサンを待って

17/01/03 コメント:5件 石蕗亮

 大晦日
秋田県の男鹿半島の先端、入道崎までやってきた。
灯台の入る位置に三脚を立てカメラを設置する。
既に陽は傾きその足を日本海の果てに浸していた。
崖の上の岬である。
耳元を駆け抜ける強風がまるでなまはげの唸り声のようである。
そしてその勢いは三脚を震わせ、その冷たさは指先に痛みをはしらせるほどであった。
私は海に背を向けるとコートの襟を立て胸元に顔を・・・

9

再びラヂオ

17/01/02 コメント:4件 石蕗亮

 クリスマスだというのに熱を出して独り毛布にくるまっていた。
看病してくれる家族も恋人も居ない孤独な独身生活。
夜も更け熱もピークで節々が痛む。
苦しさで人の温もりが恋しくなるばかり。
寂しさに耐えられず徐にラヂオを付ける。
「ハーイ、みんな今晩もうらめしやー。
クリスマスだって誰かを恨んで止まない怨霊の為に今晩も振るって放送したいと思います」
テンション・・・

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五分間の境界線

17/01/02 コメント:5件 泡沫恋歌

 五分という時間は待っていると長く感じるが、何かするには短い時間である。
 だが、その五分間が人の運命を握る大事な時間だとしたら――。

「もう! 早苗遅いよ。五分の遅刻だよ」
 その日、親友の千香子とライブに行くために駅前で待ち合わせをしていた。
「ゴメン! たった五分くらいで怒んないでよ」
「だって、ライブの前にグッズ買いたいのに、早く行かないと売り切れちゃ・・・

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後五分で先生が来ちゃう

17/01/02 コメント:0件 むねすけ

 集団の頭は全体の先頭であり、一番の高数値を叩きだして後列を優しい目で見るだけ。

「どうすんだよ。モロコシヘッド後五分で来ちゃうよ」
 冨士ケ丘第三小学校6年4組の頭、藤林省吾が先頭で舵を切る。どうすんだ、と言いながらすでにして彼には明確な定めた着地地点があったのだが、とりあえず全体を騒がせてからの方が、言う価値が重くなると思ってのこと。
「そうだよ。どうすんの?五分だぞ・・・

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水中キス選手権

17/01/02 コメント:3件 欽ちゃん

「日本で初の開催となる水中キス選手権!優勝賞金はキスした秒数×1000円を差し上げます!」

司会者の絶叫が僕の胸まであるプールの水を揺らした
僕の正面には彼女が首元までプールに浸かっている
ショートカットに子犬のような顔立ちで圧倒的にかわいい
2年も付き合っているが手を繋ぐのが精一杯でまだキスをしていない
キスをしようとする度に彼女は恥ずかしがって俯き、拗ねた・・・

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砂の中に

17/01/02 コメント:0件 mio

私はかつて仕事でアフリカにきていた。これは私が8年前に実際に体験したことだ。私は決してあの景色を忘れないだろう。肌を焼く砂漠の太陽とともに、いつもそれは私の中にある。

カイロに降りたってから早4日。途中まで古い日本車に揺られていたが、今はラクダの背にまたがり進んでいる。まったく、なんだってこんな遠いところにこさせるんだ、うちの会社は。
暑さで宇野君は動きが重くなってきてい・・・

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五分間の継承

17/01/02 コメント:0件 野々小花

 冬の都大路に、全国高等学校駅伝競走大会のスタートを告げる号砲が響いた。
 一斉に、各都道府県の一区の選手たちが飛び出して行くのを、アンカーである津田将人は、最後の中継地点のモニター越しに確認した。
 一年生でありながら、最終区を任された。異を唱える者はいなかった。それだけの実力が将人にはあった。幼い頃から、常に同世代の先頭を走ってきた。他人の走りに興味はない。目に留まるようなランナー・・・

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舞台装置は五分先の光を見るか?

17/01/02 コメント:0件 反町カズキ

 列車はトンネルに向かっていた。
 僕はこの先に待ち受けるトンネルを知っている。二つの県境に作られたこのトンネルは列車が通過するのに五分を費やす。
 僕はこのトンネルが苦手だ。
「お隣、よろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
 僕にそう話しかけてきたのは別の車両から移ってきた男だった。
 服装はありふれた黒の背広。これといって特筆すべきことはないだろう。

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五分休みのせいで

17/01/02 コメント:0件 OSM

 僕が小学四年生の時、中休みなるものが作られた。一律十分だった休み時間が、二時間目と三時間目の間だけ二十五分になったのだ。ただ十五分長くなったのではない。一時間目と二時間目の間の十分と、三時間目と四時間目の間の十分と、五時間目と六時間目の間の十分が五分ずつ減らされ、二時間目と三時間目の十分に加えられたのだ。大仰な言い方をすれば、三つの五分間の犠牲によって中休みは誕生した、ということになる。
・・・

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最上の演奏

17/01/01 コメント:0件 沓屋南実

「一番心に残るコンサートはどれですか? 特別心に残るものは?」
 定番の質問だ。老指揮者イアン・べインズは、すぐに的確に答えるつもりが、言葉に詰まった。記者の「特別なもの」という言葉が浮き立って聴こえてホリー・トムズのことを思い出したからだ。
「それは……。ほんの五分だったが、素晴らしい時間を過ごしたよ。うまく言えないが、最高だった。あの演奏は、私の心の支えだ」
 聞き手はいぶか・・・

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17/01/01 コメント:0件 浅月庵

 正常な思考を灼いてしまいそうな、或る夏の日。
 大学へ向かう道中、彼女と僕は初めて出会った。

「名前は何て言うんですか?」
 僕は彼女の連れている犬へと歩み寄る。牛のようなカラーリングが堪らなくチャーミングだ。
「この子の名前は、少し言うのが恥ずかしいんですけど……大福っていいます」
「ユニークな名前ですね」僕は大福の、丸い背中や頭をガシガシ撫でてやる。一人・・・

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若者の五分間

17/01/01 コメント:0件 木野 道々草

 先週、俺は大学で不思議な体験をした。十八年間の人生経験で、理解できることではなかった。
 月曜日の午後、基礎ゼミナールの個人面談のため、担当教員の研究室へ行った。いちいち癇に障る話し方をする女の教員で嫌だったが、一年次の必修科目なので我慢している。
 その日は、この気に入らない相手に「できない」を言わせてみようとした。子供じみた試みだった。
「先生は、手品で五分間を五日間くらい・・・

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アイラ島の暖炉の前で

17/01/01 コメント:0件 かめかめ

「本当にあんたは本を読むのが早いわねえ」
 母の言葉を背中で聞きながらフミは次の本を手に取った。
「文庫本一冊を五分で読むなんて普通じゃないわよ。ある意味、天才よ、天才」
 後ろからの声はもう聞こえない。フミは本の海の中にダイブする。文字と文字の間のわずかな空気を吸いながら、すべての文字に透明な手で触れていく。文字は触れた瞬間フミの体をつつみこみ、あたたかな水のように肌に浸透して・・・

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徒歩5分のパントマイム

16/12/31 コメント:2件 冬垣ひなた

「あの家、売れたらしいね」、そんなことを言ったのは買い物帰りの母さんだ。
 日曜日のチラシに載っていた、『新築一戸建て、駅から徒歩5分』。駅前にある、ぼくの住むマンションからも徒歩5分。ぼくはランドセルを降ろし、野球帽をかぶって、早速偵察に出かけた。
 マンションを出て、黄葉が落ちる並木道を下り、川沿いの石畳を歩きながら、橋が見えた所でぼくは足を止めた。
 つい先日までモデルハウ・・・

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5分間タイムリープ

16/12/31 コメント:0件 笹岡 拓也

目の前で見ず知らずの女性が亡くなった。縁も所縁もないが、目の前で人が亡くなるのは辛い。
女性の死因は交通事故だ。こんな車通りの多いところに飛び出した女性が悪い。しかし女性は飛び出した理由があった。それは女性の子供が急に道路に駆け出し、車に跳ねられそうになるのを防ぐために、女性は車の前へ飛び出した。
私の目の前で女性は無残な姿をしている。その女性に駆け寄る子供。ひたすら泣きじゃくり「ごめ・・・

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伸ばした手の先に

16/12/30 コメント:0件 勿忘草

嵐のような人だった。
目を細めて声を出して笑って
顔色を変えて怒って
たまに見せる悪戯そうな顔も
胸を痛めた切なそうな横顔も
私は貴方をずっと見ていたと思う。
生ぬるい教室の隅っこ。
そこが私の席だった。
突然取り上げられた教科書を追うように顔をあげるとそこには貴方がいた。
「俺さ彼女にプレゼント何がいいと思う?」
それ、私に聞く?

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エレベータ

16/12/30 コメント:0件 麦食くま

「まだちょっと眠いな。今からエレベータでの移動時間を考えると、休憩室をあと5分後に出れば十分間に合う。よし、念のために」男はそういいながらスマートフォンのアラームを5分後にセットすると、そのままうつ伏せになって眠った。しばらくするとアラームがなる前に自然に目が覚める。「ふうちょっとだけど良く寝った。さてオフィスに戻ろう。男はそういいながら休憩室を出て、エレベータホールに向かう。男の働いている会社の・・・

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殺しの魔眼

16/12/30 コメント:3件 タキ

タイムリミットはきっちり五分間。一秒の誤差も無い。五分後に【必ず】死ぬ相手をいかに助けるかが少年のミッションだった。だが、まだ一度として助けられた事は無かった。成功率は0%だった。助けようとする少年の努力をあざ笑うかのように、相手は必ず死んだ。

一人目は、駅のホームで肩がぶつかった中年の男だった。自分を怒鳴るその男の頭上に、【5:00】という青白く光る数字が浮かび上がったのを見た時は・・・

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夢に遊ぶ時間

16/12/30 コメント:0件 Fujiki

「夢の中では意識がすばやく機能しているから時間が遅く感じられる。現実の五分間は夢では一時間くらいになるんだ」
 またか、映画の受け売り。大きな瞳をキラキラ輝かせながら語る慶斗は、完全に現実とフィクションを混同してしまっている。しかも映画から仕入れた知識であることをすっかり忘れて自分のものにしてしまっているから余計に始末が悪い。夢の時間の話が出てくるディカプリオの映画は一緒に観にいったじゃない・・・

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人生を変える5分間

16/12/29 コメント:0件 汐月夜空

 あの日、ぼくは学校の行事のために2年間乗り続けていた電車よりも1本早い電車に乗った。
 そこで彼女を初めて見たとき、ぼくの頭は彼女でいっぱいになった。
 白い。とにかく肌が白い。小さな顔も、膝丈のスカートから伸びる細い足も淡雪のようだ。浅く茶色に染めた肩までの真直ぐな髪が柔らかな朝日を浴びて透き通っている。
(……こんなにかわいい人が居るんだ)
 思わず感嘆のため息をつい・・・

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終末の五分間

16/12/29 コメント:4件 夏川

『残念なお知らせです。あと五分で地球は終末を迎えます。皆様、今まで本当にありがとうございました――』

 買ったばかりの大型テレビが終末のお知らせを伝えたのは、ほんの数十秒前の出来事である。
 なんでも超巨大な隕石が凄いスピードで地球に向かっているらしい。そして驚くべきことがもう一つ。なんとその隕石、あと五分で地球に衝突するのだと言う。
 窓の外からは人々の不安を駆り立てる・・・

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神様、ちょっと待った!

16/12/29 コメント:2件 若早称平

 大学を卒業する直前に帰ったきり実に三年振りの帰省だったのだが、どうにも実家は居心地が悪く、買い物に行くと言って街に出た。駅前はすっかり様子が変わってしまい、見覚えのない店や建物が増えていたが、駅の南口を出てしばらく歩いた川沿いの道は私が高校生だった頃から何も変わっていなかった。
 友人達と自転車で通学していた土手をゆっくりと歩いていると、ふとその頃に付き合っていた彼氏のことを思い出した。今・・・

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ラスト・ショー

16/12/29 コメント:0件 奥一けい


 その日、カチカチとお決まりの小刻みなリズムが聞こえ始めた時、わたしはいつになく意気込んでいた。真っ直ぐ前を見据え、その時を待つ。今日だけは失敗するわけにはいかない。与えられた時間はたった五分、されど五分である。

 “さあ、ラストショーだ”
 流れ始めた陽気な音楽に混ざり、その時穏やかな声が聞こえたような気がした。
 直後、ゆっくりと左右に開いていくえんじ色のカー・・・

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クロノスタシス

16/12/27 コメント:0件 いありきうらか




「痛い、膝また当たった」
「あー痛い、悪い」
「もう」
「いたたた」
「あ、そういえばさ」
「ん?何?」
「クロノスタシスって知ってる?」
「何それ?」
「誰かが言ってた」
「誰かって誰だよ」
「近くを通った人」
「それが誰なんだよ」
「知らない人」
「知らない人の話盗み聞きしたのかよ」
・・・

2

五分恐怖症

16/12/28 コメント:0件 yuri


「五分だけ、考えさせて」
 苦しそうにそう告げた彼は、腕を組んで黙りこくってしまった。
 私は曖昧に頷いて、味の感じられないコーヒーを一口すすった。
 二十七歳。三十までに結婚したいのなら最後のチャンス、と踏み切った逆プロポーズだった。
目の前に座る彼はいつもの優しげな顔を、難しく歪めたままだ。
すぐに返事を出せないのは私も分かる気がした。即決という言葉は時に・・・

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五分遅れたら、遅れても。

16/12/28 コメント:0件 タック

たかが、五分の遅刻だった。その五分が、まさかあんなことになろうとは。
その時の俺は、想像だにしていなかった――。

……。

「……遅い、遅刻」
待ち合わせに遅れた俺に、ユカが言った。小さな背からするどい視線を投げ、普段通りのジト目がジットリ加減を増していた。
ユカは、そういうヤツだった。遅刻だけは許さないヤツだった。他のことは、割と無頓着なくせに。

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遅刻相対論

16/12/28 コメント:0件 本宮晃樹

 ニュートン物理学の枠組みにおいて、時間は絶対的だった。それが相対性理論によって打ち崩されたわけだが、普段われわれが生活している限りにおいて、それを意識することはまずない。みんな同じような時間流のなかでなんの齟齬もなく生きているのだから。
 にもかかわらず、卑近な例でアインシュタインの偉大な発見を直に感じ取ることは可能だ。われわれはなにも光速に近い宇宙船に乗って何光年も旅したあと、地球へ戻っ・・・

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あたたかいひざしがさしこむきょうしつにて

16/12/28 コメント:0件 かの

五時間目の数学の時間というのは人間が正常に活動できる環境だとはとても思えない。
炎天下や極寒の地、数千メートル級の山の上がそうであるように、数学の授業もそれらの例外ではないであろう。
黒板に書かれた数字と記号が、私の生きる力を奪っていく。
滑舌が妙に良く、早口な男性教諭から放たれた、暗号とも言える音声が耳から入って、頭蓋骨と脳みその間をぐるぐる回りながらまとわりつ・・・

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五分間ロボット

16/12/27 コメント:0件 るうね

 わたしが目を開けると、そこは薄暗い部屋でした。
「目が覚めたかね」
 わたしの寝ているベッドの横に、一人の人物が立っています。
 データ照合……この研究所の所長であるアサマ博士と声紋その他の特徴が一致。
「アサマ博士、ですか?」
「そうだ」
 重々しくうなずく博士。
 ……うーん?
「わたしに関する研究は凍結されたはずでは?」
「正確には凍結・・・

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たかが300秒余りの分岐点

16/12/27 コメント:4件 日向夏のまち

『位置につけ。』
 遮蔽物に身を隠せ銃口も覗かせるな。
 無線からくる指示を脳内で繰り返す。しかし意味は咀嚼できない。奥歯が鳴っている。背筋を撫でたその冷気が、遮蔽物からくるものか怯えからくるものかもわからない。
「ぶっ殺してェ位の青空だなァ?」
 軽口を叩くのは同じ隊の兵士。刈り上げた金髪がそよそよと平和そうに揺れている。
『五分後に突撃を開始する。』
 五分・・・

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アニラスの花畑

16/12/26 コメント:0件 かるり

 さらさらと音を立て揺れる葉桜。雲1つないスカイブルーの空に感情はあるのだろうか。

 外へ出たくなるよく晴れた日だった。デスクに置かれた本日の来客リストが、解放的な気持ちを抱くのは僕だけでないのだと教えてくれる。僕のリストに20人以上いるのだから、同僚のところにも大勢のお客様が訪れるのだろう。
「よし……番号札1番の方。診察室へお入りください」
 いつもより早く、準備を終・・・

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永遠の5分。

16/12/26 コメント:0件 カロアミルク

子供の時から、私には超能力があった、それは時間を止める事が出来るのだ。
何故、こんな力が身に付いているのかはわからない、ただ正直言って私はこの力をあまり、いいことには使ってこなかった、小学生の時分はお約束の女子のスカートめくり、何しろ時間が止まっているのだからされてる方も気づかない、中学、高校はカンニング、堂々と試験終了間際に時間を止めてクラス1頭の良い奴の回答を丸写しした、大学もこの手・・・

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目覚めよ、と彼女はペンチを捧げ

16/12/26 コメント:0件 PineLeaf723

 美女と意気投合し、二人で合コンを抜けだした。肩に手を回した瞬間、ベル音に叩き起こされる。
「ぐ。いいところで……」
 あと五分、と手探りで目覚まし時計を止めた瞬間、ガチャリと不穏な音がした。
「おはようごさいます、先輩」
 愛想と抑揚のない、喋る自動販売機みたいな声音。布団をのけると、顔をのぞき込んでいる白衣の女と目が合った。
「うわ、びっくりした」跳ね起きた。大学・・・

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火の国の宝剣

16/12/26 コメント:1件 タキ

「火の国の宝剣、敵を討て」と叫ぶのだそうだ。そんな恥ずかしい事出来るわけない。ただ神社に参拝していただけなのに。夢でも見てんのか俺、と考えているうちに事態は切迫した。轟音と共に目の前で神社の本殿が倒壊したのだ。

「千載一遇のチャンスを。ばか!」

【弐】と名乗った女が恨めし気に言った。ツリ目の美人だが、片目に大きな傷がある。巫女の装束だ。

「やつがこちらに気・・・

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一緒に歩くための検討時間を

16/12/26 コメント:0件 結簾トラン

 返事は別にいらないよ。特急が通り過ぎるのを見詰めながら、ベンチの隣に座る友人はそう言った。
 いや、俺は友人だと思っていたのだけれど、こいつにとって俺はそうじゃなかったらしい。追えない速さで通り過ぎる車体をじっと見たみたいに、微動だにしない友人の横顔がブレて見えた。あのう、好きだって今、言った?いつから?昔からそうなの?っていうか、世間の可愛い女の子を差し置いて俺のどこら辺を。俺、ブレザー・・・

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お望みの人生

16/12/25 コメント:0件 つつい つつ

「五分ほど階段を上がれば、天国に着きますから」
 ふと目を開けると、面識のない人の良さそうなおじさんに言われた。なんのことかわからず辺りを見渡したけど、ぼんやりと白く光る空間にただ階段だけが存在していた。さらにわけがわからなくなり、そのまま立ち尽くしていると、おじさんが心中お察し申し上げますって表情でうなずいた。
「あの、あなた死んだんです。交差点で信号無視して突っ込んできた車に轢かれ・・・

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儚い命

16/12/25 コメント:0件 糸井翼

老婆は死が近づいていた。

若いころから不死の法や長寿の薬を試してきた。その甲斐あってか長生きはした。歳の割に美しい肌で周囲にも驚かれるほどだった。しかし、死は近づいていたのだ。じきに死ぬことを薄々感じていた。彼女の親も言っていた。長く生きると、自分の死ぬときを自然に悟る。
老婆は死を恐れていた。そのせいで、彼女は一気に老け込んでしまった。この老け込みようのほうが恐ろしいものだ。・・・

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五分間だけの再会、その後の一生

16/12/25 コメント:0件 黒猫千鶴

「誰か――助けて!」
 女性の悲鳴が訊こえた。僕が駆けつけると、サル顔の男が、可憐な女性の腕を掴んでいる。
「彼女から手を離せ!」
 片手を前に出して、大きく胸を張り、ポーズを取る。
「僕はあなたの正義のヒーロー、あなたの悲鳴を訊いて駆けつけた!」
 いつだったか、こうして人を助けた気がする。あの時、助けたかった人は彼女にどこか似ている?
 あれは、いつのことだ・・・

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かりそめの輪郭

16/12/25 コメント:0件 鬼風神GO

「すみません、歌えません」
 本当に自分がその言葉を発したのか信じることができなかった。
「真未ちゃん、どうした?」
 コントロールルームの南雲さんが心配そうな顔を向ける。優しい人だ。でも今はそれが苦しかった。
 直前の打ち合わせでは問題はなかった。

 わたしは歌手を目指すかたわら勉強としてプロの歌手が曲の雰囲気をつかむために聞く仮歌をつける仕事をしている。な・・・

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あなたに会うまで。

16/12/25 コメント:0件 雲鈍

 がたんごとん、と電車が揺れて、発車する。
 ぐぐぐ、と体は後方にひっぱられて、少しだけ重力を意識する。体が置いていかれて、心が先に加速する。まるで今の私みたいだ、と思う。
 アナウンスが長町の駅を通り抜けたことを告げる。……あと5分。待ち合わせの駅まで、あと5分でたどりつく。たった5分。だけど5分。世界で一番長くて、人生で一番楽しい時間。私は正面のガラスにうつった自分のくせっ毛を、も・・・

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無期終焉セカイ

16/12/24 コメント:0件 ▷てと

幾度となく、この光景を見た気がしてならない。そんな不謹慎な私をどうか許して欲しい。「生死の境目って案外、曖昧なもだと思うんだ。」目の前の彼女はまるで空を飛ぶかのように屋上のフェンスに足をかけた。その様子から恐怖は感じられず、ましてや無表情で冷淡な瞳が虚しくも美しく見えた。「それを確かめようと思って。」淡々と話す彼女に少し腹が立った。『私はこんなこと望まない。』その言葉が自分の口から発されたとどうじ・・・

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お仕置き

16/12/24 コメント:0件 六月一日 憂


「ちょっと待って。あとちょっと!」
「五分だけ待つ。」


そう言って僕の部屋の隅っこに座り、アイスを食べだす彼女はいつもの言葉を吐いていつものアイスを食べて時計を見ていた。

デートの迎えなんて学生の頃は誰もが憧れただろう。そう、女子ならば特に。けれど

けれど実際、僕から迎えに行けた試しは一度だってない。それもこれも僕がノロマで効・・・

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小さな盟友

16/12/23 コメント:0件 みんなのきのこむし

 リーレンは隠れ場所から外を眺めて、夜が開け始めたのを認めた。
 苔むした素焼きレンガの隙間から、遠くの森の上が仄白くなっていくのが見える。
 しかし隠れ場所からは、それ以上日の光をうかがえない。
 処刑に連れて行かれる途中、獄卒たちを振り切り、戦って何とか逃げ延びたのはいいが、そのために鼓動も呼吸もひどく速まっている。
 太陽と自分の身体、そのどちらを使っても、時間の経過・・・

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砂時計

16/12/23 コメント:0件 みんなのきのこむし


 ある日の午後、ジェン藩侯は久しぶりに狩りを始めた。
 何日か降り続いた雨が上がり、空は晴れ渡っているが湿気はまだ強く残り、ひどく蒸し暑かった。
 藩侯は日陰で扇風機の風に当たりながら、配下に命じて獲物を広大な庭園に放すと、狩猟専用に使っている大きく豪華な砂時計を逆さにした。
 様々な宝石を散りばめたプライヤーの木の柱と枠に、強化ガラスボディを入れ込んだ砂時計が、真っ白い・・・

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たった五分の恋

16/12/22 コメント:0件 夢の夢

もし、貴方が恋した相手が人外だったらどうしますか−…?

ピリリリッ!カチャ!

「ふぁ〜」

鼓膜が破れるような大きな音を出す目覚まし時計を思いっきり叩いて止めて、大きなあくびをする。

 これが、私の一日の始まりだ。

 実は、私には名前がない。

「家族もいない。だから、家族囲んで朝御飯を食べるなんて事はない。
<・・・

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たかが五分。されど五分。

16/12/22 コメント:0件 夜門シヨ

 五分間。

 それはこの世界の進む「時間」というモノ。

 五分間あれば、何が出来るだろうか。

 五分間あれば、
 二度寝の優越感に浸れるかもしれない。

 五分間あれば、
 食パンをトースターに入れて、コーヒーを作って、目玉焼きとハムを焼いて、朝御飯の準備が出来たかもしれない。

 五分間あれば、
 いつもの電車に・・・

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Breakfast with Russell

16/12/22 コメント:0件 ユウキ

 7時58分。彼は話し出す。

 「世界は五分前に創造された。僕らの記憶や社会、文明が、突然発現した。それが現在であり、現実なんだ。
 世界五分前仮説。それは、懐疑主義者ラッセルが提唱した哲学理論だ。人々はこの仮説から、人間の知識体系そのものを問い直してきた。
 この仮説を仮定として、僕らの、人間の生活に照らし合わせてみる。世界は五分前に創造されたと、仮定してみる。それが真・・・

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僕とアミーの5分間

16/12/22 コメント:0件 あずみの白馬

「過去に戻ってみませんか?」
 河川敷の歩道を歩いていると、老紳士を過去へと誘おうとする美少女がいた。
 彼女が僕の初恋の相手、夏菜子(かなこ)にそっくりだったから、なおさら美少女に見えた。老紳士もどこかでみたことある気がするが、思い出せなかった。
 しばらくして、老紳士は手を横に振ると去って行った。その話を聞いて首を縦に振る人は滅多にいないだろう。

 しかし、僕は・・・

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無駄なあがき

16/12/20 コメント:6件 霜月秋介

 まあ、そう騒ぎ立てるなよ。まだ時間に余裕はある。えいくそ、もう五分遅くセットしておくべきだった。わがスマートフォンの騒がしいアラームよ、もう少し、私をこの温かい空間に留まらせてくれ。
 布団から顔を出すと、ひやりとした空気が顔の皮膚に襲い掛かる。私は再び布団に潜り込んだ。暗闇ではあるが、とても温かい空間。そこから抜け出す準備が、今の私にはまだ出来ていない。この温かい空間で、もう一眠りしたい・・・

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理髪屋五分

16/12/20 コメント:0件 吉岡 幸一

『入院のため一ヶ月間休みます。理髪屋五分』と、理髪店のドアに癖のある字で書かれた貼紙を見つけた時の僕の気持ちは大げさではなく絶望に近かった。
 お気に入りの店ですぐに髪を切れないというのはけっこう予定外のことだった。忙しい仕事の合間に髪を切りたくて折角ここに来たのが無駄になってしまった。
この街に理髪店はいくらでもある。しかし馴染みの店が落ち着くものだ。それに何よりここは早い。店名の通・・・

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誰かが来る前の、5分間だけ

16/12/19 コメント:0件 ゆきどけのはる

「ねえ、どっちが長く息を止めていられるか競争しようよ」


 太陽が頭上で燦々と照らしつくしている中、僕らは学校のプールを2人占めしていた。水泳部の部員たちが来るのはもう少し先で、早めに来た僕らは自主練習に励んでいたのだ。そんな折、彼女からそんな提案をされた。50mのタイムではなく、息を止める競争。


「何だそれ、泳ぎじゃないのかよ」
「うん、初心に返っ・・・

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  狂気の男。小さな犯行。

16/12/18 コメント:0件 長玉

       【残り10分】

「もうガマンできない。ハッキングでのぞいてしまおう」
せわしなく貧乏ゆすりをしていた男が、おもむろにパソコンをいじりはじめた。

       【残り7分】
なにやら男の顔色がわるい。

       【残り5分】
男はパソコンをとじると、金属バットを手にして部屋を出ていった。


      ・・・

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死なない人

16/12/18 コメント:0件 水面 光

「憤怒」──いま私の心の中にはこの言葉にすこぶる威勢のいい命を吹き込む雪解け水のような感慨しかなかった。どいつもこいつも! あるやつはなおしようのない独善家で自分が世界で一番えらいと思ってやがる。またあるやつは外面では善人ぶっておいて内輪ではウワサ話しかしやがらない。さらにあるやつは他人を──お向かいさんでさえ──こけにするのが大好きで、人が100パー見た目で決まることを体現しており、品が微塵もな・・・

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モヤモヤ

16/12/17 コメント:0件 さき

心の中のモヤモヤはいつになったら消えるのだろう。
人は誰でもモヤモヤを抱えて生きている。
私のモヤモヤはいつ消えるのだろう。消し去りたい。
そんなことを考えて生きている。そんなことを考えていると、目の前はもやがかかったようになる。胸の奥に住みついた何かが動き出す。胸の痛み
。モヤモヤは人を考えさせ、頭を抱えさせる。
モヤモヤが人を苦しめる。
でもモヤモヤは考えな・・・

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虚無

16/12/17 コメント:0件 猫野まち

 耳をつんざく目覚ましのベルで私は起きた。
 とても深く眠っていた。そんな感覚が寝起きの私を襲う。
 何か夢を見ていたような気がする。何だったっけ、と思い出そうとするとずきりと頭が痛んだ。
 目覚まし時計は無機質に6時半を指している。
 重たい体をやっとの思いで起こし、つめたい床に足を下ろす。
 下からお母さんの声と目玉焼きの香りがした。

 ・・・

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スノボ

16/12/16 コメント:0件 チャイナ

 山の声なんかまるで聞こえない。耳に入るのは、リフトの駆動音だけだ。ググーという音とともに景色が少しづつ前に動いていく。かけているゴーグルに絶え間なく雪が降りかかる。ぶらぶら揺れる足元には純白でふかふかの雪が積もり、左右は白い森が広がっている。命なき物質が支配する王国。
 寒い。ヒートテックの上に分厚いパーカー、スノボウェア、ネックウォーマー、ニット帽という完全装備ながら隙間から寒さは容赦な・・・

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未来と消失と宇宙の法則

16/12/16 コメント:2件 上村夏樹

 学校の帰り道、空から女性が降りてきた。
 彼女は黒いスーツ姿だった。腰の辺りまで伸ばした金髪は綺麗で、手入れが行き届いている。碧い瞳は美しく、まるで宝石みたいだ。
 彼女はゆっくり降下し、着地した。
 隣にいる幼なじみの美里が、俺のわき腹を肘で突く。
「優太。この人、今……」
「……空から降りてきたな」
 それ以外、どう言えばいいかわからない。
 金髪の・・・

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記念日

16/12/16 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

きょうはめずらしくパパは家にいた。
ミエは、ママをいれて3人でテーブルをはさんで朝食を食べることになって、とてもうかれていた。
いつもは朝はやくに会社にでかけるパパだった。ミエは、毎日がこんなふうだったら、どんなにいいだろうと、テーブルの向うにすわるパパを、まんまるにみひらいた目でながめた。
だいぶ前にもいちど、パパといっしょに朝食をたべたことがあったが、そのときはひろげた新聞に・・・

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ほんの五分間の願い

16/12/15 コメント:0件 比些志

ほんの五分だけ世界中のありとあらゆる電気を消したら
たぶんきっと、だれも今まで見たことがないぐらいに
夜空は美しくきらびやかに輝くことだろう。

ほんの五分だけ世界中のありとあらゆる機械を止めたら
たぶんきっと、だれも今まで耳にしたことがないぐらいに
世界は深い静寂と生命力に満ちた自然の息づかいにつつまれることだろう。

ほんの五分だけ世界中のありと・・・

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5分間の演奏会

16/12/14 コメント:0件 ナマケモノ

 5分間。
 あの5分間に、僕はどれだけ助けられただろうか。今日は、その5分間の話をしようと思う。
 学校に通っている通勤電車の中で、僕はその5分間を体験した。入部している吹奏部活の朝練が重なり、かなり参っていた時期だった。
 朝起きても体が怠い。
 帰宅部の生徒よりも2時間早く電車に乗り込み、鬼の特訓が待っている音楽室に向かう日々は地獄以外の何ものでもなかった。
 ・・・

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微笑みの待ち時間

16/12/14 コメント:0件 ナマケモノ

「どうしよう、早く来ちゃったよ」
 腕時計を見て、私ははぁっとため息をつく。
 時刻は午後5時55分。待ち合わせ時間の6時より、5分も早い。
 たかが5分だが、侮れない。
 私にとって、恋人を待つ時間は苦痛以外の何ものでもないからだ。
 顔をあげると、クリスマスツリーがディスプレイされたショーウインドーが視界に入る。きらきらと輝くイルミネーションを映すガラスには、私の・・・

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喧嘩商売

16/12/14 コメント:0件 チャイナ

 12月の夜は寒く、金曜の高田馬場駅前は少し酒臭い。
「人にぶつかった時は謝るもんだぜ。」亮が言う。俺の目をじいっと見つめながらゆっくりと近づいてくる。視界の中での亮の占める割合がどんどん大きくなる。落ち着いた声の中に小さな震えを混じらせている。俺達を円く囲んだサラリーマンやら大学生やらは黙って成り行きを見つめている。俺は何も言い返さない。奴の目を睨みつける。亮は背が高いので少し見上げる形に・・・

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寝る前の5分間の語り部

16/12/14 コメント:0件 桜月 玖藍

「枕」 



君が安心して眠れるような枕を作ってみたいと思った。そんなことがもしできるのなら、君はもう泣かなくてすむよね、君は眠れない夜を寂しく過ごさずにすむよね。

君は死ぬのが怖いという。それなら死なないでよ、死んでも死なないで。私のために生きてよ、君のために生きてよ。私が文字を打つ限り、私が文字を書く限り、私は死なない、死なないのなら、君もきっと死なな・・・

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はるくんと救急車さん

16/12/13 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、救急車がだいすき。
 救急車のミニカーで、いつもあそんでいます。

 ある日、はるくんの家の前に、救急車がとまりました。
 救急車さんが、いいます。
「はるくん、のせてあげるよ。」
「えっ、のせてくれるの?」
 はるくんは、びっくり。
「うん、きょうはとくべつ。げんきなはるくんをのせてあげるよ。」
 救急車さんが、いいます。

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ことちゃんと内緒の部屋で過ごした5分間

16/12/13 コメント:0件 ichi

 あの日彼女と共有した、たったその5分間を、いつまでも大事に押入れの奥にしまっていたかった。



 僕を見た時、何も思わなかったのだろうか。
 ことちゃんは、ただじっと僕の目を見た。心の中を覗くように、まっすぐに。
 そんな風に僕を見るのは、ことちゃんだけだった。
 だから、もしかしたらことちゃんは僕の秘密を知っているんじゃないか。そんな気がした。

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今生の別れ

16/12/12 コメント:0件 チャイナ

 俺はどこで間違えたんだろう。
 どうして俺は4年も付き合った彼女と別れてしまったんだろう。寒い。寂しい。ほんの5分前まで俺はセンスのいい間接照明がぼんやり明るい部屋の中、彼女の肩を抱いて二人で「LEON 完全版」のDVDを見てたってのに。レオンの愛嬌に俺たちは声をあげて笑い、マチルダの「いいタトゥーね」にため息を漏らし、二人の間にある歪な愛の是非を議論していたのに。どこで俺は間違えたんだろ・・・

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5分間のビッグバン

16/12/12 コメント:0件 MIRAIX

5分間のビッグバン
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宇宙が実・・・

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5分待ったその先に

16/12/12 コメント:0件 かわ珠

 世の中のカップラーメンの調理時間は大抵、3分だ。お湯を注いで3分待つ。そして完成。対してカップうどんは大抵5分。そう、カップうどんは5分なのだ。もちろん、昔よりもカップ麺の種類は増え、カップラーメンでも4分、5分待つこともなくはない。とはいえ、スタンダードなものは大抵3分だ。
 カップラーメンの3分とカップうどんの5分。この差は待つ者の体感時間を考えれば、かなりの差異となる。3分と5分の差・・・

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ラストラン

16/12/11 コメント:2件 直見

 久しぶりに会うオヤジは、想像していたよりも老けて見えた。本当に随分長く会っていなかったから、俺の中のイメージとのズレに軽くショックを受ける。第一印象は、残飯を漁る、やせ細った迷い犬。狼とは言わないが、せめて眼光鋭い野良犬だったらよかったのだが。
 俺は片手を挙げ、近寄ってくるオヤジを迎えた。挙げた手は次にどうしよう。かたく手を握り合うのが一番か、それともここは少々気恥ずかしいが、熱い包容か・・・

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協定

16/12/11 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

敵は、破壊された家屋と瓦礫のあいだに身をひそめながら、俺たちのいる建物めがけて嵐のような攻撃をしかけてきた。
「こら、ぼんやりしてると、ヘルメットごと頭をふっとばされるぞ」
兵士として一年先輩のアオキが、俺の頭を蕪かなにかのようにおさえつけた。その直後、いままで俺の頭があった空間に、殺傷力の強い弾丸がうなりをたててとびすぎていった。
厳しい訓練をつんできた俺だったが、いざ本番とな・・・

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鉄瓶のお湯が沸いてから

16/12/11 コメント:0件 結簾トラン

 五分間だけ、待ってね。まだボコボコと鳴り続けている鉄瓶の取っ手を、ミトンをはめた手で持ち上げるの。本当に熱いのよ。鉄の調理器具を使うとね、水を沸かしている間にFeがほんの少し溶け出して、不足しがちな鉄分を摂取することが出来るんですって。ポットの湯で先に温めておいた白いティーポット。青い小花が可愛いでしょう。ずっと倉庫で眠っていたの、うち、古い家だから。年末の大掃除の時に見つけてね、まだ充分使える・・・

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巡る五分間

16/12/10 コメント:2件 ひーろ

 重たい扉の内側に設置された赤いボタンを押すと、短い警報音とともに厳重なセキュリティロックがかかり、小さな研究室は誰も寄せ付けない鉄壁の要塞と化す。男は、興奮した面持ちで初めて赤いボタンを押した。研究室の主である博士は、厚い信頼を寄せる唯一の助手であるその男に留守番を頼んで、珍しく外出していた。
 男は一人、薄明るい部屋の中を一通り眺めた。偉大なる博士の貴重な発明品の数々がそれぞれ透明なケー・・・

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生命を守る5分間のビデオ

16/12/09 コメント:5件 あずみの白馬

 出発を待っていた旅客機が、滑走路に向かって静かに動き始めると、機内安全ビデオが流れ出します。
 5分間程度で酸素マスクの使い方や、緊急脱出の手順などが説明されますが、半数ぐらいの方は、見ていないのでは無いでしょうか?

 しかし……、見ていないと後悔することになるかも知れません。

 ***

 私の乗った旅客機は順調に飛行を続け、目的地が近づき、シート・・・

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五分の退屈と焦燥

16/12/07 コメント:2件 文月めぐ

 後ろの席で小川がふーっと大きく息を吐いた。開始したとたん聞こえ始めたシャーペンと紙のこすれる音はもうしない。みんな暇を持て余し、早く早くと時が過ぎるのを待っている。
 秒針が一秒一秒を刻む。
 テスト終了まで、まだ五分もある。
 長い、退屈。
 高校一年の二学期期末テスト二日目。教科は世界史。俺の得意科目だ。暖房が効きすぎている教室の中はむっとしていて、俺の頬にも熱がたま・・・

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唐揚げ5分間の沈黙

16/12/07 コメント:4件 葵 ひとみ

 私は日本唐揚協会のカラアゲニストとしての認定資格に見事合格して、
本日、はれて一般社団法人日本唐揚協会の親睦会である、

唐揚げの聖地、大分県中津市の唐揚げ専門店である悠悠にきている。


ここの唐揚げは小麦粉と片栗粉とターメリックをはじめとして
様々なスパイスを調合したカレー粉で軽くまぶされてカラっと揚げられている。

みんなそれぞれが、唐・・・

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玄関開けたら5分で2犯

16/12/06 コメント:0件 にぽっくめいきんぐ

 決めた。

 今日はこの家に忍び込む事にする。

 車の運転席から1時間程確認したけれど、目の前の一軒家には人の出入りが無い。駐車場の隣にある家は、この「事前確認」を怪しまれずに出来るから良い。駐車してる車の中なんぞ、誰も気にしないから。

 裏口からなんて、今時やらない。何処に出没してもおかしくない「背広姿」で、セールスを装う。堂々とドアホンを鳴らし、敷地内・・・

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初めて耳にした五分間近い肉声に僕は震えた

16/12/06 コメント:2件 ポテトチップス

 そして、翌日はとても暑い日でした。綿アメのような雲がポコポコと、あっちの空にこっちの空に浮かんでいました。
 あの時の僕は、いつも薄汚れたボロボロの白いランニングシャツを着ていたけど、その日の正午前、母に新品のランニングシャツに着替えるように言われたんです。
 僕はまだあの時、8歳になったばかりだったから凄く嬉しかった。真っ白なランニングシャツの真新しい肌触りや、自分の体臭のしないち・・・

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ニャンキチ先生とフルーツミックスのジェラート

16/12/06 コメント:2件 葵 ひとみ

 小生、猫多川賞受賞作家マタタビニャンキチが20代前半ぐらいの
OLをしているアツコさんと真冬に大阪ミナミの高層ビルの最上階にある、
「DANCING AMAZING(ダンシング アメージング)」という
熱々のシーフードを手づかみで食べるケイジャン料理のお店で、
お互いに美味しいカクテルに酔っていたこともあり、意気投合した時のお話である――

小生とアツコさんが・・・

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早く速く

16/12/05 コメント:2件 蹴沢缶九郎

「すいません、遅刻しました」

その日も遅刻をした田中助手が、慌ただしく研究室のドアを開けて入ってきた。そんな田中助手を、自分の席から慣れた様子で見ていた鈴木博士が呼んだ。

「おはよう田中君、ちょっと来なさい」

「あ、博士おはようございます。何でしょう?」

自身の遅刻癖について一言言われるのだろうと気づいていた田中助手が、白々しく「何でしょう?・・・

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五分間の乗り継ぎ駅

16/12/05 コメント:2件 深海映

「まもなく次の駅に停車します。反対車線の車両到着を待っての発車となるため、次の駅では5分間停車いたします。お乗換えの際は足元にご気をつけて……」

 車掌がマイクごしにくぐもった声で話す。
 その時僕は高校三年生で、家から少し離れた高校へ通っていた。
 いつものように窓の外をぼんやりと眺めていると、汚れたガラスの向こう側、通勤途中のサラリーマンや通学途中の学生たちが忙しく行・・・

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