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第九十四回 時空モノガタリ文学賞 【曖昧】

今回のテーマは【曖昧】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/11/30

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/10/05〜2015/11/02
投稿数 61 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

3

ドクターコバヤシの不運

15/10/23 コメント:4件 坂上 沙織

「K0147よ、どうだ、似合ってるか」
 珍しくグラサンをかけたドクターコバヤシが、光沢生地のスーツの襟をぴっと伸ばしながらターンした。
「ドクターコバヤシ、衣服というものは、体毛の乏しいヒト亜族の体表を保護するとともに、汗の吸収と発散を助け、また体が冷えすぎないようにするためのものです。それなのにボタンを胸まで開け、靴下をはかないのはきわめて非合理的と言えます」
「この方がしゃ・・・

5

この曖昧な世界に終止符を

15/10/05 コメント:4件 るうね

 僕の彼女には顔がない。
 正確には、僕には彼女の顔が見えない。全身の姿形は分かるのだが、顔の造作だけが見えないのである。目も鼻も見えず、のっぺりとした顔面が目に映るばかり。まるで怪談ののっぺらぼうのようだ。彼女だけでなく人間の顔全てがそう見えるのだ。
 子供の頃から何度か医者に診てもらってきたが、原因は分からなかった。人間以外のものは普通に見えるので、生活に支障はない。
 ただ・・・

最終選考作品

7

秘密

15/11/02 コメント:11件 そらの珊瑚

 梅雨に入る前に、冬物をクリーニングに出そうと思い立ち、クローゼットを開ける。夫のスーツ数着をハンガーから取り出す。その拍子にネクタイが滑り落ちた。私は思わず舌打ちをする。ネクタイはクローゼットの扉の内側に取り付けらたフックにかけているのだが、結婚してから十年、その数はもう倍以上になっているだろう。数えたことはないが、おそらく50本はゆうにあるんじゃないか。絹製の布地の表面はつるつるしていて、まる・・・

3

ツユクサ

15/11/02 コメント:6件 murakami

 病院を出て、腕時計を見ると正午に近かった。いつの間にか雨が降ったらしく、路面が黒く濡れている。秋だというのに気温が朝から高く、上着がいらないほどだったが、どこからか爽やかな風が吹き寄せてきて肌に心地良い。
 私はまだ少し痛む足を引き摺りながら、細い道をバス通りへ向かって歩いて行った。しばらく日常生活に不自由しそうだったが、かといって急いでしなければならないことは何もないので、慌てて帰ること・・・

1

曖昧なままでいて

15/10/31 コメント:2件 夏川

「あーあ、絶対腐ってるじゃん。やだなぁ、臭いの嫌だなぁ」
「俺だって嫌だよ」

 兄妹たちがうんざりした表情を浮かべ、食器棚の前に立ち尽くしている。
 二人は数か月前に作ったシフォンケーキが戸棚に忘れ去られているのをつい数分前に思い出し、爆弾処理をすべくキッチンに集結したのである。

「そもそもお前が作ったケーキだろ。なんで俺まで」
「お兄ちゃんがさっさと・・・

2

真面目と不真面目、現実と非現実、その中間のあまりに曖昧な文学

15/10/28 コメント:4件 平塚ライジングバード

課長がニャーニャー言い始めたのは、7日連続の猛暑日を記録した8月のある金曜日で、語尾にニャーを付けるだけなら良かったのだが、すべての発言がニャーニャーなのだから完全に意思の疎通ができなくなっていた。昼休みにガスコンロを事務室に持ち込み、モツを煮込みながら「はらわたが煮えくり返る」とか意味不明な冗談を言うことを除けば無害な人だったが、猫化してしまったのだから仕事が滞って仕方がない。唯一の救いは、課長・・・

1

たそがれ時

15/10/12 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 この辺り一帯で続発している殺人事件の知らせが入ったときも弥生は、バルコニーのロッキングチェアにゆったりと腰をおろしていた。
 弥生の家は、まちのはずれを流れる河の手前にあって、彼女の位置から広々とした河川敷がながめられた。
 いまじぶんともなれば、折からの夕日に血のように赤く染まった川面と、河川敷に疎らに点在する人影が相まって、どこかムンクの絵のような病的な印象を漂わせている。

4

夕樹が女装した日

15/10/05 コメント:6件 Fujiki

 遼平が夕樹と仲良くなったのは転校してきた初日から隣の席になったのがきっかけだった。夕樹は無口だったが、何も揃えていない遼平に新しい高校の教科書を見せてくれた。授業中の夕樹は頬杖をついて入道雲を眺めてばかりいたので、教科書を使うのはもっぱら遼平だけである。窓の外を見つめる夕樹の横顔は彫りが深く、前髪がわずかにかかる二重瞼の目は澄み透っていて覗き込むと吸い込まれそうなほどだ。日に焼けた肌はワイシャツ・・・

投稿済みの記事一覧

8

マリッジリング

15/11/02 コメント:16件 泡沫恋歌

 港の埠頭で夜釣りをしていたら、いきなり近くで大きな水音がした。
 何だろうと懐中電灯で照らしてみたら女が海に飛び込んで溺れていた。もがきながら段々と女は海中へ沈んでいく、これはヤバイと思った瞬間、俺は飛び込んで女を助けようとしていた。
 千葉の南房総生れ漁師の子の俺は泳ぎには自信あるが、海中でもがく女を助けるのはまさに命懸けだ。何とか岸に上げることができたが海水飲んだらしく女はぐった・・・

5

愛昧

15/11/02 コメント:9件 冬垣ひなた

体育の授業で膝に出来たかさぶたをめくると、痛みと血がにじんだ。治りきらないまま、傷口に逆戻りした跡は、今も脚に残っている。
その足先に、オレンジがかったピンクのペディキュアを添えると、私は古傷をストッキングに包み、地味なパンプスを履いた。
それは郷里の母が誕生日にくれたものだったが、念願の専業小説家になった夫はにべもなく捨て、ゴミ箱から拾い上げたら涙が出た。
ゴミは私だ。
・・・

2

モノトーンの決まりごと

15/11/02 コメント:1件 めぇこ

 ほんの少しばかり、うたた寝するだけのつもりだったのに、目を開けた時には窓の外も、家の中も、真っ暗だった。
あせって時計を見たら、針はまだ夕方と呼べる時刻を示していて、なあんだと胸をなでおろす。
 最近すっかり、日が落ちるのがはやくなった。
寝起きから心臓に負担をかけてしまったせいか、やけに重い身体を引きずるように起こす。
買い物に行きそびれてしまった。
都会ならば・・・

2

嘘ものお月さま

15/11/02 コメント:5件 みや

マンションのベランダから見る月は、いつも街の灯りに紛れて幼い時の柚子にはどれが本物の月か分からない時があった。分からなくて泣きそうになるといつもあの一番大きいのが本物のお月さまやで、と香苗ちゃんが教えてくれた。もちろん小学六年生の今なら柚子はすぐに自分で本物の月を見つける事が出来る。

「柚子、香苗ちゃん来たからお父さん仕事行ってくるで」
部屋で宿題をしている柚子に父が声を掛ける・・・

1

夢の男

15/11/02 コメント:2件 久我 伊庭間

 小平左と松は、奇妙な死体を前に腕組みしていた。
「……穴の周りが焦げてやがるな」
「そうなんですよ。これがさっぱりでしてね。穴を空けた後に焼いた……にしちゃ妙だし、もしくは真っ赤に熱した鉄槍でこうブスリと……」
「それでこんなに真っ黒焦げになるか?」
「……なりませんかね?」
「まったく、ハッキリしやがらねぇ」
 二人してすっかり頭を抱えてしまったところに、よ・・・

0

アイマイミー

15/11/02 コメント:0件 むねすけ


定期検診で通う市民病院、
ドアノブにはめられたタオル。
地下の売店横でくるくる回る、動脈と静脈。
ひとりかくれんぼで迷い込んだ病室のおばあさんの部屋で聴いた昔ばなし。
その部屋に取り残された千羽鶴。
孫に縫ってるんだと聞かされた、真っ赤なニットの帽子。
今日はバスで帰ると言われたのに、バスとタクシーの区別もまともにつかずに、
乗り込んだタクシー。<・・・

3

曖昧や

15/11/02 コメント:0件 やぎ

 それはとある晩秋の、いや、師走だったかな。とにかく寒い日だったように思う。ぼくは昼食をとろうと街に出て、まてよ、夕食の買い出しに行こうとしていたんだっけ。
 細かいことはまぁいい、つまり外出をしたんだ。
「おにいさん」
 大通りをうろうろしていたら、不意に背後から声をかけられた。
 そのひとはとてもきれいで、歳はたぶん二十……いや、もしかしたら三十。女性の歳は見た目じゃあ・・・

0

朧の会

15/11/02 コメント:0件 高橋螢参郎

 オフィス街に間隙なく束ねられたビルの剣山の一角に、その屋敷は堂々と建っていた。
 都市計画のセオリーからはとても考えられないような立地だが、乱れひとつ見当たらない真っ黒な燻し瓦の屋根は、そういったものを風雪とともに跳ね除けてしまうような気骨を備えていた。事実、古くから何代も続く朧家にとって昨今のちょこざいな決め事などは全くの埒外にあった。
 安土桃山時代に生きた戦国武将にして、氏景系・・・

2

倉田美雪の宣誓

15/11/01 コメント:4件 6丁目の女

 曖昧地獄に堕ちているのは、佑介と沙希、二人だけではないことを彼らはわかっていない。セックスをしないことを純愛だと履き違え、曖昧な関係を頑なに継続する彼らに振り回されてきたこの私…まったく、曖昧被害者の会会長に就任しようかしらん?
 美雪とは腐れ縁だから、と佑介は笑うけど、全然笑えない。どうにも始末に負えない曖昧な三角関係の始まりは、今から20年前に遡る。
 
 中学時代の桐野佑・・・

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返却原稿

15/11/01 コメント:0件 散田 三郎

 第二の私名義の二作品が連続して発行される事になった。
 第二の私、などと奇妙な表現を用いたのは、全く別の第一の名義でも本を刊行した過去がある為である。だが第三の私を含め、三人の私を使い分けるのは煩雑である以前に面倒なので、以後一人称は「私」で話を進める。念の為に申し上げておくと、三冊全て印税付出版であって、自費出版などでは全くない。

 何であれ本が出る。しかも二冊。名義に拘わ・・・

2

衝動的な男と計画的な女の話

15/11/01 コメント:0件 ランゲルハンス島

 午後の生ぬるい風を受け、君は僕の肩にもたれて眠っている。

 小窓から差し込む西日に照らされ、頰の産毛が透き通る。僕は体を動かず、横目でそれを見下ろした。美しい、と思った。子供の頃見た沖縄の海より、君と行った北海道のラベンダー畑より、52階のレストランから眺める夜景より、ずっと。

 右手の指先で、そっと頰をなでる。君は息1つ乱さない。
・・・

2

カメムシの味に引き出された感情

15/11/01 コメント:3件 霜月秋介

「あなたって、はっきりしない男よね」
 味噌汁をすする私に、妻は溜息をしながらそう言った。味噌汁の味噌加減はどうかとか、漬物の塩加減はどうかとか、食事のたびに私に聞いてくる妻に、私はいつも「ああ、問題ない。ちょうどいい」と答えてきた。その回答が妻にとっては曖昧で、不愉快らしかった。私はそこそこ食えれば多少味がしょっぱろうが薄かろうが構わないのだ。細かいことは気にしない性質なのだ。

1

彼がはっきりしないわけ

15/11/01 コメント:0件 FRIDAY

「──だから、もう、いい加減にしてよ!」
 痺れを切らした若菜はとうとう怒鳴った。
「どうしてはっきりしないの! いつもいつもいつも!」
 怒鳴り散らす若菜に対し、その原因である章哉はいつもと同じような、困ったような、泣きそうなような、何とも言えない表情をしていた。
 そう、いつものことなのだ。章哉が煮え切らない態度を繰り返し、それに対して若菜が激昂するのは。
「私だ・・・

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夢の境

15/11/01 コメント:7件 石蕗亮

 こんばんは、夢師です。
私は万の夢を扱うことを生業としております。

 本日は皆様がお客さまです。

今回は皆様を夢の世界へとご案内したいと思います。
その前に皆様がどれだけ夢についてご存知か確認いたしましょう。

 皆様夢は見ていますか?
昨日はどんな夢を見ましたか?
覚えていない方が殆どのはずです。
起きてすぐの頃は覚えていた・・・

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こんなに曖昧になっても、一つだけ

15/10/31 コメント:5件 鮎風 遊

 それはまさに――奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の…、そんな時節のことでした。私は一人山寺巡りをし、身体が汗ばんだ状態で里へと下りて来ました。すると藁葺きの家の庭に真っ赤に熟した柿が一杯なってるじゃないですか。
 お腹も空き、喉も渇いていましたので、ちょっと失礼しますと一つもぎ取って、ガブリとかぶり付きました。
「シブッ!」
 それは見事に渋柿だったわけでして、私はペッペッと皮を吐・・・

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ヤメル、ヤメナイ。

15/10/31 コメント:0件 れいぃ

 いっそ曖昧なままにしておくというのはどうだ。
 久しく笑っていない自分の顔を鏡の中に見ながら、岸本は己に提案した。
 やめる、やめない、やめる。
 この仕事についてここ最近迷い続けているのだが、答えを出すにはまだ早いような気もする。非正規の事務員として雇われて三か月、仕事の流れは覚えてきたものの、人間関係が最悪の職場だ。何でも白黒二色に分けて、気に入らない側を糾弾するタイプの女・・・

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秘密

15/10/31 コメント:0件 kanza

 何故、彼は私の前から消えてしまったのだろう?
 喧嘩をしたわけではないし、仲良くやっていたと思う。結婚を匂わすようなことを口にすることさえあった。それなのに……。
 電話はつながらない。彼のマンションにいき、合鍵で中に入ってみると、そこには家財も何もなかった。
 未練がましいと思いながらも、抑えられない気持ちを行動に移した。
 面識のある彼の同僚に会ってみると、彼は会社か・・・

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曖昧・MEの京都ドタバタ珍道中

15/10/31 コメント:5件 草愛やし美

「ミイちょっと待って、愛の奴遅いわ」
「ナニデッカ、舞?」
「京都人育ちの愛は歩くのもまったりみたいやなあ」
「マッタリマース」
「ミイ、愛、ごめんねえうち坂道や階段は苦手やねん」
 ミイナ通称ミイはアメリカからやってきた留学生。日本文化を学びに大阪に住む私、舞の家にやってきて半年。私の家がホームステイを受け入れたのは初めて、海外からのお客さんにうまく付き合えるかと心・・・

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学校の春

15/10/30 コメント:0件 Rizu

全てが急激に変わる季節だった。
多くの出会いと多くの別れ。
ふとした時に気付きたくなる出会いもあるもので、
隣の席のあなたが突然魅力的に見えてしまった。
とてもとても遠くにいた私だった。
ずっと友達になりたくて、話しかけたくて、外を見るフリして覗いたその横顔。
気付いたあなたの照れたような気付かないフリ。
曖昧な表情。
話しかけたい私の心臓の高鳴り、・・・

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複雑怪奇

15/10/27 コメント:0件 皐月一語

愛は、全てを兼ねる。
喜怒哀楽、全てを兼ねる。

良い時もあるでしょう
悪い時も、あるでしょう

ものすごく必要な時に足りず、
目の前にあり過ぎて鬱陶しいこともある。

複雑怪奇なこの感情に
涙し、怒り、悲しみ、
笑い、喜び、幸せに満ちて

日々、複雑な想いを、
処理しようとしながら、消化できず、もがき、
日・・・

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夫婦喧嘩は息子の機転で曖昧に終わる。

15/10/26 コメント:0件 むねすけ

 「ちょっと、お父さん、何を平然としてるんですか。」

 「なにがだい」

 「なにが?」

 「うん。わからんからな。」

 「だめですよ、子供の成長に鈍感な父親って。」

 「なんのことかな」

 宮坂家の夕方ま近の時間。カラスの群れが近隣の小学校で襲撃のターゲットに、都会のもやしっ子をロックオンする時間帯。
 宮坂・・・

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曖昧であるがゆえに

15/10/24 コメント:0件 kanza

―負けられない闘い―
 最近、スポーツの世界などでよく聞く言葉だが、庶民にだって、そんな時がある。この年を食った爺にだって、負けられない闘いがある。決して譲れないものがある。
 ワシは、いち早く領土に鉄壁の砦を築いた。
 ここはワシのものじゃ。なんびとたりとも入れさせん。
 周囲に視線を走らせる。周りの状況からしても、闘いは避けられそうにない。
 さぁ、どんな相手が現・・・

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竜騎士の愛

15/10/23 コメント:0件 笛地静恵

 わたしは竜の檻に、こわごわとちかよっていきました。巨大な体が岩の天井から、ぶらさがっていました。大きな耳が、ぴんと立っています。見えない目で、にらまれていました。低い鼻の穴から、ふうふうと息を吐いています。牙をむいています。泣き出していました。皮と骨だけのお尻でころんでいました。五歳のころのことです。
 竜騎士の息子が、これではいけない。父は、そう思ったのでしょう。わたしは八歳になっていま・・・

1

境界線

15/10/23 コメント:1件 皐月一語

あらゆる感情を言葉に託しても
伝えきれないことがあるとすれば、
それは自分侍自身のことだろう

気がつけば、万人全てに好かれようとしている。
気がつけば、自分の意志とは裏腹に、大多数の意見に合わせようとしている。

自分らしさを個性と思い込み、社会にはじかれてしまったり、

自分らしさを表に出す事を極端に怖がり、
謙虚になり過ぎ、謙遜しす・・・

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ぼんやり

15/10/21 コメント:1件 山盛りポテト

「ねえパパ、本当に地球には恐竜がいたの?」
俺の息子はとても好奇心が強くなんでも質問したがる。
「そうだね、でも隕石が地球に墜落して絶滅しちゃったんだ」
「どうしてそんなことが分かるの?」
「それはね、科学者の人が調べたからさ」
「ふーん、でも実物は見てないんだよね。変なの」
また始まった、と私は思った。息子はなんでも質問したがる。それも私が説明してもしても次か・・・

2

リア充

15/10/20 コメント:4件 つつい つつ

「祐一って、相変わらずリア充だよな」
 久しぶりに高校時代のサッカー部の仲間五人で飲んでいると、川村が感心したように俺に言った。
「なんだよ? バカにしてんのか?」
「いやいや、高校の時からお前ってなにやっても、うまくいくなって思ってたけど、変わらないなって」
 俺は昔からリア充って言われる。端から見るとなにもかもうまくいってそうな俺のことを周りはいい意味でも悪い意味でもリ・・・

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この曖昧な世界でみたものは架空の幻だった

15/10/19 コメント:0件 高木・E・慎哉

そうだったらいいのにな、的な作品になった。
実際はどうだろう?
読んでくれている読者がいる。

だから、頑張らないといけない。
何が大切か?
いつもそれを考えている。

それにも関わらず、微妙で曖昧なラインは多い。
しかし、それでも前に進まないといけない。

そんな世界だ。
曖昧なのは君の態度だ!

世界で一番曖昧・・・

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白化

15/10/18 コメント:0件 佐々木嘘

嘘みたいな白い髪の毛と白い肌と白い睫毛。
白人の様な容姿の透はハーフでもクォーターでもなく純粋な日本人だ。
彼は紫外線に対する耐性が低い為常に白い皮膚を衣類で隠し過ごしている。

お互い6歳とまだ幼かった頃。隣に越して来たと母親と訪れた透の姿は、当時夢中だった絵本に出てくる天使だとか妖精だとかそんな空想上の生物のようにしか思えず、目の前に居る男の子がホンモノの人間なんだと認・・・

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綾宮沙希の告白

15/10/18 コメント:9件 6丁目の女

 恋愛とは、恋愛感情のことなんだよ。ラジオから聞こえてきた男の声に肌が粟だった。それは耳にしたのではなく、音声が言霊となって心の奥底に落ちていったのだった。沙希が探していた言葉はこれだった。

 沙希にとって恋愛とは行為ではなく、感情そのものだった。
 セックスをしない関係は、曖昧な関係だと彼は沙希を責めるが、沙希が彼を想う感情は途切れることがない。朝目覚めた時から眠っている間で・・・

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誇張の夢

15/10/18 コメント:0件 ヤマザキ

 ミユちゃんが主役の劇が校内コンクールで金賞を獲ったのは、私たちが小学四年生のときだった。
 上級生たちを抑えての優勝ということで、当時のクラスの浮かれようといったら今思い出しても恥ずかしくなるくらいだ。
 ミユちゃんは一躍時の人となりみんなの人気者になった。
 私と彼女が初めて話をしたのは、そんなときだった。
 クラスでも大人しグループだった私に、ミユちゃんの方から話しか・・・

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微熱

15/10/17 コメント:0件 かめかめ

 三十七度五分の水銀計を振りながら玄関へ行き通学用の革靴をしまう。両親はもう仕事に出たあとで学校へ休みの連絡もしていない。
 今日の体育の授業はマラソンのはずだ。霧のように細かい繊細な雨の中を揃いのジャージを着た十代になったばかりの少女たちは足を引きずり進んでいるのだろうか。吐く息は甘くミルクのように香るだろうか。
 窓の外は灰色で寒々とした雨のせいで一足早い冬を思わせる。
 夏・・・

0

姉弟

15/10/16 コメント:0件 猫田米

「あなたのこと好きだけど、ごめんね」
「つまり?」
「えっと、なんか、弟みたいっていうのかな、そういう、愛おしさ? えーと、そう、愛。愛、みたいなものはあるんだけど、恋愛感情はないわけ」
「じゃあ、家族にならなってくれるんだね」
「え?」

 これが私たちのきっかけ。私が彼を振ったことが、私たちが家族になったきっかけだった。よくよく聞いてみると、彼にしても私に告・・・

3

曖昧地獄、これは純愛か詐欺かハッキリしろよ綾宮!

15/10/15 コメント:7件 6丁目の女

 大好きだけど、エッチはしない。その意味がオレにはわからない。要はそういうことなんだろ?オレは綾宮に訊いてみたい。

 佑介にはいつだって自由でいてほしい。これからも素敵な恋をたくさん謳歌してください。私はずっと佑介のファンです。

 そんなメールを寄越されて、いったい何と返信しろと?

 出会ってから20年、オレにとって綾宮はますます謎の存在だ。
 出会・・・

3

存在

15/10/15 コメント:10件 智宇純子

 薄暗い店内、うっすらと流れてくるマイ・ファニー・ヴァレンタイン。タバコの煙とアルコールのにおい、そして人の吐息が漂うカウンター。
 ああ、ほっとする。三橋は腕時計を外すと、スマートフォンと一緒にそっとカウンターの上に置いた。

 この継ぎ目のないカウンターはマスターが一本の古い木を削って造ったものらしい。木の温もりと時間の重みを感じさせてくれるこのカウンターが三橋はたまらなく好・・・

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落ち葉

15/10/14 コメント:0件 のんのん

風が吹くたび、空から降ってくる。クルクル、ヒラヒラ回りながら落ちてくる。あー気持ちがいい。懐かしい落ち葉の匂い。落ち葉の絨毯に寝転がると、真っ青な空が広がっていた。綺麗だなぁ。思わず、落ち葉をごそっと抱きしめ、「こんなに幸せな気持ちにしてくれてありがとう」と、呟いた。そして深呼吸をしながら、ぐーんと大きな背伸びをして目をつぶった。
カサカサ、カサカサ…サラサラ、サラサラ…ん、何の音だろう・・・

1

やけに肌寒い夜

15/10/13 コメント:2件 ポテトチップス

「恭一、どこに行くんだい?」年老いた美津子が杖をつきながら玄関の外に出て言った。
「どこでもいいだろ」
「また、あそこに行く気かい? 頼むからあそこには行かないでくれ」
恭一は母の言葉を背中で聞き流しながら、前に歩みを進めた。美津子の泣き声が鬱陶しく感じ、買ったばかりの紺色のジャケットのポケットからタバコの箱を取り出し、一本抜いてそれを口にくわえて火をつけた。10月の肌寒くなった・・・

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手記

15/10/13 コメント:0件 トシ

 うろ覚えで綴っているから、いささか信憑性にかけるかもしれない。しかしながら、私の身に起こったことを誰かに伝えねば気がすまない。

 あなたがこの手記を見つけ、読んでいるということは、私はもうこの世にはいないだろう。たとえ生きていたとしても、まともな姿で生きてはいないだろう。

 さて、あなたはなぜここにいるんだ。浮浪者か、はたまた旅人か。あなたの時代なら旅人くらいいるだろ・・・

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青春変容

15/10/12 コメント:2件 藍田佳季

 私は曖昧なことが嫌いだ。人や物の好き嫌いについては好き・嫌い・その間、と分けて考える。現在中学二年生だけど、小学生の頃からずっとそうだ。
周りからは、さっぱりしている。男の子みたいな性格。とよく言われる。背は平均的だけど、他の子より骨っぽいし髪もショートヘアだから余計にそう見えるのだろう。
私はそれを悪く思っていない。逆にそう言われて嬉しいぐらいだ。
けど、体育の授業中に怪我を・・・

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私の好きな色はグレーです

15/10/11 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 私は、グレーが好きだ。
 一時、黒色が、シャープにみえるからと、全身、黒でかためていたこともあった。
 たしかに、黒は、やせてみせることはできる。でも、黒という色は、意外とむずかしい。洗濯していると、だんだんはげてきて、うすくなった黒色というのは、なんだか貧乏くさい。それに、いつもいつも黒色を着ていると、気分がくらくなる。

 だからといって、白色を着こなすのも、勇気がい・・・

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あの頃の、我が家に帰りたーい。

15/10/10 コメント:0件 seika

新幹線を降りると、そこは雪国山形だった。真冬の山形にしちゃ薄日が差して明るかった。
「パパとママがはじめて山形に来たときも、この空見てたんだろな…。」
ふとそんな懐かしい気持ちになる。
 そういやそれまで私に蛇みたいに巻きついていた父の気配というものが消え失せている。やっぱお父さんは死んじゃったんだな…とケータイを取り出しウチに電話してみる。
「あ、聖香だけど、オトーさん・・・

1

同族嫌悪愛

15/10/09 コメント:2件 佐々木嘘

安心、嫌悪、恐怖、期待、欲望。感情は未熟な心の中では一つも混ざり合えないでいた。多感な体内で持て余し発酵も出来ないでいつまでも燻り続けている。
優等生と劣等生、高慢と謙遜、理性的と盲目的。
そんな曖昧な境界線をほんの些細な出来事で反転させてしまう、15歳のこの身体。



「瀬山くん。今いいかな?」

花壇に水をあげている彼に初めて話しかけた。当たり・・・

2

もち

15/10/09 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

モコはその朝、いやに体が柔らかいことに気がついた。
いつものようにベッドからおり、ストレッチを兼ねた軽い体操をはじめたときのことだった。背を反らすと、頭はいまにも床に届きそうになるし、体をねじると、ウエストは楽に180度回転した。
日ごろの努力のおかげかしら。
モコがそう思ったのも無理はなかった。介護の仕事に携わる彼女は、寝たきりの人をベッドから起こすときなど、つい余計な力がかか・・・

1

曼珠沙華

15/10/08 コメント:2件 

久しぶりに夢を見た。あまりに幸せすぎて、壊れてしまった夢だ。
白く霞む世界の中、手探りで君を探す。
ねえ、会いたいよ。もう俺を見てはくれないのか。俺の中の君は、こんなにも眩しく煌めいているというのに。
手を伸ばした希望は脆くも崩れ去った。虚空を掴んだ右手がじわりと滲む。
泣きたい訳じゃなかった。体の内で猛る炎を、上手く制御できないだけだった。君を食い殺さんばかりの熱情を、押・・・

1

ピクセル・ガール

15/10/08 コメント:2件 泉 鳴巳

 放課後を告げるチャイムが鳴る。
 街へ繰り出す者、部活へ向かう者、ただ教室に残って雑談を楽しむ者。
 彼ら彼女らで賑わう教室の隅で、僕はそそくさと鞄を背負い誰にも気付かれずに学校を後にする。

 別にいじめを受けているわけじゃない。ただ関わりが、関係性が無いだけだ。
 空気のような存在だ、なんて言うと“有って当たり前だけど無いと困る”みたいなニュアンスを含んでしまう・・・

1

死んで仕舞えと云って呉れ

15/10/08 コメント:1件 クナリ

 高校を出てすぐ、歌舞伎町の女装バーに入り浸るようになった。
 女になりたいわけでもないし、女装者を好む男に声を掛けられてもにべもなく断る。
 ただ、服と化粧で、女よりも綺麗になるのが楽しかった。

 歌舞伎町では、性を曖昧にしながら遊び回る僕に嫌悪感を示す人もいたが、気にしなかった。
 伽羅さんと知り合ったのは、僕が二十歳になる少し前の女装バーでだった。
 二・・・

1

まいまいみーまいん

15/10/08 コメント:0件 長月フレンチクルーラー

 気が付くとわたしはいつも周りの人間関係を崩している。そこに同性か異性かは問わない。それなのにまたすぐに人間関係を構築してしまう。理由は簡単、わたしは寂しがりやなんだと思う。なんだかんだ言って人肌が恋しいのだ。一人は良くても独りになるのは耐えられない。
 わたしは同性の友達が少ない。そしてどうやらわたしは同性に好かれるような人間ではないらしい。昔からそうだった。けれど都合のいいことにわたしも・・・

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うしろの正面だあれ?

15/10/07 コメント:0件 ちほ

 定禅寺通りで信号待ちをしていると、豪より少し年下の謎の少年に出会った。華奢な体つきの少年の豪を見る目は、怯えながらも喧嘩を挑もうとする子犬の目のようだった。少年は、どこか意地のように豪に話しかけている。東京の学校のこととか、自分のこと。仙台にいるより東京にいる方が生きやすいこと。その理由はもちろん……と言いかけて、少年は言葉を止めた。そして、びっくりしたように訊いてきた。
「もしかして、ぼ・・・

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茨城県

15/10/07 コメント:0件 林一

「先輩、今度茨城県に旅行しに行くんですけど、どこかオススメの観光スポットとかありませんか? 先輩って茨城出身でしたよね」
「おい萩原、その前に一言言わせてもらうけど、イバラギじゃなくてイバラキだからな」
「あのー先輩、僕の方からも一言言わせてもらっていいですか?」
「何だ萩原、文句でもあるのか。お前のその一言で茨城県民全員を敵に回すことになるからな。覚悟して言えよ」
「僕の・・・

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うろ覚え

15/10/07 コメント:0件 林一

 男2人が、小型飛行機で世界一周旅行をしていた。
「今どのあたりだ?」
「たった今、カロリラ共和国の上空に入りました」
「ということは、もう半週くらいしたのか」
「ええ。世界一周もこんなにあっという間だとつまらないですね」
「そうだ! 景色が見やすいようにもう少し低い高度をゆっくり飛ばないか?」
「それもそうですね。急ぐ旅でもないですし」
 機体を降下させ・・・

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きっと ずっと 信じているもの

15/10/07 コメント:2件 みつ

 私は大学時代、二か月間という短い期間ですが、オーストラリアへホームステイを兼ねた語学留学をした事があります。
 出発前なのですが、父から「おじいさんに顔を見せてやってくれ」と言われたのです。その為、同じ敷地内に建っている古い家へと向かい、すぐ隣に住んでいるというのに久方ぶりに祖父と顔を合わせました。「なぜ久方ぶりなのか」と言いますと、私が小六の時までは共に一つ屋根の下で暮らしていたのですが・・・

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レア

15/10/06 コメント:0件 林一

たまに当たる。・・・

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わたしが飼っていた曖昧

15/10/05 コメント:2件 るうね

 わたしは曖昧を飼っている。
 曖昧とはなにか、と問われることは多いが、いつも説明に窮する。外見上の、あるいは内面上の特徴を訊かれるが、特徴がある時点で、それは曖昧ではないだろう。
 なので、問うた相手に、わたしはいつも曖昧を見せてやることにしている。すると、相手は非常に微妙な表情になり、ううん、たしかにこれは曖昧だね、と納得するのである。
 曖昧はなんでも食べる。逆になにも食べ・・・

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不確かな記憶の欠片

15/10/05 コメント:0件 ねむていぞう

え〜、いつの間にか季節もすっかり秋でございまして、朝、散歩なんかをしてますと、いきなり鼻を突くような芳しい匂いがする。ふと回りを眺めますと、なるほど、そこは銀杏並木だったりするんですね。そう、地面いっぱいに散らばった銀杏の実が、無残にも踏みつぶされてる。こりゃア、臭いわけですな。

うちの母ちゃんは田舎者でしたから、この季節になると、道端に落ちた銀杏の実を拾ってたんですね。拾ってどうす・・・

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