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第五十九回 時空モノガタリ文学賞【 ON THE ROAD 】

今回のテーマは【ON THE ROAD】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/07/28

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/06/02〜2014/06/30
投稿数 45 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

8

アルマヘメラ

14/06/30 コメント:12件 光石七

 町なかを走るその車はひどく目を引いた。エメラルドグリーンとネイビーのツートンカラー。スタイリッシュなフォルム。バラの花をモチーフにした大きめのエンブレム。外観もさることながら、人々が注目するのは運転席だった。30歳ほどの男が座っているのだが、ハンドルを握っていない。シートにもたれて腕を組み、目を閉じている。助手席には誰もいない。それでも車は他の車と同じように走っている。ちゃんとカーブを曲がり、前・・・

6

爆走疾走! 白線レース

14/06/27 コメント:10件 タック

深夜、商店街。
歩道には多くの若者が立ち並んでいる。道路を囲むように列をなしている。
――その、若者たちの目的はただ一つ。「白線レース」におけるタツミの疾走。
怪我により休業していたタツミの復帰を、間近で見ることにあった。

「白線レース」王者、タツミ。挑戦者、茶髪の若者。
道路の両端、コースである白線上にふたりは立っていた。
横位置をそろえ、戦闘の気合を・・・

13

What Happened On The Road? ──道路で何かが起こっている

14/06/25 コメント:16件 草愛やし美

 太陽が昇ってきた。今日も、俺は熱せられるのか、アスファルトになってまだ二年、慣れないままだ。昨日、子供が落としたアイスクリンのため、俺の体の片隅に染みが残った。蟻がやって来るようだ。昔は、蛆が体を這ったこともあるが、今は蟻か……。
 田舎の田んぼだらけのど真ん中にできたアスファルト道、今どきの人間は違和感を持たないのだろうか。この辺りが急に賑やかになったのはつい三年ほど前だ。俺の前に開ける・・・

2

Blazing Red

14/06/17 コメント:7件 滝沢朱音

念願の車、BMW MINI Cooper。鮮やかなブレイジングレッドにブラックルーフ。この歳にして初めての新車だ。
俺は煙草を吸うふりで何度も家の外に出ては、少し離れた路上から愛車を眺めうっとりと悦に入る。ダークな背景に映えるメタリックな赤が美しい。
家を建てる際、外観だけは俺の思い通りにさせてくれと妻に頼んだ。濃グレーの外壁、焦げ茶の扉や窓。背高な狭小住宅だがモダンに見える。庭を兼ね・・・

5

中間宿主から終宿主まで

14/06/06 コメント:3件 五助

 空を飛ぶために私は空を見続けた。
 この木がなんという木なのかは知らぬ。ただ、日がよく当たる木であることから、この木に登れ、一番高い葉のところへ登れと、私は宿主であるカタツムリの脳に命じた。カタツムリの脳は、暑い。嫌だ、葉の裏が良いと反抗したが、私は、木の上はなんと涼しく、みずみずしいか、体が思う存分伸び上がるぞう。と吹き込んだ。カタツムリは抵抗の意志を少し見せたが、体を動かし木の上へ這い・・・

最終選考作品

8

残響の途

14/06/30 コメント:11件 草愛やし美

 ルート311∞車線、そんな途あったのだろうか……? 僕は、ずっと必死で車を走らせているだけだ。どうして走っているのか考えられないのは、この切迫した空気のせいか。ひたすら走り続け、僕はどこへ行こうとしているのだろう。この一車線道路は、さっき出ていた道路標識で一方通行だと知った。それなら、のんびり走っていてもいいのでは。だのになぜ、僕は何に怖れこんなに急がなくてはならないのだろうか。
 追い越・・・

10

禍が道に落ちていた

14/06/27 コメント:12件 泡沫恋歌

 梅雨明けの空は快晴、のどかな田舎道を愛車で走っていた。
 三日前にディラーから納品されたばかりの新車で、今日は慣らし運転を兼ねたドライブだった。
 初夏の風が心地よい、窓を全開にしてお気に入りのBGM流して、鼻歌まじりにハンドルを握り、俺の気分は上々だった。

 その時、耳元でブーンという羽音が聴こえた。
 でっかい蜂が車内に侵入して、俺の顔の周りをグルグル飛んでい・・・

3

肺の花

14/06/25 コメント:2件 きまねこ

口から花弁が溢れ出た。
それは咳をするたびに舞い落ち、まるで自分が時と共に枯れて行く花のように感じられた。
膝の上に重なる黄色の花弁。
どうやら私の肺の中には大量の花が咲き誇っているらしく、罹る病院の医師は皆全員気持ち悪がって外へと追い出した。
「あなたは何を諦めているのかしら?」
そんな生活が3ヶ月を過ぎた頃からやって来るようになった彼女は、毎回律義に出される紅茶で・・・

4

パイロットフォルム(手紙屋)

14/06/22 コメント:6件 黒糖ロール

 右手で操縦桿を握り、左手をスロットルレバーに添える。コックピットの小刻みな振動が心地よく全身に伝わってくる。
 リュードの心の表面を、淡く明滅する幸福感が滑り昇ってくる。ジンジャエールの泡のように爽やかで、儚い。
 白い砂漠の中央に、この飛行場は位置している。滑走路が一本だけあり、その側に格納庫、少し離れて司令塔が建っている。司令塔の一階を、なぜかカフェが陣取っている。飛行場の中は、・・・

1

寓話「にんげんの道」

14/06/13 コメント:1件 ナポレオン

「君たちにはこれから‘にんげんの道’を歩いてもらいます」

神様が言いました。神様の前にはまだ生まれる前の赤ん坊たちが集まっていました。
「にんげんの道は険しい道です。途中でつまずいたらすぐに死んでしまいます。気を付けてください」
赤ん坊たちには神様が何を言っているのかは分かりませんでしたがが、皆よちよちと目の前の道を這っていきました。言葉は分からなくとも、なぜだかこの道を・・・

投稿済みの記事一覧

2

目的地は彼方にありて

14/06/30 コメント:2件 四島トイ

 梅雨の真っ只中であった。
 駅前のロータリーはしめやかな雨に霞み、送迎の車が絶えず出入りする。
 買ったばかりの中古車の中でハンドルにもたれ掛かる。フロントガラスでは雨粒が玉になって滑っていく。流れ、伝い、集まる水の粒を目で追うものの、その筋道は予測しようもなかった。
 ポケットの中で携帯電話が震えた。
『すまん親友。のっぴきならない用事ができたんだ』
 僕をタクシ・・・

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ずるずる

14/06/30 コメント:0件 松定 鴨汀

 この道を進むと決めた当初、私はなぜ道にびっしりと手形がついているのかを知らなかった。
 噂によれば、ハリウッドには有名人の手形やサインが道いっぱいに広がっている観光名所があるらしいから、その真似でもしているのかと思っていた。だって、ほら、この道に進む人って、大抵、最終的にはそこを目指しているだろうから。

 でも、違った。
 こっちの道の手形は、くぼんでいるんじゃなくて、・・・

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道端に咲く小さな花

14/06/30 コメント:0件 ゆえ

青い空が段々光に照らされて、明るくなっていく。
それと一緒に、最初黒かった草木達に色がともって行き、命を吹き込まれるように緑色になっていく。ちょうど、大きな公園を抜けて、海に出ると朝日を受けて海が輝いている。
時期に寄って時間は変わるものの、この景色が一番好きだ。
海まで出て、少し歩くと自販機があって、そこで毎回飲み物を買って、少し休むのが一日の始まり。日常と違って、煩わしい事を・・・

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ON THE ROAD

14/06/29 コメント:0件 たにくん

私はこの荒野で1人店を開いている。住居付の店だ。
辺りは何もない、あるとすれば町へと繋がる気が遠くなるような長い一本道だけだ。
その日はいつもと変わらない日だった。
閉店準備をしようと外の看板を片付けていると

「すみません、まだ大丈夫ですか?」

後ろから声をかけられた。振り替えると大きな荷物を背負った女性が立っていた。
私はクロー・・・

5

紫陽花

14/06/29 コメント:6件 そらの珊瑚

 母が亡くなった。享年五十七歳。脳出血だった。健康の為に毎日納豆を欠かさなかった母なのに。僕はあの匂いがだめだ。
 無言で倒れ、救急車の中で呼びかけても応答はなかった。普段から寡黙な母らしい最期だったともいえる。あっけなかった。しかし臨終に際してそれまでの感謝の気持ちを伝えることが出来るのは小説や映画の中だけの話なのかもしれない。
 母と交わした最後の言葉は「ただいま」「おかえり」とい・・・

9

モモが行く道

14/06/26 コメント:9件 そらの珊瑚

「おはようございまぁす」
 世界で一番愛しい声が聴こえる。
 背中に小さな青空を背負ってモモがやってきた。

 5年前小学校へ上がる前に行ったデパートのランドセル売り場はまるでマカロンみたいにカラフルな色にあふれていた。その中からももが選んだのはパステル調の水色だった。
「モモ、これがいい! あおぞらのいろ!」
「ピンクや赤もかわいいよ」スポンサーである私の母・・・

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駄菓子屋

14/06/26 コメント:2件 北村ゆうき



詩織はいつものように学校からの帰り、駄菓子屋に立ち寄った。
「お婆ちゃん、こんにちはー。」
昔ながらの木製の引き戸を開けて中へ向かって叫ぶ。
6畳ほどの店内には小さなチョコや串にラムネなどの駄菓子が紙の箱で仕切られてテーブルの上に置かれてある。
「はい、はい。」
奥から少し腰の曲がった小柄な老婆がゆっくりと出てきた。


「おやおや、・・・

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理想と現実のはざまで

14/06/25 コメント:0件 北村ゆうき


「ごめんなさい。」

日陰で少し薄暗くなっている校舎裏。
校庭では、それぞれが皆、挨拶をしたり励まし合ったりしている。

智也は人生で初めて振られた。
サラサラの茶色い髪、切れ長の目、優しい口元。
そのどれを取っても完璧である自分が振られる訳がないと思っていた。

卒業式。

今日で、この高校ともお別れ。
智也は学年一・・・

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オンザロードオンザロック

14/06/23 コメント:0件 村咲アリミエ

 根無し草という言葉は、俺にぴったりだと思う。ふらふらと、当てもなく歩く。行きたい道こそ我が道だ。
 こんな生き方を、嘲笑うやつもいる。馬鹿だというやつもいる。今までたくさん笑われ、たくさん馬鹿にされてきた。
 しかしあるとき、
「ロックですよねえ!」
 と、とある酔っ払いに褒められたことがある。俺はきょとんとして、言葉を失ってしまった。
「好きなように生きる! 進み・・・

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凍える雨

14/06/21 コメント:0件 裃左右

「僕はこのまま故郷に帰るよ」

僕は分かれ道に、ようやく仲間たちに切り出した。

「本気なのかよ」

若手の剣士が僕に詰め寄る。

「ああ、このままだと故郷が滅びる」
「困窮しているのはアンタの国の人間だけじゃないぞ」
「わかっている」

僕たちのキャラバン隊は、今や民衆の希望だ。
略奪を繰り返す盗賊や騎士たち、貧困に争・・・

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虹 〜雨上がりの向こう〜

14/06/21 コメント:0件 

道の上には何があるんだろう。
道の上を歩くには、何が必要なんだろう。

私の夢はたったひとつ、シンガーソングライターになること。
小さい頃から歌が好きで、『上手いね』って言われることが嬉しかった。
『好き』が『夢』になるはじまりは、きっとその幼い日々があったから。
・・・

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ドライブイン

14/06/21 コメント:0件 サトースズキ

 彼女はあたりを見まわす。斜め向かいの席にいた若いカップルだった
「キスしてよ」声が耳に入った
「もう出ようぜ」若い男は言った
「キス、してよ」女は自分の手をそっと男に重ねた
それから男はキスをした。「もう出よう」
女は特にそうする理由もなかったが、メニューをきれいに並べなおしたり、紙ナプキンを折り畳んだりしていた
 駐車場に派手な車が入ってきた。濃いサングラス・・・

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おはようミカ

14/06/21 コメント:2件 小李ちさと

おはよう、ミカ。
気分はどうだい?少し戸惑っているのじゃないかな。でも心配しなくていいよ。君のために出来ることは、全部やったからね。

君の前には今、一本の道が伸びているはずだ。その道があまりにも光り輝いているから、君は希望を抱き、同時に恐れを抱いているだろう。惹かれてやまない、だけども強い光は怖い。その通りだ。

その道はね、ミカ。美しく怖い場所に辿り着く道だ。

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林檎

14/06/21 コメント:0件 カシヨ

 病棟に併設されたカフェは、患者だけでなく付き添いの家族にも評判が良かった。天井まで届く窓には薄ベージュのシェードがかけられ、和らいだ明かりがフロアを包む。
 辺りは非常に混雑していた。
 先を行く郁実と、続く保科の二人は、かろうじて空いていたすみのテーブル席に腰を下ろした。
「大人になってから久々に怒られた気がする」
 笑みすら浮かべて郁実が言った。
 高校の元同級・・・

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AND THE ROO

14/06/20 コメント:0件 

「あんたそんなんばっか眺めて、よう飽きへんなあ。」
「別に。」
 “そんなん”の正体は青いスマートホンだ。遠くへ離れてしまう友人との連絡手段という口実で、母に頼み込み、先週やっと手に入れた。
「そんなずっと見とったら目悪くなんで。そういやあんた宿題やったん?」
「やってへんよ、提出せんでええんやし。」
 現在は夏休みである。家庭の事情とやらで母と二人、田舎にある母の地・・・

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14/06/20 コメント:0件 たつみ

 ここは静かな緑の世界。
 見渡すかぎり広がる野原には、沈むことのない緑≠フ太陽から柔らかな陽が降り注いでいる。そこに一本の道がある。白い砂を敷き詰めたような道が真直ぐと伸びている。
 その道を人々が歩いている。彼らは前だけを見つめ、足を進めている。親に怒られても飛び回っているような子供も、立つことだってできないような細い足の老人も、誰もが同じスピードで歩いている。ゆっくりではあるが・・・

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【 雑記 】道について

14/06/20 コメント:9件 泡沫恋歌

私は道についてよく考える
別にどうってこともないような
つまらないことをいろいろと……

フェリーニの「道」という映画を
レンタルビデオで観たことがある

ジェルソミーナという 頭は弱いが心の美しい娘と
ザンパノのいう 粗野で暴力を振るう旅芸人の男 ふたりは旅をしているが
ある日 ザンパノが犯した罪のせいで
ジェルソミーナがおかしくなって・・・

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幽霊バス

14/06/18 コメント:6件 鮎風 遊

 ひょんな拍子で、あなたがもし幽霊バスに乗ってしまったら、その後の人生は一体どうなるのでしょうか?

 じとっとした空気が肌に纏わり付き、生暖かい。だが背筋に悪寒を感じる。そんな陰鬱な夜に、幽霊バスはあなたの目の前に現れる。
 昭和時代を彷彿させる箱形で、くすんだ橙色のボディに緑のラインが伸びる。とにかく気分が悪くなる色合いだ。その上バンパーがへこみ、車体のあちこちに錆が浮き上が・・・

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28歳

14/06/17 コメント:0件 フレッシュパルプ

 私は無作為に縄を結び彼はその縄をめんどくさそうに解いた。彼というのはいわいる交際相手というやつで5年以上の付き合いになる。私は無作為に縄を結ぶ。果てしなく広い市民体育館や文化会館の大ホール規模の大きさの場所で無作為に無秩序に規則性なく縄を結ぶ。彼はそれをめんどくさそうに解く。ぶっきらぼうに冷めた態度で彼は縄を解く。
 私は彼が縄を解く間に何本もの縄を結ぶ。二重に結んだりちょうちょ結びをした・・・

1

深い霧

14/06/10 コメント:1件 メラ

 足を止めて後ろを振り返る。自分が歩み、辿ってきた道筋が見えるだろうか?
 砂地の上なら、簡単にその足跡はかき消される。しかし、人生は必ずしも砂地の上を歩いたとは限らない。
 後ろを見ても、何も見えない。ただ自分が今まで歩いてきた道が、真っ暗な道だったと気づく。よくここまで来れたものだ。
 と言う事は、俺は闇を抜けたのだろうか?いや、まだまだ自分は暗闇の中を模索しているようなもの・・・

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ON THE ROAD ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/06/09 コメント:6件 鮎風 遊

 今が とてつもなく 悲しくっても
 勇気を出して 一歩を踏み出そう
 ON THE ROAD
 未来への旅の途中だから

「これって、私たちのデビュー曲だったでしょ。だけど、あなたの未来への旅はここで終わるのよ」
 青酸カリ入りのワインを飲み、いまわの際にあるミライに、古都が冷たく囁いた。
「仲直りしようと、古都を誘ったのに、なぜ?」
 7年前の大・・・

0

指ぬき物語

14/06/07 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 おばあちゃんが裁縫をしているところへ、加奈がやってきた。
 おばあちゃんは、老眼鏡のおくから上目づかいに孫娘をみつめて、
「加奈や、これをあげるよ」
 加奈は、おばあちゃんがさしだす指ぬきを手にとり、じぶんの指にはめてみた。
「すかすかよ。いらないわ」
 指ぬきをかえそうとする加奈に、おばあちゃんは、
「なに罰当たりなこといってるの。この指ぬきにはね、みんなが・・・

1

14/06/06 コメント:2件 ポテトチップス

武藤誠一が自宅に帰宅すると、妻の悦子が台所の床に座り両手で顔を覆って泣いていた。周りは争った跡が色濃く残り、食器などが割れて散らばっていた。
「ただいま」
「あなた、智樹を何とかしてよ」
顔を両手で覆ったまま、悦子は涙声で言った。
「智樹は2階か?」
うん、と悦子は頷いた。
誠一は背広姿のまま、2階へと続く階段をゆっくりと上った。上がりながら、なぜあの優しかった・・・

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路傍の時代(とき)にて ――Madder Nightfall on the Road

14/06/06 コメント:9件 クナリ

明治維新が成り、日本が新たな舵を切って後。
一人の男が、板橋の地をさ迷っていた。
壮年近くに見える男は野太い杖をつき、近隣の民家を一軒ずつ訪ねる。
「近藤勇の亡骸を、ご存知ありませんか」
と問うが、答は芳しくない。
近藤が板橋で斬首されてから十年。京の不逞浪士を震撼させたその名が、もう忘れ去られようとしている。
手掛かりは、この地のみ。
男は荒れ野の只中で・・・

0

夢見るバイク

14/06/06 コメント:0件 黄廣

 故障した私は主人に捨てられた。いい機会だということで新車に乗り換えるそうだ。
 暫くの間地面に横たわっていると、ある男に拾われた。男は私を修理すると、彼の店で売りに出した。
 私は新しい主人に買われ、長い距離を、知らない土地を走った。そして、故障するとまた捨てられた。
 何の偶然か、あの男に再び拾われ、修理された。
 また買われ、また知らない場所を走り、また捨てられ、また・・・

2

2nd Verse.

14/06/06 コメント:3件 

 結局亮介は、和田の住むアパートに本当に転がり込むことになった。
「大家さんには話つけときました。家賃も俺と同じでいいって」
「サンキュ。助かるよ」
「来年2月には取り壊しだから、1月いっぱいまでが限度ですけどね」
「あと半年あるな」
 珍しく土曜昼間からのセッション。部室の大きなクーラーは古いわりに効きがよく、寒いくらいだ。
「それにしても、男と二人きりで棲む・・・

3

サニー・サイド・アップ

14/06/06 コメント:5件 清野

 路上に不審者が屈み込んでいる。どうやら蜃気楼ではないらしい。
「……何してんの」
「あ、樹生。おかえり」
 顔を上げた有紗が、日差しの激しさに目を眇めた。長い黒髪をポニーテールにして、白いTシャツの袖をまくり上げ、あらわになったうなじと肩の白さが目にまぶしい。
 僕は顔つきが険しくなるのを自覚しつつ、屈んだままの有紗に近づいた。
「そこに陣取られると邪魔なんだけど」・・・

2

振り返ってみれば

14/06/05 コメント:3件 リードマン

振り返ってみれば、様々な出来事があった。意識が浮上して後は、ただ恐怖ばかりがあった。果てのない永劫の闇の中で、浮かび上がる刹那にして無限の情景を夢見、孤独を紛らわせたのはどれだけの事だったのか、ずっと、そうしているだけならば、なんの後悔もなかっただろうに。

そこは、夢達が輝く宇宙だった。決して触れる事の出来ないアコガレ達。それでも、良く我慢していたのだと思う、が、ゼロかイチかのソコで・・・

5

ロード・ムービー

14/06/05 コメント:6件 かめかめ

   暗い部屋にモニタの明かりだけがある。
   それに照らされた雄一の顔。
   目はモニタを睨み唇を噛んでいる。
雄一「また落選か……」
   つぶやき立ち上がる。
   足音、4歩。
   冷蔵庫の扉が開き雄一のシルエット。
   雄一2Lのペットボトルを取り出す。
   足音、4歩。
   モニタの前に座る雄一。
   キャップを・・・

1

途上

14/06/03 コメント:0件 yoshiki

 道の前方にあなたを何かが待ち受けています。はるか前方に何かがいてあなたを見つめています。決して好意的な視線ではありません。よく見るとそれは鬼のような恐ろしい顔をしています。目つきが鋭く、大きな口もとに牙がのぞいています。全身が青緑の毒々しい色彩で、爬虫類を思わせます。それはモンスターです。体長二メーターは優に超えます。あなたとそのモンスターは一対一で対峙して、まんじりともしません。あたりは熱風の・・・

2

始まらなかった異世界譚

14/06/03 コメント:1件 るうね

「一緒に行こう、昇」


 白い部屋だった。
 白い壁に、白いカーテン。白いベッドにかかったシーツも限りなく白い。まるで病室のようだ。当然である。ここは病室なのだから。
 蛍光灯の白色の光に照らされた室内で、昇は一人、ベッドに横たわっていた。酸素吸入器をつけ、苦しそうに呼吸している。
 死期が近かった。
 と。
 不意に、部屋のドアのあたりに影が差し・・・

1

ハートビート

14/06/02 コメント:0件 みや

ピッ、ピッ、ピッ、監視モニターの音に混じって看護師さんの声が聞こえる。

「内田さん検温の時間ですよ。お熱測りますね」
看護師さんは手慣れた動作で私の体温を測る。
今日の担当看護師さんはまだ若い。だからこうやって優しく声を掛けてくれるが、オバサンの看護師さんはただ黙って私の体温を測る。それが当たり前なのかもしれない。
私は植物状態で意識が無いからだ。

三・・・

1

たこ焼きロード

14/06/02 コメント:1件 W・アーム・スープレックス

 まぶしく輝く路面にはまだ、夏の名残が色濃くはりついていた。
 それでも公園の木々からは、もうすぐそばまできている秋を告げるかのように、ツクツクボウシのどこか物寂し気な声が響いている。
 公園のすぐ下にたつ、小さな木造一軒家の横に、屋台らしい店が出ていて、そこから漂う香りが公園まで匂ってきた。
 女は、公園の水道でぬらした水で、額の汗を拭っているとき、その匂いに気づいた。女の頭に・・・

2

未来ポスト

14/06/02 コメント:5件 ぴーち姫


 買い物帰りの道の上。郵便局にさしかかった時、ふと見ると変わったポストが置いてあった。

「未来ポスト?」

『未来の自分に手紙を出しませんか。普通の郵便料金で30年後の未来のあなたに確実にお届けします』とある。
「へー、粋なサービス始めたわね。郵便局も民営化になってずいぶんと変わったんだ。しかし手紙を保管しておくだけでも経費が大変でしょうに」
 ・・・

2

ゆきとしおりちゃん

14/06/02 コメント:1件 こぐまじゅんこ

 しおりちゃんは、小学二年生。学校からの帰り道に四角い段ボール箱をみつけました。
 しおりちゃんが、通り過ぎようとしたとき、箱の中から、(ミャー)と小さな声が聞こえてきました。(何がはいってるんだろう?)
 しおりちゃんが、箱の中をのぞくと、真っ白な小さな猫がいました。
 しおりちゃんが、そっと頭をなでてあげると、子猫は(ミャーミャー)甘えた声を出して気持ちよさそうにしています。・・・

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