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第五十八回 時空モノガタリ文学賞【 転がる石のように 】 

今回のテーマは【転がる石のように】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/07/14

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/05/19〜2014/06/16
投稿数 46 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

6

石蹴り

14/06/16 コメント:7件 光石七

 小学生の頃、よく石を蹴りながら学校から帰った。校門を出たら道端に落ちている石を一つ選び、それを蹴る。蹴ったら後を追いかけながら止まるのを待つ。止まったらまたその石を蹴る。それを繰り返すのだ。石は不規則な形をしているから、なかなか狙い通りには転がらない。まっすぐ前に蹴ったつもりでも大抵曲がって進む。通学路は車通りの少ない田舎道だったから、道の真ん中を歩いても咎められることはなかった。石が側溝などに・・・

2

ミスユー

14/06/12 コメント:3件 村咲アリミエ

 苔の生えた腕を私に突き出して、彼は笑った。
「最高のギャグだろ」
「……何がでしょう」
「これが」
「………………」
 意味がわからず、私は曖昧に首をかしげた。多いときは週に一度、少ないときは二年に一度という自由気ままなペースではあるが、彼はこの宿のごひいきだ。適当にあしらってヘソを曲げられては困る。
 私からの無言の返事に、彼は「まじかよおー」と天を仰いだ。・・・

13

転がる宝石のように!

14/06/05 コメント:21件 草愛やし美

 悦子は、先程から洗面所に閉じ籠っている。鏡の前で、しきりに顔の表情を変えていく。大きく口を目いっぱい開け、「あいうえおー」喉の奥まで見えるようにと手鏡を持つ手にも自然と力が篭る。口角を引き締める美容法だ。これを毎日やれば豊齢線など、への河童だと心に言い聞かせる。鏡の中の自分の顔の老いに気づいてもう何年になるだろう。若い頃、自画自賛できるほど、綺麗だった。道をゆけば、振り返る男もいた――はず、そう・・・

4

今ではただの小さな小石

14/05/30 コメント:5件 FRIDAY

【ころがる石のように】 三年二くみ 久米木・みき也

ごろごろごろごろころがる石は
生まれたころはかどだらけで
でかくてえらそうな石だった
それも今では小さな小石

でかくてえらそうだったころは
いつもなんだかいばっていて
みんなのきらわれものだった
おれにちかづくとけがするぜって
かっこつけたりしていた
でもころがりはじめて・・・

最終選考作品

2

導き

14/06/16 コメント:4件 たつみ

殺風景な居室に目を閉じ、正座をする姿がある。
男は目の前にある鉄格子の重みを感じながらただ祈り続けている。
   ★
小ぢんまりとした三階だてマンションは静まり返っている。辺りに人影はない。
二階奥の部屋のチャイムを押してみる。
反応なし。
ポストがチラシで溢れていたから旅行にでも行っているのだろう。
横へと視線を向ける。ちょこんと座る白猫が玄関ドアを見つ・・・

10

転がる石の秘密

14/06/15 コメント:10件 草愛やし美

 嵐の夜、高台にあるT別荘地で一人の男が警察に逮捕された。土砂崩れの被害状況を調べに来た消防隊員たちによって発見された時、男は、山肌から流れ出る土砂にまみれ這いつくばって叫んでいた。
「止めてくれ、石が転がる、ああ、石が流れていく」
 隊員たちはみな、男が助けを求めているのだと思ったが、男の立つ斜面に白骨化した腕が突き出ているのを見て驚いた。殺して埋めた死体が露出し焦った男が、必死に証・・・

1

きらら

14/06/12 コメント:2件 糸白澪子

コン。
じりじりと陽光が降り注ぎ、ベタベタした空気が澱んだまま辺り一体を包んでいる。鈍色のアスファルトから陽炎が踊っていた。
コン。
軽い音を立てて転がる石はまるで私を皮肉っているかのようだ。似た者同士、こんなのとは似たくもない。数m先で止まった石は私を睨んでいる。直径5cm程度のそいつは明らかに私より小さいのに私を見下しているかのようだ。
もう一度蹴ってやろうと近づく。一・・・

1

君のさがしもの

14/06/07 コメント:0件 徒川ニナ

能天気な電子音を町中に響かせながら、今日もタモツはごみ収集車で町を行く。
ある時はじいさんに「うるさいのぅ」と文句を言われ、またある時には小学生のガキどもに「くせー!」と笑われるのだから、もう自分の人生を悲観したくなったって仕方ないと思う。こんなんじゃあ彼女ができないわけだ。ハンドルを握りながら溜息をつくタモツは、基本的にネガティブな性格だ。だけど昔からこうだったわけでは決してない。いつ・・・

5

転がる夢

14/06/07 コメント:5件 ナポレオン

 その夜、奇妙な夢をみた。

 真っ暗な世界だった。体にまとわりつく湿った落ち葉やら無数の這う虫によって、ここが森の中だと分かった。身をよじり落ち葉を押しのけると、私の体は森の斜面を転がり舗装された道に出た。そこで初めて自分の体の異変に気が付いた。球体、だった。小さな、ゴム毬のような球体。さながら首から下がどこかに行ってしまったかのような。
 ころころ。
 どうやらこの体は・・・

2

フリダシニ戻ル

14/06/01 コメント:2件 みや

「過去に戻る薬か未来に行ける薬、どちらになさいますか?」

無表情な店員は、そう尋ねられて惑っている俺にもう一度尋ねた。

俺は人生をやり直したいのか?やり直す?何処から?何時から?
普通に大学に行って普通に就職し、普通に結婚もして、現在15歳の長女と13歳の長男の子供が二人いる。順風満帆と言えば順風満帆。
普通が何なのかさえも分からなくなる位に普通の人生。

4

浪費妻

14/05/28 コメント:6件 ぴーち姫

 その男は一代で流通関係の会社を興し成功した。
 地位と名誉はもちろん独りでは使いきれないほどの金も手に入れた。
 このままの暮らしを継続すれば一生安泰に暮らせただろう。
 しかし人生とは面白いものだ。盤石と思われる人生も思わぬ落とし穴に落ちることがある。
 
 転がる石の如く……
 
 彼は晩婚だったが迎えた妻は若くて稀に見る美しい容姿の持ち主だった。仕・・・

投稿済みの記事一覧

2

斜面

14/06/16 コメント:4件 タック

――男は転がっていた。文字通り、転がり続けていた。傾斜だった。冷たい土の上だった。草の濃密な匂いが広がっている、山の下った一か所だった。男は障害にぶち当たることもなく、ひたすらに下降し続けていた。丸太のごとき、様相だった。男は、普通の男だった。山登りが趣味の一般的な男だった。それがこのような状態に置かれていた。その意味を、男は分からずにいた。なぜ自分がいつまでも転がり続けているのか、耳に速度の風を・・・

7

たから石

14/06/16 コメント:8件 そらの珊瑚

 あの夜、あたしは死に場所を求めていた。
 
大川の土手の草むらには蛍が舞っている。浮世の最後に見る景色にしちゃ、きれいすぎやしないか。
 とうに捨てたはずの命への未練が、胸の奥から湧き上がってくるのを感じながら、そのともしびがゆらめている様子に魅入っていた。

――どぶんと川へ身を投げておしまい。

 むしろ一枚の上で身を売る夜鷹の女が死んでも誰も同情・・・

7

仔猫ころころ

14/06/16 コメント:7件 泡沫恋歌

猫カフェ『にゃんこの館』にいる、アメリカンショートヘアーの三匹の仔猫たち。
床の上を石ころのように転がりまわって、元気よく遊ぶ、その可愛らしいしぐさで、みんなを魅了します。
仔猫というのは期間限定のエンジェルだから、その姿に癒されたくて、来店するお客様もたくさんいます。

仔猫の兄弟は一番大きい子と一番小さい子が女の子で、真ん中が男の子です。
――この三匹の仔猫たちに・・・

1

杭逗高校クイズ大会

14/06/16 コメント:1件 欽ちゃん

杭逗(くいず)高校
2クラスしかない1年生の恒例行事、クイズ大会が始ろうとしていた

1組は就職組と云われ、卒業後は就職する者がほとんど。いろんな事情を抱えた生徒たちが集まっている
2組は進学クラスで授業料が高額。自然と生徒はお金持ちのボンボンだらけだ

負けたクラスは3年間、隣のクラスの掃除を請け負うことなる
放っておけば1組が2組の分まで掃除をする風潮・・・

1

絶賛☆転げ落ち中!!

14/06/15 コメント:1件 ゆえ

「おい!!聞こえてるんだろう?岡島さんよぉ!」
「期限は過ぎてるんだよ。早く返して下さいな〜」

玄関のドアの向こうから、聞こえる怒声と時折ドアを蹴っているであろう鈍い音が響いた。
当の本人「岡島 百合子」はTシャツにパーカー、デニム、スニーカー、最低限の荷物をリュックに詰め込むと、窓を開けた。二階建てのアパート。
自分の家の下には花壇がある。

「・・・・・・

1

荒野の骸は月夜に眠る

14/06/15 コメント:2件 裃左右

 王は跪く冒険者を睥睨した。
 冒険者は王の窮地を救った、いわば救国の英雄である。

 迫る大地を埋め尽くすほどの悪鬼。それを王は撃退すべく軍を率いた。
 悪鬼の力は強大無比にして、その性質は邪悪そのものである。
 ただの人間でしかない兵士が束になっても叶うはずがない。
 
 しかし、王は常勝である。

 ……ただ王が我らの前に立つ。
 ・・・

2

今ここにある石

14/06/15 コメント:4件 汐月夜空

 2ndパートを吹きはじめてもうどれくらいになるだろう。
 演奏会が始まる前に、僕はいつものようにトランペットにオイルを注し、ピストンをコトコト鳴らして調子を測る。
 周りでは同じようにルーチンワークをするメンバーが居る。目を閉じて瞑想する者、周りに声をかける者、足でリズムを取って頭の中で練習する者。それぞれやり方は違えど、緊張をほぐすために集中を図るのは変わらない。
 電波時計・・・

2

転がる石のように

14/06/15 コメント:2件 たにくん

 毎日が退屈だった。上京すれば何かが変わる気がしていたのに、何も変わらない。
 こんな、おんぼろの格安アパートで1人暮しして、アルバイトを転々として……情けない。
 この花の都で一旗上げるつもりでいたのに、上京してからもう3年がたった。
 あ〜、情けない、情けない。

「何回言ったらわかるんだよ!」

 すみません。

「これぐらいのことパッと・・・

4

ころがる、あなたの、石ころ

14/06/12 コメント:5件 タック

………………………………………………………………………………
 

………………………………………………………………………………
 

………………………………………………………………………………コロ。


………………………………………………………………………………
 

……………………………………………………………………・・・

5

たんぽぽ

14/06/12 コメント:8件 裃左右

妻はたんぽぽのように逞しい女だ。

夫である俺が単身赴任しているのにも関わらず、きちんと子育てをしている。

一方、俺は目立たないような人間だ。
昔からろくに目立ったことがない。
せいぜい、習字のコンテストで一回だけ銅賞をとったことぐらいだ。

実際のところ、今の妻と結婚できたのも奇跡みたいなもんだ。
付き合っていた頃は、デートのたびに赤くなっ・・・

6

心の中の石

14/06/12 コメント:10件 そらの珊瑚

 被疑者森野こずえは四〇歳という年齢相応に受け答えもしごく落ち着いていた。
「彼と結婚の約束をしていたのですね」
「はい。でも起業したばかりの事業が不安定で先延ばしになっていました。ある日あと百万ないと手形が不渡りになり倒産だと言われお金を貸した事がそもそもの始まりでした」 いわゆる典型的な結婚詐欺の手口だ。
「お金を渡すとありがとう、愛してると私を抱きしめてくれました」
・・・

8

ブルーシートと幸福の石

14/06/09 コメント:15件 泡沫恋歌

 こんな橋桁の下、ブルーシートの中に人が住んでいるとは思わなかった。
 その男は五十代くらい、髭モジャ、髪は伸び放題、垢で真っ黒な顔、かなり年季が入ったホームレスに見える。
「ゲリラ雷雨で川の水が増水したから避難してくれって……悪いが見ての通り、具合が悪くて動けん」
 段ボールとブルーシートで作られた小屋の中、男は汚い毛布に包まっていた。栄養状態が悪く、死期が迫った病人の顔色だっ・・・

0

ストーン

14/06/06 コメント:0件 リードマン

ロボットを作るのが夢だという父、心を作るのが夢だという母が共同研究の為に造った機械、それが“ストーン”だ。私は幼い頃からその実験に協力してきた。何か特別な事をする訳でもない。ただ毎日座席に座ってヘルメットをかぶるだけの退屈な実験だ。このヘルメットは、簡単に言ってしまうと、私の頭の中を覗くもの。無線で連結されたロボットを動かす事が出来るもので、その際に連動して私の精神をロボット内の人工知能に転写する・・・

1

転がらない石、むすぶ石

14/06/05 コメント:2件 かめかめ

「新居に引っ越す時には、家具より何より、オモトの鉢植えを運び込むの。そうすると家内安全に過ごせるのよ」
 そう言って母が抱えてきたオモトの鉢植えは大きめの石の上に苔が敷き詰められその間からオモトの葉がすっくと立っている美しいものだった。
「オモトは水さえやればいいから無精のあんたにピッタリよ」
 そう言って鉢植えを置くと引っ越しの手伝いもしてくれず母はさっさと帰ってしまった。父の・・・

2

セルフ・コントロール

14/06/04 コメント:3件 清野

 適当な相槌を打ちながら歩いていると、勢いよく蹴り飛ばされた石が僕の足先を横切り、車道でごろりと転がった。足を止めて右隣を一瞥する。有紗がふてくされた顔で睨みあげてきた。
「聞いてる?」
「……聞いてるよ」
「嘘。全然聞いてない」
 その通り。僕はため息をつきかけて、ぐっと堪え、有紗から目を逸らして車道に出た。こんなど田舎の道路、石なんてしょっちゅう落ちているし、取るに足ら・・・

3

魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語  第1話 転がる石のように

14/06/03 コメント:6件 鮎風 遊

「楼恋巣(ろうれんす)。人は信じないだろう、だけどあるんだよ、摩訶不思議な世界って」
 夏休みに帰郷した私に、祖父の妖風魔九志夢(ようふうまくしむ)が優しい眼差しで、こう切り出しました。それから私の手を握り締め、「お前に話しておきたいんだ。幼稚園からずっと一緒だったヤンチャ坊主の安渡玲(あんどれ)と剣斗(けんと)、おしゃまな織美亜(おりびあ)と伽沙凛(きゃさりん)、それに麻里鈴(まりりん)、・・・

2

ころころころころころころ、と

14/06/03 コメント:4件 坂井K

 遥か昔、僕らの身体には、「手足」というものが付いていたらしい。「それって、どんなもんやったん?」子供のころ、僕はお祖父ちゃんに何度も聞いた。「胴体から長く突き出た身体の一部でな、それぞれが二つづつ付いていたんやて」「それって、何かの役に立っとったん?」

「もちろんや。手はな、ものを掴むために必要なもんで、足はな、移動するときに必要なもんやったんや」「ふ〜ん。せやけど、そんな長いもん・・・

6

Silent Stone

14/06/03 コメント:7件 滝沢朱音

「息子さんがね、痛い痛いってのたうちまわるから、救急車呼んだんだって。浜本さん」
「ふんふん」
「どんな病気かと思ったら、胆嚢結石だって」
「ああ、胆石か。激痛らしいな」
父が咥えたトーストに、すかさず目玉焼きをのせる母。見事な連携プレー。
「大きな石なのに、今まで何の症状もなかったって。サイレント・ストーンって言うらしいわ」
「ビル・ワイマンか、元ストーンズの・・・

1

西遊記的小話(菩薩の涙、大岩に落ちる)

14/06/01 コメント:2件 黒糖ロール

 菩薩様は白く輝く雲の隙間から、下界を見下ろしていらっしゃいました。
 地には、抜きんでて高い山がありました。その頂上でふんぞり返るように、大きな岩が鎮座しております。菩薩様はその大岩のほうに顔をお向けになると、優雅に体を伸ばされて、見事なあくびを一つされました。自然とまなじりから、涙が一粒こぼれました。菩薩様といえば、耳垢のひとかけら、脇毛の先に至るまで、それはもう慈悲そのもので出来上がっ・・・

0

苔の意味

14/06/01 コメント:0件 勘解由小路 和彦

 
「転がる石のように、って表現あるでしょ」
 
 静かだった教室に彼女の声が響いた。
 他に人はいない。だから言葉は俺に向けられたものに違いなかった。
 英語の参考書から視線を上げると、彼女もまた同じような姿勢だった。
 
「あぁ、あるね。それが?」
「意味知ってる?」

 まだ何も答えてもいないのに、勝ち誇った顔をしていた。
 ・・・

1

愚行の石

14/05/31 コメント:2件 ポテトチップス

(はい、警視庁蒲田署です)
「いま、人を殺しました」
(殺人を犯したご本人からのお電話ですか?)
「はい。友人から借金の返済を迫られて、カッとなって包丁でやっちゃいました」
(いま、あなたと被害者はどちらにいますか?)
「殺した友人のアパートにいます。住所は大田区蒲田2‐〇‐〇 ハイワコーポ202号室です」
(念のため、あなたのお名前と年齢、携帯電話の番号を教え・・・

1

甘いトゲ

14/05/28 コメント:1件 しんしん

毎日が平凡に感じた、入社してから10年が経ち仕事もそつなくこなせるようになった。要領良く成果を上げながらも残業はそこまでしなくても済む。無理もないし、無理はしない、そんな毎日だった。

「俺・・・このまま毎日を繰り返して、年取って死ぬだけなのかなぁ・・・」

得意先回りの信号待ちでポツリ、と誰に言うでもなくつぶやく。

言ったところで何かが変わるはずもない・・・・・・

2

岐路

14/05/29 コメント:2件 夕霧

 横断歩道を走る鳥の影とか、木漏れ日のストロボとか。そういった輝きの芸術を創り出す朝の陽光があれば、完全に目が覚めるのに。そう思いながら、浩二は先がすり減った紺の傘で地面を突っついて、泣き出しそうな灰色の空を睨みつけた。

 練習中の吹奏楽部員が奏でる管楽器の音が校舎中に響き渡る放課後、各々の教室で二者面談が行われている。生活態度、人間関係、成績、そして進路。
担任教師の野村と向・・・

0

人生、人生

14/05/27 コメント:0件 小李ちさと

やはり人間、ロックでなければ。

誰にも流されない。誰にも惑わされない。
自分だけの流儀で、自分だけの道を貫き、自分だけの信念を遂げる。
それこそが人間のあるべき姿だ。誰に何と言われようと、人と言うのはそうあるべきなのだ。

と、ラジオから流れた某有名アイドルの曲を聴きながら演説した。
隣でドラムをコピーしようと手足をぱたぱたさせていた彼女は、「うーん」と・・・

5

光明流転の剣 like a Rolling Stone

14/05/27 コメント:6件 クナリ

幕末。
三日月が薄く照らす夜の京都を、駆ける者達がいる。
逃げる人影が三人。追うのが二人。
逃げている内の一人が、
「もう戦おう」
と言ったが、他の二人が首を横に振る。
だが、先程の一人は鯉口を切って振り返った。
「玄、お前ッ」
咎めながらも、残りの二人も意を決して足を止め、抜く。
玄と呼ばれた男が、先頭に立って追っ手に相対していた。
追・・・

1

転がる生き物の話

14/05/26 コメント:2件 yoshiki

 ある惑星に生命がいました。とても地球からは離れた星なので人間はその存在さえ知りません。ただその生き物はとても不可思議な生態を持っていました。なんと説明しましょうか、地球の生物に似た者を探すのなら、それはマグロにちょっと似たところがあります。
 姿かたちは似ても似つかないのですが、マグロは回遊魚で、寝る時でさえ泳いでいますが(泳ぎを止めたら窒息する)その惑星の生物は、常に転がっていないと死ん・・・

3

芹凛の本音 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/05/26 コメント:4件 鮎風 遊

 現代ファションは氷河期、その原因はデジタル依存の若者たちの感性の欠落にあります。
 アパレル会社社長の江黒竜也がTV出演し、居丈高に世相を評する。まさに鼻持ちならぬ態度だ。

 そんな映像を背に、一人の男が「私が募武(ボブ)です」と自己紹介した。そして「転がる」と言い足す。
 これに美形の、されどもやつれた女が「石の」と続け、頭を下げた。それを確認し、この世のすべての不運・・・

2

ベーコンと私

14/05/26 コメント:2件 五助

 最近できたお肉屋さんのベーコンが、とてもおいしそうである。買い物は基本スーパーなので、その近くにあるお肉屋さんでは買い物をしたことがないのだが、お肉屋さんの前を通りすぎる度にベーコンに目がいってしまう。誤解しないでいただきたい、別にお肉屋さんのショーケースを物欲しげに、なめるように見ながら通りすぎているわけではない。自然と目にはいるのだ。何せそのベーコンは、店先の目立つところにつるしていて、でか・・・

3

14/05/25 コメント:1件 きまねこ

あれが運命などという大それたものでないことは重々承知しているが、私にとって特別な意味を持つという点に関しては、なんら変わることはないこともまた、事実なのである。
八月も中旬になった真夏の早朝、私は何時になく耳に残る鳴き声で目を覚ました。
開けっぱなしだったベランダから顔を覗かせれば、雀が一羽、空っぽのプランターの中で小刻みに動いている。
どうしようかと暫し悩みはしたが、放っておく・・・

0

池の中

14/05/24 コメント:0件 藍田佳季

 水中で流されて転がり、角がとれてすっかり丸くなった。
 そうして辿り着いた先で、身動きが取れなくなる。
 それが一般的な社会人だ。

 何に動きを止められているか。

 多分、仕事と家庭と世間体だ。
 
 ここ最近、休日がくる度にそんなことを考えている。
 休日にまで自由というものがないのはどうなのか。
 外出しようと思えばできるが、い・・・

0

失敗

14/05/24 コメント:0件 ウはうどんのウ

 僕らはあの頃、恋をしていた。海のにおいを感じながら僕は、パソコンの画面を見つめている。
 きみがすぐ近くに引っ越していたのだと知ったのは、つい数分前のことだった。僕の家から、電車に乗って数駅のところ。二年前までは、新幹線に乗って数時間の距離だったのだから今どれだけ心臓が跳ねているのか、自分でもわからない。
 SNSが表示されている画面を、じっと見つめる。懐かしい気分になって、きみのペ・・・

2

陽子ちゃんへ

14/05/23 コメント:2件 メラ

 このような形であなたにお伝えしなければならないことを大変残念に思いますが、あなたが電話に出ない以上、不本意ながらこうしてメールという形をとらせていただきます。。
 修一君から聞いたかもしれませんが、和也の人生は文字通り、坂を転がり落ちるという表現がぴったりだったかもしれません。ただ勘違いしないで欲しいのが、決して誰もあなたを責めているわけではないという事、和也があのような最後を遂げたことに・・・

1

『Like A Rolling Stone』

14/05/21 コメント:4件 

 それから亮介は、月に一、二度ギターを弾きにくるようになった。前のように突然現れるのではなく、きちんと予定を合わせて部室に入るのがまるで本物のバンドのようで、皐羽はうれしかった。
「わりぃ、遅れた」
 その日も仕事帰りに駆け込んできた亮介は両手を合わせて謝り、息を切らせながらギターをいそいそと取り出した。セッションが楽しみでたまらない様子が可愛らしい。
「亮さん、仕事忙しそうです・・・

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丁字路

14/05/19 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 忘れられたような路地があるとすれば、いま女が歩いている路地がそれに当てはまるかもしれない。両側にならぶ殺風景な壁には、明かりのついた窓はどこにもなかった。
 路地には外灯が一つ、その寒々とした明りの下に、どこからか吹きよせられてきたチラシが、いくあてをなくしてその場でぐるぐるまわっている。
 女はやがて三叉路の、左と右にわかれるところにさしかかろうとしていた。その角の手前に、なにかが・・・

2

ころがる ぼく

14/05/19 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 右足を左足にかけて。体をうかせるようにして、えいっとふんばる。
  
ーくるりんー

(やったぁ、ころがった!)

 ぼくが、きゃっきゃっと笑っていると、ふりむいたお母さんが、びっくりしてかけよってきた。
「まーくん、ねがえりうてたのね! すごい、すごい。」

 興奮して、飲みかけのコーヒーをこぼしている。

 ぼくは、もう五か月・・・

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