1. トップページ
  2. 第五十二回 時空モノガタリ文学賞【 勇気 】 

第五十二回 時空モノガタリ文学賞【 勇気 】 

今回のテーマは【勇気】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2014/04/21

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2014/02/24〜2014/03/24
投稿数 46 件
賞金 時空モノガタリ賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

8

河童

14/02/28 コメント:21件 そらの珊瑚

 本当の名前は確か『かめきち』だった。
 でも彼のことを、みな『あほきち』って呼んだ。あほきちは僕よりだいぶ年は上だったけど、何を言われても、えへらえへら笑ってた。石をぶつけられても笑ってた。
 おれ、あほだから、って。
 
 あほきちの死んだばあちゃんが言ったらしい。『おまえのえがおは、日本一じゃ』って。

「一足す一は?」
「にー」
 あほきちが・・・

3

春の儀

14/02/26 コメント:8件 黒糖ロール

 ――今年も、おさな子がぐずついている。
 噂が天と地のあわいを吹く風に流され、春待つ樹木や草花の精たちをざわめかせる。ざわめきは地を縫い伝って、午睡する彼の耳に届けられた。
 暦の上では春間近。生類たちの呼気も吸気もわずかに勢いづく季節である。
「御子のお泣きになる姿が目に浮かぶのう」
 彼は笑みを湛えて立った。屋敷には清々しい空気が満ちている。
 周りをたなびく瑞・・・

7

翻訳強盗

14/02/25 コメント:6件 五助

「金を出せ、などと私が言いたいわけじゃないんですよ。彼が言っているわけで、私がそれを通訳しているだけなんです。もちろん、もちろんそうです。共犯者なんかじゃありません。たまたま、通訳を頼まれただけなんです。レストランにいる奴らの国の言葉がわかるか、なんて言われて、大丈夫ですよ。なにか用事があるんですか、通訳しましょうか。なんて安請け合いしちゃったからこんなことに、ああ、大変だ。早くお金を出せって、早・・・

7

緒方は僕を見つめて、

14/02/24 コメント:11件 クナリ

緒方早苗がクラスの中でされていることを、俺が緒方のおばさんに勝手に話したのは、単に、俺がその状況に耐えられなくなったからだった。
あなたの娘さんは中学校でいじめられていますよ、などとは言わず、緒方の受けていた被害をなるべく冷静に、事実のみを淡々と説明した。
緒方がいじめられている、と言っていいのは、この世界で緒方だけだと思った。

おばさんはその日のうちに学校に問い合わせ、・・・

最終選考作品

8

弱虫にゃんこの家出

14/03/17 コメント:18件 泡沫恋歌

 猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフ、クーは見た目は凛々しい黒猫なのに、実はとっても弱虫な男の子です。
 先日、部屋のお掃除で窓を開けたら雀が飛び込んできました。スタッフの猫たちは色めきだって、雀を追いかけ回して大はしゃぎでしたが……その中で一匹だけ、ソファーの下に隠れていた子がいます。
 クーは見たこともない雀を怖がって震えていたのです。そのことで姉貴分の蘭子に散々笑われて、みんなに・・・

8

赤鬼の子

14/03/15 コメント:15件 そらの珊瑚

 長屋の戸口を開ければ乾いた空っ風がひゅうと入り込む。
――おお、いやだ。こう雨が降らないんじゃ、どこもかしこも乾いちまってるよ。
 お久はチッと舌打ちした。春まだ遠いこの季節が嫌いだった。町火消しだった夫定吉が先の大火で命を落として五年経つ。
 家々が密集したここ江戸では火事は何より怖しいことだった。中には付け火をする不届きものもいる。うっかり火を出し風でもあったらそれは隣、隣・・・

10

闇に眼を凝らせば

14/03/10 コメント:19件 泡沫恋歌

 あの子の声が聴こえる。
 闇の向うからあの子の泣き声がする。
 勇気さえあれば女の子は死なずにすんだのかも知れない。後悔で胸が張裂けそうだった。
 私はベッドの中で眼を凝らして闇と対峙する。

 十五年連れ添った夫と離婚調停中だった。
 私たちは子無し夫婦だが、夫と共同でデザイン事務所を経営していた。街のタウン誌や店舗のパンフレットを作る会社で、夫が営業や外注・・・

3

月明かりと勇気

14/02/26 コメント:4件 

それは終電を逃した夜のこと。
僕は薄暗い街灯の下、夜道を歩いて帰った。しばらく歩いた先に病院があり、
「ん?」
四階建ての三階部分。一番端の窓。窓辺に立つ人影が気になった。
他の部屋はカーテンが引かれていた。
窓辺に立っていたのは髪の長い女性だった。

建物全体を月明かりが照らし、青白く透明なベールを被せたように神秘的で、僕の視線は彼女に奪われていた。

2

私の踏み切り

14/02/26 コメント:4件 はりやまさん

 ――カンカンカン

   踏み切りの悲鳴が聞こえてくる――

 遮断機も下りず光の点滅もなく、踏み切りが音を出していた。それを見て私はただただ立っていることしかできない。今日も踏み切りは快調だ。実に清々しい気分で待っていると、自転車に乗った八百屋のおばさんが隣に停車した。
「あら、どうしたの?」
「踏み切りよ、待ってるの」
「あらあら、踏み切りで待つなん・・・

投稿済みの記事一覧

0

おかわり、どうぞ。

14/03/24 コメント:0件 来良夢

「アップルパイと、コーヒーひとつ」
 スマイルの売り切れた若い店員は何も言わずカウンターの向こうへ消えていった。腕時計を見ると11時50分。次の仕事までまだ時間がある。高校生らしい女の子たちがトレイを持ってすれ違っていった。「無料券もらってもなー。私、コーヒー苦くて飲めないんだよねー」
 ――私にも、そんな時期があった。
 華やいだ女子高生の笑い声がちくちくと私の胸を刺して遠ざか・・・

1

よっつ

14/03/24 コメント:2件 しーぷ

 カキーン――

 白い点はどんどん小さくなっていく。次いで耳障りなほどの歓声。
 最後の最後で本塁打。負けたんだ――


 中学の頃、俺の右腕から放たれる球の速度は同年代のソレをはるかに上回っていた。「怪物」「神の子」。いろんな名前で呼ばれた。
 でも、怪物は俺一人じゃなかった。
 あいつから見れば、俺は蟻より小さいモノだったかもしれない。
・・・

5

臆病者

14/03/24 コメント:9件 朔良

 草国の王、豪頼(ゴウライ)は勇猛にして豪胆。身の丈八尺二寸(190cm)、獣のごとき異相で、羆と渡り合えば左腕を食いちぎられながらも右腕で縊り殺し、一蹴りで山道を塞ぐ岩盤を砕き、眼光で飛ぶ鳥を射落とす。一度戦場に立てば鬼神のごとき隻腕の王の武勇は遠く海を越えた異国まで知れ渡るほどであった。
 対して、異腹の弟、麒奏(キソウ)は臆病者で、文には長けるが武には劣り、馬は能くするものの戦場では血・・・

9

紙切れ一枚に勇気をください

14/03/24 コメント:12件 草愛やし美

 目の前に座る医者は羊水検査をするようにと話している。せっかく授かった命をどうしろというの? ショウガイジって何? 私の子よ、誰が何と言おうと……、そんなメイショウいらない。だけど、もし、障害のある子供だった時、私はその子を、ちゃんと育てていけるのか自信が持てない。自分の母性がこんなちっぽけなものだったのかと悲しくなる。子供を持ったことのない私だけど、妊娠する前から、お母さんになりたいって思ってき・・・

1

不可解の戯言

14/03/24 コメント:2件 日向夏のまち

「ほんとに中々大したもんだね! カツアゲられてる人を見て、人も呼ばず助けにも入らずただただぼんやり眺めてるとか、そんな事出来る人そういないよ。いやぁ、君の勇気には実に感動した! ぜひぜひ僕とお近づきになってくれない?」
これを本気で言っているとして、一体誰がお近づきになりたいと思うだろう。
夕焼けの射す湿った土に、桜舞い散る校舎の裏側。枝垂れ桜の根元に座り込んでいる制服姿の青年は、人懐・・・

6

ある別離

14/03/22 コメント:13件 光石七

 とうとうこの日が来てしまった。翔吾はお出かけと知って朝からご機嫌だ。私がのろのろと食器を下げている間に、自分で帽子を引っ張り出して後ろ前に被っている。
「おそと、おそと」
うれしそうに走り回る翔吾。だんだん帽子がずり落ちていく。
「翔ちゃん、転ぶよ。帽子が反対」
捕まえて帽子を被せ直してやった。
「ママ、おそと」
「うん、ママがお洋服着替えてからね。アンパンジ・・・

0

ハッピー・バレンタイン

14/03/21 コメント:0件 ゆえ

「敦子!おはよ!」と声と共に背中をどつかれて危うく転びそうになった。慌てて抱えていたカバンを抱きしめる。
「・・健司、おはよ。」低血圧の敦子の返答はいつもこれで精一杯だった。「ど〜したんだよ?こんなに晴れていい天気じゃないか?」と上機嫌の健司。
「・・そうだね。さぞかし、健司君には今日は楽しい日でしょうよ。今年は何個チョコもらう気?」
「俺?去年は12個もらったから今年は上回ると・・・

4

14/03/21 コメント:8件 gokui

 目を閉じて何も見えず、そんな詩をどこかで聞いた覚えがあった。しかし、
それは俺には当てはまらないらしい。今、俺の眼前にはまぶしいほどの光があ
ふれている。
 公園を横断する桜並木。俺は母に手を引かれ、桜のトンネルをく
ぐり抜けていた。その先には小学校の門が待ち受けている。木漏れ日は暖か
く、母の手も温かかった。高鳴る鼓動が笑顔の源だった。俺が初めて光の中を
歩・・・

3

死んだ勇気と生き続ける臆病

14/03/17 コメント:6件 タック

――岩の上から、あるはずの存在が消えていた。初めから何もなかったら、そんな考えが浮かんだが、川の一角が、皆の顔が、僕を現実に引き留め続けていた。
 ナナは泣いていた。サチは震えていた。コウジは無表情だった。僕は、僕はどんな顔をしていたのだろう。確かめたくとも自分で自分を窺うことは出来ず、脅える心で判断するしか、術はなかった。
 僕らの乗る大きな岩の下、透き通る鳴美川の浅瀬。その一カ所に・・・

2

物語への途上

14/03/17 コメント:2件 四島トイ

 つまらないと思う、とどうにか口にした。
 原稿をカフェのテーブルに置く。ゆっくり息を吐く。正面の彼女を見ないように目を伏せて。膝の上で拳を握る。
 声が震えないように祈りながら。
「最初の事件までの序盤が長く感じるし。主人公と相棒で視点がブレてるから話にも入り込みにくいっていうか……」
 SFだから多少の説明は許容範囲だと思う、視点も限定しないようにしたんだけど、とどこか・・・

0

天邪鬼の勇気

14/03/16 コメント:0件 るうね

 昔々のことである。
 ある村に、天邪鬼と呼ばれる子鬼が住んでおった。天邪鬼というと現代では、ひねくれ者とかつむじ曲がり、という意味で使われることが多いが、本来の天邪鬼は人の心を読みその人の口真似をするなどの悪戯をしかける妖怪であった。その村に住んでいた天邪鬼もそのような妖怪で、村人の口真似をしてはけたけたと笑う。村人たちは、そんな天邪鬼に苦笑いしながらも、心の底からは憎めないでおった。

9

いったい僕は何人殺したのだろう!?

14/03/14 コメント:11件 草愛やし美

 
『逃げる女の髪の毛をグイと掴み女を引き倒した。恐怖に引き攣った女の顔が欲情をそそる。俺は、第三の殺人は刺殺と決めていた。用意したサバイバルナイフを振りかざし、女の背中に突きたてると、女はグエーとこの世のものと思えぬおぞましい声を発した。
 第一の殺人は、絞殺、第二の殺人は毒殺、第三が、この刺殺だ。やり口が違っていれば、捜査連中は連続殺人と思われないはずだ。ヒヒヒ、俺は腹の底から湧き・・・

1

空ガ一回転

14/03/13 コメント:2件 みや

小学二年生の奈央ちゃんは焦っていた。
同じ逆上がりが出来ないクラスでたった1人の仲間の勇太君が今日、華麗に逆上がりを成功させたからだ。
明日から私だけが逆上がりが出来ないんだ…と焦っていた。

今まで友達やお父さんに協力してもらって一生懸命練習をしていたけれど、奈央ちゃんはいつまで経っても逆上がりが出来なかった。鉄棒を逆手に持って、とかお腹を鉄棒から離しちゃダメ、とか足を思・・・

0

月曜日の夜に

14/03/13 コメント:0件 幸田 玲

 照度が絞られたダウンライトがバーカウンターの碧い大理石を照らしているせいで、天板はつややかになっている。達也が十二席あるカウンターの丸椅子に座ってから一時間が過ぎていた。その間、このバーを訪れた客は達也ひとりであった。月曜日の店は、いつもこんな感じだ。
 午後十時を過ぎたころ、出入口の木製扉が開いた。コツ、コツ、コツという、床の鳴る音が気にかかり、達也は反射的に出入口のほうへ目を向けた。 ・・・

2

Riff.

14/03/12 コメント:8件 

「戸梶、亮介?」
 オーナーが口にしたその名前を、皐羽は知らなかった。
「あ、名前も聞いたことないの? ははっ、そりゃあんな風に一目惚れされても、有り難みがないよね。」
 とオーナーは笑い、例えば……と、超有名なアーティストの名前を次々に挙げた。亮介は、ギタリストとして彼らをサポートするスタジオミュージシャンなのだという。
「特に○○はレコーディングだけじゃなくツアーにも同・・・

0

ポプラ〜夢追う君へ〜

14/03/12 コメント:2件 糸白澪子

「作った。あげる」
俺はこの子からこんなものを渡されるとは思ってなかった。しかも駅に着いた時に渡されるとは。この子、人前が苦手なんだがなぁ。いや、まあ、いつも予想の斜め上を行くのがこの子だから、この子らしいと言えばこの子らしいんだが…。
「大丈夫、花粉は飛ばん。被っても平気な筈だ」
… …。そういう問題じゃないんだけどなぁ。
この子、ユウコは人にプレゼントなんて渡さない子だ・・・

1

勇気を食べる犬

14/03/11 コメント:1件 浅月庵

 実家で飼っている犬のゴンが、老衰で死んだ。
 気弱でイジメられっ子で友だちのいない僕の元にやってきたゴン。僕たちが初めて出会ったのは、僕が小学三年生の時だったかな。僕はゴンと友だちになれるのかドキドキで、同時にワクワクもしていた。
 だけどお父さんが「ゴンのご飯はね、勇気なんだよ」と言った瞬間、体が固まってしまう。 僕の名前は優喜だから......ゆうきがご飯って、僕のこと?と思わず・・・

1

確信犯

14/03/10 コメント:0件 染井 ヨシノ





「どうして彼を殺害したのですか?」

「理由なんてありません。」

「彼は同級生じゃないですか。友達なのに…」

「友達じゃありません。少なくとも、僕はそう思っていません。」

「なぜ?」

「その理由は簡単です。」

「それは?」

「彼が最低な人間だったからです。」

0

勇気・元気・能天気

14/03/08 コメント:0件 ポテトチップス

勇気ってなんだろう・・・

 心を奮い立たせないと湧かないもの?



      元気ってなんだろう・・・
    
       心が楽しくないと生まれないもの?



        
            能天気ってなんだろう・・・ 
 
             心が広くないと感じられないもの?<・・・

3

言う気は勇気

14/03/07 コメント:7件 浅月庵

 この高校で一番美人だと評判の亜美谷麗子さんと僕は同じクラスだ。
 彼女は僕みたいな奴からしたら完全に高嶺の花なんだけど、それでも僕は自分の気持ちに正直でありたい。
 こんな僕が亜美谷さんに想いを伝えて、結果がどうであれ満足感に浸ろうとするなんておこがましいにも程があると周りに言われそうだけど、この感情は止められそうにない。
 勉強もスポーツも全くダメで、お笑い番組を見ることが・・・

2

持たざる勇気

14/03/07 コメント:1件 まつおそら


貴方に勇気はありますか?

そう問われ私は深く考えずに「それなりに」と有体に答えた。

では、勇気とは何だと思いますか?

その問いに暫し思考をめぐらしたのち私は確信をもって答えた。

目の前のひどく痩せた男は私の回答を聞くなり細長い骨張った腕を高々と振り上げ次の瞬間、勢いよく私の胸の辺りめがけて渾身の力で腕を振りおろした。
突然の不意・・・

2

生きるためか死ぬためか

14/03/06 コメント:2件 藍田佳季


“自殺を実行できるぐらいなら、その度胸は生きる為に使うべきだ”
 と、どこかで聞いたことがある。

 それに逆らって虚しさだけを得た。

 自分で拒否したにも関わらず、目の前の濁流にさえ見捨てられたような気分だった。
 ここから去る気も起きない。
 アパートの家賃はずっと滞納したままで、帰ったところで近場に住む大家に嫌な顔をされるだけだ。
<・・・

0

新人 城島卓也

14/03/05 コメント:0件 綾瀬和也

『最近の若い者は…』
国枝久志は心の中で呟く。今年も新たな社員が新社会人として入社してくる季節になった。国枝はその新人を指導する立場だ。毎年行っている新人研修だが、年々憂鬱になってきている。理由は何でもかんでも言わなくては解らないということだった。

 去年の入社組はまあひどかった。
「何でこうなった?」
国枝が聞くと、
「自分はこういう時はこういう風にやれとし・・・

1

ボクも今日から擬音クン

14/03/05 コメント:4件 坂井K

 ダッダッダッダ。ズン。ジャジャーン。僕の後ろで声がする。ボクが後ろを振り向くと、やっぱり彼が立っていた。彼のあだ名は擬音クン。口から擬音を発しなければ、行動できない変な奴。もちろん本名あるけれど、誰もその名で呼びはしない。今のクラスは別だけど、彼とボクとは幼馴染で小1からの親友だ。

「オハヨウさん」と彼が言う。「オハヨウさん……」ボクも遅れて言い返す。「どうしたん? あんまり元気な・・・

6

五〇〇万年前の一つの勇気

14/03/05 コメント:14件 鮎風 遊

 時は今から五〇〇万年前、アフリカの大地は熱帯雨林から乾燥したサバンナへと変化しつつあった。これによりジャングルは徐々に消滅し、まるで大海に浮かんだ島々のごとく、草原に小さな森が点在する状態となっていた。
 当然、年ごとに森で採れる果実も少なくなって行った。そして森の住人の類人猿たち、不幸の宿命を背負っているのか、食料が減少してもそこから抜け出せなかった。
 されども類人猿たちは母音の・・・

4

塀の向こう

14/03/04 コメント:8件 yoshiki

 黄金町というのは中三の女子、ミナミの生まれ育った町なのだが、彼女は生まれてからこの町を一歩も出たことがない。なぜなら町の周囲を丈高い城壁の様な塀がぐるりと取り囲んでいて、出たくても出られないのだ。
 むろん誰だって、なんで町の周りに壁があって外に出られないのか疑問に思わないわけがないのだが、それを誰もが口に出さない。それは一種のタブーみたいにされてきた。町の人達は昔からそのことを口に出して・・・

1

勇気を出した答え

14/03/02 コメント:1件 FB

 不気味な灰色の雨雲から降りそそぐその湿った雪は、あの夏の日から既に半年が経過したことを伝えていた。
大空に散る何輪もの花火とともに彼らの青春が始まったあの夏の日。
 
半年前、まだ多くの積乱雲が低空を舞い、灼熱の太陽が地面を焼き、蝉の声が地上を満たしていた頃の話である。

 大学受験を来春に控えた瀬戸が放課後の教室での自習を終え、帰宅しようとして下駄箱を出たとき、後・・・

1

春を待つ

14/03/02 コメント:3件 メラ

 北海道は四月になっても、まだまだ日陰には雪が残っていた。そして道路は車が通るたびに、溶けてぐしゃぐしゃになった汚い雪が飛び跳ねる。うっかり車の横を歩いていると、泥まみれの雪をひっかむる事になる。
 長靴を履いて、そのぐしゃぐしゃの道を歩いていた。むしろ楽しかったかもしれない。子供にとっては雨の日も雪の日も、全部同じ一日だった。晴れても一日、雨も一日、雪解けも一日。
 灯油の臭い。スト・・・

1

28

14/03/01 コメント:2件 リードマン

もう、彼女に頼るしかない。

世間の目だろうと家族の目だろうと知った事ではない。自分には彼女が必要なのだ。解っていた事なのだ。私の初恋の君。いとこの彼女に想いを伝えて、もしも結ばれるような事があればそれこそが最善なのだと。

勇気が欲しい。

一昔前、まだ私の父方の祖父が健在であった頃には、親戚のやりとり事態が活発であり、自然と彼女と触れ合える機会も多かったのだ・・・

2

夢子の居場所

14/02/28 コメント:8件 笹峰霧子

「このあいだのことなんだけどね」
沙織は思い出したように唐突に言い、更に続けた。
「あのとき明ちゃんが言ったじゃない?独りっ子は人間じゃないって。私、そういうこと平気で言う者のほうがおかしいと思うのよ」

「そうねぇ。彼女は自分の旦那さんのことを言ったつもりだって後から慌ててフォローしてたみたいだけど」
 夢子は沙織の言葉に同意して頷きながら、あのとき明ちゃんが言った・・・

1

天井を支える四人

14/02/27 コメント:1件 五助

「大丈夫か!」
「はい」
「真っ暗じゃないか」
「なんの音だ」
「落ちてくるぞ!」
「うわ、うわああ! 支えろ! 落ちてくるぞ!」

「大丈夫か!」
「僕は大丈夫です、天井ですよね。これ」
「そのようだ。何が起きた」
「わからん。揺れて、電気が消えた」
「地震かなにかか」
「あるいはテロか、手抜き工事って線もあるな」
「・・・

1

雨の中のオトシモノ 【勇気】

14/02/26 コメント:2件 むあ


 ぽつり

 ぽつ、ぽつぽつ


 雨が、青年の服を重く冷たく濡らしていく。
 空を見上げれば、灰色の雲の中から、落ちてくる思いのほか大きな雫が目の中に入り視界がぼんやり霞んでいく。ぐにゃりと曲がる視界の中に、何か光るモノが落ちてきたことに気がつき、左腕で目元を拭って見返した。

 それは、小さな、とても小さな、人間の形をした、イキモノだった・・・

4

人見知り

14/02/26 コメント:6件 こぐまじゅんこ

 かこちゃんは、二年生。
 人見知りがはげしくて、はじめて会う人とお話をするとき、とっても勇気がいります。
 
 たとえば、スーパーにお母さんと買い物に行ったとき、お母さんが近所のおばさんに会って世間話を始めると、かこちゃんは決まってお母さんの後ろに回って、ぴったり背中にはりついています。
 おばちゃんが、
「かこちゃん、お母さんと一緒に買い物いいねぇ。」
なん・・・

1

採点ミスが連れてきたもの。

14/02/25 コメント:1件 ナツ

  爽太は放課後、クラブ中に怪我をしてしまい保健室へと向かっていた。バスケットボール部の彼は試合中ぼうっとしてしまい他の選手と接触して点灯してしまったのだ。
「爽太…なんかあったんか?」
彼が体育館に戻ると親友の健斗が近寄ってきた。
「心配かけてごめん、何もないから。」





休憩のホイッスルがなり、爽太はスポーツバックから水筒を・・・

0

別れる

14/02/24 コメント:0件 ルミサム・オー

京都駅で、ルミと一時の別れをした。

列車は神戸を過ぎ、明石を過ぎて姫路に差し掛かり、
18時になろうとしていた。
ルミが作ってくれた弁当を食べることにした。
「うち、下手やけど一生懸命に握ったん、途中で食べてね」
そう言って泣き出そうとして懸命に堪えているルミが脳裏に浮かんだ。
淡い花柄のハンカチの包みを解くと、
オニギリが二個ポロッと出てきた。<・・・

1

叫び声

14/02/24 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 不時着の衝撃で、宇宙船の電気回路がズタズタに破損するという最悪の事態に陥った。
 動力はもとより、通信装置から船外を映し出すカメラにいたるまで、なにもかも再起不能で、いったい自分たちがどんな環境の惑星上にいるのかさえ、搭乗員たちにはなにもわからなかった。
 落下している間、宇宙船の周囲には自動的に、どんな探知機にも反応しない金属粉がまき散らされていた。ここの惑星の種族が他の天体か・・・

4

湧く泉

14/02/24 コメント:8件 かめかめ

 まあるい夕陽が沈む。
 うすくひろがる雲のすきまから、光の帯が垂れていて天使が舞いおりてきそうだ、と由佳は思う。白百合を手にしたガブリエル。キリストの母、マリアに神の子を宿したことを知らせた精霊。知らぬ間に孕んだ妻を、夫のヨセフはどう思ったのだろう。我が子を抱けないと知ったヨセフは?
 窓の外でかわいた洗濯ものがゆれている。よく晴れた一日だった。とはいえ、早春のこと。陽がかたむくまで・・・

ログイン