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ナマケモノさん

 地球最後の秘境に住むケモノです。  一次創作で謎な世界観のファンタジーやSFらしきものを書いたり、いるかネットブックスさんからBL電子書籍をだしたりしています。  一次創作ブログ ケモノの物書き堂   http://urx2.nu/GBqS    18禁 ブログ  ケモノ堂   http://ur0.link/GuAC  twitter http://ur0.link/GuAI

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巡る、車輪

17/02/24 コンテスト(テーマ):第128回 時空モノガタリ文学賞 【 自転車 】 コメント:0件 ナマケモノ 閲覧数:339

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 カラカラと自転車の車輪が回っている。
 自転車を横倒しにした状態で、少女が手でペダルを回しているのだ。大きな眼をぱちくりとしばたたかせながら、少女は回る車輪を見つめる。
 春の陽光を受けて、車輪は銀色の閃光を放っていた。
 その閃光の中に少女は人影を見た。
 自分にそっくりな、小さな女の子だ。その子が補助輪のついた自転車に乗って、土手を走っている。自転車の後方には、1人の男性が付き添っていた。
 たぶん、女の子の父親だ。
 どことなくその人の顔がおじいちゃんに似ていることに気がつき、少女は大きく眼を見開く。
「おじいちゃんと小さいママだっ!」
 少女が声を発した瞬間、車輪の中の光景が変わった。
 少しばかり成長した女の子が、補助輪をつけていない自転車に乗っている。その後方には、青い自転車に乗った男性が付き添っていた。
 2人は、桜の咲いた土手を自転車で走っている。
 女の子の乗る自転車は、少女がペダルを回している赤い自転車と同じものだ。
「ママと同じだー!!」
 少女は思わず声をあげていた。
「あら、ゆみちゃんは本当に自転車が好きねっ!」
 そんな少女に声をかける女性がいる。少女はぴんっと立ちあがり、女性へと向かい合った。
「好き! ママとお揃いの自転車好き!」
「あら、それがママの自転車だってよくわかったわね。教えてないのに……。そうよ、その自転車はね、小さな頃におじいちゃんにママが買ってもらったものなのよ」
「おじいちゃんも一緒だった! ここに小さいママがいるのー!!」
 少女は車輪を指さす。
 カラカラと音をたてて回る車輪は、陽光を受けて虹色に輝いている。
 そこには何も映っていない。それでも女性は驚いた様子で眼を見開き、少女に微笑みかけてみせた。
「あら、ゆみちゃんにも見えたの?」
「ママも見えた?」
「えぇ、あれはママが小学校の頃だった。この車輪にね、小さい女の子が映っていたの。その子は――」
 


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