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白沢二背さん

白沢二背と申します。現在、月に一度もペースで執筆中。

性別 男性
将来の夢 恐竜になる事
座右の銘 石の上にも三年

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TO LOVE RUIN

17/02/14 コンテスト(テーマ):第129回 時空モノガタリ文学賞 【 都市伝説 】 コメント:0件 白沢二背 閲覧数:425

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「愛を破壊する【TO LOVE RUIN】と書いて革命と読むのよ」。
 僕は篠崎妙子の美しさに微動だに出来無くなった。
 彼女の学年は僕よりも一つ上で、斯うして放課後は決まった様に授業を、課す。
 彼女の悲願が叶うのは、僕に取っても念願であった。
 ぞっとする様な黒髪を伸ばし、手先で器用にくるくるしながら、彼女は彼女の面目を躍如。「此れは魔法よ」「まるで魔法の様じゃなくって?」「たー坊」。僕の名だ。焦らなくても此処に居る。二度程水面下で机を小突き、僕は僕の沈黙と出会う。
 今日は憂鬱な事が二つも有った。「嫌だなあ」「帰りたいなあ」。僕は、僕が僕足る所以を学び、次いで篠崎妙子の黒髪を睨【ね】めた。彼女曰くに、REVORUTIONの文字は、組み替えると愛を破壊する、と、いう意味に成るらしい。
 分かった様な分からなかった様な返事を済ませ、僕は、僕が僕足る所の、帰宅準備を開始する事に成った。「亦明日ね」と彼女は笑い、画して僕達は明日も授業をする事と成った。

 翌日、僕は、11:11分に俟ち合わせた通り、校門の前に集合する事と成った。彼女曰く、一年に一度、『一が十個揃う間、二人の願いは叶う』という。
此の場合は自己愛も含まれるのであろうか? 
僕は、短冊に書いた願い事を楯に篠崎妙子に願いを掛けた。
彼女の言う通りにTO LOVE RUINがREVORUTIONならば、僕の願いは叶う筈であった。
僕は、昨日の裡に短冊を折り、其処に『篠崎妙子の彼氏に成りたい』と書いた。巧くイケば、此の儘11:11分11秒に成る。僕は僕が僕足る所以の、歳下の我儘を存分に発揮する事に成った。遊園地では、『初デートを此処ですると別れる』というジンクスが在った。観覧車では持ち込み可だったジュースを、敢えて彼女のスカートに垂らした。自販機前では此れ亦、僕は僕の分だけを買った。二人は二人共が身勝手に振る舞うと、二人共が二人共で、愛を壊した。多分だけども。
夕方四時を回ると、流石に両者は精魂も果て、付きっ切りだった短冊を飾る。「奇遇ね」「私もよ」「たー坊」。と、彼女は言って、僕達は互いにキスをする。
彼女の短冊には僕と同じ目標が掲げられ、其れで僕等は恋人同士と成った。
 敢えて十一月の十一日に、俟ち合わせをした甲斐があった。
 糞寒い冬の陽射しに、僕等は僕等で在る事を已めた。
 互いが互いに遠慮ばかりしていた。
 だから僕達は僕達である事を壊したのだ。
 僕等の関係に遠慮は無かった。
 人目も憚らずにキスを交わし、其の足で次いでカップルに成った。
 だけれども冬の陽光はかんばしくなく、僕等は僕等の過ちを悟った。
もし仮にジンクスが発動したら如何しよう。
僕は、折角出来た彼女に振られるのだろうか、
いや俟て。早計に過ぎないか。篠崎妙子は其んな女の子じゃない。筈だ。多分だけども。

 十一月十一日。十一時十一分十一秒。愛を誓った僕等は分かれた。
 言い出しっぺは彼女の方で、其れは僕等の記念日だった。
 丁度一年が経った、或る日、彼女は彼女である事を已めた。
 唐突過ぎて、僕は『授業』の内容を忘れた。
 丁度一年前の此の日、僕は彼女に恋を告げた。
 彼女も僕への思いを打ち明けた。
 二人は二人共が両思いで、其れで僕等は恋人同士に成った。
 ずっと続くと思っていた時間。ずっと壊れないと思っていた時。
 僕と彼女、愛を破壊したのはどっちなんだろう。
 僕は、今と成っては知る由も無いと告げ、次いで彼女も其れに倣った。
 未だ秋風の強い、厭きの来ていた教室の隅で。
 僕は、僕等は、確かに愛を壊したのだった。

 継いで新らしい彼女の話をしよう。彼女の名前は篠崎妙子。粉う事無き元カノである。
 十一時十一分――「……十一秒に……成った、わね」。腕時計を眺め彼女が歌う。
 後、彼女には悪い癖が有る。
 其れは、『年に一回、別れ話をする事』という物で、御蔭で僕は気が気じゃない。
「『革命』ってのはね」「常に愛を破壊するのよ」「分かる?」。
 もう何度目に成るだろう。
 僕は、僕が僕足る所以を噛み締めながら、此の冬一度目と成る別れ話を聞いた。
 彼女の良い所は、他人の話を良く聞く所、と、後、美人で其れを鼻に掛けない所。と、後々、ちょっぴり我儘な所。「僕の良い所は?」、と訊くと、彼女は「物怖じしない所と潔癖な所、後、無邪気な所もね」と返す。

僕等には、たった一つの決まり事が有る。其れは、毎年十一月十一日、十一時十一分十一秒に別れ話をする事。後、直ぐに仲直りをして『告白をし合う事』。――何時か、僕にも分かるだろうか? 篠崎妙子の、永遠に追い着けない、一歳分の年月が。


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