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笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
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304号室の噂

17/01/14 コンテスト(テーマ):第126回 時空モノガタリ文学賞 【 304号室 】 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:449

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「ねぇ知ってる?あのマンションの304号室ってね....」
噂は常に拡がっていく。もうかれこれこのマンションの304号室に住んでから丸8年が過ぎようとしているのにも関わらず、私はこのマンションの誰とも顔を合わせたことがない。
表札も出していないし、基本インターホンも出ようとしない。宅急便などの配達物も家では受け取らないようにしている。
「304号室ってね。誰も住んでないのに微かに物音がするんだって!」
なんて噂が出回っていることをたまたま知る機会があった。そのきっかけは毎日のように通い詰めてるコンビニの店員さんからの情報だった。
「いやね、なんでも304号室は昔から売り出されなかったの。でも人が住んでる気配も無いし、怪しいなって。そしたら夜中に304号室から微かに物音がしたんだって!これは本当の話よ?204号室の池田さんが血相変えて私に言ってきたんだもん」
コンビニの店員さんはとても自信満々に話をしてくれたが、その部屋はちゃんと人が住んでいると伝えたかった。しかしそんなことを教える関係ではないと我に返り
「そうなんですね」
と呟く。するとコンビニの店員さんが
「304号室の話、これで終わりじゃないのよ。以前住んでた人がね...そこで亡くなられたんだって。それも病死とかじゃないんだってよ。怖いねーもしかしてその物音も霊の仕業なんじゃないって」
304号室の噂は私の考えていた話よりも随分大袈裟な話になっていた。ここまで来ると笑いが止まらなくなるほど面白い。
「あら。笑い事じゃないわよ?実際にその事件ニュースでやってたらしいわよ?この辺も今じゃそうでもないけど、昔はかなり物騒だったらしいからね。私もまだこっち来て5年ほどだから知らないんだけど」
私がマンションに引っ越して来た時は確かに物騒なことが多かった。少女監禁事件が近所で起きたり、強盗も頻繁に起きたり、ボヤ騒ぎが相次いだり。
「304号室には近づかない方がいいわよ」
コンビニの店員さんと話し込んでいるとお客さんがレジに並んできたので、私はしぶしぶコンビニを後にした。
色んな噂を呼ぶ304号室。住んでる本人ももしかして霊がいるのか?なんてことを考えてしまうほどの噂だった。ただ一つ気になったことがある。304号室で起きた事件の話だ。私が越してきた時、建てられたばかりのマンションだったから、私以外304号室に住んでる者はいない。しかしコンビニの店員さんは304号室のことをニュースにもなったと言っていた。私はそんな信じられない事件のことを、恐怖心からか好奇心からか分からない衝動からネットで調べてみる。
ネットで検索しても引っかかるわけないと思っていたのに、このマンションのニュースがすぐに見つかってしまう。その記事を見て私は驚愕する。
【マンションの一室で殺害された....】
そこには私の名前が被害者とした確かに書かれていた。ということは...私は304号室で殺された?でも私はこうしてピンピンと生きているし、どういうことなのかわからず動揺だけが先走る。
コンビニの店員さんも記事を書いた人もみんな私を騙すために仕組んだドッキリなのか?そんなことまで考える。この真相を掴むべく私は旧友の元へ向かい、私が生きていることを証明してもらおうと試みる。
「たかし?久しぶりに会いに来たぞー」
私は旧友の家を訪ねたが、旧友は不思議そうな顔をして私に尋ねた。
「どちら様ですか?」
私は小学生の頃の同級生だと必死に伝えると、旧友は軽蔑する顔つきで私に
「あいつはもうとっくに死んでるんだよ。悪ふざけもいい加減にしないと警察呼びますよ?」
と言われドアを締め出される。
私は旧友の言っていたとっくに死んだという言葉が耳から離れない。私はこうして今生きているのに、どうして死んだことにされてるんだ?あのマンションの304号室に住んでいるのに。一体私は誰なんだ?そんな疑問にぶつかった時、私に声を掛けてくる人が現れた。
「あの相模さんですよね?」
声を掛けて来た人は警察官だった。そして聞き馴染みのない名前を呼ばれ、不思議に思っていると
「身分を証明できる物をお持ちですか?」
と質問される。私はズボンの後ろポケットにしまってある財布から免許証を取り出す。その免許証には私の名前ではなく、相模と書かれていた。誰なんだ?相模って一体誰なんだ?
「良かった。しかし記憶が曖昧のようですね。ちょっと署までご同行よろしいでしょうか?」
私は何も分からずパトカーで署まで連れていかれた。そのパトカー内で警察官は私に質問してくる。
「相模さんはイタコのお仕事をなさってますよね?どんな感覚なんですか?」
この時私は大体のことを把握することができた。私は相模というイタコに乗り移っていた霊だったということを。


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