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欽ちゃんさん

僕の作品を読んで何か感じるものがあるといいです。 気が向いたら良し悪し問わず、コメントいただけると嬉しいです。

性別 男性
将来の夢 顔が笑いじわだらけのじいちゃんになる
座右の銘 明日会えるけど今日も会いたい

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水中キス選手権

17/01/02 コンテスト(テーマ):第124回 時空モノガタリ文学賞 【 五分間 】 コメント:3件 欽ちゃん 閲覧数:604

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「日本で初の開催となる水中キス選手権!優勝賞金はキスした秒数×1000円を差し上げます!」

司会者の絶叫が僕の胸まであるプールの水を揺らした
僕の正面には彼女が首元までプールに浸かっている
ショートカットに子犬のような顔立ちで圧倒的にかわいい
2年も付き合っているが手を繋ぐのが精一杯でまだキスをしていない
キスをしようとする度に彼女は恥ずかしがって俯き、拗ねた子犬のような上目遣いをして唇のガードを固めてしまう
そんな彼女と必然的にキスができる方法を探してこの水中キス選手権を見つけた
彼女には「優勝賞金でアマゾン川で川下りしようよ!」と、共通の趣味であるカヌーを利用して決してキス目的ではないんだ感満載でプレゼンし、今回の参加にこぎつけたのだ
目標金額は2人で30万円。30万円=1000円×300秒。そう、2人で目指すのは5分間の水中キスだ。キスはあくまで賞金をもらう過程だ。うん、そういうこと
5分も息を止めるのは厳しいが愛の力で乗り切る!!

「それではみなさんの愛を証明してください!水中キス選手権!スタート!!」
ザブンッと水中に潜ると司会者の声や周囲の雑音が消えた
目の前には同じように僕を見つめる彼女の顔があった
彼女の髪が幻想的に揺れる。世界が2人っきりになったような錯覚に陥った
そして、ゆっくりと唇を重ねた

(やらけぇ...)
彼女の唇は無印のビーズクッションよりも柔らかかった
彼女と念願のキス。感動で全身の細胞が泡立つ
目を閉じて唇の感触を脳に刻み込んだ
何秒経っただろうか
ん??唇に違和感を感じた
お互いの唇の間に何やら侵入してくる
これは...彼女の舌だ!
僕の唇をペロペロと舐めてくる
獲物を見つけたヘビのごとく上下にせわしなく動く
確信!僕に舌をねじ込もうとしている!
なんと大胆!
彼女の期待に応えたいが水中で口を開けることは、満員電車でオナラをするくらい自殺行為だ
驚いて目を見開くと彼女と目が合った
なんだろう?彼女が目をパチクリさせている
なんだ?...あ!?このリズムは...モールス信号!?
学生時代に培ったアマチュア無線の経験と結びついた
(ク・チ・ア・ケ・テ)
なぬーーー!!
あんなにも照れ屋な彼女が渾身の勇気を出している!
優勝賞金よりここで彼女の期待に応えなきゃ男じゃない!!
思い切って口を開けると「ボコン」と肺の空気が全部出た
空気が彼女の顔を包むと、彼女は僕の男気に一瞬驚いた後、うっとりとした表情を浮かべた

〜〜〜〜〜〜〜

カヌーでアマゾン川を疾走♪
すでに優勝賞金をもらった気分だ
通学中の電車で、1人で駅区間ごとに息を止めるゲームをしているから肺活量には自信があった
目の前に立つ彼氏はとにかく私に優しい。付き合って2年になるのにまだキスもしていない。私を大切にしてくれている証拠だ
そんな彼氏の唯一の欠点は口臭。キスを迫られてると「うっ」っとなってしまう
でも水中なら息をしなくていいし賞金もらえるし一石二鳥♪
「それではみなさんの愛を証明してください!水中キス選手権!スタート!!」
(え?)
慌てて潜った時には遅かった
空気を..吸い忘れた...

混乱を抑えて水中で彼氏を唇を重ねた
(...かゆい)
彼氏の唇は荒れていた。重なる唇。そして度重なるピンチ
賞金でまずはリップクリームを買おう
か、かゆい。しかし、唇が離れると失格になってしまう
(そうだ、舌を使えばいいんだ!)
空気が抜け出ないように素早く的確に舌をかゆいポイントに到達させた
大丈夫。彼氏の唇は離れていない
無駄な動きもあって、すでに息が苦しい
その時、突然彼氏がギランッと目を見開いた
目が「ガンバレ!」と応援してくる
しかし、今度は目がかゆくなってきた。このプール、塩素が濃すぎだよ
彼氏の顔が近すぎて手が使えない
何とかしようと全力の高速瞬きでかゆみを抑える
苦しさとかゆさのミルフィーユ状態
私のピンチを察してなのか、突然彼氏が口を開けた。大量の空気が私の顔を包む
やっぱりこの人は優しい
念願の空気を逃がさないように急いで空気を吸った
と、同時に全身が空気の侵入を拒絶した
(クサイ!!)
ゆっくりと意識が遠のいていった...

気付くとプールサイドで仰向けで横たわっていた
うっすらと目を開けると目の前に彼氏の顔がある。その先に見える表彰台に人が立っていた
(そっか、優勝できなかったんだ)
はっきりとしない意識の中で彼氏の声が耳に優しく触る
「起きて!起きてよ!!」
(大丈夫だよ。アマゾン川はまた今度に行こうね...)
「死んじゃいやだ!」
彼氏が大きく息を吸い込んだ
(あ、それはやめて...)
彼氏の息が私の肺を満たすと意識が飛んだ
遠のく意識の中で、三途の川をカヌーで疾走する夢を見た


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このストーリーに関するコメント

17/01/03 霜月秋介

欽ちゃん様、拝読しました。

なるほど口臭でしたか(笑)口臭って自分では気付きにくいんですよね。リップクリームもそうですが、臭い消しのガムなんかも賞金で購入した方が良さそうですね。
彼氏の思い込みと彼女の苦痛のすれ違いが面白かったです。

17/01/04 欽ちゃん

霜月秋介様
コメントありがとうございます!
2年間キスできなくても、口臭がキツくてもお互いが大好きな2人。
この2人なら今回のことも笑い話にするんだろうなぁって思いながら書きました。
来年こそは優勝してリップクリームとガムとブレスケア買って欲しいです!!

17/01/04 欽ちゃん

霜月秋介様
コメントありがとうございます!
2年間キスできなくても、口臭がキツくてもお互いが大好きな2人。
この2人なら今回のことも笑い話にするんだろうなぁって思いながら書きました。
来年こそは優勝してリップクリームとガムとブレスケア買って欲しいです!!

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