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霜月秋介さん

しもつきしゅうすけです。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

性別 男性
将来の夢
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無駄なあがき

16/12/20 コンテスト(テーマ):第124回 時空モノガタリ文学賞 【 五分間 】 コメント:6件 霜月秋介 閲覧数:601

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 まあ、そう騒ぎ立てるなよ。まだ時間に余裕はある。えいくそ、もう五分遅くセットしておくべきだった。わがスマートフォンの騒がしいアラームよ、もう少し、私をこの温かい空間に留まらせてくれ。
 布団から顔を出すと、ひやりとした空気が顔の皮膚に襲い掛かる。私は再び布団に潜り込んだ。暗闇ではあるが、とても温かい空間。そこから抜け出す準備が、今の私にはまだ出来ていない。この温かい空間で、もう一眠りしたい。しかし五分後に起きなくてはならないと思うと、眠ることができない。意味も無くただ、留まるだけだ。五分という貴重な時間を、ただ何もしないで無駄に消費する、愚行の極み。そんなことはわかっている。トイレにも行かなくてはならない。このままでは膀胱炎になる。しかし抜け出すのは嫌だ。せっかく私の体温で作り出した快適な空間が、熱を失い冷めていくと思うと、やりきれない気持ちになる。
 あれから何分たっただろう。三分くらい経っただろうか。しかしスマートフォンを確認したくはない。スヌーズ機能により、あと二分ほどで再び騒がしいアラームが鳴る。ああ、なんで今日も仕事なんだ!休みにならないかな。逃走中の殺人犯が会社に侵入して立てこもったりしたら、今日会社休まるかもしれないな。しかし無理だろうな。たしかに物騒な世の中ではあるが、そんな都合よく篭城事件が起こるわけがない。ああ神よ、時間を止めてくれ。私をもう少し、ここに留まらせておくれ。
 五分間とは、こんなに長いものだっただろうか。それとも奇跡が起き、本当に神が時間を止めてくれたのだろうか。いまだアラームは鳴らない。おお、こんな愚かな願いを聞き入れてくださるなんて、アーメン。




「ずいぶん早い出勤だねえ未知野くん、もうじき昼休みの時間だよ?」

「すみません部長、スマートフォンの電池が切れてまして…」


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このストーリーに関するコメント

16/12/29 葵 ひとみ

霜月秋介さま、

拝読させて頂きました。スパーンと決まったラストですね(^▽^*)

そうそう、あの二度寝の至福の気持ちよさって言ったら確かに「5分間」ですよね!!
毎回、テーマにキッチリとそった作品で感服致します。
私ももっとテーマにそった作品を執筆しようと顧みました。

素晴らしい作品を心から有難うございます。

16/12/29 霜月秋介

朔雲みう様、コメントありがとうございます。

そうそう。どういうわけかアラームが鳴る5分前に目が覚めてしまうことがよくあるんですよね。二度寝しようにも短すぎる時間。今の寒い時期は特に布団から
(笑)

葵 ひとみ様、コメントありがとうございます。

今回は、いや今回も?シンプルな話にしてみました(笑)
布団から抜け出せないネタは初期の頃にも書きましたが、5分間と聞いてどうしてもまた書きたくなり、書いてしまいました(笑)
今後もお互い、いい掌編を生み出していきましょう!

16/12/29 あずみの白馬

拝読させていただきました。
シンプルイズベスト。最後のオチが効いています。
無駄がない、かつ面白い作品だったと思います。

16/12/29 霜月秋介

あずみの白馬さま、コメントありがとうございます。

お褒めに授かりまして光栄の至りです。
二度寝には御用心です(笑)

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