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ポテトチップスさん

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青あざの店長

12/10/28 コンテスト(テーマ):【 書店 】 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:1222

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「亀田君、明日から夜勤で働いてもらえないかな?」
「夜勤ですか?」
持田店長が頭をかきながら俺に言った。
「夜勤の田中君が今日で辞めちゃうんだよ」
「何かあったんですか?」
「うん……」と言ったきり店長はその後を話そうとしない。
今月に入って夜勤のバイトが2人すでに辞めていた。田中というバイトは、先週から夜勤のバイトで雇われた新人だった。
俺が勤務する24時間営業の『持田書店』は、住宅街に立地する小さな書店だが、客の出入りが多い書店でもあった。
日中は持田店長と俺を含めた3人で店を営業しているが、夜勤は1人で勤務する体制をとっていた。
俺は夜勤についたことは一度もなかったが、夜勤のバイトの離職率から察するに、何かあるなということは想像できた。
「頼むよ亀田君。夜勤の時給は1000円にするからさ」
時給が1000円は有難い話に思えたが、迷っていると持田店長が再度
「頼むよー」と言った。
俺は渋々「分かりました」と返事をした。

翌日の午後9時に起床した。
日中に睡眠をとる生活リズムが慣れていないため、ウトウト程度にしか寝付けなかった。
身支度を済ませた後、自転車で店に向かった。
店に着きエプロンを掛けてレジに入ると、持田店長に簡単な夜勤の注意事項の説明があった。
「深夜3時になると変なお客さんが来店するけど、注意しなくていいからね」
「変なお客さんってどんなお客さんですか?」
「まあ、変なお客さんなんだよ。注意すると1時間近くネチネチと怒鳴り続けるお客さんなんだよ。だから注意しなくていいからね」
夜勤の注意事項を俺に説明した後、持田店長は店を出て行った。
夜勤はレジだけやってくれればいいからという店長の言葉どおり、俺はカウンターの内側で椅子に座って店番をした。
深夜12時を過ぎると客の出入りはなくなった。
以前、持田店長に24時間営業にする理由を聞いたことがあったが、その時の話によると、この辺りは治安が悪くてよく近隣の店の窓ガラスが割られる被害が多かったらしく、警備も兼ねて24時間営業にしたらしいのだ。
日中、上手く寝付けなかった俺は、椅子に座っていると睡魔が襲ってきた。

ハッとして意識が戻った。
店の時計を見ると深夜2時50分だった。
どうやら3時間近く、椅子に座って眠っていたらしい。
店内を見回したが客はいなかった。俺は首や腕を回してストレッチをした。
もう一度、店の時計を見ると深夜3時になるところだった。
コーヒーが飲みたくなり店の外の自販機に缶コーヒーを買いに行こうと思い、椅子から立ち上がると、ちょっど客が入って来た。
その客は黒の帽子を深々と被り、なぜか手にお茶碗に盛った白米と箸を持っていた。
その客は料理本が売られているコーナーに向かい、料理本を開いてそれを見ながらお茶碗に盛ってある白米を食べ始めた。
「お客さん! 何してるんですか?」
「なんだお前!」
「いや、なんだお前じゃないでしょ。何してるんですか?」
「飯を食ってるんだよ! 見れば分かるだろ!」
「ここは本屋ですよ。ご飯を食べるお店ではないですよ!」
「お前、誰に向かって言ってるんだ! 俺が誰だか分からないのか!」
「分からないです」
「俺はここの店長の親父だ! 息子の店で飯を食おうが俺の勝手だろ!」
「は?」
そこから1時間近く俺は怒鳴られた。

午前7時に持田店長が店にやって来た。
俺は深夜の出来事を持田店長に伝えると
「私の親父なんだよ。親父と言っても私が10代の時に母親と離婚しているのだけど、半年前に突然私の前に現れて、金を貸せってせがんでくるようになったんだ。断ってからというもの毎日深夜にご飯を持って店に現れて、それを注意するバイトを長々と怒鳴りつけるんだ。それで夜勤のバイトが半年前から次々と辞めてしまってるんだよ」
「店長、俺も夜勤は無理です」
「そうか……。なら仕方ない」
この日は、持田店長が夜勤もやることになった。

翌日、午前7時に店に入ると、顔のいたる所に青あざの出来た店長が店番をしていた。

    終わり (作り話です)


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