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比些志さん

ペーソスとおかしみの中にハッとさせられるなにごとかをさり気なく書いていきたいと思います。

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サムシング・グレート

16/10/29 コンテスト(テーマ):第121回 時空モノガタリ文学賞 【 捨てゼリフ 】 コメント:0件 比些志 閲覧数:635

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地球侵略をねらうマリモ型宇宙人にとらえられたヒネタ博士は、自宅の地下室の中でイスにしばられたまま、何時間も尋問を受け続けた。
「この尋問もそろそろ終わりだ。オマエら人類は明日滅亡し、この星は我々のものになる。さあ、最後にいいのこすことはないかね?」
博士はなにもいわず、ただ首を小さくよこにふった。
「………つくづくオマエらほどおもしろい生命体はない。これほど未熟でひ弱な意思と体なのに、すぐに生まれ変わり、しかも年をかさねるごとに成長し、世代を超えて進化する。そのうえオスとメスが合わさり、つぎつぎと増殖してゆく。さらによくよく見ればそれぞれが同じようで決しておなじではない」
「キミらはそうじゃないのかね?」
「ちがう。我々はオマエらの時間感覚でいうところの何万年も生き続ける。しかし、オスメスの区別もないし、増殖も進化もない。我々はそもそも完璧な個体なのだから、そんなものは必要ないのだ。ただ一定のエネルギー量に達すれば、自然と分裂するが、それもめったにあるわけではない」
「かたちあるものはすべて滅びるのではないか」
「それは見かけだけのはなしだ。見かけはそのつど直すか、取り替えればすむ。我々の本体である意思は独立して生き続ける」
「それはすごい」
「別にすごくもなんともない。この宇宙のエネルギーはみなそうして存在している。我々にしてみればオマエらのほうがよっぽどおどろきだ」
「なるほど、我々が宇宙の中では特別な存在というわけかーーー」
「オマエら人類だけでなくこの星の生命体はほんとうに多種多様だ。二本足もいれば四つ足もいる。空飛ぶものや水の中でしか生きられないもの、地面の中にすみつづけるものもいる。お互いに日々殺しあいながら、一方で死ぬまで一歩も動かずに、美しい花や実を咲かせるものも数多い。いっしょに共存しているということ自体が、我々にとっては奇跡であり、爆笑ものだ」
「我々は、みなで競争しながら、みなで助け合っている」
「もしかすると、この星そのものに大きな秘密があるのではないか?」
そのままマリモ型宇宙人はじっと考え込んだ。
「ーーーそうかオマエらはこの星の一部なのだな。いや、待てよ。すると、すると」
マリモ型宇宙人は、はた目でもかわいそうになるぐらいにガタガタとふるえはじめた。
「わかったぞ。この星そのものが巨大な意思であり、一個の生命体ということか!?」
博士はニヤリとわらった。
「そうだ。我々は、それを神と呼ぶ」了


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