1. トップページ
  2. 僕の名前は

siakataさん

鹿田です

性別 男性
将来の夢 なし
座右の銘 難しいことを易しく、 易しいことを深く、 深いことを面白く。 (井上ひさし)

投稿済みの作品

0

僕の名前は

16/09/18 コンテスト(テーマ):第118回 時空モノガタリ文学賞 【タイムスリップ 】 コメント:0件 siakata 閲覧数:453

この作品を評価する

 僕は今、楽園にいる。
 どうやらタイムマシンに乗って、遠い過去、人類誕生以前に来てしまったらしい。
 生活用具はタイムマシンに積まれていたし、狩猟の心得も多少あるので食べ物にも困っていない。
 ただ、タイムスリップのショックか僕は自分のことを何も覚えていない。元いた時代のことはわかるのだが、自分に関することだけは一切覚えていない。
 元の時代のことを思い浮かべる。

 元いた時代は窮屈だった。周りにはガラス張りの建物が所狭しと立ち並び、人々は忙しそうにアスファルトの地面を踏み続ける。そこには自然の姿はなく、動物たちは一箇所に収容される。
 争いも絶えない。ガラス張りの建物の中では小さな利益を巡って争いが起こっているし、遠いところでは正義を理由にして人が人を殺している。

 再び今、この楽園の景色を見渡す。
 木は太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。動物たちは檻に入れられることなく走り回る。
 純粋に美しい風景だなと思った。この風景がやがてコンクリートとガラスの摩天楼に変わりゆくのかと思うと悲しくなる。

 じきに未来から助けはくるだろうし、来なくてもここで暮らしていくのもいいかもしれない。
 自分のことがわからないのは多少問題だけど、タイムマシンを調べていけば何か手がかりがあるかもしれない。
 現に、思い出せなかった名前は、タイムマシンに表記されていた。

 どうやら僕の名前はコールド・スリープというらしい。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン