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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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レンタル幽霊

16/08/24 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1363

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 お好みの幽霊貸し出します。

 そんな奇妙なチラシを見つけたのは文化祭の準備をしている時だった。
ものは試しにと早速記載の電話番号にかけてみた。
「あ、もしもし。チラシを見たんですが。」
 「お電話ありがとうございます。当社はお好みの幽霊を1体500円からレンタル致しております。1週間レンタルですと割引もございます。
どのような幽霊をご要望でしょうか?」
「えっとー、今度ですね、学校の文化祭でお化け屋敷をやることになりまして。」
 「なるほど。そこのエキストラとしてご利用ですね。」
「はい。」
 「どちらの学校になりますでしょうか?」
「○○高校です。」
 「そういたしますと、あ、丁度ですね、そちらの在校生のご家族の方がおりますね。
そちらなんか如何でしょう?」
「お化け屋敷入って亡くなった家族に逢ったら騒ぎになりませんかね?」
 「驚くこと間違いなし!」
「その家族限定ですよね。しかも怖いの質が違う。いや、でも有りかな?
とりあえず、その方キープで。」
 「畏まりました。えー、該当の幽霊が36名居りますが。」
「そんなに要りません。えーと、各学年毎に1名づつ居れば。」
 「あー、居ります、居ります。ではこちらで適当に見繕って構いませんかね?」
「あ、よろしくお願いします。」
 「畏まりました。他にはどういった幽霊をご希望でしょうか?」
「ちょっと怪我してる系で、でもあまりグロくないのが良いんですが。」
 「そういたしますと…内臓が出ているのは。」
「あ、食欲無くなる系はちょっと。」
 「では、お顔が崩れてるのもNGですよね?」
「そうですね。」
 「となると、虐待を受けてらしたお子様の幽霊では?」
「何か居た堪れなくなるんでパスで。」
 「では怪我系は難しいですね。」
「そうですかー。あ!動物系って居ますか?」
 「居りますよ。犬、猫、鳥、虫で取り揃えております。」
「犬とか猫とか良いですねー。」
 「ではそちらを1匹づつでよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします。」
 「鳥は如何ですか?」
「鳥ですか?お勧めって何かありますか?」
 「ハシビロコウは如何でしょう?」
「ハシビロコウって幽霊じゃなくても怖いですよね。」
 「大丈夫ですよ。動きませんから。」
「いや、生前からそういう生き物ですよね。ハシビロコウはパスで。」
 「畏まりました。あとは、虫ですかね。」
「虫ですか?怖いイメージないんですけど。あ、でも虫嫌いの人には効果ありそうですね。」
 「えぇ、特に小型で集団系の蟲ですと人や動物霊とのコンボで、こう、口や鼻からワーっと噴出すみたいな。」
「あ!いいですね!それ!。でもそれだと集団になる分高くなるんじゃないですか?」
 「こちらは1団体換算でレンタルいたしますので大丈夫ですよ。」
「じゃぁ、それで。以上で2日間でお願いします。」
 「畏まりました。では当日の朝、社の者がお連れ致しますので。」
「よろしくお願いいたします。」

 かくして幽霊の手配は整った。
あとは当日に向けて教室の内装造りにがんばった。
敢えてクラスの皆にはどんな幽霊が来るかは明かさなかった。
当日のお楽しみというやつだ。

 当日
思惑は大きく外れる事となった。
「お母さん!逢いたかった!」
「ミィちゃん!逢いに来てくれたの!」
吹き荒れる感動の再会の嵐。
動物霊たちまで学校の縁者とは思ってなかった。
とても感動の最中に口から蟲を出させるタイミングがあろうはずも無く、まっくろくろすけのように蟲たちには教室の壁や天井を蠢いてもらったが、たいしたインパクトは無かった。
怖がるどころか良い意味で驚かれる始末。

亡くなった家族に逢える。
そんな吹聴が出回り、逢わせてくれとの注文が殺到した。
仕方がなく業者に相談と確認をし、予約を入れ、急遽2日目からはお化け屋敷を止めて「イタコ喫茶」を始めた。有料で。
順番待ちのお客相手に喫茶店(学内で飲食をやってるクラスから買い上げ、及び共同経営を持ちかけ合併)をやり、幽霊のレンタル料は別途お客支払いにして行った。

 結果
涙と感動の再会のイタコ喫茶は大成功となり、大儲けをした。
見世物系の出し物をやったクラス以外は大きな収入を得て文化祭は終了となった。
「来年もお願いできますかね?」
帰り際の業者に尋ねると
 「一度お呼びした幽霊はもうお呼び出来ませんので。ご入用でしたらその分御鬼籍に入れておいてください。」
なんとも物騒なことを言って業者は返っていった。
シュールな世の中と商売だとしみじみ思ったが来年はやる気が起きなかった。


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このストーリーに関するコメント

16/08/25 あずみの白馬

拝読させていただきました。面白かったです。
レンタル幽霊業者が妙にリアルで、どんなことになるのか期待して読み進めて行きました。
ラストも意表をついていて良かったです。一度レンタルされた霊は成仏するのでしょうか……?

16/08/26 海神

拝読致しました。
幽霊の設定とそのやりとりがやけにリアルで説得力があり面白かったです。

16/08/26 白虎

オチの表現が物凄ですね。
意図的に鬼籍に入れるなんて不可能なあたり物騒さが際立ってましたが笑ってしまいました。
平成初期の薫りがするような懐かしいテンポとオチで楽しく読みました。

16/08/31 石蕗亮

あずみの白馬さん
コメントありがとうございます。
ラストは異質感を出すために成仏という設定にしてみました。

16/08/31 石蕗亮

海神さん
コメントありがとうございます。
設定はなかばワーカホリックなところもあります。客注承りマニュアル通りといったところでしょうか。

16/08/31 石蕗亮

白虎さん
コメントありがとうございます。
書く前に山田章博を読んだ影響は過分にあったかもしれません。

16/09/08 黒谷丹鵺

冒頭からレンタル業者とのやりとりが気軽な雰囲気なのが面白く、幽霊の貸し借りをしているというのに細かい注文や提案が可笑しく、この先どうなるのか興味をそそられて読み進めばまさかのイタコ喫茶!いや盛大に吹きました。
業者が最後に言い残したセリフが意味深で素晴らしい締めになっていると感じました。大変面白かったです。

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