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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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深夜ラヂオ

16/08/24 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:7件 石蕗亮 閲覧数:1636

時空モノガタリからの選評

独特の幽霊観と、ラジオ放送の軽快さがミックスされて楽しかったです。あっけにとられたリスナーの顔が浮かびます。「生きてる人間の方がよっぽど怖い」というのは同感です。私もそんなおじさんを見かけたら逃げます(笑)。こんな楽しい放送があったら、怖いけれど聞いてみたいです。

時空モノガタリK

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 暑苦しくて夜中に目が覚めた。
完全に目が覚めてしまってどうしようかと思ったが、ここでスマホの明りなんぞ目にした日には翌朝眼性疲労で鈍痛が起きるのは確定なので枕元のラヂオを手探りで点けた。
「ハーイ、リスナーのみなさん。今晩もうらめしや〜。
今日も丑三つ放送を聴いてくれてありがと〜。」
静かながらもややジャブの効いた単語を繰り出す放送が流れ、現在は夜中の2〜3時だと推測した。
「いつも怪談や恐怖体験を放送しているこの番組ですが、今日はゲストをお呼びしております。本日のゲストは幽霊です!」
 「どーもー。幽霊です。今日はよろしくお願いしまーす。」
「いやー、幽霊って言いますけど、本物ですか?」
 「触ってみたらわかりますよ。」
「どれどれ。うわっ!すり抜けた!触れない!」
 「でしょう?肉体が無いですからね。」
「でもこの会話だけだとリスナーには信じてもらえませんけどね。」
 「そこは貴方がうまく会話を引き出して納得させてくださいよ。」
「では幽霊にしか分からないことを聞いてみたいと思います。」
 「よし、どんとこい!超常…」
「ストップ!!危ない発言は謹んでください。
ではですね。貴方のお名前伺ってよろしいですか?」
 「それは勘弁してください。遺族に怒られちゃうんで。」
「怒られますかね?」
 「死んでからも恥晒すなんて!って絶対怒られるんで。マジで。」
「そーなんですか。ではですね、幽霊ってどうやったら逢えるんですかね?」
 「幽霊はですね、縁のある者としか逢えないんですよ。
見不知不の人とはまぁ、行き会うこともありませんね。
例外的に霊的スポットなんかだと極稀に見えちゃうことはあるかもしれませんけどね。」
「へぇー。今私貴方と出会っちゃってますけどね。
では次に幽霊って壁とかすり抜けれるじゃないですか。女風呂とか覗き放題ですよね?」
 「実はそんなことないんですよ。そっちが私たちを見えて居る時、私たちも貴方たちが見えています。でも貴方たちが見えていない時は私たちからも見えていません。
この世とあの世は実は表裏一体でして、どちらかがどちらかの世界に来ていて尚且つそこに縁者が居て、尚且つ更なる縁がないと見えないし会話もできないんです。
だから女湯覗きたいんですけど、できないんえすよね〜。残念。」
「あ、そういうもんなんですか。でも幽霊って見えたら怖いですよねー。」
 「そんなことありませんよ。今貴方怖いですか?」
「いえ、まったく。」
 「でしょう!」
「でも夜道で角を曲がった途端佇んでいたら。」
 「それ幽霊でなくても怖いでしょうよ。」
「生きてる人間なら怖くないですよ。」
 「生きてる変態だったら?」
「こ、わ、い、ですね〜!それは怖い!」
 「でしょう?太ったおっさんが満面の笑顔でブリーフ一丁で包丁持ってたら。」
「悲鳴上げて逃げますね!」
 「でしょう?幽霊怖くない。生きてる人間のほうがよっぽど怖い。」
「納得です。」
 「見えない=影響が無いですからね。お互いに。存在していても別次元ですから出逢うこともない。」
「なるほど。でもよく“浮遊霊”とか“地縛霊”とかいうじゃないですか。あれってどういうことなんですか?」
 「いませんよ。」
「え?」
 「いないんです。」
「でも…。」
 「あれはですね、どこぞの寺や神社が金儲けの為に御祓いや除霊の大儀名分として造られた造語なんです。
仏教や神道の教えの中に“霊”という言葉や存在は確かにあります。
でも先程のような○○霊といったものは存在しません。それらの言葉が出回り始めたのは明治以降だと謂われています。
確かに人に害を成すものも居ますが、それはもう霊ではなく祟り神や妖怪へ変質してしまったものになります。」
「そうなんですか!」
 「幽霊、怖くない。」
「なんでカタコトなんです?」
 「幽霊、逢う、何か伝えたり、縁者、守る為。」
「だから何でカタコトなんです?」
 「2000文字という尺の関係上、残り僅かだから。」
「あ、もうそんなお時間ですか。早いですねー。」
 「私、お前の高祖父。」
「え!ご先祖様!?。マジ!?やけに現代慣れしてない?何で?」
 「一度メディアに出てみたかったんだ。」
「自分の欲じゃん!って何か透けてきてるよ?おいっ…って〜。
何か成仏されたようです。それではお別れの時間がやってまいりました。
今日はこのメロディーでお別れしましょう。
パーソナリティーは幽霊の高祖父とナビゲーターの石蕗がお送りしました。」

ちゃちゃらちゃらちゃちゃ、ちゃちゃらちゃらちゃちゃ、ちゃっちゃ〜、ちゃららん。
パフ♪

「それではみなさんまた来世のこの時間でお会いましょう。安らかにおやすみなさい。」

 放送が終わると同時にラヂオを切った。
どうしよう。
余計眠れなくなった。


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このストーリーに関するコメント

16/08/26 海神

拝読致しました。
珍しくコメディタッチな作品でしたがとても面白かったです。
時間表現が文字数だったり、幽霊怖くないのくだりなど頬が緩みっぱなしでした。
最後は昇天と笑点の掛け合いの演出も、そうきたか、と思わされました。

16/08/26 白虎

ナビゲーターの名前が!
実際あったんでは?作品だけでなくツッコミ満載のような気がしてなりません。
こんな番組あったら必ず聴きます!

16/08/27 石蕗亮

海神さん
コメントありがとうございます。
正直頭沸いてる状態でした。楽しんでいただけたのなら幸いです。

16/08/27 石蕗亮

白虎さん
コメントありがとうございます。
基本、人物に名前を付けないので悩んだ挙句があれでした。

16/08/27 クナリ

幽霊の解釈は人によって様々だと思いますが、作中での扱いが得心のいくものだったので、楽しく読みました。
亡くなった方の霊が、現世でそんなに万能かなあ……と考えてしまうホラーも多く読んできたので。
単なる説明でなく、エンタテイメントとして作品が成立しているのも、良かったです。

16/08/31 石蕗亮

クナリさん
コメントありがとうございます。
納得頂ける内容を書けて安心しました。
実体験に基づいてるのであまりブレてはいないつもりですが、ストーリーに無理がなかったか、文字数内でまとめられたかが心配でした。

16/09/21 光石七

拝読しました。
幽霊なのに、このノリ。楽しすぎます^^
こういうラジオなら、丑三つ時でも聞いてみたいです。基本ビビりですが(苦笑)
面白かったです!

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