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霜月秋介さん

しもつきしゅうすけです。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

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前向きパピプペポ

16/08/14 コンテスト(テーマ):第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】 コメント:1件 霜月秋介 閲覧数:1270

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 仕事帰り。日が沈みかけている。まるで私の心とシンクロしているようだ。なかなか思い通りに動いてくれない、重い足をゆっくりと動かし、家へと歩く。
 今日、仕事で失敗をし、「お前は何年この仕事をやっているんだ!この出来底無いが」と上司に言われた。その言葉が頭の中で何度も再生される。もうすぐ還暦を迎えるというのに、私はいったい何をやっているのだろう。
 足がどんどん重くなっていく。あたりがだんだんと暗くなっていく。重くて、暗い夜がやってくる。家までが、遠い。歩いても歩いても、まるで家に近づいている気がしない。家に帰っても、笑顔で迎えてくれる人間はいない。いつも、私は孤独だという現実が待っているだけだ。

「パピプペポォー!!」
 突然聞こえたその元気な叫び声とともに、私の背中に強い衝撃が走った。女子高生くらいの少女が、自転車に乗りながら私の背中を強く叩いてそのまま去って行った。悪ふざけだろうか。最近、自転車に乗って悪さをする人間が多いと聞く。おそらく今のも、そのうちの一人なのだろう。いまどきの若い者は何を考えているのかわからない。なにがパピプペポだ。人の気も知らないでいい気なもんだ。
 しかしその少女に背中を叩かれてから、さっきと違って妙に体が軽くなったような気がした。軽い。足が動く。二十代くらいまで若返ったような気分。私はあっというまに家に着いてしまった。

 私の背中を叩いたその娘がどこの誰かなのかは結局わからなかった。しかし私はあの日を境に、前向きに生きることを決意した。なにかつらいことがあったときは、「パピプペポ」と叫ぶようにしている。まわりからどんな目で見られようが関係ない。
 パピプペポ。あの日、あの少女が叫んだあの言葉。それは人の心を軽くする、おまじないのようなものだったのかもしれない。頭の中の悩み事などどうでもいいと思える、そんな力が、その言葉には宿っているのだろう。


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このストーリーに関するコメント

16/08/24 泡沫恋歌

霜月秋介 様、拝読しました。

「パピプペポ」この意味不明な言葉には元気がでる響きがありますね。

辛いときには「パピプペポー!!」これをおまじないにしよう。

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