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天野ゆうりさん

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箱に込められた想い

16/07/14 コンテスト(テーマ):第112回 時空モノガタリ文学賞 【 弁当 】 コメント:4件 天野ゆうり 閲覧数:619

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私の家は、兄弟三人いた。

両親共働きだから、夕飯はいつも、祖母の家で食べていた。


それが、小学生時代。

中学になると、お弁当かスクールランチになった。
正直、スクールランチに美味しさを感じなかった。

今日学校の給食と、中学校のお弁当。

全く味が違う。
美味しくない。

冷えたご飯と、病院食に似たような味がした。


それを母に話したところ、お弁当を作ってくれた。
ただでさえ、朝御飯で忙しいのに。
ただでさえ、身支度に時間かかるのに。
ただでさえ……低血圧で朝は弱いのに……

毎朝欠かず、作ってくれた。

勿論、体調が悪いときには、買い弁することもあったけど、それでも、ほぼ毎日だ。



それは、何年も続いた。
私が中学を卒業してから、弟が卒業するまでの8年間。

更に、社会人になってからも、たまに作ってくれていた。

母のおかずで一番好きなのは、卵焼き。
砂糖と醤油で味付けをして、ネギとシーチキンが入っている、白ご飯にあうおかず。

だから、一番最初にひとつ食べて、最後に二つ目の卵焼きを食べる。

たとえ、冷えたご飯でも、箸を入れた途端、持ち上げるとお弁当の形のまま持ち上げられる焼きそばやスパゲティ、四角いオムライスだったとしても、1度も食べたくないと思ったことはなかった。

そんなある日、弟の運動会当日、母が出張。
予定が重なってしまったのだ。

そこで、母から頼まれたのが、弟のお弁当作り。

今まで、自分の分すらまともに作ったことがない。
味の保証もできない。
でも、いくら高校生と言えど、運動会に買い弁は、悲しい。
そんな思いを、弟にさせたくはなかった。

せめて、彩り鮮やかで、お腹がふくれて、満足できるものを……

必死になって作ったのは、オムライスと、大好きな卵焼きとソーセージを焼いた。
あとは、自然解凍できる菜っ葉のおひたしや、揚げ物を積めた。

たったひとつ作るのにも、時間が想像以上だった。


起きてきた弟に、弁当を差し出す。

「母さんみたいに、美味しくはないかもしれないけど……ごめん、これが姉ちゃんの精一杯だった」

驚く弟。

「マジで、姉ちゃん作ってくれたの?!俺、買ってけばいいやって思ってたのに?!」

「運動会だし、友達と食べるのに、自分だけ買い弁は切ないでしょ。まぁ、足りなかったら、何か買ってくれよ」

私は、心配そうに笑って、学校に向かう弟を見送った。

今日一日、無事に運動会を過ごせますように。
楽しめますように。

そんなことを思っていると、フッ、と、母の気持ちが分かった気がした。

自分の作ったお弁当を持って、出掛ける子供。
そこにかけられる想い。

一日、無事に過ごせますように。
そんな願いが込められていたのでは、と……




今の私は、今度は作る側に回っている。
色合いを考えたり、好き嫌いを考えたり……少しでも栄養のあるものを食べて、元気に過ごして欲しい。

そういえば、祖父からこんな話を聞いたことがある。

昔、麦飯しか食べられなかった頃、学校にいく途中にあるお姉さんの家で、白飯に変えてもらっていたとか。
当時は貴重な白飯。
戦後で、田舎暮らしの祖父たちも決して余裕のある暮らしではなかっただろう。
祖父は、お姉さんの優しさを覚えていた。

その優しさが母に遺伝し、今は、私に……

「ママーー?今日のお弁当何ーー?」

「今日は、オムライスと卵焼きとソーセージ、あと、大好きなブロッコリーだよ?」

「やったぁ!!ママ、いつもありがとう!!」

満面の笑顔で喜ぶ娘の鞄に、お弁当を入れる。

幼稚園バスに乗って、登園する姿を見送った。

優しさは、連鎖して続いていく。
こんな気持ちで、私たちを見送ってくれていたのだろうか……

今だから、素直に言える気がする。

今度、お弁当をこしらえて、実家に遊びにいこう。

『今までありがとう』

その、言葉で言い表せない、大きな気持ちを弁当箱に詰め込んで。


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このストーリーに関するコメント

16/07/15 あずみの白馬

拝読させていただきました。
出てくるお弁当も美味しそう。そして作る人の愛情というものをとても感じました。
優しさは遺伝する……まったくもってそのとおりですね。

16/07/15 天野ゆうり

あずみの白馬様>愛情と優しさの連鎖、そして、その立場になってはじめて気づく大変さ。
私もいつか………あれ?霞んで前が見えないや……

16/07/16 クナリ

当たり前のように食べていたお弁当にも、一日一日込められた思いがあったんですよね。
具材や詰め方、形態は変わっても、お弁当は受け継がれていく人間の営みのひとつだなあ、と思いを馳せました。

16/07/17 天野ゆうり

クナリ様>ク、クナリ様からコメントを頂けるとは!!
あああありがとうございます!!
当たり前が、一番当たり前なことじゃなくて、一番かけがえのない、ものなのだなーと書きながら思いました。
少しでも、表現できていたら……伝わっていたら、嬉しく思います。
ご覧いただき、ありがとうございます!!

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