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にぽっくめいきんぐさん

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トリップ・トラップ

16/06/06 コンテスト(テーマ):第109回時空モノガタリ文学賞 【 旅 】 コメント:2件 にぽっくめいきんぐ 閲覧数:738

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 僕は、旅をしている。
 勢い任せでなんとなく飛び出した僕は、「時空モノガタリ」という駅にいる。

 ここには旅人や、旅人以外の人が集まる。

 旅人としての僕の話をしよう。
 駆け出しの、客観的には青い話だ。

 ◆

 応用美術の「常識」を覆す新しい判決が出た。

 トリップ・トラップ(TRIPP TRAPP)幼児用椅子著作権侵害事件だ。
 知財高判平成27年4月14日(H26(ネ)第10063号)。

 これまでの常識では、
 応用美術の著作物性は、小説や音楽等の他の著作物よりも厳しい、高いハードルで判断されていた。
 曰く、「純粋美術と同程度の美術性を備えるべし」というハードルだった。
 意匠法等との住み分けの問題があるからだ。

 しかし、トリップ・トラップ事件について、知財高裁は、この「通常より高い」ハードルを使わなかった。

 明らかに応用美術な「椅子」についても、通常どおり、「個性が発揮されているか否か」で著作物性の有無を判断するのだ、という事が示された。

 この事件はまだ、最高裁を残しているので、今後の動向は確定していないが、とても大きな影響を持つ判決だ。

 そこで、僕には疑問が生じた。
「玩具であるファービーは著作物性なしだったのに、椅子は著作物性ありなのかよ?」と。

 著作権法は、基準に従って、明確に白黒つけられるものではないことは、頭では分かっている。
 とにかくグレーゾーンが多い。
 でも、感情が追いつかない。
 納得がいかない。

 元々は、数学畑にいたからだろうか?
 とにかく、公式みたいにはっきりと結論が出てくれないと、この頭のモヤは晴れないんだ。

 そんな僕が、なんで「時空モノガタリ」を今、旅しているのか?

 始めは簡単だった。
 「著作物とは何だ?」という疑問を持ったんだ。

 本や判決を読むだけでは、僕の疑問は全く解消しない。
 そして僕は、記憶力も良くない。
 机の上で入れた知識なんて、時間が経てば、すぐに頭から抜けていく。
 僕は物覚えが悪いんだ。

 だから、自分で著作物を作ってみることにした。

 そして、そう。
 作る楽しさを、知ってしまったんだ。

 気付けば僕は、旅の途中だった。
 「小説を書く」というトリップをしている。
 目指す立寄地は、「5年以内に、文庫を1冊出版する」駅だ。
 到着予定時刻も決めた。

 しかし、表には必ず、裏がある。
 作る楽しさにも、やっぱり、裏があった。

 楽しさの裏にある、僕の心を捕らえた罠は、劣等感だった。

 飛び込んでみて分かった。
 周りのレベルの高さを。
 視野の広さを。
 構成のうまさを。
 風刺の鋭さを。
 心情の鮮やかさを。
 発想の豊かさを。
 滲み出る知性を。
 オチの見事さを。 
 描写の鮮やかさを。
 
 ……自分の拙さを。

 才能のなさは問題じゃない。
 そんなのは分かっているし、あると思っていたら、とっくの昔に、この旅に出ていただろう。

 そうじゃない。
「僕が目差す立寄地は、凡人が、凡人としてたどり着ける駅なのか」
 それが肝なんだ。

 でも、限りある時間で自分の拙さと戦っても、やっぱりどんどん、周りには置いていかれる。
 みんなについていく為の、物理的時間が、そもそも捻出できないんだ。
 多分、みんなの数倍は時間をかけないと、上達はしないだろうに。

 動いていれば、痛みはあまり感じない。
 いま自分は上昇しているという「錯覚」が得られるからだ。
 でも、動けない。
 今僕がいる駅で、座ったまま、悶々モタモタするだけの日々は、とても苦しい。
 お腹の辺りが酸っぱくなって、息が吸えない。

 でも、昨日、その苦しみを忘れさせてくれる出来事があった。

 とある電子出版の文芸誌に、2万字位のラノベ小説を、前後編で連載させてもらったんだけど、これを、漫画家であり小説家である先輩が「面白い」「楽しい」と言ってくれたんだ。

 そのコメントで、僕は、トラップから抜け出す事が出来た。
 またどうせ、罠にはまるだろうけれど。

 僕が、何もかも、ことごとく劣っているのは当然だ。
 上達の為の時間も不足している。

 でも、自分が面白いと信じて書いた作品を、「面白い」「楽しい」と言ってくれる人がいた。

 「うまい」じゃなくて、「面白い」だ。

 それでいいじゃないか!

 僕の旅は、多分、間違ってない。

 この旅がどこを通って、どう終わるのか、はたまた終わらないのかは不明だ。

 でも、いいじゃないか。楽しいんだから。

 だって旅って、楽しいもののはずだろ?
 著作物だって、楽しいもののはずだろ?

 そうじゃない人もいるかもだけど。

 なあ。

 みんなも、良き旅を!
 あるいは、良き旅以外の何かを!


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このストーリーに関するコメント

16/06/07 クナリ

自分は劣等感の中で書くのが普通だったので、逆に悩んだり苦しんだりということがなく楽しいばかりだったのですが(ジェラシーはいつも死ぬほど抱いてますが)、そんなやつでも自分なりのもの作りには何らかの意味があると思います。
色々考えたり、書いたりしましょう。
だって楽しいのですからね。

16/06/07 にぽっくめいきんぐ

クナリさん、反応ありがとうございます。
すごいですね。
多分その気質の方が、物書きに向いてるのかも、とか思ったりします。

オイラは自分の気質で行けるとこに行きます。
好き勝手やりましょう(^^)

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