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イルカさん

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いつか 雨も上がるんだ

16/06/05 コンテスト(テーマ):第110回 時空モノガタリ文学賞 【 雨 】 コメント:0件 イルカ 閲覧数:621

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  窓を見ると、さっきより雨が強くなり土砂降りの雨になった。
 交通渋滞でバスは動かなく車内は満員で蒸し暑くなっていた。
 運転手がマイクで、渋滞の為、お急ぎの方は次のバス停で降りて歩いたほうが、
 早いとアナウンスした。
「駅まで、どれくらい時間がかかりますか?」
「この渋滞じゃ、一時間はかかりますね」
 それを聞いて、バス停に着くと、出口で傘をさして、乗客はつぎつぎと降りだした。
 今度は降りるのに時間がかかり車外に出ても乗客は雨で服はずぶ濡れになった。

 車内は、数人だけになった。
「土砂降りで、ずぶ濡れになって、どうするんだろうね」と一人の男性がつぶやいた。
「パートだけど遅刻すると、交代の人に迷惑かかるしね」とおばさんが、言った。
「ニュースじゃ、交通機関が遅れていると、分かっているじゃないか」
「じゃあ、どうして降りなかったのかよ」と男性が言った
「昼からの出勤ですよ」
「そりゃ大変だね」

 責任感のあるおばさんだと思った。
 
 
 今、就職活動中だ。
 これまで数えきれないぐらい会社訪問をしたがまだ内定を貰っていない。
 一次審査で落とされたり、面接にこぎつけてもダメだった。落ちる度に自分を否定され
 てるみたで心の中は、最悪だった。
  今日は会社の面接日だ。
 おばさんと同じように早く家を出た。
 僕も歩こうと思ったが、雨はまだ土砂ぶりで服が濡れて体調を壊したくなかったし、
 まだ時間の余裕は少しあるからだ。

 「まだ、動いませんか?」とおばさんが運転手に訪ねた。
 「少しは、進みましたが、先にパトカーが止まっているから、事故ですね。
  スリップし たのか。視界が悪くて、接触したのだと思いますよ」
 「やれやれ、大変だ」と男性がつぶやいた。
 バスは、少しだが前に進んでいる。
 しばらくして外を見ると、事故の処理が終わった様だ。
 「動きだしましたね」と運転手が言った。
 その声に安堵の声が聞こえた。
 バスは、一時間以上かかり、やっと駅に着いた。

 駅に着くと電車の遅れで人が溢れていた。
 この分だと、会社までは、ぎりぎりか遅刻に
 なってしまう。
 すぐ、携帯電話を取り出して会社に連絡したが、話し中で繋がらない。
 後五分して、また電話しがダメだった。そしてまた五分、やっぱりだめだった。
 要約つながったのは、三十分を過ぎてからだった。
 たぶん 面接の学生の対応に追われているのだと思った。
 要件を伝えると、「着いた順番から面接をする内容だった」
 学生の対応に会社は混乱しているみたいだ。

 今度は、電車に乗るのに待たされた。
 待っていると、パートのおばさんが横にいた。
 「大幅な遅れだね」とおばさんに話しかけてきた。
 「まだ乗るのに、時間がかかりますね」
 「だけど、みんな同じだからね」
 僕はその言葉にハットした。面接を受ける他の学生も同じ状態なのに気がついたのだ。
 今まで「自分だけが」と思っていた。

 おばさんが、僕の年齢と服装から「就職活動かい」と聞いてきた。
 「そうです」
 「大変だね。だけど、これも縁だね。息子も中々決まらなかったけど、やはり縁だね」
 「縁ですか?」
 「縁があれば、決まるもんだよ。真面目そうだから、どこか決まるよ」
 「ありがとう ございます」
 どんなにその言葉が励みになったか。おばさんに出会えたのも、何かの縁だと
 思った。

 会社に着いたのは、三十分遅れだった。
 面接は、今まで違う感触だった。
 採用されるのかと、思ったけど、期待はしなかった。縁があれば採用されると自分に
 言い聞かせた。なぜなら
 また落ち込むのが嫌だからだ。
 外に出ると雨が上がっていた。いつか雨も上がるんだと思った。


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