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PolyPolyさん

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歌舞伎町に勝つ。

12/03/28 コンテスト(テーマ):第一回 時空モノガタリ文学賞【 新宿 】 コメント:0件 PolyPoly 閲覧数:1691

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『絶対に届けてくれよ!!なっ!!』彼の両肩をガッシリと掴んだ。
『はい!!』
『いいか?絶対だぞ??俺の目を見ろ!』
『はい!!』
『騙すなよ!騙したら一生恨むからな!』
『だ…大丈夫です!必ず!絶対に届けますから…!』
『…よし。よろしく』

俺は、彼を信じた。

さかのぼる事、30分前…。

『ふぅ…。食った食った。』
ここ東京新宿、歌舞伎町。
こないだ、友人に教えてもらった、歌舞伎町内にあるラーメン屋の味が忘れられなくて、バイト帰りの途中に再びここで晩飯を済ませてしまった。
最近は1合の米と梅干しばっかりだったから、今日ぐらい良いだろ?…って
“こないだ”とはまだ一週間も経ってない。
実家にいた頃は、一杯千円のラーメンをこんなに有り難く食べてなかったよな。
金さえあればな…
金さえあれば…。

『お兄さん!イチャパブはいかがですか!』
来た来た。
いかにも騙しそうな柄の悪い金髪のキャッチ。
金さえあれば…。
『どうですか?!ストレス発散に!!』
ストレス発散…か。
歌舞伎町ってば、ただでさえ安っすい時給のクソバイトでストレスが半端ないっていうのに、甲斐性無しには反ってストレスを煽るほど誘惑のネオンがいっぱいだ。

俺には眩しすぎるぜ。
金さえあれば…。

ようやく歌舞伎町を抜け出して、西武新宿前のズラリと並ぶ自転車の横を歩いていた。
ぼーっとしていたせいか、一つ飛び出た自転車に気付かず左足を見事に引っ掛けてしまった。
『イタっ!!』
その勢いでガシャガシャと3台の自転車がドミノ倒し。
慌てて3台の自転車を押さえた。
『うおおおお…!重い…!』
自分では見えないがとんでもなく不細工な格好だろう。
見なくてもわかる。
だって後ろの方で女のクスクス笑う音やサラリーマンの眺め歩くのが視界に入ってくるから。恥ずかしいし、誰も手伝ってくれようとしない。俺ってとことんツイテナイ!
ツイテナイ…。
いや。
そんなこと無いかもしれない。
今、目の前に落ちてる紙は…あれはもしや。
押さえていた3台の自転車を諦めて、さっとその紙を掴んでズボンのポケットへ突っ込んだ。そのまま五台も倒れてしまったが、冷静に一台一台おこした。最初っからこうすれば不細工な格好せずに済んだなって思ったが、そんな事よりポケットの紙の正体が気になって仕方が無い。
俺は急いで数メートル先のレンガに腰を掛け、ポケットから紙を取り出した。
キレイに四つ折りした紙は…
ゆっくりと四つ折りを解きながら足が震えた。
1万円札…
クシャっとしてすぐポケットへ戻した。
心臓からそれはもう熱い血が流れるのが分かる。
上手く呼吸が出来ない。

何に使おう?
いや、まずここから離れるべきだ。
さっき来た道を戻ろう。
俺は立ち上がりまた歩き始め、ポケットに手を突っ込みお札独特の感触を指で擦り確かめた。
こんな事初めてだ。何に使おう。何に使おう。何に使おう。
いや考える必要も無い。
たまたま手に入れた金だ。
もちろん向かうは大遊戯場歌舞伎町でしょうが。
心無しか足が速まったその時、
3人程の大学生くらいの男女が小さな箱を抱えて並んで立つのが視界に入った。

『お願いします!ほんの少しでかまいません!!』
…!?
『今被災者はみなさんの力を必要としております!!』
・・・。
『赤ちゃんのオムツやミルクが足りません!!』
いや、聞こえない聞こえない。
『食料が足りない地域がまだまだ数多く存在します!!』
聞こえない聞こえない!!いざ歌舞伎町へ!


『東日本復興に向けて募金お願いします!!』

だーーーーーーーーー!!!
真ん中に立つ俺がいかにも好かないタイプの男子に、いかにも見えるようにして
俺はポケットからくしゃくしゃで湿った1万円札を出して
箱に思い切り押し込んだ。
『あっ…、ありがとうございます。』
俺の鼻息は荒くなるばかり。
『なぁ、兄ちゃん。これ…』
『はい?』

『絶対に届けてくれよ!!なっ!!』
彼の両肩をガッシリと掴んだ。
『はい!!』
『いいか?絶対だぞ??俺の目を見ろ!』
『はい!!』
『騙すなよ!騙したら一生恨むからな!』
『だ…大丈夫です!必ず!絶対に届けますから…!』
『…よし。よろしく』
俺は、彼を信じた。
俺はまた、歌舞伎町に背を向けた。
俺は歌舞伎町に勝った。
たかが拾った金さ。
たった一回の欲で消えちまうぐらいなら、たくさんの人幸せになれよ。

頑張れ。東日本。

歌舞伎町。
やっぱり俺には眩しすぎるぜ。


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