1. トップページ
  2. 御堂筋線・赤色の謎

あずみの白馬さん

成人済 アイコンは天乃ゆうりさん作成(無断転載を禁じます) 自分なりの優しい世界観を出せるように頑張ります。 好きな作家は飯田雪子先生です。若輩者ですが、よろしくお願いします。 Twitter:@Hakuba_Azumino

性別 男性
将来の夢 旅立つときには、ひとりでも多くの人に見送られたい。
座右の銘 「これでいいのだ」

投稿済みの作品

3

御堂筋線・赤色の謎

16/05/02 コンテスト(テーマ):第107回 時空モノガタリ文学賞 【 色彩 】 コメント:4件 あずみの白馬 閲覧数:1265

この作品を評価する

「大阪の地下鉄御堂筋線の赤はね、血の色なのよ……」
 長野県中部にある、安曇野(あずみの)高校の放課後。新聞部の副部長、1年生の白井康永(しらい・やすなが)は、クラスメイトから聞いたと言う噂を、部長である2年生の西崎みはる(にしざき・―)にまことしやかに話した。

「で、その噂話がどうしたわけ?」
 みはるはあまり興味が無いと言った様子で聞き返す。

「だからさ、この話のことを調べに大阪行こうよ。何かの呪いとかかも知れないし、もしかしたらスクープになるかも」
 御堂筋線利用者にしてみれば失礼な話だし、学校新聞にスクープ記事など無くても良いものだが、康永はなぜかこういうものを取材したがる。もっとも、
「それだけのために大阪? そんなお金どこにあるの!?」
「そこは部費を使えば」
「学校からもらえるお金なんてたかが知れてるでしょ! そんなの大阪まで行かなくたって、これで十分調べられるじゃない!」
 みはるに止められるのがいつものパターンだ。そして彼女の指差した先にはパソコンがある。
「またこれかあ……」
「これで調べて、それでも大阪行かなきゃいけないことがあるなら考えてあげる。私は球技大会の記事書いてるから」
「はーい」
 康永は面倒くさそうに返事をして、パソコンの検索サイトを立ち上げる。
「御堂筋線、ラインカラー、で検索したら出てくるかな……」
 早速インターネットの百科事典サイトにそのことが書かれている部分を見つけた。
「おっ、本当に血の色なんだ」
「は? マジで!?」
 そこに書かれていたのは……
『御堂筋線のラインカラーは、大阪の大動脈と言う意味で赤色となっている』

 これを見て康永はがくりとした。
「そういうことかぁ」
「確かに血の色だけど、呪われてるとか言う意味じゃないみたいだから、大阪行く必要は無さそうね。ここにある情報で十分記事書けるから、貸してみて。あなたは校内でみんなが球技大会の準備しているところを撮ってきて」
「えー!?」
「白井君の方が写真は上手なんだから、頑張って」
「……、はーい」
 
――30分後

「先輩、写真撮って来ました」
「お疲れ様、ちょうど出来たところよ」

 みはるは康永に出来上がった原稿を見せた。

「ざっとこんなものね」
「先輩、流石ですね」
「でしょ!?」
「だけど、大阪行って、本場のお好み焼き食べたかったな」
 それを聞いたみはるは康永を小突いて、
「はじめからそれが目的だったんじゃない! これで我慢しなさい!」
 そう言うとテーブルの上にパックに入ったタコ焼きを置いた。
「家に帰って食べようと思ったんだけど、多いから一緒に食べましょ」
 それを見た康永の目が輝いた。
「あ、ありがとうございます!」
 その目の輝きを見たかすみは、
「か、勘違いしないでね! 調理実習で作ったんだから」
 そう言いながらも、思わず顔を赤らめてしまった。
「何の勘違いですか?」
「な、何でもいいじゃない! あと、食べたら写真見せてね。出来れば今日中に仕上げたいから」
「はい。ところでこれ、美味しいですね」
「ふふ、ありがと」
「先輩、黙ってれば美少女なんだから、その性格さえ……」
「何か言った!?」
「いえ、なにも」

===
『ラインカラーは人とともに』

 大阪の地下鉄、御堂筋線の赤は血の色……、ホラーを感じるこの話を聞いて、真相を確かめるべくインターネットで調べてみた。
 結果、それは『大動脈』と言う意味で、ホラーでは無く、私たち生きている人間の血の色だと分かった。
 さらに調べを進めると、他の路線のラインカラーにも意味があった。

⚫谷町線(紫色)=お寺さんの高僧が着る袈裟の色
⚫四つ橋線(青色)=御堂筋線に対し「静脈」の色
⚫中央線(緑色)=大阪城公園の周りの森の色
⚫千日前線(桃色)=繁華街のネオンの色
⚫堺筋線(茶色)=乗り入れ先の阪急電車の色
⚫長堀鶴見緑地線(黄緑色)=国際花と緑の博覧会をイメージした色
⚫今里筋線(オレンジ色)=街に昇る朝日の色

 この中で、公式のものは長堀鶴見緑地線のみで、その他は利用者の間の推測がいつの間にか定着したらしい。
 つまり、人の想いが作った色とも言えるのだ。
 私たちの進む人生にも、目に見えない想いが「ラインカラー」を作っている。みんなの色も素敵な意味合いであって欲しいと願う(白井康永)
===

参考資料:wikipedia「大阪市営地下鉄」
地下鉄広域路線図:パブリックドメイン


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

16/05/11 あずみの白馬

>海月漂 さん
 ありがとうございます。
 御堂筋線は、山手線に負けない高頻度運転(ラッシュ時は2分15秒毎に1本)と聞いたことがあります。ラッシュ時の血の色と言うのもうなづける話です。
 海月さんの色はきっと素敵な色だと思います。

16/05/19 冬垣ひなた

あずみの白馬さん、拝読しました。

御堂筋線の赤はそういう意味だったのですか。
いつも利用しているから、親しみがわきます。ラッシュは勘弁ですが。
人の想いが作った色、人生のラインカラー。素敵な言葉ですね。
みはるさんと康永君のキャラクターも魅力的で、楽しかったです。

16/05/21 あずみの白馬

>冬垣ひなた さん
ありがとうございます。
御堂筋線は旅行で乗った時、ホンネで生きる街、大阪のパワーを感じました。
ラッシュはすごく混みそうですね……

人生のラインカラーは誰が引くのか、と考えてみるのも面白いと思います。
みはる、康永コンビはちょくちょく登場するかも。これからもよろしくお願いします。

ログイン