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吉岡 幸一さん

性別 男性
将来の夢
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センチメンタルカラー

16/04/30 コンテスト(テーマ):第107回 時空モノガタリ文学賞 【 色彩 】 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:807

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この世は色彩に溢れていると言っていた君が
僕の前から姿を消してすべての色彩が涙の内側に流れて行った
淡い桃色の春の季節が終わり、濃い群青色の季節へと変わろうとしていた時
別れの言葉もなしに君はまるで初めから存在していなかったように消えていった
想い出は幻、幻は甘美な夢、悲しみの雨は白く空へ登っていく


今日も楽しかったね、とデートの帰りに手を振る君は花が咲いたようだった
建築デザイナーになるのが夢だった君はいつも未来の住まいを語ってくれた
トロンボーンの甘い音色のような声で君は目を閉じて天井を見上げていた
手と手を繋ぎ、若葉が揺れる公園で笑いながらソフトクリームを舐めていたね
過去は濡れて赤く、未来は乾いた黒で、歓びの雲は山向こうに流れていく


私は夢を諦めない人と結婚したいの、と君は拳で僕の胸を叩いた
ぽろぽろと虹色の涙を流しながら何度も何度も僕の胸を打った
夢を諦めたわけじゃない、夢が逃げていくんだ
追いかければ追いかけるほど夢が遠くに行ってしまう
それでも追いかけてほしいの、と君は震えながら言っていた


絵筆をとって君の笑顔を描こう
色と色を混ぜ、君と僕が溶け合うように、この胸の内側に留まるように
春の花よりも美しく、夏の雲よりも白く、秋の山よりも赤く、冬の雪よりも優しく
僕は諦めないよ、けして諦めはしない
戻ってきておくれ僕の喜びよ、現れておくれ僕の色彩よ


夜深く窓を開け月のない闇夜に目をやれば、闇の中に無数の星が瞬いている
風は光をまぜて悲しみを和らげてくれる
あなたのことは大好きだけど、と君は申し訳なさそうに言った
あなたの優しさは弱さをごまかしているよう、と君は寂しそうに言った
期待が大きいほど苦しみも大きくなるの、と君は泣いた


雨の日は七色の大きな傘が必要ね、両手をひろげ君は雨に歌う
僕は君との想い出を背中に背負いながらまっすぐに前を向く
苦しみは桃色で、甘い涙を流しながらも透明な恋人を生んでいく
ありがとう、ありがとう、この世は色彩に溢れている
新しくキャンバスに塗る色はきっと青空の色になるだろう



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