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ハセケンさん

趣味で小説投稿始めました。 好きなものは豚カツとメロンパン(クリーム入りは邪道) 書くジャンルの決まりは特になし。 以後よろぴく

性別 男性
将来の夢 作家志望と言いたい所だけど、物語をイメージするのが好きなだけでそれを職業にしていこうとはあまり考えていない。 将来なりたい自分、理想は未だ無し 尊敬している偉人はスティーブ・ジョブズ
座右の銘 人間が一番喜ぶ瞬間は見えないところで努力している姿がバレちゃった時(by伊集院光)

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お父さんのハンバーグ

16/04/21 コンテスト(テーマ):第78回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 ハセケン 閲覧数:911

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ある朝、小学生になった娘のつぼみがこう
言いました。「お母さんのつくったハンバーグが食べたい」だけど、つぼみのお母さんはもういません。娘が4才の頃、お母さんは天国へと旅立ちました。乳がんだった。
日々の家事と育児に追われて見つかった時はもう手遅れだった。そんな母の得意料理がハンバーグだった。
皆でいっしょに食べた夕食の時間、つぼみはいつも笑っていました。
けど、お父さんと一緒に食べる今のごはんはいつもコンビニ弁当や外食ばかりで食べるときはいつも静か。
お父さんは娘のおねがいを断りました。
お父さんは料理が苦手で、失敗してしまうのがこわかったからです。
つぼみは泣きました。
注射のときでも泣かなかったつぼみがこの時、初めて声を出して泣いたのです。
会話のない食事のくりかえし、辛くてたまらなかった娘の心にあった何かが、大きな音をたてて壊れました。
お父さんはなにも言わずに娘を抱きしめてあげました。
その夜、泣き疲れて寝ている娘のために、お父さんはハンバーグをつくることにしました。
生地を焼いているとき、ハンバーグのにおいで娘が起きてきました。
つぼみは「お母さんのにおいがしたからおきてきたの」と言いました。
ハンバーグを焼いている時、つぼみはお父さんに母といた頃のある話をしました。
「つぼみ、お母さんと約束したことがあるの」
つぼみは病院の中でお母さんと会えなくなることが寂しくてひとりで泣いていました。
その時、お母さんが娘にこう言いました。
「つぼみが泣いちゃうと私も泣きたくなっちゃうわ。辛いときは笑うものよ」
それ以来つぼみは泣かなくなりました。
その話をして、つぼみは言いました。
「つぼみ悪い子かな。お母さん泣いてるかな」それを聞いてお父さんは首を横に振ってこう言いました。
「お母さんもつぼみがいないとき、ベッドの上でいつも泣いていたんだ。大人も辛い時は泣くんだ、つぼみはいい子だから泣いたっていいんだよ」つぼみはまた泣きました。
なんだろう?部屋の中が焦げ臭いにおいがします。つぼみと話している間にハンバーグが焦げてしまったのです。
お父さんとつぼみはお父さんがつくったこげこげのハンバーグを一緒に食べました。
「お母さんのようなおいしいハンバーグが出来なくてごめんな」でもつぼみはお父さんがつくってくれたハンバーグをムシャムシャとおいしそうに食べていました。
つぼみが食べている所を見て、お父さんは思いました。
料理をすることは少し面倒なことだと思っていたけれど、面倒だと思っていたことが実は大切な事につながっているのかもしれない。
最後に娘といっしょに皿洗いをしました。
ソースの油と一緒に心の中のよごれも洗い流されていくようでした。
お父さんは言いました。
「つぼみ、お父さんのハンバーグ焦げちゃったけど、またお父さんと一緒に料理作ろうな」それを聞いたつぼみは笑いました。
お母さんと一緒にいたあの頃のように。


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