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ぜなさん

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Blue Bird

16/04/15 コンテスト(テーマ):第107回 時空モノガタリ文学賞 【 色彩 】 コメント:0件 ぜな 閲覧数:596

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 青色の夢を見た。何もかもが青だった。
 海だとか空だとかそんな区別がつくような青色じゃなくて、ただの青色が広がった空間にいた。じっと一点を見つめていると、自分の目も青色に侵されてしまうのではないかと思うほど鮮やかな青だった。その青色からふわりと何かの形に一つだけ切り取られ、浮かび上がる。それは、鳥の形をしていた。青い鳥だ。幸せを呼ぶ鳥だ。
 僕はその青い鳥を追いかけたが、周りの青色と同化してしまい、一瞬にして見失ってしまう。

 どこにいった? 青い鳥はどこだ? 僕に幸せにしてくれる青い鳥はどこだ?

 忙しなく僕の目は青い鳥を探す。しかし、周りは青色ばかりで、一向に鳥の姿を見つけることができない。先ほどみたいに、鳥の姿が出てきてくれないかと待ってみるものの、鳥は全くと言っていいほど姿を現さなくなった。
 青色に僕の目が疲れてきたので、目を閉じてみる。それでも、僕の目の裏には、青がすでに映っているので、とうとう僕の目が青に侵されてしまったことに気づく。瞬きしてみても、青色は取れなかった。僕の目が青く濁る。
 冷静になってまた鳥を探そうとして目を見開けてみる。すると、スーッと僕の真横を一つの影が通り過ぎた。それは、先ほどまで、必死になって探していた幸せを呼ぶ青い鳥だった。僕は、その幸せを掴もうと手を伸ばす。これで、僕も幸せになれると思った瞬間、鳥は砕けるように消え、サアっと一気に青色の空間は失われ、僕は真っ暗な空間へと放り出された。

「幸せになりたい」

 ただそれだけを願っただけなのに、それは叶うことなく崩れ去る。僕は、幸せを手に入れることができなくなった。
 その場に座り込み、嗚咽をする。あの青い鳥を掴むことができれば、僕は、皆と同じような幸せを味わえると思っていた。どんな幸せでもいい。僕は、それを感じることさえできればそれでよかった。しかし、それができなくなったことがあまりにもショックで、漏れる声は大きくなり、涙が次から次へと零れてくる。その涙は、僕の手の中に流れてくる。透明のソレは、青色でもなく、黒色にもなることなく、僕の手のひらでキラキラと輝く。
 すると、そこへ、泣いている僕を照らし出すかのように、突如、空から一筋の光が注がれる。温かい光に手を伸ばすと、何かに引っ張られるかのように僕の体は、光の中へと吸い込まれていった。




 体が揺すられる。僕を呼ぶような声がする。そっと目を開いてみると、僕は揺りかごの中で眠っていた。僕を覗くように誰かの影が覆い被さる。スーツを身に纏い、金髪の長い髪を一つに束ね、碧色の瞳が特徴的な女性が、硝子越しににっこりと微笑んでいた。
 揺りかごの硝子が開き、僕は体を起こすと、女性が僕に手を差し伸べてきた。その手に手を重ね、僕は揺りかごから降りる。

「いかがでしたか? シアワセ体験は?」
「シアワセ体験?」
「覚えていらっしゃらないですか? あなたは我が社が作り上げた、人間が感じる幸せ≠ニいう未知なるモノがどういうものなのかを体験なさっていたのですよ。一人一人が想像する幸せ≠具現化させるのです。あなたが思う幸せは、青い鳥のようですね」

 未だに意識が朦朧とする僕の胸元に、女性は、青い羽根を添えた。そして、僕を後にして、女性は他の揺りかごに眠る人たちの所へと歩いて行った。コツコツという女性の立てる足音を聞きながら、僕は胸元の羽根を手にする。すると、まるで、羽根は僕の手からすり抜けるように、遥か彼方へと飛んで行った。


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