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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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目を閉じて全力疾走。

16/03/08 コンテスト(テーマ): 第76回 【 自由投稿スペース 】  コメント:0件 むねすけ 閲覧数:659

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和歌山のみかんと、網膜に沁みる彩色で書かれた段ボールには、
みかんばかりが入っている。
おしくらまんじゅうを、性的なうずきなくできた頃が僕にもあったと、みかんを見て思いだしている場合ではない。

死体をどうする。

飼っていた猫が死んだのだ。

もう永くありません、最期は見られたくないかもしれませんが、見ててあげてくださいと、
動物病院の前歯のないおばさん先生に言われたとおりに、三日三晩腰ひもと尻尾をくくりつけて、
最期の夕方は抱きしめていた。
僕の心音よりも早く、ミイコの心音は早歩きで、僕を置き去りにするつもりなんだと、
悲しく泣いた。
僕だって
死んじまいたいや。

ダンボールにつけられた大きな輪ゴムを弦のように張ってはじく、
上手にパイプラインが弾けるまで。
続けてみるつもりだったのに、みかんの中に人食いが混じっていたようで、それは中断を強いられる。

人食いがまだ、みかんでよかったな。
ホット安堵のため息、
近親者が食に関する生業に従事しているものは、五年に一度人食いの被害に会う。

五年前は人食いカボチャだったので、それはそれは、
死闘の末に危うく左手の小指を失いかけた。

みかんだぞ、今回の人食いは、
「こりゃおじさん、ずいぶん不作だったんかな」
呟きつつ、
左足のすね毛に喰いつかせておいた人食いの奴を、
天井に叩きつけてやるために勢いよくひっつかんで、

その瞬間、
僕の心音が、
猫のミイコと
同じ速さで、
動いて、

グッとくらんだ視界が自重を奪う。

心臓が、心臓が僕を置き去りにして、どこまで。
みかん、だ、君はただのみかんだ、見てみろ段ボールの中の友達を、
と、さっきまでの闘志を裏返す臆病者になって語り掛けるも、
元よりそいつは人食い。

あぁ、肋骨をしゃぶられている。
くすっぐたいだけ。
でも、血が血が、

ミイコの隣に誰が、僕を埋めるんだ。



時々、
死ぬ夢を見ます。
だけど、目が醒めます。
今日も、目が醒めます。


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