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みやさん

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Ms.スイートスイーツを探して

16/03/01 コンテスト(テーマ):第104回 時空モノガタリ文学賞 【 映画 】 コメント:0件 みや 閲覧数:762

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朝目覚めて洗面所に行くと、昨日まで一緒に暮らしていた女の家に歯ブラシを置いて来た事を彼は思い出し、まぁいいか、と歯磨きは諦めて口を濯ぐだけで済ませて、こういう所がダメなのかなと苦笑いした。

身支度を整えてリビングに戻ると、スマートフォンに昨日まで一緒に暮らしていた女と知り合った同棲迄をサポートしてくれる企業から新しい女性紹介の新着メールが届いていた。同棲がふしだらだと認識されていたのは遥か昔の事で、現在では結婚迄に同棲する事は必要不可欠な事項となっている。唯、同棲する事により相手を深く知る事が出来るメリットもあるが、知られたくなかった自分の欠点を相手が知る事によって関係が崩壊してしまうデメリットがある事もまた事実である。

知り合って同棲して結婚してめでたしめでたしー映画ならそれでthe endだけれど、現実はそうはいかない。紆余曲折の人生のその先はまだ続いている、to be continuedー
昨日まで一緒に暮らしていた女からの続きを予感させる新着メールは届いていなかった。

「追い出されたのか」
ランチのスープを飲みながら彼の同僚がニヤニヤしている。
「まあ…」
それを聞いて同僚はますまニヤニヤした。
「上手くやっていけそうだったのにな。原因はなんだ?」
「DVDを一緒に観ていて…二人共映画が好きだし好みも合うから何を観るかは問題じゃないんだけど、”レオン”を観た後に”ショーシャンクの空に”を観ようという事になって、僕が観終わった”レオン”のDVDを”ショーシャンクの空に”のケースに入れようとしたら、何ていい加減なの信じられない!って彼女が急に怒りだしてさ」
「…俺もそのタイプだけどな」

昨日まで一緒に暮らしていた女と知り合ってからの彼の人生は甘くとろけそうな程だった。ルックスは好みのタイプ、趣味も合い、性格は真面目で頑固なのが玉に傷。身体の相性は最高に良かった。正にとろける程に…子供が甘いお菓子に夢中になるように彼もスイーツの様に甘い女に完全にノックアウトされていた。上着のポケットからスマートフォンを取り出してチラリと見る。スイーツの様に甘い女からの新着メールは届いていなかった。

彼には今まで付き合った女性は数は少ないけれど、何人かはいた。どの女性とも長続きしなかったのは自分のこのいい加減な性格が原因なのかもしれないと彼は思った。いい加減、適当、アバウト!神よ何故もっと僕に繊細さを与えてくれなかったのか…彼は神を呪った。

「僕がいい加減だから…」
彼はそう呟いて溜息を零した。
「ちょうど良いんじゃないか?」
同僚は食後のコーヒーを飲みながら励ます様に男に言う。そう言われて不思議そうな顔をしている彼に同僚はもう一度言う。
「いい加減くらいがちょうど良いんじゃないかな」
「何故?」
「完璧だと、ほら、疲れるじゃないか。気を抜けないって言うかさ、息が詰まると言うか、そんな感じ。いい加減が良い加減、なんじゃないかな」

同僚のジョークに励まされてランチを終えて彼が職場のデスクに戻ると、デスクのノートパソコンがスイーツの様に甘い女と知り合った企業からの新しい女性紹介の新着メールをまた受信していた。

「新しい女性を紹介して貰うか?」
その画面を覗き込みながら食後の二杯目のコーヒーを手にして彼の同僚がまたニヤニヤしている。
「いや…手は打ってある」
彼はカタカタとスイーツの様に甘い女にメールを打ち始めた。

タイトル:こんにちは

本文:歯ブラシを置き忘れたので、今夜お宅に取りにお邪魔してもよろしいですか?

送信ー

「なかなかやるね、策士だ」
それを見た同僚は感歎の声を上げた。
スイーツの様に甘い女はどう思うだろうか?欺とい、と思うのか、それとも本当の馬鹿だと思うのか?けれど歯ブラシをわざと忘れる事位しか、スイーツの様に甘い女との関係をthe endにしない術が昨日の彼には思い付かなかった。面白がる同僚を自分のデスクに戻れと追いやると、スイーツの様に甘い女からの新着メールをノートパソコンが受信した。

タイトル:こんにちは

本文:もちろん構いませんよ。お待ちしています。

彼はガッツポーズをした。まさかもう歯ブラシが捨てられてしまっている、なんて事は無いだろう。仮に捨てられてしまっていても、大丈夫。洗えばまだ使える。それを見てスイーツの様に甘い女は信じられない!と唖然とするかもしれない。それでもまだ、to be continuedー物語は続いている。



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