デーオさん

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性別 男性
将来の夢
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春眠

12/08/20 コンテスト(テーマ):【 猫 】 コメント:0件 デーオ 閲覧数:1268

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男は飼い猫マリーの声に半覚醒の状況から少しずつ周りの状況を確認し始めた。夜明け間近なのだろう半端な光が窓から入り、部屋をグレーゾーンにしている。春眠暁を覚えずとは誰が言ったことばだったろうとまだぼーっとした頭で考えてみる。すぐに、考えるまでもなくそもそも知らないのだったと、再び眠りに入ろうとした。

「にゃあああ〜」
マリーが鳴く。
「まだ、早いじゃないか」
男はそう言って、寝に入ろうと布団を顔が隠れるまで引き上げた。そのせいで足先が出てしまった。その足先を引っ込めて横向きになりまるで胎児のような姿になって男は眠りに入ろうとする。世の中に寝るほど楽はなかりけり、起きて……あれっ、次は何だっけ? ああ、そんなことはどうでもいい。次第に思考力を無くし、眠りの国からの軟らかい手で足を引っ張っていかれ、少し落ちた感じがした。

「んんにゃああああ」
マリーの怒ったような鳴き声によって、また起こされてしまった男は、枕元の時計を見る。
窓から入る柔らかな光は、もう起きなさいではなく、まだ寝ていてもいいですよと言っているようで、男は再び眠りへの態勢に入った。
<世の中に寝るほど楽はなかりけり、起きて働く浮き世のバカが>、ちょっと違う気がする。ああ、眠いのに答えも知りたい。浮き世のバカが最初かな?浮世の馬鹿は起きて働くだ。疑問が氷塊した嬉しさと、気持ちの良い眠気が少し覚めてしまった残念さをかみ締めながら男は仰向けになって、これが正しい寝姿だなどと誰に言うでもなく呟いて再び寝に入ろうとする。

ん? 起きて働く? ああオレも浮き世のバカだったと、今日は何曜日だ?と次第に覚醒していく頭で、月曜日だと知った。まだ遅刻する時間ではない、どころか半端に早い時間だった。このまま眠ろうか、しかし寝過ごす可能性が大きい。布団の中で男は少し損をした気分になって傍らでずうっと待機していたであろうマリーを見た。

「起こすんなら、もっと後にしてくれよ」
男は言ってみても意味の無いこととわかっていても、つい口に出てしまう。
「にゃあ」
短く一声鳴いて、バカ息子がやっと起きたかというような態度でマリーが欠伸をする。
男が布団から出てのろい動作で着替えをする様子をマリーが見ている。そして男が着替えが終わる頃、おもむろに自分の寝床に入り、眠りの態勢に入った。

男はそんなマリーの様子を見ながら「オレが欲しいのは母親じゃなく妻なんだ」と呟いてみたが、妻が猫というのもどうかと思いなおし、恋人といえる女性を探さなくてはとまだ少しぼーっとした頭で決意するのだった。



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