1. トップページ
  2. ついてる彼女

霜月秋介さん

しもつきしゅうすけです。 日々の暮らしの中からモノガタリを見つけ出し、テーマに沿って書いていきます。

性別 男性
将来の夢
座右の銘 不言実行

投稿済みの作品

5

ついてる彼女

16/01/15 コンテスト(テーマ):第九十九回 時空モノガタリ文学賞 【 失恋 】 コメント:6件 霜月秋介 閲覧数:1575

この作品を評価する

 彼女と付き合って一年が過ぎた。彼女の名前は美咲。亜麻色の長い髪に、透き通るような声。俺を見つめる潤んだ瞳。すらりとしたモデル体型。ここで断っておくが、俺は彼女を外見のみで選んだわけじゃない。大事なのは見た目よりも心。見た目がいくら綺麗だろうが心が醜ければ付き合いきれない。そう。俺は彼女の内面に惚れたのだ。彼女のおっとりとした優しいところに惚れたのだ。そもそも彼女とはネットを介して知り合ったのだ。お互い外見がわからぬまま、チャットを交わしているうちに彼女の内面に惚れたのだ。ゆえに外見がいいから惚れたわけではないのだ。
 一年。いままで俺は彼女と清い付き合いをしてきた。立ち入るところは立ち入らず、一定の距離感を保ってきた。でもそろそろ、もう少し関係を進展させたいところである。いや、もちろん彼女を愛しているからであって、他意は無い。変な下心は無い。神に誓っていう。
 そしてついに、そのときが来た。彼女と付き合い始めた記念日である今日、ホテルの一室で美咲と二人きり。お互い抱きしめ合っていた。
「ねえユウちゃん、あたしのどんなところが好き?外見?」
「違うよ。俺のことを、そこいらにいる外見だけで判断するような薄っぺらい、つまらない人間だと思わないでくれ。俺は美咲のその純粋な心に惹かれたんだ。嘘じゃない。俺は最高についている男だ。美咲のような心の美しい女性にめぐり会えたのだから…」
「あたしも、ついてるわ。ユウちゃんのような男性にめぐり合えて、本当によかった」
 そう。俺は最高についている男だ。美咲と出会ってから運気が上昇している。彼女と出会えて本当によかった。そう思う。










 しかしその三十分後、俺はホテルから逃げ出した。自分で金を払うことなく、無我夢中で逃げ出した。走った。走って走って、走りまくった。あのホテルの一室で、俺と美咲がお互いに生まれたときのままの姿を見せ合ったとき、俺の中で何かが崩れた。いままで築いてきたものが音をたてて、一瞬で崩れたような気がした。それは例えるなら、蝶が飛び回るお花畑が突然現れたダチョウの群れにズタズタに踏み荒らされるような、バスタブにリラックスして浸かりながら見上げた天井に無数のカメムシが張り付いていた時のような心境。彼女には…美咲の体には、あってはならないものがあったのだ。男性には付いているのが当然であり、女性にはついていてはならないものが、ついていたのだ。いままで一年間つきあってきた彼女の正体は、『彼女』では無かったのだ。









「はぁ…また逃げられちゃった。なんだかんだ言って結局男は皆嘘つきね。男はみんな、外見で判断しちゃうのね。傷つくわ…」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

16/01/15 石蕗亮

拝読しました。
ついてる、ってそっちの意味だったんですね(笑)
間の取り方が気になったんですが、あのオチを見てなるほどと思いました。
書き方の参考になりました。面白かったです。

16/01/18 霜月秋介

石蕗亮さん、コメントありがとうございます。

最後のセリフが真っ先に思い浮かび、そこから作りました。
有りがちなパターンではありますが、気に入って頂けて光栄です。

16/01/19 滝沢朱音

えええっっ!(絶句)
それならちゃっちゃと確かめとけばよかったですね(笑)って、冗談です。
タイトルから伏線でしたかー、今回もやられました…お見事!

16/01/24 霜月秋介

滝沢朱音さん
コメントありがとうございます。しんみりした話を書くつもりが180度変わってしまいました。

16/01/25 泡沫恋歌

霜月 秋介 様、拝読しました。

最後まで読んで「ええぇ〜〜〜!!」と思いました。
この場合はいくらきれいでも性格が良くても・・・
ちょっと恋人にするのは難しいでしょうね。ご愁傷さま。

面白かったです♪

16/02/01 霜月秋介

泡沫恋歌さん、コメントありがとうございます。

驚いていただけて嬉しいです。性格よりもまず性別です(笑)

ログイン