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冬垣ひなたさん

時空モノガタリで活動を始め、お陰さまで4年目に入りました。今まで以上に良い作品が書けるよう頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。エブリスタでも活動中。ツイッター:@fuyugaki_hinata プロフィール画像:糸白澪子さま作

性別 女性
将来の夢 いつまでも小説が書けるように、健康でいたいです。
座右の銘 雄弁は銀、沈黙は金

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不朽の名作

16/01/04 コンテスト(テーマ):第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】 コメント:8件 冬垣ひなた 閲覧数:921

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「皆さん、あけましておめでとうございます!」
 2016年正月・神殿では猿年を祝う宴会が催され、羽織袴に身を包んだサル達が所せましと集まり、おせち料理に舌鼓を打ちながら、樽酒などを酌み交わして、和気あいあいとした雰囲気でございます。
 動物たちはこうして新年に得た神通力で、あらゆる包囲に目を光らせて、四季二十四節気を通じてこの国を災厄から守っているのですよ。
 ええ、私がどうしてこんな所にいるのかですって?それは1つ、気がかりなことがあるのですよ。毎年の恒例行事ですがね。


「今こそ革命だ、革命するニャー!」
 そのころ神殿の前では、白黒のブチ猫・ニケが鉢巻を締め雄たけびを上げておりました。三毛ならぬ二毛ですからね、ギリシャ神話の勝利の女神とは違います。
 しかし革命といいますが、まだ年賀状がお届きでない方だっているはずで、勝手に十二支に猫がとって代わるのは人間にとってもいい迷惑でしょう。
 おやおや、まだ何か言っております。
「全国にゃんこファンクラブの熱い声援にお応えして、今年こそ我らは猫年を勝ち取らねば!」
「ニケ、アタシ鳥類なんだチュン」
 猫の頭の上で雀のチチも溜息ばかりでございます。
「だいたい猫は皆、今頃炬燵でゴロゴロしてるチュン。新年早々ぼっち感半端ない……」
「ぼっち言うな!とにかくだ。行くぞ革命だ!」
 頭にチチを載せたまま、ニケは神殿に突っ込んできます。
 おや、サル達が何やら奥から引っ張り出してきましたぞ。
 先端のふさふさした新兵器、猫じゃらしマシンでございます。
 ニャニャーン!
 ニケの目がきらりと輝きまして、マシンにかじりついて尻尾を振り振り喜びました。またたび付きでございますから、そりゃあもう効果てきめんに酔っぱらったなりをしています、革命はどうしたのでしょう?
 サルがその首根っこを引っ掴むと、表の道にポイッと不法侵入者を放りだしました。いやはや、鼠取りのネズミを笑ってもいられません。
「くやしい、また失敗だニャ……」
「いい加減諦めるチュン」
「サルの奴頭がいいからなぁ」
 チチが止めるのも聞かず、ニケが向かったのは次の干支・鳥の神殿でございます。しかし、です。
「フギャアッ!」
「コケーッ!コココココッ!」
 気の早い話ですが、御来光を浴びたニワトリたちが今からウォーミングアップしております。荒ぶるニワトリに先制攻撃を受けて追い回され、逃げ出した時にはあちこち毛がむしり取られもう散々でございます。
「おのれ乱暴者め……」
「言わんこっちゃないチュン」
「もとはと言えばネズミの奴が悪いニャン!しかしこしゃくな奴らめ、今や世界中を支配下に納めているあのディズ……」
「ストップ!正月早々問題発言はやめるでチュン」
 さようですね。革命的な話ではありますが、話を戻しましょう。
「犬とはずっと勝負もつかないし……」
「猪はどうチュン?トラは?龍は?」
「オレに死ねというニャン?」
 革命と叫ぶ割に、意外と小心ですね。
「牛と馬と羊もデカイからパス」
「ヘビは?」
「生理的に駄目。というかマムシは死ぬ」
 すごく後ろ向きです。ファイティングスピリットなしです。
「そうだ、ウサギいこう!奴なら倒せそうだニャン」
 早速ニケ達はウサギの神殿に向かいました。
 しかしです。
 ウサギは鳴きません。噛みません。引っ掻きません。長い耳を動かし鼻をヒクヒクさせています。ぺたりとした足、フワッとした短い毛、丸い大粒の目、ツンとした尻尾。
「ああっ!」
「何でチュン?」
「革命に成功して、追放されたウサギはどうなる?」
「そりゃあ、ただの野ウサギでは?」
「こんなもふもふの愛らしい生き物が、巷に出回ってみろ!ラヴリーがウリなにゃんこの一大危機だニャン」
「安心だよ、もう雑誌やらで取り上げられちょっとしたブームだチュン」
「うおぁぁ!可愛さで負ける訳に行かないニャン」
 そうですね、私もそう思います。
「誰だ、お前?」
 ニケや、チチも気は済んだかい?そろそろ帰るとしようか。


 それじゃあ私はそろそろおいとまさせて頂きましょう。
 私の名前ですか?彫刻職人の左甚五郎と申します。いくら猫年が出来ても看板猫と相棒がいなくては、日光東照宮も淋しくなります。猫は寝る子で丁度ようございましょう。
 この彫刻の干支も生きているようでしょう?本物は温泉旅行ですよ。
 由緒ある文化がこんなことで良いのかですって?
 遥か昔から仏像はあったでしょう?驚くほどの事じゃありません。
 マシンだろうが、ロボットだろうが、技術革命なんてずっと昔からあって当たり前になったら忘れ去る、そういうものでございましょうな。
 この私も彫刻かって?これはうっかり、喋りすぎましたな。
 今日の事はどうか、見ザル・言わザル・聞かザルということで……。


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このストーリーに関するコメント

16/01/05 冬垣ひなた

≪補足説明≫
画像は「写真AC」と「イラストAC」からお借りしました。

16/01/06 霜月秋介

冬恒ひなたさん、拝読しました。明けましておめでとうございます。

ウサギが追放されたら困ります!私も兎年なのですから(笑)
それにしても寝ているネコは可愛いですね。癒されます。それに比べて猿ときたら何十匹もウチの庭の柿をかじりにくる!流石に見ザル言わザル聞かザルとはいきません!(笑)

16/01/06 泡沫恋歌

冬垣ひなた 様

明けましておめでとうございます。今年もよろしくO┓ペコリ

これは可愛いくて、楽しい革命ですね。
犬は十二支に入ってるのに、猫は入っていない。
人気もあるし、スター性もあるのに十二支に入ってないなんて納得いかないと思ってる人もさぞ多いことでしょう。
ここはひとつ署名を集めて、相談しにいきましょうか。
でも、どこへ持ってけばいいんだろう? 神社? お寺? どっちの管轄ですか。
いっそ、十三支でもイイかもしれないね( 〃´艸`)

楽しいお話ありがとう♪

16/01/10 冬垣ひなた

霜月秋介さん、コメントありがとうございます。

革命が成功したわけでありませんが(笑)、ベトナムでは兎年の代わりが猫年だそうです。
うちの猫は、パソコンさわっていたら遊びに来てなかなか書かせてくれません。
ニケはその子の名前です。猫って癒し系ですね。
サルは群れると怖いですが、霜月さん家の柿が凄くおいしそうに思えます(笑)。


泡沫恋歌さん、コメントありがとうございます。

十二支+猫の話はいつかやりたかったのです。
私の場合読みたいものを書くという自家発電方式なので、時に力及ばぬ所に挑んだりもしますが、
落語調の革命話、お楽しみ頂けて良かったです。
CM効果か、猫年を望む声がじわじわと広がっているようですね、大賛成です。
十三支もいいですね、アリかもしれません♪

16/01/10 滝沢朱音

おやおや、語り主は左甚五郎さんでいらっしゃいましたか〜
どうやら毎年、にゃんこの革命さわぎが起こっているようですね(ΦωΦ)
新年にふさわしいお話、楽しかったですにゃ♪ニャニャーン!

16/01/11 そらの珊瑚

冬恒ひなたさん、拝読しました。

そういえば、犬年はあるのに、猫年はないなあと思ったことがありました。
語り部が左甚五郎さんとは意外でした!
あれはほんとに「不朽の名作」ですね!
可愛いお話にほっこり…今年もいい年になるといいにゃんV(=^ ・ω・^=)v

16/01/21 光石七

拝読しました。
私も「何故ネコ年が無いんだ!?」と思っている一人です(笑)
ニャンて可愛くて楽しい革命のお話でしょう♪
語り手の正体とオチもよかったです。
楽しませていただきました。

16/01/22 冬垣ひなた

滝沢朱音さん、コメントありがとうございます。

彫刻は動いたらどうなるんだろう、そういう事はたまに考えます。
眠り猫はうとうと寝ながら、人間の話などは聞いているのですよ(*゚∇゚)
そして、にゃんこがあまりに革命しに来るから十二支も代理を立てたそうな(笑)
楽しかったと言っていただけて嬉しいです。


そらの珊瑚さん、コメントありがとうございます。

猫の乗った鏡餅を買いましたが、本当にブームが来ているようですね。
この話は誰かが書くかも……と思いドキドキしていました。
甚五郎さんの話は落語でもありますが、ふつふつと創作意欲湧きます。
本当に、今年もいい年になるといいですね!(=^・ェ・^=)


光石七さん、コメントありがとうございます。

猫年欲しいですね〜。ネズミのせいで猫が元旦に遅れたという話は
作った人本当にえらいなと思います。
落語は必ずオチを付けないといけないらしくて大変でしたが、
お楽しみいただけて良かったです♪

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