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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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雨の日は嬉しい。

16/01/04 コンテスト(テーマ):第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:774

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僕は雨が嬉しい。

雨が降ると、カタツムリが理科室の裏にたくさんいて、
上靴で踏むと、クシャッとした絶命の感触が足裏にのたくるから。

ううん、それは嘘。
それは嫌だったこと。

四年生の梅雨の時期に友達と鬼ごっこをしていて、
走った理科室裏で、うっかりふんじゃったカタツムリ。
殺すつもりもないのに殺してしまった命が、
もしも自分だったらと思うとぞっとして、
夜、毎週楽しみにしていたサジタリウス号も、喉を通らなかった。

僕は運動神経がない。
四年生で入部してみたバスケットボール部も、
体の動きで覚えることが多すぎて、辞めてしまったし。
ドッヂボールをすれば、投げ方が変だと笑われて真似をされた。

だから僕は雨が嬉しい。

今の時期だと、雨が降った直後から、
焼けた土に緑の草の息が混じった匂いがする。
あの匂いを嗅ぐと、楽しい楽しい大富豪の時間が思いだされて、
僕は胸の中がふわふわする。

四時間目のチャイムが鳴ると同時に、
クラスのみんなはピロティや、軒下のある運動場の端っこでボール遊びを始める。

晴れていると僕はみんながいなくなった教室で、
読みもしない図書室で借りたドリトル先生を眺める。

でも、
雨が降ると僕は嬉しい。

少し前のこと。

その日も雨が降っていた。
雨のせいで、教室内で誰の習字の字が下手だの、
スリーディーで浮き出て見える下敷きだの、
アニメのキャラクターのメンコのひっくり返し遊びだのでうるさくするのが、
何組かいて、
僕は机と椅子に別れを上靴の底で叩いてから、
旅に出たんだ。

雨の日の保健室は要注意。
暴れん坊主の巣になっている。
美人の保健の先生と、身長を計ったり座高を計ったりできるからだ。

でも僕は大丈夫なんだ。
四年生の頃に、朝吐き気がしたから保健室に行った。
そこで談笑していた保健の三石先生と、六年生の担任の女の先生に
口をゆすぐ姿が可愛らしいと、笑ってもらったんだ。
身長計る時に、ごつんと頭に勢いよくぶつけるぐらいしか、できない暴れん坊とは違うんだ。

口をぐちゅぐちゅと、膨らませたり、すぼめたりせずに、顔ごと振ってみせたんだ。
悔しかったら、それぐらい脳みそを使えよな。

保健室を避けて、
僕は雨の校舎を歩いていた。
上靴の底に、
冷たさを感じて、歩くのをやめた。

それは体育館横のコンクリートの階段だった。
雨の湿気がしみ込んで、ひんやりしていただけでなく、
一段だけ、上靴の向こうに、
冷たさを感じて、僕は「面白い」と呟いた。

下から七段目、
僕はそこに座っていた。
することもなく、名札の位置を微調整したり小さく折りたたんだ献立表を見たりしていた。
あちゃぁ、「何度確認しても八宝菜は八宝菜のままかぁ、ちぇ」

その時、
六年生の男子が二人と、女子が一人。
「なにしてんの」
と、声をかけてきた。

三人ともひ弱そうに見えて、
「ここの階段冷たさが違って面白いから」
と素直に言えた。

そしたらその三人、途端に苦楽を共にした旅の仲間に出会ったように、
「一緒にやる?」
と言うんだ。

ルールを知らなかった僕に、
女子の三塚さんが教えてくれた。
「4枚一緒のだと革命っていってね、3が最強になるん、2が一番弱くなるん」

雨が降ると僕は嬉しい。
あの日僕が起こした革命は、ジョーカー混じりの一回だけだったけれど。
もっと大きな革命も起こっていたから。





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