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seikaさん

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性別 女性
将来の夢 生まれ変わること
座右の銘 朝、一杯のコーヒー

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強制読書のロマンロラン

16/01/04 コンテスト(テーマ):第100回 時空モノガタリ文学賞 【 純文学 】 コメント:0件 seika 閲覧数:703

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ようやく私にも人並みに友達が出来た。放課後同じクラスのYやKと一緒に週刊セブンティーンを見ながらキャピキャピと話をしている時が一番楽しかった。Kは学校にGジャンを持ってきて放課後はおっていた。
「ねぇGジャン羽織らせてっ。」
と私が頼むと
「うんいいよ。」
とわたしの肩に掛けてくれた。GジャンにはまだKのぬくもりが残っていた。
しかし家に帰って来ると、家の中はクラシック音楽で満たされていた。二階では戸舞賛歌がクラシック音楽を聴きながら読書や研究をしているのだ。私はただクラシックのガンガン聞こえて来る居間でテレビを見ることも許されず、詰まらなそうな本が並んでいる本棚から何か物色するしかなかった。さっきまで教室でYとKと一緒に週刊セブンティーンを見ながらきゃぴきゃぴしていた私を知ったら、戸舞賛歌は確実に私をこの家から追い出すだろう・・・。
そして翌日も私は放課後、YやKと一緒にセブンティーンを見ながら駄弁っていた。
「ねぇ今度の土曜日、レインボータウンに一緒に行こうよ。洋服見に・・・。」
とYとKがしきりに誘う。しかし私は躊躇した。もしわたしYたちと一緒に繁華街にあるギャル服屋に行ったことを戸舞賛歌に知られたら、今度こそ殺されるかもしれない・・・。
「・・・。」
「大丈夫だよ、バレやしないよ。」
とYもKもそういう。私だって本当は行きたくてしょうがなかったので、それで一緒に行く約束をした。
 が私は着ていく服が無いので学校のジャージを着ていった。YとKはGジャンはショートパンツなんていうティーンズの格好で決めていた。
「あたしのGジャン羽織っていきなよ。」
とジャージ姿の私にKがニコリと笑って自分のGジャンを貸してくれた。
「ありがと。」
友達っていいな・・・と感じた瞬間だ。レインボータウンに行った。何もかもキラキラ輝いていて「生きている・・・。」と実感した。このままずっとKとYと一途所に居て、戸舞賛歌が居る家には帰りたくなかった。
 そしてKとYとで帰る途中、向こうから犬を連れた細身長身の四十代後半のおじさんがやってきた。紛れも無く戸舞賛歌と愛犬ブルックナーだった。
「やばー。」
全身が凍りついた。もうシカトするしかなかった、他人に成りすますのだ。そして戸舞賛歌とブルックナーは私とYとKの横を通り過ぎていった。無視無視それしかない・・・。
 できればKやYの家に帰りたいところだけどそうはいかない・・・ので戸舞賛歌のいる家に帰った。いつもは近所迷惑なぐらいにガンガン聞こえて来るクラシック音楽が聞こえてこない。そして家の中の雰囲気も重苦しい。夕食時も普段だったら新聞を朗読して詰まらない論評を得意げに聞かせる戸舞賛歌だが、このときは黙って食事に箸もつけない。
「やばい、絶対にバレている・・・。」
私はそうおもった。
「要らん。」
戸舞賛歌はそういって席を立ち、そして私に
「おい、山靴履いて待っていろ、何度も言わせるな。」
と命じた。私は言われた通りにするしかなかった。すると戸舞賛歌も山靴を履き私に
「よし、行くぞ、黙って付いて来い。」
という。もちろん言われたとおりにするしかない。戸舞賛歌は私を近くの里山につけていった。夜の山に人が居るはずも無い。戸舞賛歌は散歩道ではない山の傾斜をわたしに登らせた。そして山頂の神社につくと、私に
「さっきいっしょに居たヤツは友達か?」
ときく。わたしが
「同級生。」
とぽつりというと、
「ああいうヤツとはつきあうな、わかったな。」
という。さらに
「ああいう格好もするな。」
といった。イヤならこの家から出て行けっていうわけだった。
そして帰路、遠くに繁華街のネオンが見える。それをみて
「何もかも諦めるしかない。希望を来世に繋ごう。」
そう思うしかなかった。
 家に着くと、時計の音だけが居間に響いていた。居間の本棚を指差した戸舞賛歌は優しく
「ここにはこんなにいい本があるじゃないかっ。」
と笑顔で言う。なるほどそこには詰まらなそうな本ぱかりならんでいた。が戸舞賛歌はそこから一冊の本を取り出し
「これでも読んでみろ。」
という。ロマンロランのジャンクリストフといという詰まらない本だった。私は戸舞賛歌の前で読んでみたがどこが面白いのかさっぱりわからない。その様子を見た戸舞賛歌は
「何も焦って読むことは無い。こういう本は一生かけてじっくりと読むものだ。」
という。その笑顔の向こうには私がジャンクリストフを熟読した暁にはちゃんと受け入れてやるぞ、待っているから
期待を裏切るなっという身勝手な優しさがあった。

 

 

 

  い


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