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睦月 希結さん

駄文ですが、お付き合いの程を。 素敵な創作を拝読しつつ至らなさを痛感しています。精進・精進。 色々ご指摘真摯に受け止めさせて戴きます。 勿論お褒めのお言葉・ポイント等は24時間受け付けております・笑。

性別 女性
将来の夢 元気に、程々長生き。ポックリ祈願。
座右の銘 残ったもん勝ち

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革命は計画的に

15/12/24 コンテスト(テーマ):第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】 コメント:2件 睦月 希結 閲覧数:746

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 「早く月が昇る夜になれ。どれだけ この日を待ちわびたことか。アイツらの独裁も今夜限りだ」
そう呟きながら男は、ここのところ落ち着かない気持ちを持て余しながら いやこの日のために耐え忍んでいたんだ。
その含み笑いは社内でなければ(いやだからこそ通報されかねないレベル7状態だった)

「お父さん お仕事お疲れ様」「ほら これ美味しいよ」
見慣れた食卓には、男の好物が並び、晩酌もパチモンじゃない本物のビールだ。
男は妻子の機嫌が良い理由は判りきっている。それは自分も同じ。賞与が出たからだ。
そしてこの日は、兼ねてからの計画を実行に移す時でもある。それは、賞与を自由に使う権利を得ることだ。
ここ数年 いやそれよりも先に賞与という物は、男に使い道の発言の機会はなく妻子の独壇場だ。
その思いは今 口に含んでいるビールのように苦々しいものだった。

 だが、男は奮起した。一国一城の主の威厳が発揮出来るのは、今日この時をおいて他にはないことを。
「もとから俺の労働への対価なんだ。当然の権利を行使するだけなんだ」と息巻くが、国家は三人。労働者は彼だけの極小の国家だけどね。
ローンの分は仕方ないとして、残り半分 いや三分の一で良いからと、早くも気弱な決意だなぁ〜おい。
料理を口に運びながら男は発言の機会を伺っていた。久々のビールの旨さが身にしみる。酔った勢いで一気に決着をつけるんだ!!
「ビールのおかわりは?」と娘が男に缶を差し出した時「あのさ。今日のボーナスのことなんだけど」「ああ そのこと?実は私たちからも提案があるんだけど」 
妻の言葉に、男は びっくり箱のオモチャのように椅子から立ち上がった。(目は、すでに座ってるけど)
「いや今回だけは譲らんぞ!!俺がもらった賞与だ。俺の好きに使わせてもらう!お前たちには口出しする権利は一切ない!!」一息に喋ると急に妻子の反応が気になり心細くなった。
二人は互いの顔を見合わせ、そして同じように男の顔を見つめるとクスクスと笑い出す。
「何が おかしいんだ!!」男の顔が赤いのは、夕日のせいでも酒のせいだけでもなかった。
ひとしきり笑って気が済んだのか、妻が缶の中身を注ぎながら言う。
「やっぱり家族なのねぇ〜。私達も同じことを考えてたの。お父さんに好きに使ってもらおうって。ね?」と娘にも同意を求め彼女も肯首している。
「えっ?本当か?後で嫌だって言ってもダメだからな」と子供がサンタと約束を取り付けかのような言い方だ。
「もちろんよ〜。お父さんを大事にしなきゃ。お父さんが頑張ってくれてるからこそなんだから」「そうそう身体には気をつけて無理しないでね」
「会社のお付き合いとかもあるんでしょ?一家の主として面目を立てておいてもらわなきゃ〜。私が恥をかいちゃうんだもの」
と、継母が改心した おとぎ話のような、どこかにスタッフが隠れてんじゃないかと、思わずカメラを探しそうになりつつも、男は内心躍り上がっていた。

(やったぁ〜やったぁ〜よぉ〜。俺はついに勝利をこの手に掴んだんだぁ〜〜〜)

 安心して気が抜けて、シオシオと椅子に座り直し、改めて家族の明日へと乾杯を交わした男が飲んでるのはビールだけど、心中は別な炭酸飲料にチェンジしているのだった。
その後も代わる代わるにお酌を繰り返され、ほろ酔い気分の男に「でも来年のボーナスで、娘と2人で旅行に行っても良いでしょ?」「えっ、でもお父さんは仕事があるし独りで留守番させるのって…」
と妻子が呟くのを聞いた男は「な〜に それくらい たまには女同士で楽しんで来いよ。俺は大丈夫だから」
「「本当?」」ハモる問いかけに大きく頷くのを見て二人は「「さすが お父さん!!」」と再び杯をすすめるのだった。

 しかし文字通り 勝利?の美酒に酔いしれている男は、気付いてなかった。
彼の見ていないところで彼女たちが、グッと腕を突き出し、互を見つめ美しい口角を上げて、 ほくそ笑んでいるのを。

そう彼女たちは、確かに父親のことを立ててるよね? 

指だけはさ。


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このストーリーに関するコメント

16/01/19 光石七

拝読しました。
妻と娘の見事な勝利ですね(笑)
でも、なんだかんだで良い家庭だと思います。
面白かったです。

16/01/19 睦月 希結

光石様初めまして。拙い作品にコメント等有難うございます。
後で思い返せば、ビールをこっそり発泡酒に。
今年のボーナスも旅行の準備費用に持っていかれても良かったのでは?
と、この妻子よりも更に鬼な作者だったりします。
でも良い家庭の方が、結果オーライでしょうか・笑。

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