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上村夏樹さん

はじめまして、上村と申します。 公募に挑戦するワナビです。突発的にショートショートを書きたくなる面倒くさい生き物。 最近、初めて買って読んだ詩集で泣きそうになるという、やはり面倒くさい生き物。 物書き、そして読者のみなさん、よろしくお願いします!

性別 男性
将来の夢
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君との恋が終わるとき、この手に残るモノは

15/12/21 コンテスト(テーマ):第九十九回 時空モノガタリ文学賞 【 失恋 】 コメント:0件 上村夏樹 閲覧数:591

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 相沢夏樹との出会いは暗くて狭い路地裏だった。
 彼女はそこでチャラそうな男にナンパされていた。
 近づいて男を追い払うと、
「ありがとうございます。助かりました」
 彼女は安堵の笑みを浮かべてそう言った。
 俺は絶句した……彼女があまりにも可愛かったから。
 絹糸のように細い髪。愛らしい笑顔。小さくて無防備な薄桃色の唇。彼女を構成する全ての要素に惹きつけられた。
 咄嗟に俺の口から出た言葉は、
「お、お友達になってください!」
 こうして俺は、ナンパ男を追い払い、正々堂々とナンパしたのだった。



 驚いたことに相沢さんとは同い年だった。童顔だし、絶対に年下だと思っていたのに。
 電話での会話が俺と彼女の日課になった。お互いの高校の話、進路の話、好きな音楽の話……少しずつ、二人の距離は縮まってきたと自負している。
 そんな日々が続いた、ある日のこと。
 相沢さんが放課後に会おうとメールで誘ってくれた。嬉しいが、会う場所が問題だった。
 メールにはこう書いてある。

『うちに遊びに来なよ。一人暮らしだから、親とか時間とか気にしないで?』

 気にするわ! 条件が整いすぎてて、男ならその気になるわ!
 お泊りするのはやぶさかではない。でも、初デートでチョメったら、がっついてる男って思われるかも。
「俺が誠実な男であるかどうか、相沢さんは試すつもりなのか……?」
 真意は不明だが、俺は相沢さんの家に行くことにした。



 デート当日、俺は相沢さんの住むアパートにやってきた。
「いらっしゃい。くつろいでいってね」
「う、うん。おじゃまします」
 彼女の暮らしている一室に上がる。
「へ?」

 いきなりのサプライズに、おもわず間抜けな声を上げてしまった。
 玄関にはスニーカーと男性用の革靴が置いてある。一人暮らしなのに何故男の革靴が?

「どうかしたの?」
「い、いやべつに」
 慌てて笑顔を取り繕って部屋に入った。
 ま、まぁ今のは見間違いだろう。気を取り直し、テーブル周辺に腰を下ろす。
 そのときコンセントに繋がれたあるモノに目がいった。

 あれって充電中の……メンズの電気カミソリじゃね?

 う、うん。女の子も使うかもね……深剃りできるヤツにしか見えないけど、体毛は乙女のトップシークレットだ。深入りするのはよそう。
「トイレ行ってくるね」
「あ、うん。ごゆっくり」
 相沢さんは「何それー。ゆっくりしないからぁ」と笑いながらトイレに入った。
 よし。相沢さんに同棲中の彼氏がいるかどうか調べるチャンスだ!
 いけないとは思いつつ、俺は小さなタンスを物色した。やがて一枚の布を発見する。
「こ、これは……!」

 男物のトランクスだ。

「なんじゃこりゃぁぁ!」
 トランクスをフローリングに投げつけて悶絶する。
 男いるんじゃねぇか! なら家に誘うなよ!
 男心を弄びやがって……あのビッチ、許すまじ!
「お待たせ……ってやってるの?」
 戻ってきた相沢さんは蔑んだ目で俺を見た。
「相沢さん! 君、彼氏いるんじゃないか! この悪女め、騙したな!?」
「へっ? ぼく、男だけど。気づいてなかった?」
 相沢さんは「よく間違えられるんだぁ」とはにかんだ。
「う、嘘でしょ? こんなに可愛いのに?」
 小さくうなずく相沢さん。

 なんてこった。
 君は……この期に及んで、まだ俺を騙そうとするつもりか!

「こんなに可愛い子が男なわけないよ!」
「そ、そんなに可愛いって言わないで。恥ずかしいじゃんかぁ……」
「それぇ! その照れる仕草! 女にしか見えないから!」
「でも男だもん」
「往生際の悪いヤツめ……なら俺に考えがある!」
 俺は相沢さんをベッドに押し倒した。
「きゃっ! ちょ、何するの?」
「直接体を触って確かめる。白状するなら今の内だよ?」
「な、何それぇ……わかったよ。君が納得するのなら、好きなだけ体を調べて。でも……」
「でも?」
「乱暴しちゃやだよ? 優しくしてね」
 瞳を潤ませ、上目遣いで俺を見る相沢さん。誘ってんじゃねぇよこのビッチが! うっかりちゅーしちゃうところだったじゃないか!
「じゃあ触るからね!」
 相沢さんの控えめな胸にそっと手を触れる。

 ……硬い。それにノーブラだ。

 いや俺は騙されない! 貧乳という可能性もある!
 俺は決心した。
「下も触るよ?」
「い、いちいち聞くな。ばかぁ……」
 エロ同人誌でよく見る台詞を聞き流し、相沢さんの股間に触れた。
 あ、なんかついてる。球形のモノが手の上でころころと動く。妙に生温かく、湿っていて、それでいて柔らかい。
「ど、どうかな?」
 相沢さんは顔を真っ赤にして俺に尋ねる。
「……いい玉もってんじゃん」

 俺の恋は思わぬ形で幕を閉じたのだった。


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