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欽ちゃんさん

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性別 男性
将来の夢 顔が笑いじわだらけのじいちゃんになる
座右の銘 明日会えるけど今日も会いたい

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安心してください。落し物見つかりましたよ

15/12/17 コンテスト(テーマ):第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】 コメント:0件 欽ちゃん 閲覧数:719

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僕の職業は警察官
...正確にはさっきまでは警察官だった

今朝、仕事をクビになった
僕に何も悪くない
まじめに働いて職務を全うしただけだ
市民を幸せにすることの何が問題なんだ
朝から僕のことは事件としてニュースで取り上げられ、
どのチャンネルを回しても中学の卒業アルバムの僕の写真が映っている
写真が欲しかったら成人式の立派な写真をあげたのに。。。


昨日は夜勤だった。交番の奥の休憩室で雪の宿をバリボリしながら梅昆布茶をすする
これが合う!!!
「あのー、すみません。落し物しちゃったんですけど」
突然の来訪者に指に残った雪の宿を舐めながら長机とパイプイスの並んだ交番の主戦場へのトビラを開けた

佇む女性をパッと見た瞬間に全身にズゴーンと恋に落ちた
ティファールよりも瞬間的に、
できたてのたこ焼きより熱く、
どん兵衛が東西で味が違うと知った30倍の衝撃!!

あぁこの人と結婚したい

仕事帰りと思わしき女性は冷えた手を口元ではふはふ温めていた
か、かわいい..
「お、落し物ですね。では、この用紙に必要なことをお書きください」
へぇ〜、いい名前ですね、ほぉ〜、あの小学校の近くのマンションに住んでるんだねぇ。あっ年下ですかぁ、いいですねぇ
「書きました!」
「ほっ!あ、ありがとうございます」
思わず突飛な声が出てしまった。
「あの、何を落としたか書く欄がないんですけど..」
「安心してください。あなたの落し物は見つかりましたよ」
「え?」
「ほら、目の前にあります。あなたは僕を恋に落とした。だからあなたの落し物は...僕だ」
「いえ、サイフを落としたんですけど」
なるほど!最初から持ってもいないサイフを落としたことにして僕に会う口実を作ったってことか。
諸葛孔明レベルの策士だな
「照れ屋さんですね」
「え?あの、サイフは..」
「はいはい、わかってます。初めて会った僕に名前・住所・生年月日・連絡先まで教えたあなたのアプローチは拳銃の弾よりストレートですね。見事に胸を打ち抜かれちゃいました」
「だってこの紙に書いてって言われたから」
「もう素直になりましょうよ」
もうすぐ妻となる女性の手を優しく握り締めた
「ちょ、なんですか!もういいです。帰ります!」
「ちょっと待ってください。現行犯逮捕します」
「何でですか!?」
「公務執行妨害です。僕はもうキミのことで頭がいっぱいなんです。これじゃ仕事に手がつかない。職務を妨害した立派な犯罪です」
「さっきから何を言ってるんですか」
「判決は無期懲役ですよ。でもあなたの行く先は留置所ではありません。生涯僕の家庭に入っていただきます」
決まった!警官だからできる決めゼリフ!!
「いやっ!帰ります!」
「もうすぐ仕事終わるから一緒に帰りましょうよ。あなたの新居である僕の家に。焦らなくてもこれからずっと一緒にいられますよ」
「いやです!」
「手を出してください。突然の出会いだったので今はこれしかありませんが...」
女性の左手薬指に手錠をはめようとしたがやはり大きすぎた
お互いの左手首に手錠をかける
「僕たちはもうすぐ夫婦になるんです。先ほど書いていただいた書類、実は写しになっていて2枚目は婚姻届なんです」
女性から表情がなくなった
こんなに感動するサプライズはないだろう
いつか来ると信じていた今日のために仕込んでおいた甲斐があった
「私結婚してますから!!」
「安心してください。僕も結婚しています。子供も2人います。でも諦めないでください!多夫多妻だっていいじゃないですか!二人で日本の法律に革命を起こしましょう!!」


その後、たまたま非番だった上司が通りかかり、僕は警察官をクビになった
今でも何が悪いのかわからない
交通違反の取締り、非行少年の保護、法律に準ずる
頭の固い官僚達には市民の幸せを願う僕の強すぎた正義感は受け入れられないらしい
でも正義はなくならない
あの女性は慌しく朝食の準備をしている
僕は女性の夫の寝息が途切れないように、ベットの下からそっと這い出た。


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