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空乃星丸さん

私がこの時空に現れて、地球は太陽の回りを60周しました

性別 男性
将来の夢 ピンピンコロリ
座右の銘 われ思う、x”&%

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宇宙人来たる

15/11/22 コンテスト(テーマ):第六十八回 【 自由投稿スペース 】 コメント:0件 空乃星丸 閲覧数:788

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 満天の星。博士は助手と夜空を眺めていた。今日は絶好の天体観察日和。山の頂上にドーム型の天体望遠鏡があり、この天文台が博士の研究所であった。
望遠鏡を覗く前に、屋外で2人、空を見上げていた。

すると、金色の円盤が博士たちのところに降りてきた。円盤が浮かんだまま、底のドアが開き、青白い光線とともに、2人の宇宙人が下りてきた。テレビや雑誌で見る奴。目と頭が大きく、2つの鼻孔があり、口が小さく、華奢な体を銀色のようなコスチュームに包んでいた。
「ワレワレハ、ウチュウジンダ。オマエタチモ、ウチュウジンダ」
彼らは喉に手刀を小刻みに当て、声を震わせ、棒読みで、いかにも宇宙人と言う声を出していた。博士と助手は、ポカーンと彼らを見ていた。宇宙人の一人が言った。
「コノホシヲ、カンサツシタ。オマエタチハ、ウチュウジンノコエヲダストキ、ノドニテヲアテテ、シャベル」
「それは、本物に会ったことがない、テレビ局のデレクターあたりが思いついたでんすよ、きっと」
と助手が言った。博士が宇宙人に言った。
「宇宙人さん、普通にしゃべってくれたほうが助かります」
「そうなんだ。じゃあ、普通にしゃべるよ。これでどう」
もう一人の宇宙人が普通とうより、どちらかと言うとため口でしゃべった。
「うあわー、今どきの、若い人みたいだ」
助手が言った。
「そうでっか、わてら新婚旅行で、こちらの言葉のアンドロメダ銀河や、かに座のガス星雲なんか見てましたら、道に迷ってもうて。そしたらあんた、ガソ燃も無くなってきてもうて、ここに降りたんですわ。なんかくれ」
今度は大阪弁っぽい。ガソ燃とはガソリンか燃料のことであろう。宇宙船がガソリンで飛ぶとは思えないから、燃料のことであろうと考え、博士は言った。
「燃料が無くなって困っているのですか」
「そう、それよ。燃料のことよ。まだこちらの言葉よく習得してなくて、わりいわりい」
一方は流ちょうな大阪弁に近い日本語を習得しているようである。もう一人の方はいろんな言葉が混ざっており、ま、なんとか通じる。
「こっちが妻のピリカ。わてはパロン、言いまんねん」
見た目、全然区別がつかない。しゃべり方で何とか区別できそうである。新婚旅行だから男女なのであろう。博士が尋ねた。
「燃料と言っても色々ありますが、どのような物でしょう」
「ワレワレハウチュウジンダ」
ピリカが手刀で喉震わせ、棒読みで言った。
「もうそれはええねん。普通にしゃべりなはれ。大体会話になっとらんがな」
パロンがピリカを叱った。博士と助手にはどっちがどっちか区別がつかなかった。
「質量がエネルギーですねん。わてらの星では1000万年前のカビの生えた理論でして……」
パロンが恥ずかしそうに言った。
……アイインシュタインの質量がエネルギーと等価である、E=mC2とによる、質量をエネルギーに変換する技術が、すでに実用化され、1000万年も繁栄しているとは。とんでもない科学文明が発達しているのであろう。しかし、公式どうりなら、1gの質量がエネルギーになると、200リットルのドラム缶1300万個分になる……
博士が思ったと同時に、
「そう、それですの。材料はなんでもよかですが、やはりこちらさんの星の金属が最高じゃ、われー。もうこっちは0.0001gしかない。持っとるならさっさと渡さんかい」
……ピリカは人の心を読む能力があるようだ。言語野に、まだ統制された概念が構成されていないようである……
と博士は思った。
「金属探知機持ってますさかい、何かええもん探しまひょ……」
パロンが金属探知機を取り出し、スイッチを入れると、探知機がすぐにピコピコなった。
「どこぞに良質の銅がありまんなあ。エネルギーとしてはこれが一番でんねん」
パロンが言った。博士は、昔読んだSF小説、“宇宙のスカイラーク”を思い出した。
……作者はE.R.バローズだったかな。主人公が金星などを冒険する。宇宙船のエネルギー源は銅であり、燃料が無くなると銅を探していたっけ。50年前には、すでにE=mC2を織り込んでいたのか。しかしこの宇宙人たちは1000万年前に……
と、博士は一人感慨にふけっていた。助手が
「銅なら10円玉、結構ありますよ。これ」
と言いながら、小銭入れからパロンに10円玉を7つ渡した。
「先生も持っているなら、あげたらどうです」
と助手に促され、10円玉を5つピリカに渡した。
「びえー、こんなにたくさん、もらちゃって良いわけ。こんなにあったら孫の時代まで楽に暮らせるじゃんか」
とピリカが言った。
「せやねん。こんなギョウサンのお宝。お礼せなあかん。かと言って、ろくなもんあらへん。でもこっちの星では金に値打ちがあるとか。わてらの排泄物、純金でんねん。一回の量は微々たる量ですけど、これが、あんた、10万年ほど旅行してますと結構ぎょうさん溜ってもうて、これの処理に困ってましてん。金は質量はありますけど、エネルギーへの変換効率めっちゃ悪いのでガソ燃にならしまへん。失礼かと思いますが」
と言ってパロンは20kg相当の純金を、有機物製の袋に入れて助手に渡した。
我々がお礼にコンビニの袋に入れた、あれを、朝のお祈りの時に検便のブツを、丸ごと渡すようなものである。もっとも、専門家の世界では黄金水なる言葉もあるようで、当たらずとも遠からずのような気がしないでもない。
助手は、ずしりとした重さに体がよろけながらも、受け取り、
「先生こんなに純金もらっちゃいました。分け前は7:5ですよね」
「わしも20円出すから半々と言うことで」
と言って、博士はピリカに20円渡した。
「ひえー、またこんなに銅が、いけてるう〜」
ピリカが言った。
「ピリカ、ガソ燃手に入ったし、行こか。先生、助手、どうもおおきに。ほなさいなら」
「また、来とくなはれや」
博士と助手はパロンにつられて2人、大阪弁で唱和した。
金色の円盤は次のリゾート?に飛び立って行った。
……思わず、さよならしてしまったが、彼らの星のことも、文明や生活などについてもっと聞きたかったわい。また、会えるとよいが。難しいじゃろうなあ……
と一瞬考えたが、彼らを見送ると、博士と助手は足早にと言うか、全速力で研究所に戻り、新聞の金の相場欄を探したのであった。


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