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長月フレンチクルーラーさん

性別 男性
将来の夢
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インセクトガール美穂

15/11/15 コンテスト(テーマ):第九十六回 時空モノガタリ文学賞 【 奇人 】 コメント:0件 長月フレンチクルーラー 閲覧数:754

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これは僕の二軒となりにある家の娘さんの同級生のお兄ちゃんの彼女の友達である、つまり僕の彼女の美穂の話なのだけれど、美穂が学校のない休日に僕の家に押しかけてきて僕の顔を見るといきなりわーんわーんと泣くものだから僕は一体何がなんだかわからないままとりあえず玄関で泣きじゃくる美穂を大丈夫だからって何度も囁きながら頭を撫で続けること四十分。やっと声をあげて泣くのをやめたけれど、僕の大好きな美穂の可愛い両目からはまだまだ大きな涙はこぼれ続けていて、けれどさっきよりはだいぶ落ち着いたみたいなので、とりあえず部屋に上がったら?という僕の提案にたいして、小さくこくりと頷いた美穂を僕は自分の部屋へと導いた。
 「それで、どうしたの?」
 「あのね、あのね。まさくん私のこと好き?愛してる?何があってもわたしのことみすてない?」
 「うん、僕は美穂のことが大好きで、超愛していて、何があっても絶対みすてない」
 「誓える?命かけれる?」
 「誓えるし、命だってかけれる」
 僕がそう言い終わるとまたわーんわーんと泣き出して、今度はいきなり服を脱ぎ始めた。美穂が泣き虫なのはいつものことだけれど、僕の目の前で服を脱ぐのは付き合い始めて二年間の中でも初めての光景だったわけで、一人の男である僕としては、ああ今日が僕の童貞卒業記念日になるのか、などと考えていた矢先脱いだのは上半身に来ていた衣服だけで(けれどワンピースだったから目の前にいる美穂はパンツ一枚)、子供の手のひらで抑えてしまえばすっぽりと隠れてしまう、今後の成長に期待するおっぱいを腕をクロスして必死に隠しながらくるりと後ろを向く。
 そこには羽は生えていた。
 どうしたのこれ?と僕が聞くとわかんない知らないの一点張りで、羽が生えちゃったよおと相変わらず泣き続ける美穂の背中から生えた小さな羽をじっくり観察する僕の視線のあまりの熱さに今まで泣いていたはずの美穂が、あんまりみないでよう恥ずかしいようと悲しみの感情が羞恥心に変わったことも構うことなく羽をつまんで少し動かしてみる。
 すると美穂はその小さな体をビクンと震わせてそのまま床に座り込んでしまう。
 羽なんて素晴らしいじゃないか、まさに天使のような可愛い美穂にぴったりだなんていつもの僕なら言ったのだろうけど美穂から生えているこの羽は天使から生えているふさふさした可愛らしいものではなく、というか鳥類のそれではなくどこからどう見ても昆虫の羽にしか見えなくて、しかも左右対称ならまだ格好がつくのだろうけれど右の羽は蛾の羽のように鱗粉がついて下向きにシュッと生えていて、左の羽はセミやハエのような鱗粉のついていない透明の羽が下向きにシュッと生えている。
 この生え方なら服着たら盛り上がったりしないからバレないね!って僕がいうとそういう問題じゃないからあってこっちを振り向きぽかぽかと僕を殴ってくる美穂はやっぱり可愛くって羽がえていようがいまいがそんなのは変わらない事実で、普通はこんな姿を彼氏に見せたくないからって隠すものなんだろうけど、泣きながらもこのことを僕に知らせてくれた美穂がやっぱりとても愛おしくてギュッと抱きしめる。
 そして今まで全く気づかなかったけれど、それは美穂がずっと涙で目を潤ませいたからであって僕に全く非がない衝撃の第二の事実は美穂の左目が、なんだかカラオケやスナック(行ったことないからイメージ)の天井についているようなミラーボールみたいになっているということで、昔に昆虫図鑑で見たトンボの複眼というものにソックリでその時、ああ美穂は昆虫になりつつあるんだなあと一人納得してしまった僕はこの事を美穂に告げるべきかどうか迷っている。
 自分が昆虫になりつつあるなんて知ったら絶対ショックだよなあ。
 それでも、美穂が蛾になろうが蝿になろうがトンボになろうが僕だけは美穂の見方でいなくっちゃ。だって彼氏なんだから。
 これは、そう固く決意した僕と、僕の二軒となりにある家の娘さんの同級生のお兄ちゃんの彼女の友達である、つまり僕の彼女の昆虫になりかけている美穂の愛と絆のお話し。
 


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