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アシタバさん

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奇人日和(奇人からの問題)

15/11/06 コンテスト(テーマ):第九十六回 時空モノガタリ文学賞 【 奇人 】 コメント:0件 アシタバ 閲覧数:696

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問1

日曜日。
待ち合わせによく使う駅前の広場は人が多かった。
自分と同じように人が来るのを待っている、そんな人達はみんなそろいもそろって携帯電話を熱心に覗き込んでいた。男も、女も、あっちにも、こっちにも。

じっと待つ者達もいれば、目的地に向かう者達もいる。
あの家族はデパートへ買い物に行くのだろうか? あっちのカップルは映画でも観るのかな。大学生らしき集団はカラオケへ行って、その後は飲み会の流れだろう。
とてもにぎやかで楽しげだった。

やりたいわけではなかったが、人の観察で時間をつぶしていた。
すると、何だ? 声? そう、人の声が聞こえてきた。

「……はどこですか? わたしはだれですか?」

何だ? 何だ?

すばやく声の主を探すと意外に近くにいた。人混みが声の主を避けるように移動していくので、だんだん見やすくなってきた。

スーツを着たサラリーマン風の男が、空を見つめて声を発し続けている。

「ここはどこですか? わたしはだれですか?」

何だ? この人は?
奇妙な行動をとるこの男を不思議に思いながら眺めていた。
歳は20代後半くらい。体格は平均的で短髪、その行動以外は、おかしなところは見受けられなかった。

「ここはどこですか? わたしはだれですか? ここはどこですか? わたしはだれですか?」

休まずに連呼し続ける。周囲の人間達は遠巻きに眺めてヒソヒソ囁き合うばかりだ。
男の顔を見てみると、何というか、正気ではない。目がうつろで死人のような印象がした。

「警察呼ぶか?」「見ちゃいけません」「お前声かけてみろよ」「嫌だよ」「何だ? 何だ?」「行こうぜ、誰かが何とかするだろう」「パフォーマンスだろ」「写真とっておく?」

具体的に行動に移すものはいなかった。自分もそうだ。何かやっかいなことになるのは御免だ。誰かも言っていた、いざとなったら誰かが何とかするだろう。もうすぐ、彼女もやって来るし。どうせ、ここから離れるのだし。

携帯に目をやると、ディスプレイの時計がPM 12:00 を表示した。
「ここはどこですか?」
女性の声だ。顔をあげる。
サラリーマンとは少し離れた場所に女子校生が立っていた。空を見つめて声を発している。「ここはどこですか? わたしはだれですか?」

えっ? 
これを皮切りに、自分の聴力の届く範囲で、次々と声がしてくる。
「ここはどこですか? わたしはだれですか?」「ここはどこですか? わたしはだれですか?」「ここはどこですか? わたしはだれですか?」

先程までの楽しげな騒めきは消え去り、得体のしれない声の合唱と人々の不安に駆られた叫び声で、周囲が染まっていく。
何だ? 何だ? 何だ? 何が起こっている?
息が上がり、汗が滲み、心臓の鼓動が狂いだす。

「ここはどこですか? わたしはだれですか?」

聞きなれた声。振り返ると、今日、自分が待っていた人間が立っていた。
空の方を見つめて、みんなと同じことを言っている。

「ここはどこですか? わたしはだれですか?」

どうしてこんなことが?
衝突音がした。道路を規則的に走っていた車が玉突き事故を起こしたのだ。慌てふためく人々、彼らは次の瞬間立ち尽くして「ここはどこですか? わたしはだれですか?」とだけしか言わない生きものになっていく。

声は、真夏の蝉の大合唱、それを思い出させた。

「ここはどこですか? わたしは「ここはどこですか? わた「わたしはだれですか?」「ここはどこですここはどこですか? わたしは「ここはどこですか? わたしはだれですか?」か? ここはどこわたしだれで「こですか?「ここはどこですか? わた「わたしはだれです「ここはどこですか? ここはどこですか? わ」

落ち着け、落ち着くんだ! まず、警察に連絡だ。それから、救急車も、いっそ、自衛隊に来てもらうか! なんとかして彼女を治してもらわないと、俺は何か予防接種をしてもらって、それから、それか「ここはどこですか? わたしはだれですか?」


答え
地球、人間

採点者コメント
本当に?


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