1. トップページ
  2. 秘宝の星

空乃星丸さん

私がこの時空に現れて、地球は太陽の回りを60周しました

性別 男性
将来の夢 ピンピンコロリ
座右の銘 われ思う、x”&%

投稿済みの作品

1

秘宝の星

15/11/06 コンテスト(テーマ):第九十五回 時空モノガタリ文学賞 【 秘宝 】 コメント:2件 空乃星丸 閲覧数:727

この作品を評価する

オカチマチ博士は有名な、天文物理学者である。研究室で一日中、弟子と交代で、世界の電波望遠鏡から送られてくる情報をコンピュータで分析していた。ある日、弟子が大騒ぎしながら、最近注目していた天体のデータを持って博士に報告にきた。
「博士、このデータを見てください」
博士がコンピュータの分析結果を見ると他の星と違って、金が極めて多い。
「これぞまさしく、本物の金で出来た金星。太陽系のとは違う宝の星だ。秘宝の星だ」
博士は興奮気味に言った。星全体が金の塊である可能性もある。大きさは残念ながら、地球に比べれば小さいが、直径20Km。小惑星としてはかなり大きい。
「突然現れたな、この小惑星。全部金なら相当な額になるじゃろ。しかし金の価格は暴落するか。まあ我々には手の届かんものじゃが」
博士は新聞の金の相場を見ながら言った。
宇宙開発センターに連絡すると、金の塊かどうか調べるため、早速探査ロケットを飛ばすことになった。
この計画は博士ら関係者が知らぬ間にマスコミに漏れ、テレビ、新聞、インターネットで話題となり、世界中の人々は、まだ見ぬ大量の金に目がくらみ、株価が高騰し始めていた。まだ絵に描いた餅に近い。どうやってこの金を地球に運ぶのかが大きな問題であった。とにかく実態調査が先決であった。
いよいよロケットを飛ばす日が来た。轟音と共にロケットは一路、秘宝の星目指して飛んで行った。1か月もたったころ、探査機から星の映像が届いた。星のあらゆる場所がキラキラ輝いている。金である。探査機の分析結果は24金であった。純金星である。
地球の人々は、また大喜びし、連日テレビや新聞、インターネットでこの話題が取り上げられた。世界中が浮かれ、株価はさらに上がり、景気も良くなった。もはや世界中がバブル景気である。手元にはまだないが、“金”という実態に裏付けされた景気である。昔の土地バブルや、なんとかローンのような不良債権とは違う。さらに物の価値が上がると人々は考え、株価はご祝儀相場でさらに上がって行った。
 歓楽街では飲めや歌えやと、宴会が毎夜つづき、豪華客船の世界一周の旅はすべて3年先まで予約で埋まり、おんぼろビルはピカピカの高層ビルに建て替えられ、高級車も飛ぶように売れていた。トレンディドラマがまた流行りだし、
「不倫は文化だった」
と、のたまわる俳優が時代の寵児ともてはやされ、ミニスカートの髪の長いおねーさんたちが、扇子をもって台の上で踊る姿もニュースとなっていた。歴史は繰り返すであった。
 一方、オカチマチ博士の研究室では異変に気が付いていた。弟子が博士に言った。
「博士、純金星の裏側に回った探査機からの通信が、先日から途絶えました。それと、純金星が地球に近づいてきています」
「探査機の情報がないと、どうにもならんのお」
と博士は腕を組んだまま、黙りこくった。

 純金星では、地球からは見えない裏側で、地面の扉が開いた。そして数人の宇宙人が出てきて、探査機の動作を止めた。宇宙人は地球の昆虫のような姿で、一言で言えば“蚊”であった。知的生命体の蚊星人であった。その蚊の船長らしき一匹が言った。
「我々の惑星系が数十万年前に滅んで以来、我々の母の星、蚊星を後にし、星間旅行をしながら、生命のある星に行ってはその星の動物の血を吸いつくし、生きながらえてきた。大方、文明の栄える星では経済も発達し、金が珍重される。宇宙船を厚い金で覆っておくと、このような探査機を送ってきて、向こうから我々に居場所を教えてくれるというわけじゃ。そうは言っても、めったにないからなあ。今回は運が良かった」
部下らしきもう一匹が言った。
「下等生物の血はまずいですからねえ。何千年間はそれで我慢し、その星もしゃぶりつくしましたしね。何しろ我々には、宇宙にいる無数の病原菌が共生していますから、感染力が強すぎるのも考え物ですねえ。しかし、今回、こちらに飛んできて正解でしたね」
さらにもう一匹が
「知的生命体のほうが血もうまいですからねえ。探査機なんか飛ばせるなんてめったにいませんから、お宝中のお宝、秘宝ですねこれは。しかし今回の青い星、ざっと見積もっても知的生命だけで50億はいますね。相当吸いごたえもありますね。ワクワクしてきました。我々にとってこれは秘宝の星ですね」
「今回は感染力を抑えて、地道に行くぞ」
と船長かつ大統領が言うと、扉から中に入り、宇宙線純金号の速度をさらに上げた。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

15/12/13 光石七

拝読しました。
実は地球のほうが秘宝の星だった、と。この後の地球人の運命を考えると恐ろしいですが、とても面白いオチでした。
ちなみに私は「蚊の中には超小型の宇宙船が混じってるんじゃないか」と考えたことがあります(笑)
楽しませていただきました。

15/12/16 空乃星丸

光石七様
遅くなりましたが、オコメありがとうございました。私も昆虫は
地球外生物が住み着いたのか、地球外生物の小型探査ロボットで
ないかと、今も思っています。小惑星の有機物が生命を産んだと
も言われてますし。

ログイン