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こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 MyISBN−デザインエッグ社さんから、絵本「おしえて!ねこばあちゃん」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

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神様のなみだ

15/10/31 コンテスト(テーマ):第九十五回 時空モノガタリ文学賞 【 秘宝 】 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:1052

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 これは、昭和の中ごろ。
 わたしが、三年生のときのお話。

 わたしは、今井しづこ。
 わたしの家の近所には、畑がいっぱいある。
 ごんたじいさんの畑にも、季節ごとにいろんな野菜が植えられていた。
 ごんたじいさんは、子どもたちにやさしくて、わたしも、ごんたじいさんが、大好きだった。

 ある日、ごんたじいさんの畑に、大きな葉っぱの野菜をみつけた。
 まるで、かさになりそうなくらい大きな葉っぱ。
「この葉っぱ、なに?」
 わたしが聞くと、ごんたじいさんは、
「里芋の葉っぱじゃ。秋には、おいしい里芋がごろごろできるぞ。」
と、うれしそうに言う。
「へぇー、楽しみだね。」
 わたしは、学校に行くとき、いつもその葉っぱをみていた。
 ある朝、葉っぱのまん中に、まんまるい水の玉をみつけた。
 水の玉は、太陽の光に反射して、キラキラ光っている。

 その日の晩。
 お父さんが、一匹の子犬をつれて帰ってきた。会社の人の家で、犬の赤ちゃんがうまれたので、もらってくれないかと言われたそうだ。
 柴犬の子犬は、かわいい顔をしていた。
 わたしは、すっかり気に入ってしまった。さっそく、チビと名前をつけて、だっこした。チビは、腕の中で、スースー寝息をたてた。

 わたしとチビは、ごんたじいさんの畑まで、よく散歩に行った。ごんたじいさんは、いつもチビの頭をなでて、「ようきた、ようきた。」と言ってわらう。そんな、ごんたじいさんのことをチビも大好きになった。

 夏が過ぎ、秋になると、ごんたじいさんが、里芋をほっていた。
 土の中から、ごろごろと里芋がいっぱいでてきた。
「ほれ、ちょっと持って帰って食べてみろや。ねっとりして、おいしいぞ。」
 ごんたじいさんは、手にもっていた袋に入れて、わたしてくれた。
 ずっしりと重い袋をおなかにかかえて、わたしは家に帰った。
 晩ごはんは、里芋の煮っころがしだった。
 あまからい里芋の味が口にひろがる。ねっとりして、おいしかった。

 春が過ぎ、また夏が来た。
 その年の夏は、特別に暑い気がした。
 学校から帰ると、チビがぐったりしていた。声をかけても、ハーハーと、しんどそうだ。
 病院に行っても、チビはいつまでもしんどそうだった。
 わたしは、ごんたじいさんに相談してみた。
 すると、ごんたじいさんは言った。
「里芋の葉っぱの水の玉をのませてみるか。」

 なんでも、この間、ごんたじいさんの夢の中に、神様がでてきて、言われたんだって。
「ごんたじいさん、おまえは畑でいつも野菜の世話をよくしているのお。子どもたちにもやさしいし、わしは、感心してうれし泣きをしてしまった。里芋の葉に、なみだのしずくが落ちたのじゃ。わしのなみだじゃぞ。何かこまったことがあったら、このしずくを飲んだらいいぞ。」
 ごんたじいさんは、次の朝早く、里芋の葉っぱを見に行った。水の玉がキラキラ光っている。そっと、コップにすくいとると、わたしの家まで、もってきてくれた。
 チビに飲ませると、チビはくぅんとないて、スースーねむってしまった。
 しばらくして、チビが、キャンキャンなきだした。
 チビは、うそみたいに元気になった。


 おばあちゃんになったわたしは、今でも里芋の葉っぱをみると、ごんたじいさんにもらった神様のなみだをさがして、のぞきこむんだよ。


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このストーリーに関するコメント

15/11/03 石蕗亮

拝読いたしました。
お久しぶりです。
暖かいお話しでした。私も今度葉っぱをよく見てみます。

15/11/04 こぐまじゅんこ

石蕗亮さま。

コメント、ありがとうございます。
おひさしぶりですっ!
暖かいお話といっていただけて、とてもうれしいです。
これからも、よろしくお願いします。

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