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ポテトチップスさん

20代の頃、小説家を目指していました。 ですが実力がないと自覚し、小説家の夢を諦めました。ですが最近になって、やっぱり小説家の夢を追い求めたい自分がいることに気づきました。久方ぶりに、時空モノガタリ文学賞に参加させて頂きます。 ブログで小説を書いてます。http://www.potetoykk.com

性別 男性
将来の夢 太宰治賞もしくは北日本文学賞で最終選考に残ることです。
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馬鹿キャプテン対決

12/08/07 コンテスト(テーマ):第十一回 時空モノガタリ文学賞【 高校野球 】 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:1587

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野球部の部室で、2年生のキャプテン大場大吉は、多賀弘明と水野純と一緒にタバコを吸っていた。
水野純が、低い鼻の穴から煙を吐き出しながら言った。
「キャプテン、練習の後の一服は最高っすね」
「そうだな。これのために練習しているようなものだからな」
「キキキ!」と、コオロギの泣き声のような笑い声をあげて多賀弘明が笑った。
「キャプテン、来年こそは俺達も甲子園に出場できたらいいっすね」
タバコをコーラの缶の中に捨てた大場は、2本目のタバコに火をつけ
「あのな、いいか水野、甲子園大会ってのはな、野球馬鹿度を競う大会なんだよ」
「なるほど。いや〜さすがっすね、キャプテン」
「当たり前だろ」
「キキキ!」
「そう言えばキャプテン聞きました? 先週転校して来た2年7組の花谷里美が、サッカー部の川部キャプテンにマネージャーになってくれってお願いされて、迷っているそうですよ」
それを聞いた大場はみるみる顔を紅潮させ、こめかみに青い血管が浮き上がったと思ったら、突然立ち上がって目の前のロッカーを大きな音をたてて蹴った。
「おい! 多賀、水野、サッカー部の川部に殴りこみに行くぞ!」
肩を怒らせながら、校庭のグランドでサッカーの練習をしている川部の下へ、多賀と水野を引き連れて向かった。

先週の金曜日に、花谷里美は福岡県の高校から転入して来た。そのあまりの美しさに、男子生徒は皆、度肝を抜かれた。
もちろん、野球部キャプテンの大場もその1人だ。
大場は、花谷がこの学校での生活に慣れた頃を見計らって、告白しようと密かに考えていた。
なのに、サッカー部キャプテンの川部は、花谷にマネージャーをお願いした。奴の目論見は分かっている。サッカー部のマネージャーにした後、ジワジワと花谷を自分の女にしようと目論んでいるのだ。
なんて汚い男だ。

校庭のグランドでリフティングの練習をしている川部の後ろから、大場が言った。
「テメーは汚ねー奴だなー、こん畜生!」
振り向いた川部は、「誰かと思えば、弱小野球部の馬鹿キャプテンじゃねーか」
「うるせーよ! テメーの目論見は、分かってんだよ」
「何の事だよ?」
「2年7組の花谷里美に、マネージャーをお願いしたみたいだな、オマエ」
「ああ、その事か。ちょうど、マネージャーが欲しかったんだよ」
「花谷は、野球部がマネージャーとして貰う事に、いま決めた」
「何言ってんだよ。野球部にはブタ子って言う、歴とした女子マネージャーがいるだろ!」
「ブタ子はサッカー部にやるから、花谷は野球部がもらう!」
「いらねーよ! ブタ子がマネージャーだったら俺、キャプテン辞めるよ」
血走った大場は、川部の胸倉を掴み上げた。
多賀と水野が止めに入り、騒ぎに気づいたサッカー部員も周りに集まって来た。
「おい、大場、やんのか!」
「おう、やってやるよ! 前々から俺はオマエが気に食わなかったんだよ。この場でタイマンで勝負しろ!」
「おう、いいとも! 俺の鍛え上げられたこの右足で、オマエの足の骨を折ってやるよ!」
一触即発の緊迫の状態を解いたのは、水野の言葉だった。
「暴力はやめましょうよ! なら、今度の期末テストの成績で勝負をつけるってのはどうですか? 成績順位が良かったキャプテンがいる方の部が、2年7組の花谷さんをマネージャーに出来るんです」
野球部キャプテンの大場は、苦い顔をした。
サッカー部キャプテンの川部は、余裕の表情をつくって「構わないぜ」と言った。
学力の成績では、サッカー部キャプテン川部の方が上だった。前回の期末テストでは250人中、川部キャプテンが249番で、大場キャプテンが250番の最下位だった。

その日以来、野球部キャプテン大場は、猛勉強に励んだ。
学校が終わって自宅に帰ると、1日6時間勉強した。学力の基礎から身につけるため、近くの本屋で、小学1年生のドリルを買ってきて勉強した。
一方のサッカー部キャプテン川部は、得意の歴史に力をいれ勉強した。やはり本屋で歴史の漫画本を買っては読み漁った。
日は小走りのように過ぎて行き、いよいよ明日は試験日を迎えようとしていた。
大場は猛勉強による睡眠不足で、フラフラしながら校舎のトイレに向かっていると、向こうから現野球部マネージャー、ブタ子がやって来た。
目を真っ赤にしたブタ子は、「私の取り合いはヤメテ!」と言って、泣きながら走って行った。

それから数日が経った月曜日。今日は、先週の土曜日に行われた期末テストの順位発表日である。
この学校は、昔ながらに廊下に順位が発表される。
先生の指示で、成績順位を見に廊下に出た。
野球部員とサッカー部員が、一番後ろの成績順位をそろって見に行くと、249番が大場、250番が川部だった。
 
しかしその日の放課後、花谷里美は剣道部のマネージャーに入部届けを出した。


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