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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
座右の銘 今を生きる  

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僕もいっぱい勉強して、アニメを描くお仕事をしたいと思います

15/09/19 コンテスト(テーマ):第九十一回 時空モノガタリ文学賞 【 アニメ 】 コメント:7件 草愛やし美 閲覧数:949

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 僕のママは壊れたアンドロイドなんだ。パパは気づいてないけど僕はゼッタイのゼッタイだと思ってる。だって、同じことばっか言ってるもん。
「匠海、宿題はしたの! またゲームしている、ダメじゃない怠けるから成績悪いのよ、頑張らないと高校に行けないわ。良い学校いけないと困るのはあなたよ……これだけ言ってもわからないの」
 わかってるママ。僕、今やろうって思ってたんだよ。ああ、ママは壊れたアンドロイドに違いないんだ。だって毎日同じことばっか繰り返し言ってるんだもん。僕はもうママが次に何て言うかわかるようになっちゃった。まねしてもいいけど、怒るでしょ、だから言わない。こうみえて僕ねちゃんとケイカク立ててるんだわかる? そっかあ壊れてたんだ。何てうるさいだこのアンドロイド。パパが言ってたよ。人間には思い通りにならないコトがたくさんあるんだって。ママはパパにもよく怒ってるけど、カカリチョウさんでもパパ会社で頑張ってるんだよ。
「返事しなさい、匠海! わかっているの」
「アンドロイド……」
「何言ってるの、返事は、はいでしょ、さあ早くこっち来て坐るのよ、ランドセルをこんな処に放り出して、あなたって子はどうしてこうなの、きっとパパに似たのね」 
 ああ、アンドロイドについに電源切られちゃった。夏休みが始まってようやくホッとしたのに……。死にたくなるほど学校に行きたくない。ボスが毎日のように僕を殴ったり蹴ったりする、クラスのみんなは誰も助けてなんかくれない。最近はみんなにキモイって言われ無視されるようになった。ボスの命令で苛めにあってるんだって転校生の平安君が教えてくれた。平安君が転校してきてボスを不思議な力でやっつけてくれたけど、また平安君は転校しちゃった。あれから僕はずっとひとりぽっち。夏休みで苛めには会わないのはいいけれど、ママもパパも忙しそう。家でゲームをしている時だけ嫌なこと忘れられるのになあ。
 
 ボスに会わなくて済むと思っていたのに、夏休みになってもボスから電話がかかってきた。今日も呼び出されゲーセンに付き合えって言われた。だけど、ボスに何度もお金を渡してもうおこずかいがない。お金ないって言ったら、ママの財布からこっそりお金を借りてくればいいって、そんなことできそうもない。でも……リビングのテーブルの上にある財布をじっと見つめたまま動けないでいたら足元から声がしてびっくり。床に何やら黒い線がもぞもぞと動いている。
「匠海」
「誰?」
「平安だ」
「わお! 平安君!?」
 驚いた、平安君がリビングの床に現れて平面の床でアニメのように動いている。
「アニメの世界にいる。君は三次元、アニメは二次元。距離あっても画像描けばすぐ移動可能だ」
「凄いね!」
 僕は焦って3D映画用の眼鏡を探していたら、平安君に笑われた。
「ここ2D、3D眼鏡無駄」
 そして僕はは床に吸い込まれていた。
「平安君、会いたかったよ」
 床から家のリビングを見上げた。デ・デカイ。ママが立ってる。げえ、太い足、ヤバイ! ママのパンツ丸見えだ。思わず目を瞑った時、平安君が強く僕の手を引っ張った。
「ボスに会う」
「ボスにってどうやって」
 言いながら平安君は僕と手を繋いだもう片方の手に持ったペンでサラサラと駅前のゲーセンを描いている。
「アニメ描くの上手いんだね平安君」
 描かれた絵に平安君は入っていく、手を引っ張られた僕もゲーセンの中に移動した。そこはゲーセンの天井だった。上から眺めているのにボスは全く気づかない。平安君は腕を伸ばしボスの帽子を取りあげた。ボスは天井を見て平安君の顔を見て震えだした。平安君の横で僕はボスに舌を出してベーだってしてやった。面白いなあ、ボスは恐怖で無茶苦茶に傘を振り回したけど、僕らはすぐ横の壁にスーッと移動した。
「クソ平安どうなってるんだ」
「匠海苛めない、わかったなボス」
 ボスが焦ってあっちこっち傘を振り回すもんだから店員さんが走ってきた。平安君はすぐさまゲーム機の壁面にへばり付いた。まるでゲーム機に描かれた漫画絵のように僕らはじっとしていると、すぐその横を店員に引っ張られたボスが連れていくのが見えた。事務所でボスは、僕らのことを話したけど店長さんは信じない。結局、ボスの母さんが呼ばれ、めちゃ叱られていた。今後はゲーセンに立ち入り禁止だって。
 ◇
 あれから、僕は二度と苛めに合わなくなった。平安君の二次元アニメ世界に遊びに行くようになってからゲームやらなくなった。だって、アニメ世界はゲームなんかよりずっと面白いんだもん。平安君も勉強してアニメ描けるようになったって教えてくれたので、僕も勉強しようと思う。お陰でアンドロイドのママから文句を言われなくなった。

 学校が凄く楽しくなりそう、だって死にたいなんてもう思わなくていいんだもの。


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このストーリーに関するコメント

15/09/21 冬垣ひなた

草藍やし美さん、拝読しました。

語り口はほのぼのしているけれど、内容は濃く重いですね。ラストの一文が胸に来ました。
小説も二次元といえばそうですが、それは時として子供の逃げ場、遊び場になるもの。
アニメを通して勉強の本質をよくとらえているなと思います、面白かったです。
文学フリマでは色々ありがとうございました、お会いできてとても嬉しかったです!

15/09/23 鮎風 遊

床に書かれた絵の中に入って行けるとは、いいですね。
それなら何でもできる。
平安君に会いたいものです。
匠海君が闇から抜けられて良かったです。

15/09/23 そらの珊瑚

草藍やし美さん、拝読しました。

平安くんは救世主であり、彼にとってヒーローですね。
現実にも、アニメに救われているような子供っているのかもしれないなあと思いました。

15/09/24 泡沫恋歌

草藍やし美 様、拝読しました。

平安くんの再登場ですね。
不思議な能力のある平安くんなら、いろいろ不思議な世界を見せてくれそう。

ジャイアンみたいなボスも平安くんには敵わない。
最強のアニメヒーローは平安くんかも、是非シリーズ化を希望します。

15/09/27 滝沢朱音

平安君の二次元アニメ世界!すごい発想ですね!
壁や床の中に入って、自由自在に移動できるなら
私なら何をするかなあ、なんて考えてしまいました。

ママ、本当にアンドロイドだったりして…?
想像したらコワイ((((;゚Д゚))))

15/10/11 草愛やし美

>冬垣ひなたさん、コメントありがとうございます。
こちらこそ文学フリマでお会いできて嬉しかったです。声をかけて下さったときの感激、忘れません、ありがとうございました。今度はぜひ、ゆっくりお茶でもしたいですね、笑顔。
小説もアニメも子供にとって救いの場になっています。あり得ない体験もそこでは可能になるのですから。私は50年ほど前に漫画の世界でいろいろ学びました。テレビアニメでは、白黒でしたが、ディズニーを初めて見た時に凄いなと感動しました。あの頃の夢中さが懐かしいです。

>鮎風遊さん、コメントありがとうございます。
床や壁に行ければいいなあと想像しながら書きました。いじめから逃れるのはなかなか困難だと思います。悲惨なニュースに接するたびに誰かの助けがあれば良かったのにと思います。

>そらの珊瑚さん、コメント感謝しています。
私自身、小学生や中学生の頃、引っ込み思案な子で友人も少なかったんです、ずいぶんと漫画やアニメの世界に助けられていたと思い出して書きました、お立ち寄りありがとうございました。

>泡沫恋歌さん、お読みくださってコメントありがとうございます。
そうなんです、あの「ダンゴ虫学級」で登場させた平安君です、あの時、恋歌さんがいいキャラだと言ってくださったので、再度登場させてみました。

>滝沢朱音さん、Σ(- -ノ)ノ エェ!? ママがほんとうのアンドロイド、ってありかもですね。今度その設定で何か書いてみようかしら。(。-∀-)ニヒ♪
お読みくださり、コメントありがとうございます。コメントはほんま励みになります、感謝。

16/04/13 やっちゃん

草藍やし美さん、凄く興味深く拝読しました。
平安君が魔法のような手口で匠海君を苛めから救ったことすっきりしました。
草藍さんは時代を先取りした素晴らしい小説をお書きになりますね。

私の孫が異次元のようなアニメの仕事に就きましたので草藍さんの小説を拝読しまして嬉しくなりました。

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